8月3日の
「胚移植後の判定日までが長く感じるあなたへ」
では、判定日までに知っておきたい症状や薬、過ごし方についてお伝えしました。
医学的には、
「症状だけでは結果はわからない」
と理解していても、
夜になるとスマートフォンを開いて、
「移植後○日目 症状なし」
「着床した時の症状」
「BT○ 陰性から陽性」
「胸の張り 消えた」
と検索してしまう。
そんなことはありませんか。
一つ調べると、また別の言葉が気になる。
自分と似た症状の人を探す。
同じ年齢、同じ胚のグレード、同じ移植日だった人の結果を読む。
安心するために調べ始めたはずなのに、気づけばさっきより不安になっている。
判定日までの夜には、そんなことが起こりやすくなります。
でも、
検索してしまう自分を責める必要はありません。
結果がまだわからない時間だからこそ、
「何か手がかりがほしい」
と思うのは自然なことです。
大切なのは、
検索を完全にやめることではなく、検索によって自分が疲れすぎない距離をつくること。
今夜は、その方法を一緒に考えていきましょう。
なぜ判定日前は検索したくなるの?
判定日までのつらさの一つは、
「自分では結果を確認できない時間」が続くこと
です。
薬は使った。
移植も終わった。
医療機関から言われたことも守っている。
でも、今この瞬間に着床しているのか、自分ではわからない。
そこで私たちは、
「何か身体にサインが出ていないかな」
と探したくなります。
お腹がチクチクする。
胸が張る。
眠い。
何も感じない。
体温が少し下がった。
どれか一つでも変化があると、
「これはどういう意味?」
と検索したくなります。
つまり、検索は単なる情報収集だけではなく、
わからない状態を少しでもコントロールしたい気持ち
から始まっていることがあります。
「答え」を探しているのに、なぜ不安が増えるの?
検索すると、たくさんの体験談が出てきます。
ある人は、
「症状がまったくなかったけれど陽性だった」
と書いています。
別の人は、
「胸の張りで妊娠を確信した」
と書いています。
さらに別の人は、
「同じ症状だったけれど陰性だった」
と書いている。
読むほど、
「結局どれが自分に当てはまるの?」
とわからなくなります。
これは当然です。
妊娠初期にみられることがある症状と、黄体ホルモンなど治療薬による症状、月経前にみられる症状には重なるものがあります。
また、症状の感じ方には個人差があります。
そのため、
誰かの体験談から、自分の判定結果を予測することはできません。
検索しても確実な答えが得られないからこそ、
「もう一人だけ」
「もう一つだけ」
と検索を続けてしまうことがあります。
「症状なし」で検索したくなったとき
判定日前に特に不安になりやすいのが、
「何も症状がない」
ことです。
昨日までは少しお腹が張っていた。
今日は何も感じない。
胸も張らない。
眠気もない。
すると、
「症状なし 陰性」
と検索したくなるかもしれません。
でも、
症状がないという情報だけで、妊娠していないと判断することはできません。
判定日前という早い時期は、自覚症状がないこともあります。
身体から答えが返ってこないからといって、
「今回はダメなのかもしれない」
と結論を急がなくても大丈夫です。
症状があるときも、検索は止まりにくくなります
反対に、
「今日はお腹がチクチクする」
という日もあります。
すると今度は、
「着床痛 いつ」
「移植後 チクチク 陽性」
と調べたくなる。
一瞬、
「これは着床したサインかもしれない」
と安心する。
でも次に、
「昨日よりチクチクしなくなった」
と感じると、また検索が始まります。
このように、
症状があっても、なくても検索の材料になってしまう
ことがあります。
だからこそ、判定日前は身体を一日中観察しても、なかなか安心にはたどり着けません。
SNSでは「結果が出た人」が目に入りやすい
SNSを開くと、
「BT7で陽性!」
「この症状がありました」
「判定日、無事陽性でした」
という投稿が目に入ることがあります。
同じ治療をしている方の成功は、本来うれしい出来事です。
それでも、
「私は同じ症状がない」
「同じ年齢なのに」
「同じグレードの胚だったのに」
と、自分と比べて苦しくなることがあります。
これは、誰かの幸せを喜べないという話ではありません。
自分が心から望んでいる結果だからこそ、他の人の結果が自分の不安を刺激することがある
というだけです。
つらくなるとわかっている日は、SNSから少し距離を取っても構いません。
「検索しない」と禁止しすぎなくてもいい
検索で疲れていると、
「今日から絶対に検索しない」
と決めたくなるかもしれません。
でも、
「検索してはいけない」
と思うほど、気になることもあります。
そこでおすすめなのは、
禁止ではなく、範囲を決めること
です。
たとえば、
「今日は20時30分まで」
「10分だけ調べる」
「医療機関のページを一つ確認したら終わる」
「気になることはメモして、続きは明日」
と決めてみます。
検索する自分と戦うのではなく、
検索を終える場所を先に決めておく
という考え方です。
