夫が受診を迷うときに伝えたい言葉

男性不妊とご夫婦で取り組む妊活ケアを表すブログ画像

「私ばかり検査を受けている」

「一度、夫にも精液検査を受けてほしい」

そう思って伝えてみたけれど、

「まだそこまでしなくてもいいんじゃない?」

「俺は大丈夫だと思う」

「病院はちょっと……」

と言われてしまった。

そんな経験はありませんか?

妊活では、女性側が先に産婦人科へ通い始めることが多いため、

採血。

内診。

卵管の検査。

排卵確認。

薬。

注射。

と、女性側の検査や治療ばかりが増えていくことがあります。

その横で夫がまだ一度も検査を受けていないと、

「どうして私ばかり?」

という気持ちになるのも無理はありません。

9月6日の記事
「男性不妊の受診は何科?」
では、男性不妊の受診先や精液検査について詳しくお話ししました。

今夜は、

受診先は分かった。でも夫が行きたがらない。

そんなときに、どう話せばよいのかを一緒に考えてみましょう。

目次

男性側の検査は「念のため」ではありません

日本産科婦人科学会では、不妊症の原因について、

男性側に理由がある割合と女性側に理由がある割合は、ほぼ半々

と説明しています。

また、海外の男性不妊ガイドラインでも、不妊症の初期評価では、

女性と男性を並行して評価すること

が勧められています。

つまり、

妻の検査が全部終わってから夫を調べる、

という順番でなくてもよいのです。

女性側の排卵や卵管を調べるのと同じように、

男性側も、

精液検査。

必要に応じた泌尿器科の診察。

を受ける。

これは、

「夫を疑っているから」ではなく、夫婦二人の妊活を確認するため

の検査です。

夫が受診しない=妊活に協力する気がない、とは限りません

ここは少し分けて考えてみましょう。

妻から見ると、

「検査を受けるだけなのに、なぜ行かないの?」

と思うかもしれません。

でも男性側には、

「結果が悪かったらどうしよう」

という怖さがあることがあります。

ほかにも、

精液を提出することへの抵抗。

男性として評価されるような感覚。

恥ずかしさ。

病院へ行き慣れていない。

自分が不妊の原因かもしれないと認めたくない。

何をされるか分からない。

といった不安が隠れている場合があります。

不妊のストレスが、男性の性欲や勃起・射精などにも影響することがあると報告されています。

ですから、

「受診しない=無関心」

とすぐに決めつけず、

何が嫌なのか、何が不安なのか

を少し聞いてみると、話しやすくなることがあります。

「検査してよ」から始めると、責められたように感じることも

たとえば、

「私ばっかり検査してるんだから、あなたも行ってよ」

これは妻側からすれば、とても正当な気持ちです。

実際、そう言いたくなるくらい頑張っているのだと思います。

でも男性側には、

「あなたにも原因があるはずだから調べて」

と聞こえてしまうことがあります。

そこで、少し言葉を変えてみます。

「あなたが悪いと思っているわけじゃなくて、二人分の情報がそろった方が、これからの治療を決めやすいみたい」

責任を探す話ではなく、

治療に必要な情報を二人でそろえる話

に変えてみます。

※男性不妊の話そのものをまだパートナーへ切り出せていない方は、「最初の一言や避けたい伝え方」をまとめた記事も参考にしてみてください。

伝え方①「あなたが原因か調べたい」ではなく「二人で確認したい」

精液検査をお願いするときに、

「あなたに原因がないか調べてほしい」

と言われると、構えてしまう方もいます。

代わりに、

「私の方も検査しているから、二人の状態を一度そろえて確認してみない?」

と伝えてみてください。

妊活は、

夫と妻のどちらが悪いかを決めるものではありません。

女性側にも男性側にも要因があることもありますし、

どちらにも明確な原因が見つからないこともあります。

だからこそ、

「あなたの検査」ではなく「二人の検査」

として考えると伝わりやすくなります。

伝え方②「治療して」ではなく「まず検査だけでも」

男性側には、

「病院へ行ったら、すぐ治療になるのでは?」

という不安があるかもしれません。

そんなときは、

「まず精液検査で今の状態を確認するだけでもいいみたいだよ」

と伝えてみてもよいでしょう。

精液検査では、

  • 精液量
  • 精子濃度
  • 総精子数
  • 運動率
  • 正常形態率

などを確認します。

精液所見には変動もあるため、一度の結果だけですべてを決めず、異常があれば再検査や専門医による評価が行われることがあります。

最初から大きな治療を決めるのではなく、

まず現在地を知る。

そう考えると、受診へのハードルが少し下がるかもしれません。

伝え方③「私のために行って」ではなく「二人の時間を大切にしたい」

妊活中の女性にとって、

一周期、一か月はとても大きく感じます。

特に35歳以降や、すでに不妊治療を始めている場合には、

「もう少し様子を見よう」

という時間さえ不安になることがあります。

そんな気持ちを伝えるなら、

