年齢のことを考えると苦しくなるあなたへ

東洋医学の視点から体質改善を伝える奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

「もう35歳だから」

「今年で38歳」

「40歳までに何とかしたい」

妊活をしていると、

誕生日が以前とは違う意味を持つことがあります。

友人なら、

「おめでとう」

と言ってくれる日なのに、

自分の中では、

「また一つ年齢が上がってしまった」

という気持ちになる。

病院でも年齢の話をされる。

インターネットを開いても、

「35歳から」

「40歳では」

という数字が目に入る。

そして、

「あと何回採卵できる?」

「もう遅いのかな」

と考えてしまう。

年齢が妊活で大切な医学的情報であることは事実です。

だから、

「年齢なんて気にしなくていい」

とは言いません。

でも、

年齢を正しく知ることと、毎日自分を年齢で追い詰めることは別です。

今日は、年齢と妊活の関係を整理しながら、

今の自分にできることへ少し視線を戻してみましょう。

目次

年齢は妊活で大切な情報です

女性の妊孕性は、年齢とともに変化します。

卵巣に残っている卵胞の数は年齢とともに減少し、卵子の染色体異常が増えることなどから、自然妊娠や生殖補助医療の治療成績にも年齢が関係します。

米国産科婦人科学会(ACOG)は、女性の妊孕性は30歳ごろから低下し始め、30代半ば以降はその低下がより速くなると説明しています。

日本生殖医学会でも、特に35歳以降は妊孕率の低下が目立つと説明されています。

ここは、

「気にしなくて大丈夫」

と曖昧にしない方がよい部分です。

でも同時に、

年齢だけを見て、自分の妊活すべてを判断する必要もありません。

35歳の誕生日を境に、急に妊娠できなくなるわけではありません

「35歳」

という数字をとても怖く感じる方がいます。

34歳11か月までは大丈夫で、

35歳になった瞬間から急に妊孕性が落ちる。

そういう意味ではありません。

妊孕性の変化は、

年齢とともに少しずつ進んでいくもの

です。

では、なぜ「35歳」という数字がよく出てくるのでしょうか。

一つは、

不妊症の検査や治療を始めるタイミングを考える医学的な目安として使われるからです。

米国生殖医学会(ASRM)では、

  • 35歳未満:避妊せず1年間妊娠しなければ評価
  • 35歳以上:6か月妊娠しなければ評価
  • 40歳を超える場合:より早い評価・治療を検討

としています。

つまり35歳は、

「もう遅い」という線ではなく、「時間を大切にして、早めに調べていこう」という診療上の目安

として理解するとよいでしょう。

日本でも、年齢によって治療の時間軸を変えて考えます

日本の産婦人科診療ガイドラインでも、

年齢が高くなる場合には、早めに検査や治療を進める必要性が示されています。

特に原因不明不妊では、

37~38歳以上などの場合には、卵巣予備能の低下や自然妊娠を期待しにくい病態の可能性も考え、

生殖補助医療(ART)を早い段階で選択肢として提示することが大切

とされています。

だから、

「年齢のことを考えないようにする」

必要はありません。

大切なのは、

不安だけを抱えて時間を過ごすのではなく、

今の年齢だからこそ、何をいつまでに確認するかを主治医と具体的に整理すること

です。

「35歳だから」「40歳だから」だけで治療は決まりません

同じ38歳でも、

身体の状態や妊活の状況は違います。

たとえば、

  • 妊活を始めて何か月か
  • 排卵しているか
  • 卵管の状態
  • 子宮の状態
  • AMHや胞状卵胞数(AFC)
  • 採卵したことがあるか
  • 得られた卵子や胚の数
  • 男性側の精液所見

などを合わせて治療方針を考えます。

だから、

「38歳」

という一つの数字だけを見て、

自分の未来を予測することはできません。

年齢は大切です。

でも、

治療を考えるための一つの重要な情報であって、あなたの身体をすべて説明する数字ではありません。

AMHと年齢は、同じものを見ているわけではありません

妊活中に、

年齢と同じくらい気になる数字が、

AMH(抗ミュラー管ホルモン)

