妊娠超初期症状を検索しすぎる夜に

東洋医学の視点から体質改善を伝える奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

「下腹部がチクチクする。これって着床?」

「今日は胸が張っているから、もしかして妊娠している?」

「昨日まで眠かったのに、今日は何も感じない……」

高温期や人工授精後、胚移植後。

妊娠判定日が近づくほど、自分の身体に起こる小さな変化が気になってしまうことがあります。

そしてスマートフォンを開き、

「妊娠超初期 腹痛」

「胚移植後 症状なし」

「高温期○日目 妊娠」

と検索する。

一つの記事を読んでも安心できず、また別の記事を読む。

気づけば30分、1時間と経っている。

そんな夜を過ごしていませんか?

前回の記事
「妊娠超初期症状に振り回されすぎないために」
では、妊娠初期にみられることがある症状について医学的に整理しました。

今回はその続きです。

テーマは、

「分かっていても、どうして検索をやめられないのか」

そして、

検索したくなった夜に、身体と気持ちをどう休ませるか

です。

目次

まず、「妊娠超初期」は正式な医学用語ではありません

インターネットでは、

「妊娠超初期」

という言葉がよく使われています。

一般には、受精・着床のころから妊娠検査薬で確認できるようになる前後までを表す言葉として使われていますが、正式な医学用語ではありません。

その時期に、

  • 下腹部の違和感
  • 胸の張り
  • 眠気
  • だるさ
  • 腰の重さ
  • 頭痛
  • 吐き気
  • おりものの変化
  • 少量の出血

などを感じる方もいます。

しかし、これらは妊娠だけにみられる症状ではありません。

月経前にも似た症状が起こります。

そのため、

症状だけで妊娠しているかどうかを判断することはできません。

「症状がある」と「妊娠している」はイコールではありません

妊娠を強く望んでいると、

少し眠い。

胸が張る。

お腹がチクッとする。

身体がいつもより温かい。

その一つひとつに、

「これは妊娠のサインかもしれない」

という意味を持たせたくなることがあります。

でも、妊娠初期に起こる症状の多くは、

月経前のホルモン変化でも起こり得る症状です。

反対に、

妊娠していても、ほとんど症状を感じない方もいます。

妊娠初期症状には大きな個人差があり、すべての方に同じ症状が出るわけではありません。

だから、

「昨日あった症状が今日はなくなった」

という理由だけで、

「妊娠していないのかもしれない」

と判断する必要はありません。

胚移植後は、さらに症状だけでは判断しにくくなります

体外受精・顕微授精で胚移植を行っている方は、特に症状を判断しにくいことがあります。

その理由の一つが、

黄体補充などで使用している薬の影響です。

プロゲステロン製剤では、

  • 胸の張り・痛み
  • お腹の張り
  • 眠気
  • 疲労感
  • 腹部の違和感
  • 便秘
  • 吐き気

などがみられることがあります。

つまり、

妊娠による変化なのか、薬によるものなのか、月経前の変化なのかを症状だけで区別することは難しい

のです。

「昨日は胸が張った」

「今日は張らない」

という変化を毎日判定材料にするほど、不安は大きくなってしまいます。

なぜ、分かっていても検索してしまうのでしょうか

「症状では分からない」

頭では分かっている。

それでも検索してしまう。

これは不思議なことではありません。

妊娠判定日までの期間は、

自分では結果を確認できない時間

だからです。

採卵なら卵子の数を聞ける。

受精確認なら結果を聞ける。

胚移植なら移植したことが分かる。

でも、移植後から判定日までは、

自分が何かをして結果を確認することがほとんどできません。

その「分からなさ」がつらくなると、

身体の症状から少しでも答えを探したくなります。

検索しているのは、知識が足りないからとは限りません。

安心できる材料を探している

ことも多いのです。

でも、検索には終わりがありません

インターネットで、

