排卵しているのに妊娠しないとき

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「毎月きちんと排卵していると言われている」

「排卵日も確認してタイミングを取っている」

「それなのに、どうして妊娠しないの?」

妊活を続けていると、こうした疑問が出てくることがあります。

排卵が確認できていると、

「妊娠する準備は整っているはずなのに」

と思ってしまいますよね。

しかし、妊娠は排卵だけで成立するものではありません。

排卵した卵子と精子が出会い、受精し、胚が育ちながら子宮へ移動し、子宮内膜に着床するまでには、いくつもの段階があります。

そのため、

排卵している=妊娠に関係するすべての条件に問題がない

という意味ではありません。

今回は「排卵しているのに妊娠しない」と感じたときに、どのようなことを確認していけばよいのかを整理していきます。

目次

妊娠までには「排卵のあと」にもいくつもの段階があります

自然妊娠では、大きく考えると、

  1. 卵胞が育ち、排卵する
  2. 精子が子宮から卵管へ進む
  3. 卵管で卵子と精子が出会う
  4. 受精する
  5. 受精卵(胚)が成長しながら子宮へ移動する
  6. 子宮内膜に着床する

という流れを経て妊娠が成立します。

つまり排卵は、とても重要ではありますが、妊娠までの一つのステップです。

排卵が確認できていても、その先に確認した方がよいポイントがあります。

1.タイミングが合っているか

まず確認したいのが性交のタイミングです。

卵子と精子にはそれぞれ生存できる時間があるため、排卵したあとだけを狙うのではなく、排卵前から精子が待っている状態をつくることが重要です。

一般的には排卵日の1~2日前から排卵日ごろが妊娠しやすい時期と考えられています。

ただし、

「排卵日を絶対に外してはいけない」

と考えすぎる必要はありません。

排卵日は毎周期まったく同じとは限らず、排卵検査薬もLHサージを捉えるもので、排卵そのものを直接確認しているわけではありません。

タイミング法を続けていてなかなか結果につながらない場合には、超音波検査などで卵胞の発育や排卵を確認しながら進める方法もあります。

2.卵管が通っているか

排卵した卵子と精子が出会う場所は、主に卵管です。

そのため、排卵が正常でも卵管が詰まっていたり、周囲に癒着があったりすると、卵子と精子が出会いにくくなります。

卵管の状態を確認する代表的な検査が、

子宮卵管造影検査(HSG)