ではないでしょうか。

「AMHが低かった」

「同じ年齢の平均より低いと言われた」

というだけで、

「もう卵子がほとんどない」

「妊娠できないのでは」

と不安になる方がいます。

でも、AMHは主に、

卵巣予備能、つまり卵巣にどの程度卵胞が残っているかを推測し、採卵時の卵巣反応などを考えるための指標

です。

ASRMは、AMHや胞状卵胞数(AFC)は採卵で得られる卵子数や卵巣刺激への反応を予測するのに役立つ一方、

卵子の質や妊娠・出産の可能性を、それだけで判断できるものではない

としています。

年齢とAMHは、

似ているようで役割の違う情報です。

AMHが低い=妊娠できない、ではありません

AMHが低いと、

「もう無理」

という言葉が頭に浮かぶことがあります。

でも、

AMHが低いことは、

妊娠できないことと同じ意味ではありません。

AMHは特に、

採卵で卵巣がどの程度反応しそうか。

得られる卵子数がどの程度になりそうか。

といった治療計画に役立つ指標です。

そしてASRMは、

非常に低いAMHだけを理由に体外受精を断るべきではないともしています。

AMHの数字を、

自分の妊孕性そのものを表す「点数」にしないでください。

反対に、AMHが高ければ年齢を気にしなくていいわけでもありません

「AMHは年齢より若いですね」

と言われて安心する方もいます。

もちろん、

卵巣予備能が保たれていることは、治療計画を考えるうえで大切な情報です。

ただし、

AMHは主に卵子の量に関する情報です。

卵子の質を直接測る検査ではありません。

そのため、

年齢。

AMH。

これまでの採卵結果。

胚の発育。

男性側の状態。

などを合わせて考えます。

どれか一つの数字で、

「大丈夫」

「もう無理」

と判断しないことが大切です。

周りと同じ年齢だからといって、同じ結果になるわけではありません

「同じ39歳なのに、友人は自然妊娠した」

「SNSでは40歳で採卵して、胚盤胞が何個もできている」

そんな情報を見ると、

「どうして私は?」

と思いますよね。

でも、

同じ年齢でも、

治療歴。

卵巣予備能。

精液所見。

子宮や卵管の状態。

採卵方法。

得られた胚。

すべて違います。

人の結果は、

あなたの身体の答えではありません。

9月11日の
「新月の夜に手放す『私だけ遅れている』」
でもお話ししましたが、

誰かの妊活と自分の妊活を、

同じ時間軸で比べなくてもいいのです。

年齢を検索し続けるほど、苦しくなることがあります

「38歳 妊娠率」

「40歳 体外受精 成功率」

「41歳 胚盤胞」

一度検索を始めると、

次から次へと数字が出てきます。

統計は、

治療について考えるためには大切です。

でも、

集団全体の数字を何度見ても、

次のあなたの採卵結果や胚移植結果を、そのまま予言してくれるわけではありません。

必要な数字は主治医と確認する。

そして家へ帰ったら、

同じ統計を何度も検索し続けない。

その切り替えも、自分を守る方法の一つです。

「時間がない」と思うほど、全部やりたくなります

年齢への焦りが強くなると、

サプリを増やす。

漢方を始める。

運動を始める。

食事を大きく変える。

睡眠を完璧にする。

温活をする。

できることを全部やりたくなります。

気持ちはよく分かります。

でも、

一度にたくさん変えると、

身体づくりまで、

「時間との競争」

になってしまいます。

今必要なのは、

何を増やすかより、

今の自分にとって何が優先なのかを整理すること

かもしれません。

年齢が気になるときほど「治療」と「身体づくり」を分けて整理する

まず医療機関では、

今の年齢や検査結果をもとに、

  • どの検査が必要か
  • タイミング法を続けるか
  • 人工授精へ進むか
  • 採卵を考えるか
  • 胚移植をどう進めるか
  • 男性側の評価は十分か