「私が行ってほしいから」

だけではなく、

「今後どう進むか決めるために、二人の情報を早めにそろえておきたいんだ」

と伝えてみてください。

男性側の検査を早めに行うことで、

タイミング法を続けるのか。

人工授精を考えるのか。

泌尿器科で確認するのか。

体外受精を考えるのか。

次の治療方針を考える材料になります。

伝え方④「大丈夫だと思う」に対しては、否定から入らない

夫から、

「俺は大丈夫だと思う」

と言われることもあります。

そこで、

「何を根拠に?」

と言いたくなるかもしれません。

でも、そこで言い合いになると、

検査の話そのものを避けるようになることがあります。

そんなときは、

「大丈夫だったら、それが一番安心だよ。だから一度確認できたら私も安心できる」

と返してみるのも一つです。

検査は、

悪いところを見つけるためだけに受けるものではありません。

問題がないと分かることも、大切な情報です。

「精液検査=男性としての評価」ではありません

精液検査の結果が、

男性としての価値。

性能力。

夫としての価値。

を表しているわけではありません。

精液所見には個人差があり、同じ人でも変動します。

また、

精子が少ない。

運動率が低い。

という結果が出ても、

それだけで自然妊娠が絶対にできないと決まるものでもありません。

一方で、結果によっては、

精索静脈瘤。

ホルモンの問題。

射精障害。

精路の問題。

など、専門的に確認した方がよいことが見つかる場合があります。

だから精液検査は、

男性を評価する試験ではなく、

これからの妊活を考えるための身体の検査

です。

精索静脈瘤など、男性側で治療できることが見つかる場合も

「検査をしても、結局何もできないのでは?」

と思っている男性もいるかもしれません。

しかし、男性不妊には、

原因によって治療を検討できるものがあります。

その代表の一つが、

精索静脈瘤

です。
※精索静脈瘤がどのような状態なのか、「精子への影響や検査・治療について」は、こちらの記事で詳しく解説しています。

精索静脈瘤は、精巣周囲の静脈が拡張する状態で、男性不妊の代表的な原因の一つです。

状態によっては、泌尿器科での手術治療が検討されます。

つまり、

「検査で悪い結果が出たら終わり」

ではありません。

むしろ、

調べたことで、できることが見つかる場合があります。

夫へ伝えるなら「病院へ行って」で終わらせない

男性が動きやすくなるように、

受診先まで一緒に整理しておくのもおすすめです。

たとえば、

「男性不妊を診ている泌尿器科があるみたい」

「まず精液検査だけできるみたい」

「予約方法を一緒に見てみる?」

くらいです。

ただし、

妻がすべて調べ、

すべて予約し、

夫を連れていく。

となると、また妻側の仕事が増えてしまいます。

ですから、

入口だけ一緒に探して、その先は夫にも参加してもらう。

くらいがよいと思います。

今日断られたからといって、その日のうちに決着をつけなくていい

話をしたら、

夫が黙ってしまった。

嫌な顔をされた。

「考えておく」

と言われた。

そんなとき、

「いつまで考えるの?」

と言いたくなるかもしれません。

でも、その場で答えを出すことだけが目的ではありません。

まず、

男性側の検査が必要な理由を知ってもらう。

次に、

何が不安なのか聞く。

そして、

受診先を調べる。

一つずつでも構いません。

ただし、不妊治療では年齢や治療状況によって時間も大切になります。

いつまでも話題にできない状態が続く場合には、

次回の医療機関で、ご夫婦一緒に医師から説明を受ける

方法もあります。

妻から言われるより、医師から、

「男性側も一度検査しましょう」

と説明された方が受け入れやすいこともあります。

夫婦生活そのものがプレッシャーになっている場合もあります

妊活が長くなると、

夫婦生活が、

「排卵日にしなければならないこと」

になってしまう場合があります。

すると男性側にも、

今日しなければ。

ちゃんとできるかな。

また結果が出なかったら。

というプレッシャーがかかります。

男性不妊の診療では、

勃起や射精、性欲なども大切な確認項目です。

これは恥ずかしいことではありません。

妊活のストレスが夫婦生活へ影響しているなら、

そのことも含めて医師へ相談できます。

「できない=協力してくれない」

と決めつけず、身体的・心理的な負担が隠れていないかも考えてみてください。

それでも妻の中には、いろいろな気持ちが残ります

夫の気持ちを理解しよう。

優しく伝えよう。

少し待とう。

そう思っていても、

妻の中には、

「私は痛い検査も受けているのに」

「注射も薬も頑張っている」

「どうして私がここまで気を遣わなければいけないの?」

という気持ちが残ることがあります。

それも、とても自然なことです。

夫へ優しく伝えるために、

自分の気持ちを全部我慢する必要はありません。

妊活では、女性側に身体的な負担が集中しやすいからこそ、

女性自身にも、

