9月に入り、
「夏の疲れがまだ抜けない」
「夜になるとぐったりする」
「病院の日程と仕事の調整だけで疲れる」
そんな状態になっていませんか?
9月1日の記事
「9月は妊活を立て直すのに向いている」
では、
秋に向けて妊活を「もっと頑張る」のではなく、一度生活を整理してみましょうというお話をしました。
今回はその実践編です。
整えたいのは、大きく3つ。
睡眠・食事・通院リズム。
どれも特別な妊活法ではありません。
でも、妊活や不妊治療が長くなるほど、この当たり前の部分が少しずつ崩れていくことがあります。
今夜は、
「妊娠するために何を追加するか」
ではなく、
「今の生活から、何を整え直せそうか」
という視点で一緒に考えてみましょう。
妊活が始まると、生活が「治療中心」になりやすい
妊活を始める前は、
眠くなったら寝る。
お腹が空いたら食べる。
休みの日は出かける。
そんな生活だった方も、不妊治療が始まると少しずつ変わっていきます。
「生理が来たら病院へ連絡」
「○日目に内診」
「この時間に薬」
「○日に人工授精」
「採卵日は直前まで分からない」
「胚移植の日に仕事を休めるかな」
治療には、自分だけでは決められない予定がたくさんあります。
すると、
身体のリズムより、治療予定に生活を合わせる時間
が増えていきます。
これは治療上必要なことです。
ただ、それが何か月も続くと、
「自分が疲れていることに気づかなくなっていた」
という方もいます。
だからこそ9月は、一度生活全体を見直してみるのがおすすめです。
最初に整えたいのは「睡眠時間」より「睡眠リズム」
妊活について調べていると、
「7時間眠った方がいい」
「8時間必要」
など、睡眠時間についての情報を目にすることがあります。
睡眠は健康を支える大切な要素ですが、
「○時間寝れば妊娠しやすくなる」という単純なものではありません。
生殖補助医療を受ける女性について、睡眠の質と治療成績との関連を調べた研究は増えています。
一方で、現時点では、
「睡眠を改善すれば妊娠率が上がる」
という因果関係まで確立しているわけではありません。
それでも、
- 毎日寝る時間が大きく違う
- 夜中まで検索してしまう
- 朝起きる時間がバラバラ
- 睡眠時間が極端に短い
- 朝起きても疲れが抜けない
という状態が続いているなら、
妊活だけではなく身体全体のためにも見直してよい部分です。
夜更かしを直すなら、まず朝を決める
「今日から23時に寝よう」
と決めても、
今まで1時まで起きていた方が急に23時に眠るのは難しいものです。
そんなときは、
まず起床時間を大きくずらさないこと
から始めてみてください。
平日は6時30分。
休日は10時。
というように大きくずれているなら、休日も少しだけ平日に近づけてみる。
朝起きたらカーテンを開ける。
日中は適度に身体を動かす。
夜は少し照明を落とす。
こうした小さな繰り返しの方が、睡眠リズムを整えやすくなります。
妊活の検索は「寝る直前」にしない
妊活中の睡眠を乱しやすいものの一つが、
夜の検索
です。
「この症状は妊娠超初期症状?」
「この薬の副作用は?」
「AMHが低くても妊娠した人」
「胚盤胞○BBの妊娠率」
気になることを一つ検索すると、次の疑問が出てきます。
そして検索を終えたころには、
身体は布団に入っているのに、
頭だけはまだ病院にいるような状態
になっていることがあります。
おすすめは、
「妊活について調べるのは21時まで」
など、終了時間を決めることです。
疑問が残ったら、その場で答えを探し続けず、
「次回の病院で聞くこと」
としてメモへ移します。
検索することから、
質問を保管することへ。
これだけでも、夜の頭の使い方が少し変わります。
妊娠超初期症状などを夜中まで検索してしまう方は、「検索不安への対処法」もこちらの記事でご紹介しています。
食事は「妊活に良いもの探し」から一度離れてみる
食事も同じです。
妊活を始めると、
「卵子に良い食べもの」
「着床に良い食材」
「子宮内膜を厚くする食べもの」
などが気になります。
でも現在の医学では、
特定の食品を食べれば妊娠率が上がると断定できるほどの根拠はありません。
妊娠を希望する時期には、特別な食事法よりも、
- 食事を大きく抜かない
- たんぱく質を摂る
- 野菜や果物などさまざまな食品を取り入れる