を相談します。

これは、

時間を大切にするために必要な医学的な判断

です。

そして日常では、

睡眠。

食事。

胃腸。

疲労。

首肩の緊張。

月経。

など、

今の身体を少しでも整えておく。

この二つを分けると、

「全部自分で何とかしなければ」

という負担を減らしやすくなります。

東洋医学では「年齢」だけで同じ施術にはしません

東洋医学では、

加齢や生殖と「腎」の働きを関連づけて考えることがあります。

そのため妊活では、

腎虚(じんきょ)

という言葉を耳にするかもしれません。

腎虚(じんきょ)|疲労や冷え、腰のだるさなどが重なる状態

  • 疲れが抜けにくい
  • 腰がだるい
  • 冷えを感じる
  • 夜になるとぐったりする
  • 月経の変化が気になる

などを合わせて考えます。

でも、

「40歳だから腎虚」

と一括りにはしません。

同じ40歳でも、

首肩の緊張が強い方。

胃腸が弱っている方。

眠れていない方。

月経痛が強い方。

身体の状態は違います。

だから、

年齢ではなく、その人の今の身体を見て施術を組み立てる。

これが東洋医学・鍼灸の良さの一つです。

年齢を変えるのではなく、「今の身体」を整える

鍼灸で年齢そのものを変えることはできません。

でも、

年齢という数字だけに意識が向いていると、

今起きている身体の不調が後回しになりやすくなります。

眠れていない。

胃腸が弱っている。

首肩が固い。

疲労が抜けない。

月経前に身体がつらい。

治療の緊張がずっと続いている。

そうした身体なら、

今、整えられるところがあります。

鍼灸では、

年齢という変えられない数字を追いかけるのではなく、

今の身体を確認し、

その人が妊活や治療を続けやすい状態へ整えていきます。

年齢への不安が強い方に、鍼灸を取り入れてほしい理由

妊活中の鍼灸は、

「何歳までなら受ければ妊娠できる」

というものではありません。

むしろ、

年齢のことを考え続け、

身体まで緊張してしまっている方に、

一度、数字から離れて身体へ戻る時間

をつくれることに大きな意味があります。

施術の時間は、

検索をしない。

妊娠率を見ない。

採卵数を比べない。

ベッドへ横になって、

今の身体を確認する。

睡眠。

胃腸。

冷え・のぼせ。

首肩。

疲労。

月経。

そこに目を向けます。

不妊治療中の女性では、鍼灸を取り入れた群で不安の軽減が報告された研究もあります。

治療の予定を進めながら、

身体と気持ちに少し余白をつくる。

これも妊活中に鍼灸を取り入れるメリットです。

年齢が上がるほど「もっと頑張る」ではなく、優先順位をつける

年齢が気になると、

休むことが怖くなることがあります。

「一日でも無駄にしたくない」

「今周期も何かしなければ」

と思いますよね。

でも、

睡眠不足のまま。

胃腸が乱れたまま。

疲労がたまったまま。

ずっと緊張したまま。

さらにやることを増やしていくのが、その方にとってよいとは限りません。

主治医とは、

治療を進めるタイミングを相談する。

身体づくりでは、

今、一番つらいところから整える。

時間を大切にすることと、自分を休ませないことは同じではありません。

蓮心はり灸堂では「○歳だからこの施術」にはしません

当院では、

年齢は必ず確認します。

妊活では、とても大切な情報だからです。

でも、

「38歳だからこのツボ」

「40歳だからこの施術」

と決めるわけではありません。

たとえば、

  • 現在の年齢
  • 妊活期間
  • AMHやこれまでの検査
  • タイミング法・人工授精・体外受精のどの段階か
  • 採卵歴や胚移植歴
  • 次の治療予定
  • 使用している薬

