2026年の立冬は、11月7日18時52分。
この記事が公開される朝は、暦の上ではまだ立冬を迎える少し前です。
立冬は、「今日から急に真冬になる日」という意味ではありません。
国立天文台では、立冬を「冬の気配が感じられるころ」と説明しています。
朝、布団から出ると少し寒い。
夕方になると足元が冷える。
温かい飲み物がほしくなる。
そんな小さな変化を感じ始める時期です。
妊活中は、
「身体を冷やしてはいけない」
「もっと温めた方がいいのかな」
と、冬になるほど気になる方もいると思います。
でも、冬の身体づくりは、何か特別なことをたくさん増やす必要はありません。
睡眠を少し守る。
温かい食事をとる。
冷えてつらいところを心地よく温める。
予定を詰め込みすぎない。
そんな日常の小さな調整から、冬の養生を始めてみましょう。
「養生」は頑張ることではありません
東洋医学では「養生」という言葉をよく使います。
難しく聞こえますが、
今の季節や身体の状態に合わせて、無理を減らしながら身体をいたわること
と考えていただくと分かりやすいと思います。
妊活中はすでに、
通院。
服薬。
採血。
治療の予定。
仕事。
食事。
睡眠。
と、たくさんのことを意識しています。
そこへ冬になったからといって、
「これもしなければ」
をさらに増やす必要はありません。
むしろ冬は、
「何を追加するか」
だけではなく、
「何を減らせば身体が楽になるか」
を考えてみてもよい季節です。
まず守りたいのは睡眠です
寒くなると、朝布団から出にくくなる一方で、年末に向かって仕事や予定が忙しくなりやすくなります。
帰宅が遅くなる。
寝る前まで仕事をする。
布団に入ってから妊活について検索する。
気づけば睡眠時間が短くなっている。
そんな方もいるのではないでしょうか。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は個人差を踏まえながら、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが勧められています。
また、睡眠時間だけではなく、
「眠って休めた感じがするか」
という睡眠休養感も大切にされています。
妊活のために完璧な睡眠を取らなければならない、という意味ではありません。
まず、
寝る前の検索を少し早めに終える。
スマートフォンを置く時間を15分早くする。
夜の家事を一つ翌朝へ回す。
そんなところからでも十分です。
冬の養生は、夜更かししながら何かを頑張るより、少し早く休むところから。
それくらいで考えてみてください。
「冷え=妊娠しにくい」と決めつけなくて大丈夫
妊活中の女性から、
「手足が冷たいから妊娠しにくいのでしょうか」
と聞かれることがあります。
冷えを感じることと、不妊の原因であることは同じではありません。
不妊には、
排卵や卵管、子宮の状態。。
男性側の要因。
加齢による変化。
など、さまざまな原因が重なり合っています。
そのため、
「冷えているから妊娠できない」
と自分を責める必要はありません。
一方で、
足が冷えて寝つきにくい。
お腹が冷えると不快。
寒くなると身体に力が入りやすい。
という場合には、心地よく温めることが身体を休ませる助けになることがあります。
妊娠するために温める、ではなく、
自分が心地よく過ごすために温める。
このくらいの距離感で考えてみてください。
温めれば温めるほど良いわけではありません
「冷やさない方がいい」と聞くと、
厚着をする。
カイロを何枚も貼る。
長時間熱いお風呂に入る。
と、頑張って温める方もいます。
でも、身体が暑くて汗をかいているのに、さらに温める必要はありません。
のぼせる。
眠りにくくなる。
身体がだるくなる。
という場合は、温めすぎている可能性もあります。
大切なのは、
自分が心地よいと感じる温度
です。
東洋医学でも、すべての人を同じように温めるわけではありません。
冷えを強く感じる人もいれば、手足は冷たいのに顔はほてる人もいます。
同じ「冷え」という言葉でも、身体の状態は一人ひとり違います。
だから当院でも、
「妊活中だから、とにかく温めましょう」
とは考えていません。
冬の食事も「特別な妊活食」にしなくていい
冬になると、
「妊活に良い食材を食べなければ」
と考える方もいます。
でも、毎日の食事を特別な妊活メニューにする必要はありません。
寒い日は、
温かい汁物。
鍋料理。
煮物。
スープ。