「胚移植後 症状なし」

と調べてみる。

すると、

「症状がなくても妊娠していました」

という体験談が見つかる。

少し安心する。

でも次に、

「BT○日目 症状なし 陰性」

という記事が目に入る。

また不安になる。

今度は、

「胸の張り なくなった 妊娠」

と検索する。

この繰り返しになってしまうことがあります。

体験談は、その方自身の経験です。

あなたの判定結果を予測するものではありません。

同じ症状でも結果が違う。

症状がまったくなくても妊娠している方もいれば、症状がたくさんあっても妊娠していない場合もあります。

だから検索を続けても、最終的な答えにはたどり着けません。

妊娠検査薬にも「適切な時期」があります

不安になると、

「症状で分からないなら検査薬を使えばいい」

と思うかもしれません。

しかし妊娠検査薬も、使用時期が早すぎると正しい結果が出ないことがあります。

市販の妊娠検査薬は尿中のhCGを検出しますが、早すぎる検査では、妊娠していてもまだ検出できず陰性になることがあります。

一般的な妊娠検査薬は、月経予定日を過ぎてからの方が信頼性が高くなります。

不妊治療中の場合は、

病院から指定された判定日を優先してください。

また、hCGを含む薬を使用している周期では、早期の自己検査結果に薬の影響が残ることもあります。

「少しでも早く答えを知りたい」という気持ちは自然ですが、フライング検査によって、かえって数日間不安が強くなることもあります。

「妊娠検査薬を早く使いたくなったときの考え方」は、こちらの記事でも詳しく解説しています。

今夜の目標は「検索をゼロにする」ではありません

「もう検索しない」

と決めても、気になる日はあります。

それなら、

検索をゼロにするより、終わる時間を決めてみる

方が現実的です。

たとえば、

「21時まで」

「今日は10分だけ」

と決めます。

そして時間になったら、

「今日調べても判定結果は分からない」

と一度区切ります。

検索してしまった自分を責める必要もありません。

大切なのは、

検索を始めたことではなく、どこかで終われること

です。

今夜やってみたい3つのこと

1.検索したい言葉をメモに書く

気になる言葉が浮かんだら、すぐ検索する代わりに、

「胸の張り」

「下腹部チクチク」

「症状なし」

などとメモしておきます。

そして、

「明日の朝になっても気になったら調べる」

と決めます。

一晩置くだけで、検索しなくてもよくなることがあります。

2.身体を「判定する」のをやめる

高温期や胚移植後になると、

「胸は張っている?」

「お腹は?」

「体温は?」

と、一日に何度も身体を確認してしまうことがあります。

今夜だけは、

身体を答え合わせに使うのではなく、

「今日は疲れているかな」

「寒くないかな」

「眠れそうかな」

という見方に変えてみましょう。

同じ身体を見ることでも、目的が変わります。

3.吐く息を少し長くする

布団に入ったら、

無理に深呼吸をする必要はありません。

自然に息を吸って、

少しだけゆっくり吐きます。

これを数回繰り返します。

そして吐くたびに、

肩。

顎。

お腹。

の力を少しずつ抜いてみてください。

「リラックスしなければ」

と考える必要はありません。

身体に入っている力に気づくだけでも十分です。

東洋医学では「考え続けて休めない状態」をどう見る?

東洋医学では、心と身体を完全に別のものとは考えません。

妊活中に不安や考え事が続き、

  • 寝つけない
  • 夢が多い
  • 胃が重い
  • 食欲が落ちる
  • 首肩がこる
  • ため息が増える
  • お腹が張る

といった状態がある場合には、身体全体を見ながらいくつかの状態を考えます。

肝鬱気滞(かんうつきたい)

緊張や不安が続き、「気」の巡りが滞っていると考える状態です。

ため息、首肩のこり、胸やお腹の張りなどを伴うことがあります。

脾虚(ひきょ)

考え事や疲労が続き、胃腸まで弱っていると考える状態です。

食欲低下、胃もたれ、軟便、だるさなどがみられることがあります。

血虚(けっきょ)

