男性不妊の基本 まず何から始める?

男性不妊とご夫婦で取り組む妊活ケアを表すブログ画像

妊活を始めると、どうしても女性側の検査や通院が先に進みやすくなります。

基礎体温を測る。
排卵日を確認する。
ホルモン検査を受ける。
卵管の状態を調べる。

気づけば、

「女性側の検査はたくさん受けたけれど、男性側はまだ何も調べていない」

というご夫婦も少なくありません。

でも、不妊の原因は女性側だけにあるものではありません。

日本泌尿器科学会でも、不妊に悩むカップルのおよそ半数では男性側にも原因が関係するとされています。

だからこそ、妊活はどちらか一人が頑張るものではなく、夫婦二人の身体を一緒に確認していくことが大切です。

では、男性側はまず何から始めればよいのでしょうか。

目次

まず受けたいのは「精液検査」

男性不妊を調べるとき、基本となるのが精液検査です。

精液検査では、

・精液量
・精子濃度
・精子の数
・運動率
・精子の形態

などを確認します。

「検査」というと大がかりなものを想像するかもしれませんが、男性不妊の入口として広く行われている基本的な検査です。日本生殖医学会も、男性側の一般的な検査として精液検査を挙げています。

女性側の検査をすべて終えてから男性が検査する必要はありません。

むしろ、女性側の検査や治療と並行して男性側も確認しておくことで、遠回りを減らせることがあります。

一度の結果だけで決めつけないことも大切

精液検査で、

「運動率が低かった」
「精子の数が少なかった」

と言われると、強いショックを受ける方もいます。

でも、精液の状態はいつもまったく同じではありません。

体調や睡眠、発熱、生活状況などによって変動することがあり、一度の検査だけでは判断できない場合があります。

そのため、結果に異常がみられた場合には、必要に応じて再検査を行いながら評価していきます。

数値を見た瞬間に、

「自分には妊娠させる力がない」

と結論を出す必要はありません。

精液検査は合否を決める検査ではなく、今後どう進めるかを考えるための情報の一つです。

精液検査だけでは分からないこともあります

精液検査に変化があった場合や、不妊期間が長くなっている場合には、泌尿器科、できれば男性不妊を扱う医療機関で詳しく調べることがあります。

たとえば、

・これまでの病気や手術歴
・服用している薬
・精巣の状態
・精索静脈瘤の有無
・ホルモンの状態
・勃起や射精に関する問題

などを確認します。

必要に応じて血液検査や超音波検査などが行われることもあります。

男性不妊には、精子をつくる働きの問題だけでなく、精子の通り道の問題や、勃起・射精など性機能の問題など、さまざまな原因があります。

精液検査の結果だけを見て自己判断するのではなく、異常を指摘された場合は専門的な評価につなげることが大切です。

「精索静脈瘤」という原因が見つかることもあります

男性不妊について調べていると、

「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」

という言葉を目にすることがあります。

これは、精巣周辺の静脈に血液がたまり、静脈が拡張した状態です。

男性不妊の診療では重要な原因の一つで、身体診察や超音波検査などによって確認します。日本泌尿器科学会の診療情報でも、男性不妊で比較的よくみられる原因として取り上げられています。

すべての方に治療が必要なわけではありませんが、状態によっては泌尿器科で治療を検討する場合があります。

だからこそ、

「サプリメントを飲んで様子を見よう」

だけで終わらせるのではなく、一度原因を確認しておくことが大切です。

生活習慣も「男性側の妊活」の一つ

男性側でできることは、検査だけではありません。

日々の生活も見直してみましょう。

特に、

・睡眠不足
・喫煙
・過度の飲酒
・運動不足
・体重管理
・偏った食生活

などは、妊活を考えるうえで確認しておきたいポイントです。

WHOも、妊娠を希望する男女に対して、健康的な食事や身体活動、禁煙などの生活習慣を整えることを推奨しています。

ただし、

「精子のために全部変えないと」

と極端になる必要はありません。

夜更かしが続いているなら、少し早く寝る。

喫煙しているなら、禁煙について考えてみる。

お酒が多いなら、休肝日をつくる。

できるところから一つずつで十分です。

10月29日朝の記事
「男性の睡眠不足と精子への影響」
でもお伝えしたように、男性側の身体づくりも、短期間だけ頑張るより、無理なく続けられる習慣として考えることが大切です。

