今朝の記事
「【新月】比較してしまう心のほどき方」
では、
友人の妊娠。
同年代の出産。
SNSで流れてくる妊娠報告。
そんな情報を見て誰かと比べてしまう自分を、責めなくてもいいというお話をしました。
今夜はもう少し深く、
「私だけ遅れている」
という感覚について考えてみたいと思います。
今日9月11日は新月。
新月だから何か特別なことが起こるわけでも、妊娠しやすくなるわけでもありません。
でも、月が見えなくなる夜を一つの区切りにして、
今日は誰かの進み具合ではなく、
今の自分の身体へ意識を戻す夜
にしてみませんか。
「もう9月」という言葉が苦しくなる
妊活をしていなければ、
9月はただ秋が始まるころだったかもしれません。
でも妊活中は、
「今年もあと4か月」
「今年中には妊娠したかった」
「また誕生日が近づいてくる」
「治療を始めてもう○年」
と、時間を強く意識することがあります。
生理が来るたびに一か月。
採卵して一か月。
胚移植して一か月。
結果が出ず、また一か月。
カレンダーが進むことが、
自分だけ取り残されていく感覚
につながることがあります。
でも妊活の時間は、誰かと競争している時間ではありません。
人生の予定表どおりに進まないことが苦しい
もしかすると以前は、
「30歳くらいで結婚して」
「32歳くらいで一人目」
「そのあと二人目」
と、ぼんやり思い描いていたかもしれません。
ところが実際には、
妊娠しない。
病院へ行く。
検査をする。
人工授精をする。
採卵をする。
移植する。
また検査をする。
予定していなかったことが、次々に入ってきます。
そして周りを見ると、
自分が思い描いていた人生を、誰かがそのまま歩いているように見える。
だからつらいのだと思います。
本当は誰かに負けたのではなく、
思い描いていた自分の未来との距離
に苦しくなっていることがあります。
「早い・遅い」で妊活を見ない
妊娠までの道のりは一人ひとり違います。
タイミング法で妊娠する方。
人工授精へ進む方。
体外受精が必要になる方。
何度か採卵する方。
一周期休む方。
病院を変える方。
男性側の治療が必要になるご夫婦。
それぞれ違います。
同じ38歳でも、
AMH。
卵巣の反応。
精液所見。
卵管。
子宮。
これまでの治療歴。
得られた胚。
すべてが同じではありません。
だから、
誰かの「3か月」と自分の「1年」を、そのまま比較することはできません。
妊活には順位表がありません。
採卵数や胚盤胞の数まで比較してしまう
高度生殖医療へ進むと、比較するものがさらに増えます。
「あの人は10個採卵できた」
「私は3個だった」
「あの人は胚盤胞が5個」
「私は1個」
「同じ年齢なのに」
こうした数字は、治療を進めるうえでは大切な情報です。
でも、
あなた自身を評価する点数ではありません。
卵が多く採れたから「身体が優秀」。
少なかったから「身体が悪い」。
そういうものではありません。
病院では必要な数字を見る。
でも家に帰ったら、
数字では分からない身体の状態にも目を向けてあげてください。
眠れている?
食べられている?
疲れていない?
身体にずっと力が入っていない?
そこも、妊活中には大切な部分です。
妊娠報告を見るのがつらい日は、見なくていい
「妊娠しました」
「心拍確認できました」
「無事に産まれました」
SNSを開くだけで、さまざまな報告が流れてきます。
普段なら素直に喜べる相手でも、
自分の判定日が陰性だった直後には、どうしても受け止めきれないことがあります。
そんな日は、
SNSを閉じてもいい。
ミュートしてもいい。
返信を少し遅らせてもいい。
それは、
誰かの幸せを否定しているのではありません。
今日は自分の心を守るために、少し距離を取っているだけです。
「いつか私も」と思えない夜があってもいい
励まそうとして、
「大丈夫、きっと次はうまくいくよ」
「赤ちゃんは来たいタイミングで来てくれるよ」
と言われることがあります。
その言葉に救われる日もあります。
でも、
「そんなこと分からない」
と思う日もあるでしょう。
そんな日まで、
無理に前向きになる必要はありません。
今夜の目標は、
未来を信じることではありません。
今日を終えること。
身体を休ませること。
それだけで十分です。
※「結果が出ない周期が続き、自分の身体まで責めてしまう方」は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
「私だけ遅れている」と思った夜に、やってほしい3つ
1.妊活のタイムラインを閉じる
今夜だけ、
SNS。
検索。
妊活アプリ。
掲示板。
を閉じてみてください。
誰かの経過を見るのをやめると、
比較する材料が一つ減ります。
2.身体の状態を3つ確認する
「妊娠できるかな?」
ではなく、
今日、眠い?
