「夏は暑さだけで疲れてしまって、思うように身体を整えられなかった」
「旅行や帰省で生活リズムが崩れたままになっている」
「治療のことを考え続けて、少し疲れてしまった」
そんな方にとって、9月は妊活を立て直すひとつのタイミングです。
ここでいう「立て直す」とは、何か特別なことを始めたり、さらに頑張ったりすることではありません。
一度立ち止まって、
- 睡眠はとれているか
- 食事が乱れていないか
- 身体に疲れが残っていないか
- 今後の通院予定を把握できているか
- 妊活のことばかり考える毎日になっていないか
を確認することです。
なお、「9月になると妊娠しやすくなる」という意味ではありません。
季節そのものによって妊娠率が上がると考えるのではなく、夏から秋へ生活が切り替わる時期を、身体と気持ちを見直すきっかけにしてみましょう。
夏の終わりは、思っている以上に疲れが残りやすい時期
9月に入っても、日中はまだ暑い日が続きます。
夏の間に、
- 冷たい飲みものが増えた
- 食欲が落ちていた
- 夜更かしが増えた
- 暑さで眠りが浅かった
- 冷房の効いた部屋で過ごす時間が長かった
- 外出や運動が減った
という方も多いのではないでしょうか。
こうした一つひとつは小さな変化でも、何週間も続けば疲れとして残ることがあります。
だからこそ9月は、
「もっと妊活を頑張らなければ」と考える前に、夏に乱れたものを元へ戻す。
そんな意識から始めてみるのがおすすめです。
妊活では「生活を完璧にする」必要はありません
妊活を始めると、
「何を食べればいい?」
「何時間寝ればいい?」
「運動はした方がいい?」
「これは妊娠に悪い?」
と、生活のあらゆることが気になってしまうことがあります。
しかし、特定の食品や生活習慣だけで妊娠しやすくなると断定できるほど、単純なものではありません。
現在の生殖医療でも、妊娠を希望する時期には、特別な健康法よりも、
- バランスのとれた食事
- 適度な身体活動
- 睡眠
- 禁煙
- 過度な飲酒を避ける
- 必要な葉酸を摂る
といった、基本的な健康管理を整えることが大切にされています。
大切なのは100点の生活を目指すことではなく、
今の自分にとって乱れているところを一つずつ戻していくこと。
これが9月の妊活では大切です。
まず見直したいのは「睡眠」
夏の疲れが抜けない方には、最初に睡眠を確認してほしいと思います。
近年では、睡眠の質や睡眠リズムと女性の生殖機能・生殖補助医療の成績との関連についても研究されています。
ただし、「何時間眠れば妊娠率が上がる」といった単純な話ではなく、現時点では因果関係が十分に確立しているわけではありません。
それでも、
- 起床時間が毎日大きく違う
- 夜中までスマートフォンを見ている
- 寝つきが悪い
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝起きても疲れが残っている
という状態が続いているなら、身体全体のコンディションを考えるうえでも一度見直したいところです。
いきなり早く寝ようとするより、
まず「起きる時間」を大きくずらさないこと。
ここから始めると生活リズムを整えやすくなります。
食事は「足す」より「戻す」
妊活では栄養について調べる機会が増えるため、
「これも食べなければ」
「この栄養素も必要かも」
と、どんどん足してしまうことがあります。
9月は、一度シンプルに考えてみましょう。
たとえば、
- 朝食を抜く日が増えていないか
- 麺類やパンだけで終わる食事が増えていないか
- 冷たいものばかりになっていないか
- たんぱく質を毎食とれているか
- 野菜・海藻・きのこ類などを極端に避けていないか
を確認します。
特別な「妊活食」を探すより、
いつもの食事をなるべく欠かさず食べられる状態へ戻すこと。
まずはそこからで十分です。
サプリメントについても、種類を増やす前に、現在飲んでいる薬やサプリを一度整理しておくと相談しやすくなります。
東洋医学では、夏から秋への変わり目をどう見る?
