「夫にも一度検査を受けてもらいたい」
そう思って調べ始めたものの、
「男性不妊って何科へ行けばいいの?」
と迷っていませんか?
泌尿器科。
産婦人科。
不妊治療専門クリニック。
男性不妊外来。
いろいろな言葉が出てくるため、初めてだと分かりにくいと思います。
結論からいうと、
まず精液検査を受けるだけであれば、不妊症を診療している産婦人科・生殖医療施設や泌尿器科で受けられます。
一方、
- 精液検査で異常を指摘された
- 精索静脈瘤が疑われる
- 無精子症・高度な乏精子症がある
- 勃起や射精に問題がある
- 精巣や陰嚢に気になる症状がある
という場合には、
男性不妊の診療に対応している泌尿器科
へ相談することが大切です。
今回は、「まずどこへ行けばいいの?」というところから順番に整理します。
男性不妊は基本的には「泌尿器科」の領域です
男性の生殖機能を専門的に診る診療科は、基本的には泌尿器科です。
泌尿器科では、
- 精巣
- 精巣上体
- 精管
- 前立腺
- 陰茎
- 射精
- 男性ホルモン
など、男性生殖器に関係する診療を行います。
そのため、精液検査に異常が見つかった場合に、
「なぜ精子が少ないのか」
「精索静脈瘤はないか」
「ホルモンや精巣に問題はないか」
など、男性側の原因を詳しく調べる役割を担うのが泌尿器科です。
ただし、
すべての泌尿器科が男性不妊を専門的に診療しているわけではありません。
予約する前に、
「男性不妊の診療を行っていますか?」
「精液検査はできますか?」
と確認しておくと安心です。
まず不妊治療クリニックで精液検査を受けても大丈夫?
はい。
女性がすでに不妊治療専門クリニックや産婦人科へ通っている場合には、そこで男性側の精液検査を受けられることがあります。
精液検査では主に、
- 精液量
- 精子濃度
- 総精子数
- 運動率
などを確認します。
最初のスクリーニングとして精液の状態を確認し、その結果によって必要であれば男性不妊を診る泌尿器科へ紹介される、という流れも一般的です。
ですから、
「男性は最初から必ず泌尿器科へ行かなければならない」
わけではありません。
すでに奥様が通院している不妊治療施設がある場合は、
「夫の精液検査もできますか?」
と確認するところからでも構いません。
精液検査だけでは分からないこともあります
精液検査で異常が見つかったときに大切なのは、
その結果だけを見て終わらないことです。
たとえば精子の数が少ない、運動率が低い場合には、
その背景に、
- 精索静脈瘤
- ホルモン異常
- 精巣の機能低下
- 精路の閉塞
- 遺伝学的な要因
などが隠れている場合があります。
精液所見が悪いからといって、
『すぐに体外受精や顕微授精へステップアップする』
と結論づける前に、
男性側に治療可能な原因(精索静脈瘤など)がないか確認することが非常に重要です。
特に男性不妊の代表的な原因の一つである精索静脈瘤は、泌尿器科で診察・超音波検査などを行い、条件によっては手術が検討されます。
「精液検査が悪かった=男性不妊確定」ではありません
ここも知っておきたいポイントです。
精液の状態には変動があります。
たとえば、
- 発熱
- 体調不良
- 禁欲期間
- 採取条件
- 検査までの時間
などによって、検査結果が変わることがあります。
そのため、一度の精液検査だけですべてを判断しない場合があります。
結果が基準範囲から外れていた場合には、必要に応じて再検査を行いながら評価していきます。
また、精液検査の数値は、
「男性として正常か異常か」を決める成績表ではありません。
WHOなどで示されている基準値も、
「この数値以上なら必ず妊娠する」
「下回れば自然妊娠できない」
という境界線ではありません。
妊娠の可能性を考えるための一つの情報として使われます。
男性不妊を診る泌尿器科では何をする?