です。

卵管の問題は自覚症状がないこともあります。

過去に、

  • クラミジア感染
  • 骨盤内の炎症
  • 子宮内膜症
  • 腹部や骨盤内の手術

などがある場合には、医療機関で相談しておきたいポイントです。

鍼灸によって閉塞した卵管を開通させることはできません。

だからこそ、医療機関で確認すべきことと、鍼灸で身体を整えることは分けて考えることが大切です。

3.男性側の状態も一緒に確認する

妊活というと、どうしても女性側の排卵や子宮に目が向きやすくなります。

しかし、不妊には男性側の要因も関係します。

精液検査では主に、

  • 精子濃度
  • 精子数
  • 運動率
  • 精液量

などを確認します。

排卵している女性が、

「私の身体の何が悪いんだろう」

と自分だけを責める必要はありません。

不妊の検査は、できるだけご夫婦を一つの単位として考えることが大切です。

まだ男性側の検査をしていない場合は、一度相談してみてもよいでしょう。

4.子宮の中に着床を妨げるものがないか

受精した胚が子宮まで到達しても、着床する場所である子宮内に問題がある場合があります。

たとえば、

  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内腔の癒着
  • 子宮の形態異常

などです。

すべての筋腫やポリープが妊娠の妨げになるわけではなく、場所や大きさによって影響は異なります。

超音波検査だけでなく、必要に応じて子宮鏡検査などが検討されることもあります。

「排卵しているのだから大丈夫」と考えるのではなく、必要に応じて卵子が出たあとの通り道や着床する場所まで確認することが大切です。

5.子宮内膜症などが隠れていないか

子宮内膜症も妊娠しにくさと関係する疾患の一つです。

特に、

  • 生理痛が年々強くなっている
  • 鎮痛薬が欠かせない
  • 性交時に痛みがある
  • 排便時に痛む
  • 生理以外にも骨盤周囲が痛む

という場合には、一度婦人科で相談してみてください。

子宮内膜症では、卵管周囲の癒着や骨盤内環境など、複数の要素が妊娠に影響する可能性があります。

6.年齢による影響もあります

女性の妊娠しやすさは年齢とともに変化します。

これは単純に、

「排卵しているかどうか」

だけでは判断できません。

排卵が毎月あっても、年齢とともに卵子の数は減少し、染色体の異常を持つ卵子の割合も増えていきます。

特に注意したいのが、

AMHが正常だから妊娠しやすい

あるいは、

AMHが低いから妊娠できない

とは言えないことです。

AMHは主に卵巣に残っている卵胞の数、つまり卵巣予備能を推測するために使われる検査です。

卵子の質を直接測る検査ではありません。

年齢やこれまでの治療経過と合わせて考える必要があります。

検査をしても原因が見つからないこともあります

排卵もしている。

卵管も通っている。

精液検査にも大きな問題がない。

子宮にも明らかな異常がない。

それでも妊娠に至らないことがあります。

このような状態を一般に、

原因不明不妊(unexplained infertility)

と呼びます。

これは、

「原因が絶対にない」

という意味ではありません。

現在行われている一般的な検査では、妊娠しない理由を一つに特定できないという意味です。

受精の過程、胚の発育、卵子や精子のさまざまな要素など、通常の検査だけではすべてを確認できるわけではありません。

だからこそ、

「検査で異常がないのに妊娠しない=私の努力が足りない」

と考えないでください。

どのくらい妊娠しなければ相談した方がいい?

一般的には、

  • 35歳未満:避妊せず性交を続けて1年間妊娠しない
  • 35歳以上:6か月妊娠しない
  • 40歳を超える場合:より早めの相談

が不妊検査を考える一つの目安です。

ただし、

  • 月経不順がある
  • 子宮内膜症が疑われる
  • 卵管の病気や骨盤内炎症の既往がある
  • 男性側の不妊が疑われる
  • 卵巣機能に影響する既往がある

などの場合は、この期間を待つ必要はありません。

年齢や状況によって時間の持つ意味が異なるため、

「まだ1年経っていないから」と自己判断で待ち続けないこと

も大切です。

東洋医学では「排卵しているか」だけでは身体を見ません

東洋医学では、妊活中の身体を排卵の有無だけで判断しません。

たとえば、

  • 月経の状態
  • 生理痛
  • 冷えやのぼせ
  • 睡眠
  • 胃腸の調子
  • 便通
  • 疲れやすさ
  • 首肩の緊張
  • ストレス
  • 手足とお腹の温度差

などを合わせて見ていきます。

同じ「排卵しているのに妊娠しない」という方でも、

疲れが強い方と、緊張が強い方。

胃腸が弱っている方と、月経痛が強い方。

治療を始めたばかりの方と、採卵や移植を繰り返している方。

身体の状態はそれぞれ違います。

そのため鍼灸でも、全員に同じ施術をするのではなく、その時の身体と治療段階を確認しながら整えていくことが重要になります。

セルフケアだけで頑張り続けなくて大丈夫です

妊娠しない期間が長くなると、

「食事を変えた方がいい?」

「もっと運動した方がいい?」

「身体を温めた方がいい?」

「サプリを増やした方がいい?」

と、できることを次々に探したくなることがあります。

もちろん、基本的な生活習慣を整えることは大切です。

ただし、妊娠しない原因が卵管閉塞や精子の状態、子宮内の病変などにある場合、セルフケアだけで解決するものではありません。

まず必要な医療検査を受ける。

そのうえで、日々の身体を整えていく。

「医療機関での検査」と「日常のセルフケア」を分けて考えることが大切です。

妊活中に鍼灸を取り入れるメリットはどこにある?

鍼灸は、

卵管の詰まりを治したり、子宮内ポリープをなくしたり、精液検査の異常を直接治療したりするものではありません。

また、「鍼灸をすれば妊娠できる」と断定できるものでもありません。

では、なぜ妊活中に鍼灸を取り入れる方がいるのでしょうか。

妊活や不妊治療では、

  • 通院が続いて身体が疲れる
  • 採卵や移植を考えて緊張する
  • 睡眠が浅くなる
  • 首や肩が常にこわばる
  • 胃腸の調子を崩す
  • 生理痛や冷えが気になる
  • 結果を待つ時間がつらい