お腹は空いている?
身体のどこかに力が入っている?
と聞いてみます。
未来ではなく、今へ戻ります。
3.今日できたことを一つだけ思い出す
薬を飲んだ。
病院へ行った。
仕事をした。
ご飯を食べた。
今日は何もしなかった。
それでも構いません。
妊活の成果ではなく、
今日を過ごした自分を見る
ための時間です。
東洋医学では「考えすぎている頭」だけを見ません
誰かと比べ続けているとき、
実は身体にも変化が現れていることがあります。
肩が上がっている。
顎を噛みしめている。
呼吸が浅い。
お腹が張る。
食欲が落ちる。
眠りが浅くなる。
東洋医学では、心と身体を切り離さずに考えます。
肝鬱気滞(かんうつきたい)|身体に力が入り続ける
- 首肩がこる
- ため息が増える
- 胸がつかえる
- お腹が張る
- イライラする
- 寝つきが悪い
という方。
「考えないようにする」より、
まず身体の緊張をゆるめることを考えます。
脾虚(ひきょ)|考え続けて胃腸まで疲れる
- 食欲がない
- 胃が重い
- 軟便になりやすい
- 疲れやすい
- 身体がだるい
という方。
妊活に良いものを増やす前に、
普通に食べられる身体へ戻すこと
を優先する場合があります。
血虚(けっきょ)|疲れているのに眠りが浅い
- 眠りが浅い
- 夢が多い
- 疲れやすい
- 立ちくらみ
- 気持ちが揺れやすい
という方。
まず休息を取りながら身体を整えていきます。
これらは、
「この体質だから妊娠しない」
という意味ではありません。
比較や治療で疲れている身体を、どこから整えてあげるとよいかを見るための考え方
です。
心を整えようとして、さらに頑張らなくていい
妊活中は、
身体を温める。
食事を整える。
運動する。
薬を飲む。
病院へ行く。
サプリを飲む。
それだけでも十分頑張っています。
そのうえ、
「人と比べないようにしよう」
「ポジティブに考えよう」
「ストレスを減らそう」
まで自分に課してしまうことがあります。
でも、
心を整えることまで、自分一人の宿題にしなくてもいい
と思います。
自分では身体の力を抜けないとき、
誰かに身体を預ける時間があってもいいのです。
妊活中に鍼灸を取り入れると、「頑張らなくていい時間」ができる
妊活中の女性に鍼灸をおすすめしたい理由の一つが、
自分で何かをする時間ではなく、身体を預ける時間をつくれること
です。
鍼灸院へ来たら、
今日はどうだったかを話す。
ベッドへ横になる。
施術を受ける。
休む。
それだけで構いません。
SNSを見なくていい。
他の人の採卵数を考えなくていい。
次の判定日を検索しなくていい。
施術を受ける間だけでも、
「妊娠するために何かしなければ」という時間から離れる。
こうした時間を定期的に持てることは、治療が長くなっている女性にとって、とても大切だと考えています。
身体から整えることで、考え続ける頭にも余白をつくる
不妊を経験している女性では、不安や抑うつ、ストレスなど心理的な負担が広くみられることが報告されています。
そして、妊活中の女性の感情面に対する鍼灸についても研究が行われており、不安や抑うつなどの評価指標が改善したという報告があります。
鍼灸では、
「考えないでください」
とは言いません。
考え続けてしまうときには、
首肩。
背中。
呼吸。
お腹。
睡眠。
胃腸。
身体にどのような負担が出ているのかを確認していきます。
心を直接コントロールしようとするのではなく、まず身体をゆるめて休ませる。
すると、
「ずっと身体に力が入っていたんだ」
と気づく方もいます。
その気づきから、少しずつ自分のペースへ戻っていく。
それも妊活中に鍼灸を取り入れる良さの一つです。
蓮心はり灸堂では「治療の数字」と「今の身体」を一緒に見ます
妊活中に、
「人と比べるのをやめましょう」
だけでは、なかなか気持ちは変わりません。
なぜなら、実際に治療では数字を見なければならないからです。
AMH。
ホルモン値。
卵胞数。
採卵数。
受精数。
胚盤胞。
子宮内膜。
精液検査。
これらは治療方針を考えるうえで必要です。
だから蓮心はり灸堂では、
数字を無視するのではなく、
- 今どの治療段階なのか
- タイミング法・人工授精・体外受精のどこにいるのか
- 採卵・胚移植の予定
- 使用している薬
- これまでの治療経過
も確認します。
そのうえで、