診療内容は医療機関や状態によって異なりますが、一般的には、
問診
- これまでの病気
- 手術歴
- 発熱歴
- おたふく風邪などの既往
- 性機能
- 妊活期間
- 生活習慣
- 使用している薬
などを確認します。
精巣・陰嚢などの診察
精巣の大きさや、精索静脈瘤がないかなどを確認します。
精液検査
精子の数や運動性などを調べます。
ホルモン検査
必要に応じて、
- FSH
- LH
- テストステロン
などを血液検査で調べます。
超音波検査
精索静脈瘤などを確認するために陰嚢超音波検査が行われる場合があります。
遺伝学的検査
無精子症や非常に高度な乏精子症などの場合には、染色体検査や遺伝子に関する検査が検討されることもあります。
全員がすべての検査を行うわけではありません。
精液検査や診察結果に応じて必要な検査を選びます。
こんな場合は男性不妊を診る泌尿器科へ相談を
特に次のような場合は、男性不妊に対応する泌尿器科への相談を考えてみてください。
- 精液検査で精子数が少ないと言われた
- 運動率が低いと言われた
- 無精子症を指摘された
- 精索静脈瘤を指摘された
- 陰嚢に腫れや違和感がある
- 精巣が小さいと言われた
- 勃起障害がある
- 射精が難しい
- 過去に精巣や鼠径部の手術を受けている
精液検査に異常がある場合、
「人工授精や顕微授精をすればいいから男性側は調べなくていい」
とは限りません。
男性自身の健康を確認するという意味でも、原因検索には価値があります。
強い陰嚢痛が急に出た場合は「不妊相談」より早めの受診を
男性側に、
- 急に強い陰嚢痛が出た
- 精巣が腫れている
- 強い痛みや吐き気を伴う
といった症状がある場合は、妊活の相談とは分けて早めに泌尿器科などの医療機関へ相談してください。
精巣捻転など、迅速な診断・治療が必要な病気もあります。
「精子に影響するかな」と様子を見るより、症状そのものを優先して診てもらいましょう。
男性側の検査は、女性側の検査が全部終わるまで待たなくていい
妊活では、
まず女性が産婦人科へ行く。
排卵を調べる。
卵管を調べる。
ホルモンを調べる。
それでも原因が分からなければ、
「では次に夫を調べよう」
という順番になってしまうことがあります。
しかし現在は、
女性側と男性側をできるだけ並行して評価すること
が基本です。
女性側の検査がすべて終わるまで男性側が待つ必要はありません。
これは、誰に原因があるかを競うためではありません。
二人の情報を早い段階でそろえることで、
今後どの治療を選ぶのかを考えやすくするため
です。
夫が「泌尿器科には行きたくない」と言ったら?
ここで止まってしまうご夫婦も少なくありません。
男性にとって、
「男性不妊外来へ行く」
ということ自体が心理的なハードルになる場合があります。
そのときは、最初から、
「男性不妊専門外来へ行って」
ではなく、
「まず私が通っている病院で精液検査だけ受けてみない?」
という方法もあります。
検査結果に問題がなければ一つ安心材料になります。
何か確認した方がよい結果であれば、
「じゃあ一度専門の先生に見てもらおう」
と次の一歩を考えられます。
最初からすべてを決めなくても構いません。
「あなたを調べたい」ではなく「二人分そろえたい」
男性側へ話すときには、
「私は全部検査したから、次はあなた」
より、
「今後どう進めるか考えるために、二人分の情報をそろえておきたい」
という伝え方がおすすめです。
男性不妊の検査は、
誰が悪いかを決めるものではありません。
妊娠までの条件を、
二人で一緒に確認するための検査
です。
受診を提案するときに、この目的を共有できると会話もしやすくなります。
「男性不妊や精液検査の話をパートナーへどう切り出せばよいか」迷っている方は、こちらの記事で具体的な会話例をご紹介しています。
ご夫婦の妊活では、男性の検査だけでなく女性の身体の負担も続きます
男性側の検査について考えている間も、女性側では、
- 排卵チェック
- 内診
- 採血
- ホルモン剤
- 人工授精
- 採卵
- 胚移植
などが続いていることがあります。
さらに、
「夫にどう言えばいい?」
「検査を嫌がったらどうしよう」
「自分だけ治療をしている気がする」
といった心理的な負担まで抱えている方もいます。
すると、
- 首肩の緊張
- 睡眠の乱れ