- 極端な食事制限を避ける
- 必要な葉酸を摂る
- 喫煙を避ける
- 過度な飲酒を避ける
といった基本的な健康管理が大切です。
9月は、
「何を足そう?」より「食事が普通に戻っているかな?」
から確認してみましょう。
夜ごはんが遅くなる日は「完璧」を目指さない
仕事が終わるのが遅い。
病院へ行ったら帰宅が20時を過ぎた。
薬局にも寄らなければならなかった。
不妊治療中には、夕食が遅くなる日もあります。
そんな日に、
「栄養バランスの完璧な妊活ごはんを作らなければ」
と考える必要はありません。
たとえば、
- ごはん+味噌汁+卵
- おにぎり+具だくさんスープ
- うどん+卵や豆腐
- ごはん+魚+汁物
などでも構いません。
大切なのは、
疲れている日に、自炊を頑張りすぎて睡眠時間まで削らないこと。
身体づくりは、食事だけで完成するものではありません。
食事を頑張るために睡眠を犠牲にしているなら、少しバランスを見直してみましょう。
東洋医学では、秋口は「胃腸の疲れ」を残さないことも大切
東洋医学では、夏の暑さや冷たい飲食物などによって胃腸が疲れている状態を、
脾(ひ)の働きが弱っている
と捉えることがあります。
このような状態を「脾虚(ひきょ)」と呼びます。
※「妊活中に便がゆるい、食欲がない」ときの考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。
たとえば、
- 食欲が安定しない
- 少し食べると胃が重い
- 軟便になりやすい
- 食後眠くなる
- 身体がだるい
- むくみやすい
などが重なる場合があります。
そんな方が、
「妊活には生野菜がいいらしい」
「果物をたくさん食べよう」
と冷たいものばかり増やすと、かえって胃腸がつらくなることもあります。
東洋医学では、
良いと言われるものを一律に足すのではなく、今の身体が受け取れる状態かを見る
ことを大切にします。
9月の夜なら、
味噌汁。
スープ。
煮物。
蒸した野菜。
など、身体がほっとする温かい料理を一品取り入れる程度でも十分です。
3つ目は「通院リズム」を頭の外へ出す
不妊治療中は、
頭の中にたくさんの予定を抱えています。
「生理が来たら電話」
「次はD3に受診」
「薬は○日まで」
「注射は何時」
「採卵はいつ?」
「仕事を休める?」
これをすべて頭の中だけで管理しようとすると、夜になっても脳が予定を確認し続けます。
そこでおすすめしたいのが、
通院予定を“覚える”のではなく“見えるようにする”こと。
スマートフォンでも手帳でも構いません。
予定はどこか一か所にまとめてしまいましょう。
通院メモは4項目だけでいい
細かく管理しすぎると、それも負担になります。
最低限、
1.次回受診日
○月○日 ○時
2.薬・注射
いつから、いつまで。
3.次回確認すること
「内膜は何mm?」
「この薬はいつまで?」
「次周期は休んでもいい?」
など。
4.仕事・家庭の調整
早退。
休み。
パートナーへ伝えること。
これだけです。
寝る前に思い出したことは、その場で検索せず、
このメモへ移して終了。
「忘れたらどうしよう」という負担を、頭から外へ出してあげましょう。
通院予定が変わることを「自分のせい」にしない
不妊治療では、
卵胞の育ち方。
ホルモン値。
子宮内膜。
排卵。
採卵できる日。
胚の発育。
などによって予定が変わることがあります。
そのため、
仕事を調整していたのに予定がずれた。
旅行をキャンセルした。
急に受診が増えた。
ということもあります。
これは、
予定管理が下手だからではありません。
不妊治療そのものが、身体の反応を見ながら進める治療だからです。
だからこそ、
全部を完璧に管理しようとせず、
「変更される可能性がある予定」
として少し余白を残しておくことも大切です。
9月の夜におすすめしたい「15分の立て直し」
何から始めたらよいか分からない方は、寝る前に15分だけ使ってみてください。
最初の5分|明日のことを書く
- 起きる時間
- 病院の予定
- 薬
- 忘れたくないこと
を書きます。
次の5分|身体を確認する
「妊娠しているかな?」
ではなく、
- 今日疲れた?
- お腹は空いている?
- 胃は重くない?
- 首肩に力が入っていない?
- 身体は暑い?冷えている?