など、妊娠そのものとは別の負担が身体に積み重なることがあります。

鍼灸は、こうした治療と一緒に抱えている身体の不調や緊張を整え、妊活を続けやすいコンディションをつくっていくための補助的な方法として取り入れることができます。

不妊治療中の女性を対象とした研究では、鍼灸によって不安が軽減する可能性も報告されています。

ただし、研究の確実性にはまだ限界があり、鍼灸だけで妊娠率や出生率が高くなると断定できる段階ではありません。

当院でも、

「妊娠率を上げるためだけに鍼灸をする」

とは考えていません。

治療を受ける身体そのものを、できるだけよい状態で保っていく。

そのための一つのサポートとして鍼灸を考えています。

当院では「今どの段階にいるのか」まで確認します

蓮心はり灸堂では、

「不妊だから同じ施術」

という考え方はしていません。

たとえば、

  • タイミング法を行っている
  • 人工授精を予定している
  • 採卵に向けて卵胞を育てている
  • 採卵後で身体が疲れている
  • 胚移植を予定している
  • 治療を一周期休んでいる

などによって、身体にかかっている負担も、必要なサポートも異なるからです。

初回のカウンセリングでは、治療歴や検査結果だけでなく、

  • 月経周期
  • 睡眠
  • 胃腸
  • 便通
  • 冷え
  • 疲労
  • 生理痛
  • 首肩の緊張
  • 現在の通院予定

などを一緒に確認します。

そして、

「今は何を優先して整える時期なのか」

を考えながら施術を組み立てていきます。

検索を続けてセルフケアを増やすより、一度身体の状態を整理してみることで、

「今はこれをすればいい」

と妊活を少しシンプルにできることもあります。

排卵しているのに妊娠しないときに、まず確認したい3つ

最後に、今日からできることを3つに絞ります。

1.これまで受けた検査を書き出す

排卵だけでなく、

  • 卵管
  • 子宮
  • ホルモン
  • 精液検査

など、何を調べたことがあるのか整理してみましょう。

「検査したと思うけれど内容が分からない」という場合は、次回の受診時に確認しても構いません。

2.ご夫婦で検査状況を共有する

女性側だけで検査を進めている場合は、男性側についても一度確認してみましょう。

どちらか一方を責めるためではなく、

二人で妊娠までの条件を確認していく

という考え方が大切です。

3.日常の身体の不調も治療とは別にメモしておく

通院内容だけでなく、

  • 睡眠
  • 疲れ
  • 生理痛
  • 胃腸
  • 冷え
  • 気持ちの落ち込み

なども簡単に記録しておくと、自分の身体の変化が見えやすくなります。

全部を完璧に記録する必要はありません。

「今周期はよく眠れなかった」

程度でも十分です。

「排卵しているのに」という言葉で、自分を追い込まないでください

排卵している。

タイミングも合わせている。

生活にも気をつけている。

それでも結果が出ないと、

「これ以上、何をすればいいの?」

と思うことがあります。

でも妊娠は、一つの努力だけで結果が決まるものではありません。

排卵だけではなく、精子、卵管、受精、胚の発育、子宮内環境など、さまざまな条件が関係しています。

だから、

妊娠しない=あなたの身体づくりが足りない

ということではありません。

必要なところは医療機関で調べてもらい、

自分では整えにくい身体の疲れや緊張については、誰かの力を借りてもいい。

妊活は、全部を一人で抱える必要はありません。

このテーマの続きは、**9月8日21:00公開予定「排卵しているのに結果が出ない夜の心の守り方」**で、結果が出ない周期が続いたときの気持ちとの向き合い方についてお話しします。

検査を進めながら、身体も一緒に整えたい方へ

「検査では大きな問題がないと言われたけれど、なかなか結果につながらない」

「次の人工授精や採卵までに、身体の状態も整えておきたい」

「治療のことばかり考えて、身体も気持ちも疲れている」

そんなときは、検査や治療と並行して鍼灸を取り入れる方法もあります。

蓮心はり灸堂では、不妊治療の内容や今後の予定も確認しながら、その時期の身体に合わせた妊活サポートを行っています。

何かをさらに頑張るためではなく、

今の身体に必要なことを整理し、治療を続けやすい状態を一緒につくっていく。

そのような場所としてご相談いただければと思います。

参考・出典

日本産科婦人科学会「不妊症」

アメリカ生殖医学会(ASRM)「女性不妊症の評価に関する委員会意見」

アメリカ産科婦人科学会(ACOG)「不妊症の評価」

欧州生殖医学会(ESHRE)「原因不明不妊症ガイドライン」

Reproductive BioMedicine Online「IVFに関連する不安に対する鍼灸の効果に関するシステマティックレビュー・メタ解析」

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