- 胃腸の不調
- 冷え
- 月経前の不調
- 疲労
など、身体にも負担が重なってくることがあります。
こうした部分は、
男性側の検査結果が出るまで我慢しておく必要はありません。
妊活中に鍼灸を取り入れるメリット
男性側に必要な医学的検査や治療は、泌尿器科などの医療機関で行うことが大切です。
鍼灸によって、
精索静脈瘤を診断したり、
無精子症の原因を特定したり、
精路の閉塞を治したりすることはできません。
その一方で女性側では、不妊治療を続けながら、
- 身体の疲れが抜けない
- 眠りが浅い
- 胃腸が弱っている
- 月経痛がある
- 首肩がこわばる
- 冷えやのぼせが気になる
- 夫婦の妊活について考え続けて緊張している
という状態が重なることがあります。
鍼灸では、
治療そのものとは別に、妊活を続けている身体のコンディションを整えていく
ことができます。
「男性側の検査を待っているから、今は何もできない」
ということではありません。
必要な検査は医療機関で進めながら、女性側も日々の身体を整えていく。
二つを並行して考えることができます。
蓮心はり灸堂では、ご夫婦の状況まで確認して身体づくりを考えます
蓮心はり灸堂では、女性側の検査結果だけでなく、
- 現在の治療段階
- タイミング法・人工授精・体外受精のどの段階か
- 男性側の精液検査を受けているか
- 男性側に専門受診が必要と言われているか
- 今後の採卵・胚移植予定
なども確認します。
そのうえで、
- 月経
- 睡眠
- 胃腸
- 冷え
- 疲労
- 首肩の緊張
- ストレス
などを合わせて、その時期の身体に必要なサポートを考えています。
男性側の検査について、
「この結果なら何科へ行けばいいの?」
「夫にどう話せばいい?」
といった疑問も、妊活の状況を整理する中でご相談いただけます。
ただし、検査結果の診断や治療方針については、必ず医師に確認してください。
男性の施術について
当院は基本的に女性専用の鍼灸院です。
そのため、男性の方からの新規予約を通常の形でお受けしているわけではありません。
ただし、
既存患者様からのご紹介、またはご夫婦でご来院いただく場合に限り、男性の施術もお受けしています。
男性不妊が疑われる場合は、まず男性不妊を診る泌尿器科などで必要な検査を受けることが優先です。
そのうえで、ご夫婦の生活や身体づくりについて考えたい場合にはご相談ください。
まずは「精液検査ができる場所」を確認するところから
男性不妊について考え始めたからといって、
すぐに専門病院を探し回る必要はありません。
奥様がすでに不妊治療施設へ通っているなら、
まず、
「夫の精液検査もできますか?」
と聞いてみる。
まだご夫婦とも受診していない場合は、
男性不妊に対応する泌尿器科や、生殖医療を行っている施設を探してみる。
それで十分です。
受診先が分かるだけでも、
「何をすればいいのか分からない」
という状態から一歩進めます。
そして検査は、
男性に原因があることを証明するためではありません。
二人で次の妊活を考えるための情報を集めること。
まずはそのように考えてみてください。
このテーマの続きは、9月13日夜公開「夫が受診を迷うときに伝えたい言葉」で、
受診先は分かったけれど、
「やっぱり夫が行きたがらない」
というときの伝え方についてお話しします。
ご夫婦の妊活を、女性ひとりで背負っていると感じる方へ
男性側の検査を勧めることまで、自分の役割になっていませんか?
自分の通院や治療を続けながら、
夫の受診先を探す。
検査について説明する。
受診するよう説得する。
そこまで抱えると、身体も気持ちも疲れてしまいます。
蓮心はり灸堂では、妊活・不妊治療の状況やご夫婦の検査状況も確認しながら、今の身体に必要なことを一緒に整理しています。
「何をどこまで進めればいいのか分からない」
という段階でも大丈夫です。
必要な医学的検査は適切な専門医へつなげながら、女性側の睡眠・胃腸・月経・冷え・疲労などを整えていく方法として、鍼灸を取り入れることができます。
参考・出典
日本産科婦人科学会「不妊症」
日本泌尿器科学会「パートナーがなかなか妊娠しない」
日本泌尿器科学会「男性不妊症診療ガイドライン」
日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編」