疲れているのに眠りが浅い、夢が多い、立ちくらみがあるなど、「血」が不足していると考える状態です。

もちろん、

「検索しすぎる=肝鬱気滞」

と単純に決めるものではありません。

睡眠、胃腸、月経、疲労などを合わせて身体を見ていきます。

セルフケアをしても、身体から力が抜けないことがあります

スマートフォンを置いた。

深呼吸もした。

お風呂にも入った。

それでも、

「判定日のことが頭から離れない」

「身体がずっと緊張している」

という夜もあります。

それは、

あなたのセルフケアが足りないからではありません。

人工授精、採卵、胚移植などを繰り返していると、身体は治療そのものだけではなく、

「次はどうなる?」

という緊張も抱え続けます。

自分で力を抜こうとしても、うまく抜けないときには、

誰かに身体を預けて休む時間をつくる

という方法もあります。

その一つが鍼灸です。

妊娠判定を待つ時期に鍼灸を取り入れるメリット

妊活鍼灸は、

妊娠超初期症状を起こすための施術ではありません。

また、

「このツボを押せば着床する」

というものでもありません。

では、判定日を待つ時期に鍼灸を受ける意味はどこにあるのでしょうか。

この時期には、

  • 首肩の緊張
  • 背中のこわばり
  • 睡眠の浅さ
  • 胃腸の不調
  • 冷えやのぼせ
  • 薬による身体の変化
  • 結果を待つ不安

などが重なっていることがあります。

鍼灸では、妊娠しているかどうかを症状から判定するのではなく、

今、身体にどのような負担がかかっているのかを確認し、その身体を休ませやすい状態へ整えていく

ことができます。

不妊治療中の女性を対象にした研究でも、鍼灸によって治療に伴う不安が軽減する可能性が報告されていますが、エビデンスの確実性には限界があります。

そのため当院でも、

「鍼灸をすれば結果が良くなるから受けましょう」

ではなく、

判定日までを少しでも穏やかに過ごせる身体をつくる

という目的も大切にしています。

蓮心はり灸堂では「症状の答え合わせ」はしません

胚移植後に、

「胸が張っているんですけど、妊娠していますか?」

「今日はお腹がチクチクします」

と相談したくなることがあると思います。

そのお気持ちはとてもよく分かります。

ただ、当院でも、

症状から妊娠判定をすることはできません。

その代わりに確認するのは、

  • 今周期はどのような治療だったか
  • 人工授精後・胚移植後の何日目か
  • 使用している薬
  • 次回の判定日
  • 睡眠
  • 胃腸
  • 冷えやのぼせ
  • 首肩や背中の緊張
  • 疲労
  • 今いちばん気になっていること

などです。

そして、

「今は温めすぎない方がいい」

「今日は運動を増やすより休んだ方がいい」

「この不調は薬の影響も考えられるので主治医へ確認しよう」

など、

判定結果ではなく、判定日までの過ごし方を一緒に整理します。

検索すると情報は増えます。

でも、

「今の私の場合はどうしたらいい?」

という答えまでは、なかなか見つかりません。

そこを一緒に考えられることも、妊活中に専門的な鍼灸サポートを利用するメリットの一つです。

ただし、検索で済ませず医療機関へ相談したい症状もあります

妊娠の可能性がある時期に、

  • 強い腹痛
  • 特に片側に強い痛みが続く
  • 大量の出血
  • めまい、失神しそうになる
  • 強い体調不良

などがある場合は、

「妊娠超初期症状かな?」

と検索し続けるのではなく、医療機関へ相談してください。

異所性妊娠など、早めの評価が必要な状態もあります。

不妊治療中の場合は、まず通院している医療機関の指示に従いましょう。

「症状がない夜」も、悪い夜ではありません

高温期。

人工授精後。

胚移植後。

身体に何も起きていないように感じると、不安になるかもしれません。

でも、

症状がないことは、悪い結果を意味しません。

反対に、症状があるから結果が保証されるものでもありません。

今夜の身体は、

妊娠を判定するための答え合わせ表ではありません。

今日一日を過ごしてくれた身体です。

だから、

「今日は何も症状がなかった」

ではなく、

「今日も一日過ごせた」

くらいで終わらせてみてください。

判定日は、判定日にやってきます。

その日まで、

毎晩結果を予想し続けなくても大丈夫です。

検索をやめても不安が残る夜に

妊活では、

情報を知ることで安心できる時期と、

情報を増やすほど苦しくなる時期があります。

後者になっていると感じたら、

少し身体の方へ意識を戻してみてください。

蓮心はり灸堂では、人工授精・採卵・胚移植・判定日など現在の治療段階を確認しながら、睡眠、胃腸、冷え、疲労、身体の緊張まで含めてサポートしています。

「何を検索しても安心できない」

「判定日まで毎晩落ち着かない」

そんな状態も、そのままお話しいただいて大丈夫です。

妊活について考える時間を増やすためではなく、妊活から少し離れて身体を休ませられる時間をつくる。

そのために鍼灸を取り入れる方法もあります。

参考・出典

英国国民保健サービス(NHS)「妊娠している可能性を示す兆候と症状」

英国国民保健サービス(NHS)「妊娠検査の方法と適切な時期」

Mayo Clinic「家庭用妊娠検査薬の精度と使用時期」

Royal Free London NHS Foundation Trust「妊娠初期のプロゲステロン治療」

Reproductive BioMedicine Online「IVFに関連する不安に対する鍼灸の効果に関するシステマティックレビュー・メタ解析」

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