と確認します。
最後の5分|何もしない
スマートフォンを置きます。
少し照明を落とす。
ゆっくり息を吐く。
温かい飲みものを少し飲む。
何もしないで座っている。
どれでも構いません。
この時間は、
妊娠のために何かをする15分ではなく、今日を終えるための15分
です。
生活リズムを整えても、疲れが抜けないことがあります
早く寝るようにした。
食事も気をつけている。
通院予定も整理した。
それでも、
朝から疲れている。
胃腸が戻らない。
首肩がずっとこっている。
手足が冷える。
夜になると頭が休まらない。
そんな方もいます。
これは、
「もっとセルフケアを頑張ればいい」というサインとは限りません。
妊活や不妊治療では、
治療そのものに加えて、
仕事との調整。
結果を待つ不安。
夫婦間の温度差。
薬による身体の変化。
などが重なります。
自分一人で生活を整えようとしても、身体がついてこないことがあります。
そんなときは、鍼灸を取り入れることも選択肢の一つです。
妊活中に鍼灸を取り入れるメリット
妊活中の鍼灸は、
「このツボで妊娠しやすくする」
ためだけのものではありません。
鍼灸を受けるときには、
- 睡眠
- 胃腸
- 便通
- 冷えやのぼせ
- 首肩の緊張
- 月経
- 疲労
など、自分では別々に感じている不調をまとめて確認できるというメリットがあります。
不妊治療中の女性に対する鍼灸では、不安の軽減を示した研究もありますが、エビデンスの確実性はまだ十分ではありません。
そのため当院でも、
「鍼灸を受ければ妊娠率が上がる」
という説明はしていません。
それよりも、
「眠れない」
「食べられない」
「ずっと緊張している」
「治療が続いて身体が疲れている」
という状態をそのままにせず、
次の治療を受ける身体のコンディションを整えていく
ことを大切にしています。
「自分で整えられない」ときに施術を受ける意味
妊活中は、自分でやることがたくさんあります。
薬を飲む。
病院へ行く。
食事を考える。
身体を温める。
運動する。
サプリメントを飲む。
早く寝る。
これ以上、
「リラックスすること」まで自分の仕事にしなくてもいい
と私は思います。
自分では力を抜けなくなっているときに、
施術を受ける時間だけは身体を預ける。
今日は何をすればいいのか、一緒に整理する。
それも鍼灸を利用する意味の一つです。
蓮心はり灸堂では「生活だけ」を見るのではありません
妊活中の方に、
「早く寝ましょう」
「バランスよく食べましょう」
だけをお伝えしても、現実には難しい場合があります。
採卵周期なら通院が増える。
ホルモン補充周期なら薬の時間がある。
人工授精前なら排卵日に合わせる必要がある。
胚移植後なら身体を動かすこと自体が怖くなる方もいる。
だから蓮心はり灸堂では、
- 今どの治療段階なのか
- 次の通院はいつか
- 採卵・人工授精・胚移植の予定
- 使用している薬
- 月経周期
を確認したうえで、
- 睡眠
- 食事・胃腸
- 便通
- 冷え・のぼせ
- 首肩の緊張
- 疲労
- 不安
まで一緒に見ます。
同じ「眠れない」でも、
採卵前の緊張なのか。
判定日前の不安なのか。
胃腸が疲れて眠りが浅いのか。
身体全体の状態は違います。
治療予定と生活、身体を切り離さずに考えられること。
これは妊活中に専門的な鍼灸サポートを受けるメリットの一つです。
東洋医学では「全部整えよう」とは考えません
東洋医学で身体を見ても、
一度にすべてを変える必要はありません。
たとえば、
胃腸の弱りが強い「脾虚(ひきょ)」なら、まず食事と胃腸。
緊張が強い「肝鬱気滞(かんうつきたい)」なら、身体の力を抜き巡りを整える。
疲労や冷えが強い「腎虚(じんきょ)」なら、休息を優先する。
眠りが浅く、疲れやすい「血虚(けっきょ)」が重なっていることもあります。
大切なのは、
「妊活に良いことを全部やる」ではなく、「今の身体に優先順位をつける」こと。
です。
9月は「頑張る量」ではなく「続けられる形」をつくる
生活習慣は、一週間だけ完璧にして終わるものではありません。
23時に寝る。
毎日手料理。
毎日30分運動。
毎日温活。
全部できれば理想的に見えるかもしれません。
でも、それを続けるために疲れてしまったら、本来の目的から離れてしまいます。
たとえば、
平日は0時までに寝る。
朝食だけは抜かない。
通院予定は日曜日にまとめて確認する。
それくらいでも構いません。
続けられる形の方が、完璧な3日間より大切です。
今夜、3つだけ決めてみてください
最後に、紙やスマートフォンへ書いてみましょう。
① 明日は何時に起きる?
② 明日の食事で一つだけ整えるなら?
③ 次の通院・薬で忘れたくないことは?
これだけです。
今夜中に妊活を完璧に立て直す必要はありません。
一つ整ったら、また一つ。
9月は、
妊活を頑張り直す月ではなく、頑張り続けられる生活へ戻していく月
にしてみてはいかがでしょうか。
妊活の生活リズムを、一人で立て直すのが難しい方へ
「何をしたらいいかは分かっているけれど、身体がついてこない」
「治療が続いて、睡眠も胃腸も崩れてきた」
「採卵や胚移植に向けて、一度身体を整えておきたい」
そんなときは、セルフケアだけで何とかしようとしなくても大丈夫です。
蓮心はり灸堂では、妊活・不妊治療のスケジュールを確認しながら、睡眠、胃腸、月経、冷え、疲労、緊張などを総合的に見て、その時期に必要な施術を考えています。
何かをさらに追加するためではなく、
今の身体に必要なことを整理し、治療を続けやすい土台をつくる。
そのために鍼灸を取り入れる方法があります。
参考・出典
アメリカ生殖医学会(ASRM)「自然妊娠を最適化するための委員会意見」
Archives of Gynecology and Obstetrics「睡眠の質と生殖補助医療成績との関連に関するメタ解析」
BMC Pregnancy and Childbirth「IVF・ICSIを受ける女性の睡眠障害と生殖補助医療成績に関するシステマティックレビュー・メタ解析」
Reproductive BioMedicine Online「IVFに関連する不安に対する鍼灸の効果に関するシステマティックレビュー・メタ解析」