を確認します。

そのうえで、

  • 月経
  • 睡眠
  • 胃腸
  • 便通
  • 冷え・のぼせ
  • 首肩・背中の緊張
  • 疲労
  • 今、一番気になっていること

まで一緒に見ます。

同じ39歳でも、

採卵前の方。

凍結胚があり移植を予定している方。

一周期休んでいる方。

初めて病院へ行こうとしている方。

必要な身体づくりは違います。

年齢だけではなく、今どこにいて、次に何をするのかまで見ながら施術する。

それが当院で大切にしている妊活の身体づくりです。

「もっと早く始めればよかった」と自分を責めない

妊活が長くなると、

「30歳のときに始めていれば」

「結婚してすぐ病院へ行っていれば」

「もっと早く体外受精をしていれば」

と過去を振り返ることがあります。

でも、

今の知識を持ったまま、

過去へ戻ることはできません。

その当時には、

その当時の仕事。

生活。

夫婦の状況。

身体。

気持ち。

がありました。

過去の自分を責めても、

今日の年齢は変わりません。

だったら、

今日の自分が選べることに力を使う。

その方が、これからの妊活には役立ちます。

今日できることを3つに絞るなら

1.自分の治療の「現在地」を確認する

年齢だけではなく、

検査結果。

治療歴。

男性側の状態。

次の予定。

まで主治医と整理します。

2.検索する数字を増やしすぎない

必要な統計は確認する。

でも同じ年齢の妊娠率を毎晩検索し続けない。

情報との距離をつくります。

3.今つらい身体を一つ整える

眠れていないなら睡眠。

胃腸が弱いなら胃腸。

首肩がつらいなら首肩。

全部一度に変えなくても構いません。

鍼灸を利用して、

誰かと一緒に身体を整理する方法もあります。

今夜は、年齢への不安をもう少し心の側から

朝は、

年齢と妊孕性。

35歳という数字。

AMH。

治療を考える時間軸。

について整理しました。

それでも夜になると、

「でも、やっぱり怖い」

と思うことがあります。

医学的な説明を理解しても、

気持ちがすぐ追いつくとは限りません。

このテーマの続きは、今夜21:00公開予定の
「年齢不安が強い夜に読んでほしいこと」

で、

「今年中に」

「次の誕生日までに」

「もう時間がない」

という気持ちが強くなった夜に、

自分を追い詰めすぎないための考え方をお話しします。

年齢の数字ばかりが頭から離れなくなっている方へ

年齢は、

無視しなくていい。

正しく知って、

治療については主治医と現実的に考える。

そのうえで、

家に帰ってまで、

24時間ずっと年齢に追われなくてもいいと思います。

蓮心はり灸堂では、

年齢やAMHなどの検査結果だけではなく、

現在の治療段階や次の採卵・胚移植予定を確認しながら、

睡眠。

胃腸。

月経。

冷え・のぼせ。

疲労。

首肩・背中の緊張。

など、その時期の身体全体を見て施術しています。

鍼灸は、

年齢と競争するためのものではありません。

今の身体を少しでも整え、治療を続けるあなた自身を支えるために取り入れるもの。

そう考えていただけたらと思います。

「年齢のことを考えると、何をしたらいいのか分からなくなる」

という段階からでもご相談ください。

数字だけではなく、今の身体を一緒に見ながら、これからの身体づくりを考えていきましょう。

参考・出典

日本生殖医学会「生殖医療Q&A 女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか?」

日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」

米国産科婦人科学会(ACOG)「卵巣加齢による妊孕性低下についてのカウンセリング」

米国生殖医学会(ASRM)「不妊女性の妊孕性評価」

米国生殖医学会(ASRM)「卵巣予備能検査の使用と解釈」

Healthcare「不妊女性の感情的問題に対する鍼灸のシステマティックレビュー・メタ解析」

Reproductive BioMedicine Online「IVFに関連する不安に対する鍼灸のシステマティックレビュー・メタ解析」

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