サプリメントを飲む前に、まず検査という選択

男性妊活というと、

「亜鉛を飲んだ方がいい?」
「コエンザイムQ10は?」
「抗酸化サプリが必要?」

と、最初にサプリメントを考える方もいます。

もちろん、栄養状態を整えることは大切です。

ただ、男性不妊にはさまざまな原因があります。

原因を確認しないまま、多くのサプリメントを追加していくより、

まず現在の状態を調べること

を優先してもよいでしょう。

特に精液検査で明らかな異常がみられる場合は、自己流だけで長く様子を見るのではなく、男性不妊を扱う医師に相談することをおすすめします。

検査を受けることは、

「悪いところを探す」

ためだけではありません。

何も大きな問題がなければ、それも夫婦にとって大切な情報になります。

男性側の検査を言い出しにくいとき

実際には、

「夫に精液検査を受けてほしいと言いづらい」

という声もよく聞きます。

男性側も、

「自分に原因があったらどうしよう」

「検査を受けるのが恥ずかしい」

「まだそこまでしなくてもいいのでは」

と感じることがあります。

ここで、

「私はこんなに検査を受けているのに」

と言いたくなることもあるでしょう。

それだけ女性側の負担が大きくなっているということでもあります。

ただ、

「あなたに原因があるかもしれないから調べて」

と言われると、責められているように感じる人もいます。

たとえば、

「どちらに原因があるかを決めたいわけじゃなくて、二人とも一度確認しておきたい」

と伝える。

それだけでも受け取り方が変わることがあります。

妊活では、原因を「どちらのせいか」に分けることよりも、

二人に必要な情報を集めて、次の選択につなげること

の方が大切です。

この続きは11月4日夜公開の
「男性不妊を夫婦で話し合う最初の一歩」
で、男性側の検査や生活習慣について、夫婦でどう話し始めるかをもう少し具体的にお伝えします。

男性だけを「温めすぎる」必要はありません

妊活では、

「身体を冷やさないように」

とよく言われます。

女性側では冷えを気にしている方も多いため、

「夫も温めた方がいいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、男女では身体のつくりも異なります。

男性の場合、精巣は身体の外側にある陰嚢に位置しています。

そのため、妊活中だからといって、男性側まで長時間強く温め続ければよいというわけではありません。

今月は、

「男性のサウナ習慣は妊活にどう影響する?」

という記事でも、男性の「温めすぎ」について詳しく取り上げる予定です。

男女ともに同じ妊活方法をするのではなく、それぞれの身体に合わせて考えることが必要です。

鍼灸でも「男性側も一緒に考える」

妊活の鍼灸というと、

「女性が受けるもの」

と思われるかもしれません。

でも当院では、妊活は女性だけの問題とは考えていません。

女性側の身体を整えることはもちろん、

男性側についても、

睡眠。
疲労。
冷えやほてり。
胃腸の状態。
仕事のストレス。
生活リズム。

などを一緒に確認していきます。

ただし、精液検査に異常がある場合や男性不妊が疑われる場合は、まず泌尿器科などで原因を調べることが大切です。

鍼灸だけで男性不妊の原因を診断したり、医療機関で必要な検査や治療の代わりにしたりすることはできません。

医療機関で必要な検査を受けながら、そのうえで毎日の生活や身体の状態を整えていく。

当院では、そのような形で妊活を支えていきたいと考えています。

まずは「二人とも調べる」から始めてみる

男性不妊について、

「何から始めればいいですか?」

と聞かれたら、まずお伝えしたいのは、

男性側も一度、現在の状態を確認してみること

です。

女性側だけが何度も検査を受け続ける必要はありません。

まず精液検査を受ける。

必要なら泌尿器科で詳しく調べてもらう。

そのうえで、

睡眠。
食事。
運動。
喫煙や飲酒。

など、今の生活の中でできることを少しずつ見直していく。

それで十分です。

妊活を、

「妻が治療を受けて、夫が応援するもの」

にしない。

二人それぞれが、自分にできることを少しずつ受け持つ。

そこから始めてみてください。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、ご夫婦で妊活について相談していただくこともできます。

「男性側は何を確認したらいい?」
「生活習慣をどう変えたらいい?」
「病院の検査と鍼灸をどう組み合わせたらいい?」

そんな段階からでもかまいません。

今の状況を一緒に整理しながら、無理なく続けられる身体づくりを考えていきます。

参考・出典

・日本泌尿器科学会「男性不妊症診療ガイドライン2024年版」
・日本泌尿器科学会「パートナーがなかなか妊娠しない」
・日本生殖医学会「生殖医療Q&A」
・World Health Organization「Guideline for the prevention, diagnosis and treatment of infertility」
・World Health Organization「WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition」

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