検索するなら「誰が書いた情報か」を見る
判定日前は、少しでも安心できる情報を探したくなります。
そんなときほど、
「何が書いてあるか」
だけでなく、
「誰が書いているか」
も確認してみましょう。
まず優先したいのは、
・通院している医療機関
・学会
・公的機関
・大学病院などの医療機関
から出ている情報です。
一方、
「私はこれで妊娠しました」
という個人の体験談は、その方の経験として読むものです。
自分の治療方針を決める根拠とは分けて考えましょう。
特に、
「この症状なら陽性」
「これを食べれば着床する」
「この方法をしないと妊娠できない」
と断定する情報には注意が必要です。
検索したいことを「質問メモ」に変える
検索が止まらないときに、とても役立つ方法の一つが、
検索したい言葉を、そのまま主治医への質問に変えること
です。
たとえば、
「移植後 出血」
と検索したくなったら、
「この程度の出血なら様子を見て大丈夫ですか?」
とメモする。
「プロゲステロン 症状」
と検索したくなったら、
「今感じている症状は薬の影響でも起こりますか?」
と書く。
「判定日前 フライング」
なら、
「私の場合、いつから検査結果が判断しやすくなりますか?」
と書きます。
こうすると、
今夜中に答えを出さなくてもよい質問
へ変えることができます。
「今調べても答えが出ないこと」を分けてみる
検索を始める前に、一度だけ自分へ聞いてみてください。
「これは今調べれば答えが出ること?」
たとえば、
「薬を飲み忘れたときの対応」
なら、通院先の説明書や医療機関への確認が必要です。
「強い出血がある」
なら、検索を続けるより医療機関へ相談した方がよいでしょう。
一方、
「今着床している?」
「このチクチクは陽性のサイン?」
「症状がないけれど妊娠している?」
という問いは、検索しても確実な答えが出ません。
判定日まで待たなければ答えが出ない問いを、検索で解決しようとし続けないこと。
これだけでも、検索との付き合い方が少し変わります。
夜は不安が大きくなりやすいものです
昼間は仕事や家事で気がまぎれていたのに、
夜になり静かになると、急に不安が大きくなる。
そんなことがあります。
暗い部屋で一人になり、
「今回もダメだったら」
「次はどうするんだろう」
「いつまで治療が続くんだろう」
と、判定日だけでなく、その先のことまで考え始めてしまう。
そんな夜に、
「前向きに考えよう」
と無理に気持ちを変える必要はありません。
ただ、
夜に出した結論を、明日の現実だと決めないこと
は大切です。
夜は答えを出す時間ではなく、身体を休ませる時間にしてもよいのです。
検索を終えたあとに「別の刺激」を一つ用意する
スマートフォンを閉じても、
「検索しない」
だけでは手持ち無沙汰になり、すぐにまた開いてしまうことがあります。
そこで、検索を終えたあとに行うことを一つ決めておきます。
たとえば、
・温かすぎない飲み物を飲む
・好きな音楽を1曲だけ聴く
・短いストレッチをする
・漫画を少し読む
・好きな香りを楽しむ
・翌日の服を準備する
・パートナーと治療以外の話をする
などです。
ポイントは、
「妊活によいこと」を選ばなくていい
ということです。
検索から頭を離すための時間なので、自分がほっとできるもので構いません。
呼吸を整えるなら、吐く息を少し長めに
検索を続けていると、気づかないうちに、
肩が上がっている。
奥歯を噛みしめている。
呼吸が浅くなっている。
ということがあります。
そんなときは、スマートフォンを置いて、まず息を吐いてみましょう。
無理に大きく吸わなくて構いません。
自然に吸って、
ゆっくり吐く。
もう一度吸って、
また少し長めに吐く。
正しい秒数を守る必要はありません。
吸うことより、吐くことを少し丁寧にする。
それくらいで十分です。
寝る直前まで検索しない工夫
検索内容だけでなく、スマートフォンを寝る直前まで使い続けることそのものが、睡眠の妨げになる場合があります。
できそうであれば、
・充電場所をベッドから離す
・寝室へ持ち込まない
・アラームをセットしたら画面を伏せる
・検索終了の時刻を決める
・照明を少し暗くする
といった工夫をしてみましょう。
「1時間前から絶対スマートフォン禁止」
と大きな目標を立てなくても構いません。
いつもより15分早く閉じる
ところからでも十分です。
パートナーに「答え」ではなく「役割」をお願いする
不安な夜に、
「どう思う?」
とパートナーに聞くことがあります。
すると、
「大丈夫だよ」
「考えても仕方ないよ」
と言われ、余計に孤独を感じることもあります。
パートナーも、どう答えればよいかわからないのかもしれません。
そんなときは、
「大丈夫って言ってほしいわけじゃなくて、少し話を聞いてほしい」
「今日は検索しすぎそうだから、21時になったら一緒にスマホを置きたい」
「10分だけ治療の話をして、その後は別の話をしたい」
など、してほしいことを具体的に伝えてみましょう。
不安への正解を求めるのではなく、一緒に過ごす方法を相談する
という考え方です。
東洋医学では「考え続けて休めない状態」をどう見る?