気持ちや身体を休ませる場所が必要です。

夫が動くまで、妻が一人で妊活を背負わなくていい

夫がまだ受診を決めていない。

検査結果を待っている。

男性不妊専門の泌尿器科へ行く予定になった。

その間も、

妻の身体は妊活を続けています。

月経が来る。

排卵する。

病院へ通う。

薬を使う。

採卵する。

胚移植へ進む。

そして、夫のことまで考える。

だからこそ、

妻側が一人で全部を抱え込まない身体づくり

が大切になります。

その選択肢として、鍼灸があります。

妊活中の鍼灸は「女性だけがさらに頑張ること」ではありません

「夫がまだ何もしていないのに、私が鍼灸まで行くの?」

と思う方もいるかもしれません。

でも、鍼灸を、

妊活の宿題をもう一つ増やすもの

とは考えなくて大丈夫です。

むしろ、

病院へ行く。

薬を飲む。

夫へ話す。

仕事を調整する。

情報を調べる。

そうして頑張り続けている身体を、

一度、自分で管理しなくていい時間をつくる。

そのために利用することができます。

施術中は、

夫を説得しなくていい。

次の検査を検索しなくていい。

身体を預けて休む。

そして、

睡眠。

胃腸。

冷え・のぼせ。

月経。

首肩の緊張。

疲労。

など、今の自分の身体へ意識を戻します。

夫の受診を待っている時間も、

女性自身の身体を整える時間に変えることができます。

ご夫婦で鍼灸を取り入れるという方法もあります

蓮心はり灸堂は、基本的に女性専用の鍼灸院です。

ただし、

既存患者様からのご紹介、またはご夫婦でご来院いただく場合に限り、男性の施術もお受けしています。

男性側については、

精液検査や泌尿器科で必要な医学的評価を受けることを大切にしています。

そのうえで、

睡眠。

疲労。

身体の緊張。

生活リズム。

などを確認しながら、身体づくりをサポートすることができます。

ご夫婦で一緒に来院することで、

「妻だけが妊活をしている」状態から、「二人で身体づくりをする」時間へ変わる

方もいます。

それも鍼灸院を利用する一つの方法です。

蓮心はり灸堂では、男性側の検査も妊活の一部として確認します

女性の施術だからといって、

女性側の検査だけを見るわけではありません。

可能な範囲で、

  • 精液検査を受けているか
  • 男性不妊の専門受診をしているか
  • 精索静脈瘤などを指摘されているか
  • 再検査はいつか

など、ご夫婦の状況も確認します。

そのうえで女性側について、

  • タイミング法・人工授精・体外受精のどの段階か
  • 次の採卵・胚移植予定
  • 使用している薬
  • 月経周期
  • 睡眠
  • 胃腸
  • 冷え・のぼせ
  • 疲労
  • 首肩や背中の緊張

まで一緒に見ていきます。

男性側の検査結果を待っている間。

泌尿器科の治療を進めている間。

次の人工授精を考えている間。

その時期によって、女性側の身体づくりも変わります。

夫婦二人の妊活の流れを見ながら、今の女性の身体に必要な施術を考えられる。

ここは、妊活を専門的にみている当院が大切にしているところです。

今夜、夫に伝えるならこの一言から

いろいろ考えて、

何を言えばいいか分からなくなったら、

まずはこれくらいでも構いません。

「あなたを責めたいわけじゃないんだ。私も検査しているから、二人の状態を一度一緒に確認してみたい」

そして、

「大丈夫なら、それが分かるだけでも安心できるし、何か分かったら二人で次を考えられると思う」

これで十分です。

その場で答えが返ってこなくても構いません。

妊活は、

どちらに原因があるかを決めるためではなく、二人がこれからどう進むかを考えるために行うもの。

そんなところから、話を始めてみてください。

夫の受診について、一人で悩み続けている方へ

「何度言っても夫が検査へ行ってくれない」

「責めたくないけれど、私ばかり頑張っているようでつらい」

「夫の検査結果を待ちながら、自分も治療を続けている」

そんな状況では、女性側の身体も知らないうちに緊張し続けていることがあります。

蓮心はり灸堂では、

男性側の検査や治療状況も含めて妊活全体を確認しながら、

睡眠。

胃腸。

月経。

冷え・のぼせ。

疲労。

身体の緊張。

など、そのときの女性の身体を丁寧に整えていきます。

夫の受診が決まるまで、

何もできないわけではありません。

相手を急かす時間を、自分の身体をいたわる時間へ少し変えてみる。

そんな妊活の進め方もあります。

「夫にどう話せばよいか分からない」

というご相談からでも大丈夫です。

身体を整えながら、ご夫婦にとって次の一歩を一緒に考えていきましょう。

参考・出典

日本産科婦人科学会「不妊症」

日本泌尿器科学会「男性不妊症診療ガイドライン」

アメリカ泌尿器科学会・アメリカ生殖医学会「男性不妊症の診断と治療に関するガイドライン」

アメリカ生殖医学会「不妊男性パートナーにおける性機能障害の診断評価」

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