- 睡眠
- 胃腸
- 便通
- 月経
- 冷え・のぼせ
- 首肩・背中の緊張
- 疲労
- 今、一番気になっていること
まで一緒に見ます。
治療の数字は大切にしながら、数字だけでは見えない身体も大切にする。
その両方を見るのが、当院の妊活サポートです。
「私より大変な人もいる」と我慢しなくていい
妊活について話していると、
「もっと大変な人もいますから」
と言う方がいます。
でも、
誰かの方が治療回数が多いから。
誰かの方が年齢が上だから。
誰かの方が大変そうだから。
といって、
あなたのつらさが小さくなるわけではありません。
比べる対象を、
妊娠した人から、
もっと大変な人へ変えただけになってしまいます。
今しんどいなら、
「私は今、少し疲れている」
で十分です。
年齢を考えることと、自分を急かすことは別です
妊活では年齢を無視することはできません。
年齢は、検査や治療方針を考える大切な医学的情報です。
だから、
「年齢なんて気にしなくていい」
とは言いません。
でも、
年齢を考えることと、
毎日自分へ、
「早く」
「急がないと」
「もう時間がない」
と言い続けることは別です。
治療については主治医と現実的に相談する。
そして家に帰ったら、
身体まで24時間急がせ続けない。
この切り替えも大切です。
年齢への不安については、9月16日朝公開の「年齢のことを考えると苦しくなるあなたへ」でも、もう少し詳しくお話しします。
新月の夜に、ひとつだけ手放してみる
今日すべてを手放す必要はありません。
「私だけ遅れている」
という気持ちも、明日になればまた出てくるかもしれません。
それでもいいのです。
今夜は一つだけ。
たとえば、
SNSを寝るまで見ない。
他の人の採卵数を検索しない。
妊活アプリを開かない。
寝る前に「今年中に」と考えない。
一つだけやめてみます。
そして空いた時間で、
温かい飲みものを飲む。
少し早く布団へ入る。
肩の力を抜く。
何もしない。
人の妊活を見る時間を、自分の身体へ戻す時間に変える。
そんな夜にしてみてください。
今夜は、自分がどこまで進んだかではなく「ここまで来たこと」を見る
妊活が長くなると、
まだ妊娠していない。
まだ移植が残っている。
まだ結果が出ない。
「まだ」ばかりに目が向きます。
でも、
病院へ行った。
検査を受けた。
注射をした。
薬を飲んだ。
採卵した。
移植した。
結果を受け止めた。
休むことを決めた。
ここまでにも、たくさんのことをしてきています。
だから今夜くらいは、
「まだここ」ではなく、「ここまで来た」
と見てあげてください。
次の一歩は、身体が少し休んでから考えてもいいのです。
「私だけ遅れている」と苦しくなる日が増えてきた方へ
妊活を続けていると、
身体を整えること以上に、
治療を続けるための余白を残しておくこと
が大切になることがあります。
「周りの妊娠報告を見るのがつらい」
「年齢を考えると身体まで緊張する」
「寝る前まで妊活のことを考えている」
「もう自分で気持ちを切り替えることに疲れた」
そんなときは、一人で全部整えようとしなくても大丈夫です。
蓮心はり灸堂では、現在の不妊治療や次の予定も確認しながら、睡眠・胃腸・月経・冷え・疲労・首肩の緊張などを丁寧に見て、その日の身体に合わせて施術しています。
鍼灸の時間は、
誰かより早く進むための時間ではありません。
今の自分の身体へ戻り、次へ進むための余白をつくる時間。
「身体も心も少し疲れているかもしれない」
その段階からでもご相談いただけます。
妊活に何かをさらに追加するというより、
一度身体を預けて休んでみる。
そんな鍼灸の取り入れ方もあります。
参考・出典
国立天文台「2026年9月の星空・こよみ」
Fertility and Sterility「不妊と抑うつ・不安・QOLに関する過去10年間の世界的研究レビュー」
Archives of Gynecology and Obstetrics「不妊女性における抑うつ・不安・ストレスの世界的有病率に関するシステマティックレビュー・メタ解析」
Healthcare「不妊女性の感情的問題に対する鍼灸のシステマティックレビュー・メタ解析」
Reproductive BioMedicine Online「IVFに関連する不安に対する鍼灸の効果に関するシステマティックレビュー・メタ解析」