東洋医学では、心と身体を分けずに状態を見ていきます。
判定日のことを考え続け、
・胸や喉がつかえる
・ため息が増える
・肩や首に力が入る
・イライラと落ち込みを繰り返す
・寝つきが悪い
といった状態では、
肝鬱気滞(かんうつきたい)=緊張などによって気の巡りが滞っている状態
という見方をすることがあります。
また、
考え事が続いて、
・食欲が落ちる
・胃が重い
・軟便になりやすい
・疲れやすい
・眠りが浅い
という場合には、
脾虚(ひきょ)=胃腸の働きや身体を支える力が弱っている状態
として捉えることもあります。
ただし、
「検索してしまうのは体質のせい」
という意味ではありません。
東洋医学では、
今抱えている心の負担が、身体にどのように表れているか
も含めて見ていくということです。
今夜試したい「検索を終える3ステップ」
検索をゼロにするのではなく、今夜は終わり方をつくってみましょう。
1.最後に見る情報を一つ決める
医療機関の説明など、確認したいものを一つだけ見ます。
「もう一つだけ」を繰り返さないことがポイントです。
2.残った疑問をメモする
答えが出なかったことを、
「次の診察で確認すること」
として書きます。
頭の中に置いておかなくても大丈夫です。
3.スマートフォンを手から離す
充電場所へ置く。
別の部屋へ置く。
パートナーに預ける。
手の届きにくいところへ置くだけでも構いません。
そして、
「検索しなかった時間」
ではなく、
「今日はここで検索を終えられた」
ことを大切にしてください。
フライング検査までしたくなったときは
検索を続けていると、
「もう検査薬を使ってしまおうかな」
という気持ちになることがあります。
早く答えを知りたい。
陰性でも心の準備ができるかもしれない。
そう思うこともあるでしょう。
ただ、検査時期が早すぎれば、妊娠していてもhCGが十分に検出されず陰性になることがあります。
また、治療内容によっては使用したhCG製剤の影響が残り、結果の解釈が難しくなる場合もあります。
フライング検査については、8月12日の
「判定日前にフライング検査をしたくなるとき」
で医学的な注意点を詳しく整理します。
今夜はまず、
「早く答えを知りたいと思っている」
という自分の気持ちに気づくだけでも構いません。
不安が日常生活まで大きく変えているときは
不妊や不妊治療が、不安、落ち込み、孤立感など心理的な負担につながることがあります。
検索が増えていることそのものより、
・毎晩ほとんど眠れない
・仕事中も検索をやめられない
・食事がとれない
・不安で外出できない
・何をしていても治療のことしか考えられない
・強い落ち込みが続いている
など、日常生活への影響が大きくなっている場合は、一人で耐え続けないことも大切です。
主治医や医療機関の相談窓口、心理職などへ相談することも選択肢です。
心のケアも、不妊治療を続けていくうえで必要なサポートの一つです。
判定日まで、毎晩答え合わせをしなくても大丈夫
胚移植を終えてから判定日までは、
「今日なら何かわかるかもしれない」
と思う日が続きます。
でも、
身体の症状。
基礎体温。
おりもの。
胸の張り。
SNSで見つけた誰かの体験。
それらを毎晩集めても、判定日前に確実な答えを出すことはできません。
だから今夜は、
「わからないことを、わからないまま一晩置いておく」
という選択をしてみてもよいと思います。
答えを探さなかったからといって、治療にできることを怠ったわけではありません。
処方された薬を使う。
食べる。
水分をとる。
身体を休ませる。
そして眠る準備をする。
今できることは、それで十分です。
判定日は、きちんとやってきます。
今夜すべての答えを見つけなくても大丈夫です。
【参考・出典】
世界保健機関(WHO)「不妊の予防・診断・治療に関するガイドライン」
世界保健機関(WHO)「不妊症」
世界保健機関(WHO)「不妊とともに生きる」
欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)「不妊・生殖補助医療における日常的な心理社会的ケア」
Human Reproduction「不妊・生殖補助医療における日常的な心理社会的ケアのガイドライン」
判定日まで、心も身体も休まらない方へ
判定日までの時間は、
「何もしなくてよい時間」
ではなく、
結果がわからない状態を抱えながら過ごす時間
でもあります。
検索をやめようとしてもやめられない。
夜になると身体に力が入る。
寝つきが悪くなった。
食欲や胃腸の調子まで乱れてきた。
そんなときは、気持ちだけで何とかしようとしなくても構いません。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、病院での治療や服薬を大切にしながら、
・睡眠
・冷えやほてり
・疲労
・胃腸の状態
・身体の緊張
・月経の状態
・治療に伴う心身の負担
・日々の生活リズム
などを確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えています。
不安をなくすことを目標にするのではなく、
不安を抱えているときにも、身体を少し休ませられる状態をつくること。
それも、判定日を待つ時期の大切なサポートだと考えています。
「判定日のことを考えると眠れない」
「検索疲れも含めて、今の状態を一度整理したい」
という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

