男性不妊を夫婦で話し合う最初の一歩

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「一度、精液検査を受けてほしい」

そう思っているのに、なかなか言い出せない。

妊活中には、そんなことがあります。

こちらは責めたいわけではない。

ただ、女性側だけでなく男性側も一度確認してほしい。

それなのに言葉にすると、

「あなたにも原因があるかもしれない」

と言っているように聞こえそうで、話を切り出せなくなることがあります。

11月2日朝の記事「男性不妊の基本 まず何から始める?」では、男性不妊ではまず精液検査などで現在の状態を確認することが大切だとお伝えしました。

でも、実際の夫婦の間では、

「検査が必要だと分かること」と「それを相手に言えること」は別の難しさがあります。

今夜は、男性不妊について夫婦で話し始めるときの最初の一歩を考えてみます。

目次

「あなたを調べたい」ではなく「二人とも確認したい」

男性側へ検査の話をするとき、

「あなたも検査した方がいいんじゃない?」

という言い方になることがあります。

間違った言葉ではありません。

ただ、言われた側は、

「自分に問題があると言われている」

と感じることがあります。

そんなときは、

「どちらに原因があるかを決めたいのではなくて、一度二人とも確認しておきたい」

という伝え方に変えてみてもいいと思います。

女性側の状態を調べ、男性側の状態も調べる。

その結果を合わせて、これからどうするか考える。

妊活では、それが自然な流れです。

「あなたの検査」ではなく、

「二人の妊活に必要な確認」

として話してみてください。

女性側の「もう十分頑張っている」も伝えていい

一方で、

「優しく言わなければ」

と女性側だけが我慢する必要もありません。

採血。

内診。

卵管検査。

自己注射。

採卵。

胚移植。

治療が進むほど、女性側には身体的な負担が増えていきます。

その中で男性側の検査が進んでいなければ、

「どうして私ばかり」

と思うことがあっても不思議ではありません。

そんなときは、

「あなたを責めたいわけではないけれど、私一人で検査や治療を進めているように感じて、少ししんどい」

と、相手の問題ではなく自分の気持ちとして伝える方法があります。

「あなたは何もしてくれない」

ではなく、

「私は今、少し一人で背負っているように感じている」

同じ内容でも、受け取られ方が変わることがあります。

男性側にも怖さがあるかもしれません

精液検査に抵抗を感じる男性もいます。

検査そのものへの恥ずかしさだけではありません。

「もし自分に原因があったらどうしよう」

「結果が悪かったら妻に申し訳ない」

そんな不安を口にできず、

「まだ検査しなくてもいいんじゃない?」

という言葉になっていることもあります。

もちろん、すべての男性がそうだとは限りません。

ただ、検査を嫌がっているように見えるとき、その奥に不安がある可能性も考えてみると、会話の入口が少し変わります。

すぐに説得するより、

「検査の何が一番気になる?」

と聞いてみる。

それだけでもいいと思います。

話すタイミングを選ぶことも大切

話す内容だけでなく、

いつ話すか

も大切です。

仕事から帰ってきた直後。

寝る直前。

病院から帰ってきて気持ちが落ち込んでいるとき。

そんな時間に大切な話を始めると、お互いに余裕がなく、言葉が強くなることがあります。

できれば、

「少し妊活のことを話したいんだけど、今大丈夫?」

と一言確認してから始めてみてください。

相手が、

「今日は疲れているから明日でもいい?」

と言ったら、それも一つの答えです。

話をしないのではなく、

話せる状態のときに話す。

それも夫婦で妊活を続けるための工夫です。

一度の話し合いで全部決めなくていい

男性不妊について話し始めると、

検査を受けるのか。

いつ受けるのか。

生活習慣をどうするのか。

今後の治療をどうするのか。

いろいろ決めたくなるかもしれません。

でも、一晩ですべて決める必要はありません。

今夜は、

「一度、男性側も検査してみようか」

まで。

次は、

「どこで検査を受けるか」

を調べる。

それくらいで十分です。

妊活の話し合いは、一度行えば終わる会議ではありません。

治療の段階が変われば、二人の気持ちも変わります。

そのたびに少しずつ話せばいいのです。

「二人とも同じ熱量」でなくてもいい

妊活について、

女性は毎日考えている。

男性は、必要なときだけ考える。

そんな温度差に苦しくなることがあります。

「どうしてもっと真剣に考えてくれないの?」

と思うこともあるでしょう。

でも、二人がまったく同じタイミングで、同じ強さで不安を感じるとは限りません。

大切なのは、

同じ感情になることより、相手が何を感じているのかを知ろうとすること。

そして、

「自分にできることは何か」

をそれぞれが考えることです。

男性側が毎日妊活について検索する必要はありません。

でも、

精液検査を受ける。

診察日を把握する。

生活習慣を見直す。

話を聞く。

そうした形で参加することはできます。

話し合いが「反省会」にならないように

妊活中の話し合いが、

「最近寝るの遅いよね」

「またお酒飲んでたよね」

「もっと運動した方がいいんじゃない?」

と、生活習慣の採点になってしまうことがあります。

すると、男性側も、

「何をしても注意される」

と感じてしまいます。

生活を整えることは大切ですが、妊活は100点の生活を競うものではありません。

一緒にできそうなことを一つだけ選んでみてください。

「平日は少し早く寝ようか」

「休肝日を一日作ろうか」

「今度の休みに一緒に歩こうか」

それくらいでも十分です。

11月6日21時の記事「精子の質を支える生活習慣を夫婦で見直す」では、男性側だけに宿題を増やさず、夫婦で取り組みやすい生活習慣についてもう少し具体的にお伝えします。

うまく話せないなら、二人だけで解決しなくてもいい

夫婦だから、

何でも二人で話し合えて当然。

そう思わなくても大丈夫です。

妊活は、年齢、身体、仕事、お金、将来など、普段はあまり話さないことまで考える必要があります。

だから、話がぶつかることもあります。

11月4日朝の記事「妊活の相談に夫婦で来るという選択」でもお伝えしたように、二人だけで整理しづらいときは、一緒に相談するという方法もあります。

第三者が間に入ることで、

「私はこう思っていた」

「そんなふうに感じていたんだ」

と初めて分かることもあります。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、どちらかを説得するためではなく、今の状況を一緒に整理することを大切にしています。

男性側の検査について。

女性側の治療について。

生活について。

今後どうしていきたいのか。

まとまっていなくても構いません。

今夜は「一緒に考えてほしい」から始めてみる

男性不妊について話すとき、

完璧な言葉を探さなくても大丈夫です。

「検査を受けて」

と言いづらいなら、

「これからのことを、一緒に考えてほしい」

から始めてみてください。

そのあとで、

「私だけじゃなくて、一度二人とも身体のことを確認しておきたいと思ってる」

と伝える。

それで十分です。

妊活を二人で行うというのは、すべてを半分ずつ背負うことではありません。

身体の負担まで同じにはできません。

だからこそ、

一人に偏っているものを少しずつ二人の間へ戻していく。

男性不妊について話すことも、そのための最初の一歩です。

参考・出典

・日本泌尿器科学会「男性不妊症診療ガイドライン2024年版」
・World Health Organization「Guideline for the prevention, diagnosis and treatment of infertility」
・European Society of Human Reproduction and Embryology「Routine psychosocial care in infertility and medically assisted reproduction」

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