など、身体がほっとするものを取り入れてみてください。
根菜。
魚。
肉。
卵。
大豆製品。
野菜。
などを、普段の食事の中で組み合わせれば十分です。
忙しい日なら、
お味噌汁を一品足す。
冷たい飲み物ではなく温かい飲み物を選ぶ。
それくらいでも構いません。
WHOの不妊症ガイドラインでも、妊娠を希望する個人やカップルには、健康的な食事や身体活動、禁煙など基本的な生活習慣を整えることが推奨されています。
「これを食べれば妊娠しやすくなる」
という一つの食品を探し続けるより、
日々の食事を無理なく続けられる形にすること
を大切にしてみてください。
冬は予定を詰め込みすぎないことも養生です
11月に入ると、
仕事。
忘年会。
帰省。
年末の予定。
そこへ妊活の通院も重なってきます。
採卵や胚移植などが予定されていれば、
「この日までに全部済ませておこう」
と、予定を詰めてしまうこともあります。
でも、忙しくなる時期だからこそ、
予定を一つ減らす。
行かなくてもよい集まりは断る。
休日に何もしない時間を残す。
それも身体を守る方法です。
妊活中は、
「時間を無駄にしたくない」
と思いやすいものです。
でも、休む時間は無駄ではありません。
身体に余白を残すことも、冬を過ごすための大切な準備です。
東洋医学では冬をどう考える?
東洋医学では、季節によって身体の整え方を考えることがあります。
冬は、外へ大きく活動を広げるというより、
身体を守り、蓄え、休ませる時期
として捉えてきました。
そこでよく登場するのが、
「腎(じん)」
という考え方です。
ただし、東洋医学でいう「腎」は、西洋医学の腎臓そのものを意味しているわけではありません。
成長や生殖、加齢、水分代謝などを含めた、東洋医学独自の身体の捉え方です。
「腎が弱っているから妊娠できない」
という単純な意味でもありません。
この「腎」の考え方については、11月8日朝の記事
「手足が冷える人を東洋医学ではどう見る?|『腎』の考え方」
で改めて詳しくお伝えします。
今はまず、
冬になったら身体を酷使するより、
少し休ませる方向へ生活を切り替える
くらいに考えてみてください。
今夜から始めるなら「一か所だけ温める」
冬の養生を始めようと思っても、
何か特別なものを用意する必要はありません。
もし冷えが気になるなら、
今夜は一か所だけ、心地よく温めてみてください。
足元。
お腹まわり。
腰まわり。
自分が、
「ここが温かいとほっとする」
と感じるところで構いません。
湯たんぽを使うのも一つの方法です。
ただし、長時間同じ場所へ当て続けると低温やけどを起こすことがあるため、直接肌に当てず、眠っている間に長時間使い続けないよう注意してください。
今夜の記事
「立冬の夜に始める湯たんぽ習慣」
では、安全に使うための注意点も含めて、妊活中の夜に取り入れやすい温め方を具体的にお伝えします。
冬の身体づくりは、頑張るより守る
妊活をしていると、
「少しでもできることを増やしたい」
と思うことがあります。
その気持ちは自然なものです。
でも、これから寒さが増して年末へ向かう時期には、
何かを追加するだけではなく、
少し早く眠る。
温かいものを食べる。
冷えたら心地よく温める。
予定を一つ減らす。
何もしない時間をつくる。
そんな身体の守り方があってもいいと思います。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、季節だけで施術を決めるのではなく、
冷えやほてり。
睡眠。
胃腸。
月経。
疲れ方。
現在の不妊治療。
など、一人ひとりの状態を確認しながら施術を行っています。
「冬だから温める」
ではなく、
今の自分の身体には何が必要なのか。
それを一緒に見つけていくことを大切にしています。
立冬を迎える今日。
冬の妊活養生は、何かを頑張って始めなくても大丈夫です。
まずは今夜、少し早く休む。
そこから冬の身体づくりを始めてみませんか。
参考・出典
・国立天文台 暦計算室「令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節」
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
・World Health Organization「Guideline for the prevention, diagnosis and treatment of infertility」