東洋医学では、身体は季節の変化からも影響を受けると考えます。
夏は暑さや発汗によって「気(き)」や「津液(しんえき)」を消耗しやすく、秋へ向かうにつれて乾燥や朝晩の冷えが加わります。
この時期にみられやすいのが、
- 疲れが抜けない
- 食欲にムラがある
- 胃腸の働きが低下している
- 手足は冷えるのに上半身は暑い
- 寝つきが悪い
- 気持ちが落ち着かない
といった、夏と秋が混ざったような不調です。
妊活では「冷えているから、とにかく温める」と考えがちですが、まだ残暑のある9月に温めすぎると、かえってのぼせたり寝苦しくなったりする方もいます。
そのため当院では、その方の状態を見ながら、
温める・巡らせる・休ませる・胃腸を整える
というバランスを考えていきます。
妊活中に確認したい東洋医学の5つのサイン
東洋医学では、一つの症状だけではなく、身体全体の状態を見ていきます。
腎虚(じんきょ)
疲れやすい、腰がだるい、冷えやすいなど、身体を支える力が不足していると考えるタイプです。
肝鬱気滞(かんうつきたい)
イライラ、気分の波、胸やお腹の張りなど、緊張によって気の巡りが滞っていると考えます。
脾虚(ひきょ)
食欲低下、軟便、胃もたれ、身体のだるさなど、食事からエネルギーをつくる働きが弱っている状態です。
血虚(けっきょ)
立ちくらみ、顔色の悪さ、乾燥、疲れやすさなど、「血(けつ)」が不足していると考える状態です。
瘀血(おけつ)
月経痛、経血の塊、冷えとのぼせが混在するなど、血の巡りが滞っていると考えるタイプです。
実際には複数のタイプが重なっている方が多いため、自己判断で一つに決める必要はありません。
9月から始めたい「3つの立て直し」
全部を一度に変える必要はありません。
まずは次の3つだけ確認してみてください。
1.起床時間を整える
就寝時間を急に早めるより、まず朝起きる時間を大きくずらさないようにします。
休日も含め、できる範囲で生活リズムを一定にしてみましょう。
2.温かい食事を1日1回入れる
まだ暑い時期なので、すべてを温かいものにする必要はありません。
味噌汁、スープ、煮物など、胃腸に負担の少ない温かい料理を一品取り入れる程度から始めてみてください。
3.今月の通院予定を見える化する
採卵、移植、人工授精、検査などが続くと、「いつ何をするのか」だけで頭がいっぱいになります。
カレンダーなどに、
- 通院予定
- 月経開始予定
- 薬や注射
- 聞いておきたいこと
をまとめておくと、頭の中で考え続ける時間を少し減らせます。
ただし、治療を「立て直す」ために自己判断で薬を中止したり、周期を変更したりする必要はありません。
治療内容について迷っている場合は、主治医と相談しながら進めてください。
妊活を立て直すことは、「もっと頑張ること」ではありません
夏に思うように過ごせなかったとしても、取り戻そうとする必要はありません。
食事が乱れた日があってもいいですし、眠れない夜があっても大丈夫です。
妊活は長くなるほど、
「ちゃんとしなければ」
「少しでも良いことをしなければ」
という気持ちが強くなりやすいものです。
でも、身体を整えるというのは、何かをたくさん追加することだけではありません。
減らすこと、休むこと、元の生活へ戻すことも身体づくりの一つです。
9月は、
「今の私に本当に必要なことは何だろう」
と、一度整理する月にしてみてはいかがでしょうか。
このテーマの続きは、**9月6日21:00公開予定「9月の夜に整えたい睡眠・食事・通院リズム」**で、実際の生活に落とし込みやすい形にしてご紹介します。
9月から、妊活の土台を一緒に整えたい方へ
妊活中は、採卵や胚移植など治療の予定を優先するうちに、自分自身の疲れや睡眠、胃腸の状態まで気が回らなくなることがあります。
蓮心はり灸堂では、検査結果や治療スケジュールだけを見るのではなく、睡眠、食事、冷え、胃腸の調子、月経の状態、日々の疲れなども確認しながら、その方に合った身体づくりを考えています。
夏の疲れが抜けない方や、秋に向けて一度身体を整え直したい方は、無理に一人で方法を探し続けずご相談ください。
参考・出典
アメリカ生殖医学会(ASRM)「自然妊娠を最適化するための委員会意見」
欧州生殖医学会(ESHRE)関連研究「妊娠前の生活習慣介入と妊娠・生殖アウトカムに関するシステマティックレビュー・メタ解析」
BMC Pregnancy and Childbirth「睡眠障害とIVF・ICSI治療成績に関するシステマティックレビュー・メタ解析」
PubMed掲載レビュー「女性の睡眠障害と不妊に関するシステマティックレビュー」

