8月も今日で終わりです。
妊活をしていると、
「9月から何を始めよう」
「もっと身体にいいことをした方がいいかな」
と、次に“足すこと”を考えたくなるかもしれません。
でも、この時期に一度見直したいのは、
新しく何かを増やすことより、夏の間にたまった負担をそのまま秋へ持ち越していないか
ということです。
睡眠、食事、胃腸、疲労、そして治療を続ける中での緊張。
8月最後の今日は、身体を一度整理してみましょう。
この記事のポイント
・9月になったからと急に「秋仕様」へ変える必要はありません
・夏の暑さや睡眠不足による疲れが残っていないか確認する
・食事やサプリを増やすより、まず今の状態を整理する
・妊活では心身の疲れも無視しないことが大切
・鍼灸は治療段階と身体の変化を継続して見ていく選択肢の一つです
8月の終わりに確認したいのは「結果」だけではありません
今月、
採卵をした。
胚移植をした。
判定日を迎えた。
次の治療方針が決まった。
あるいは、思うように治療が進まなかった。
妊活では、どうしてもこうした「結果」で1か月を振り返りがちです。
でも、身体の変化も少し思い出してみてください。
以前より眠れているか。食欲や胃腸の調子はどうか。朝の疲労感は残っていないか。冷えすぎたり、反対にほてりが強くなったりしていないか。
妊娠したかどうかだけが、身体を見る唯一の物差しではありません。
秋へ持ち越したくない4つのこと
1.夏の疲れと睡眠不足
暑い夜が続くと、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりして、気づかないうちに睡眠不足が積み重なることがあります。
また、暑さそのものも身体へ負担をかけます。
WHOは2026年の暑熱対策でも、高温は疲労や熱中症を引き起こすだけでなく、身体への負担になるため、身体を涼しく保ち、定期的に水分をとることを勧めています。
「秋だから身体を温めなければ」
と急ぐ必要はありません。
まだ暑い日は冷房を使い、水分をとり、まず眠れる環境をつくることを優先しましょう。
2.胃腸の疲れと食事の乱れ
夏は、冷たい飲み物、食欲低下、麺類だけの食事、甘い飲み物などが増えやすい時期です。
反対に、
「妊活にいいものを食べないと」
と食事を頑張りすぎている方もいます。
妊活では特定の食品を一つ増やしたからといって、妊娠しやすさが決まるわけではありません。
米国生殖医学会(ASRM)も、特定の食事法や栄養素によって自然妊娠率が高まるとする十分な根拠はなく、まず健康的な食生活を整えることを勧めています。
9月に向けて、
「妊活にいい食べ物を探す」より、「普通の食事を無理なく食べられているか」を確認する。
そこからで十分です。
3.増えすぎたサプリ
葉酸、ビタミンD、鉄、CoQ10など、妊活を続けるうちにサプリが増えている方もいます。
一つひとつには目的があっても、複数の商品を組み合わせると同じ成分が重なることがあります。
だから月末は、
「次に何を追加する?」
ではなく、
「今、何をどれくらい飲んでいる?」
を確認する良いタイミングです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」は現在2025年版が使用されています。栄養素には不足だけでなく過剰摂取にも注意が必要なものがあるため、サプリは食事や検査結果も含めて考えることが大切です。
詳しい考え方は、「妊活中に避けたい自己流サプリの重ね飲み」でも解説しています。
4.治療を頑張り続けた身体の緊張
妊活の疲れは、身体だけではありません。
採卵結果を待つ。
胚の成長を待つ。
胚移植を待つ。
判定日を待つ。
一つ終わると、また次の予定があります。
WHOの2025年不妊ガイドラインでも、不妊は心理的な苦痛や不安、社会的孤立につながることがあり、心理社会的なサポートの必要性が示されています。
「まだ頑張れるから大丈夫」
だけで終わらせず、
眠れているか、食べられているか、身体に力が入り続けていないかも振り返ってみてください。
秋だから「温める」を増やしすぎなくて大丈夫
東洋医学では、季節の変化に合わせて身体を整える考え方があります。
ただし、
9月になった瞬間に冷たいものを全部やめる。
厚着をする。
長時間半身浴をする。
温活を増やす。
という必要はありません。
まだ暑い日に身体を温めすぎれば、かえって眠りにくくなったり、疲れてしまったりすることがあります。
季節ではなく、今の身体に合わせる。
これが大切です。
処暑から秋に向けた身体の整え方は、「【処暑】処暑のころに整えたい夏のダメージ」でも詳しくお伝えしています。
東洋医学では、夏の終わりの状態をどう見る?
この時期は「夏バテ」という一言だけでなく、どんな疲れ方をしているかを見ていきます。
気虚(ききょ)|体力を消耗しているタイプ
朝から疲れる、少し動くだけでしんどい、汗をかくとぐったりするなど、身体を動かす力が不足している状態として考えます。
脾虚(ひきょ)|胃腸が疲れているタイプ
食欲がない、食後に重い、お腹がゆるい、疲れると胃腸の調子が落ちるなどが目立つタイプです。
湿(しつ)|重だるさが残るタイプ
身体が重い、むくみやすい、頭が重い、胃がすっきりしないなど、余分な水分の偏りとして捉えることがあります。
気陰両虚(きいんりょうきょ)|暑さで消耗したタイプ
疲れているのにほてる、口が乾く、寝汗が気になる、休んでも回復しにくいといった状態です。
これらは医学的な診断名ではなく、東洋医学で身体の状態を整理するための見方です。
9月へ向けて、まず3つだけ整える
新しい健康法を増やす前に、まず次の3つを確認してみてください。
1.眠れる環境をつくる
「秋だから冷房をやめる」ではなく、暑ければ適切に使います。寝不足を翌月へ持ち越さないことを優先しましょう。
2.食事を一度シンプルに戻す
主食、主菜、副菜を基本に、食欲や胃腸の状態に合わせます。「妊活にいいもの」を毎食探す必要はありません。
3.薬とサプリを一度整理する
商品名、1日の摂取量、成分量、処方薬を一度書き出します。増やす判断は、そのあとで十分です。
完璧にできなくても構いません。
一つ整えば、それも9月への準備です。
妊活では「一か月ごとの身体の変化」を見ていくことも大切です
不妊治療は、
採卵。
胚移植。
判定。
次の周期。
と、治療の段階が変わります。
そのたびに、使用する薬や身体の負担も変わります。
鍼灸のメリットの一つは、その時だけの症状を見るのではなく、治療の流れに合わせて身体の変化を継続して確認できることです。
睡眠、胃腸、便通、疲労、冷えやほてり、月経の状態、身体の緊張などを、その時の治療段階と一緒に見ていきます。
妊活に鍼灸を取り入れることにも前向きな研究があります
2026年に発表された42の研究・9,390人をまとめた大規模な解析では、IVF・ICSI・胚移植などの生殖補助医療に鍼灸を取り入れたグループで、
妊娠に至った割合が比較したグループより約25%高く、着床した割合も約16%高い結果
が報告されました。
これは「妊娠率が25ポイント上がる」という意味ではなく、鍼灸を受ければ必ず妊娠できるということでもありません。また、出生率については明確な差が確認されず、研究の確実性にも課題があります。
それでも、
病院で必要な不妊治療を受けながら、鍼灸を身体づくりとして併用することには前向きな研究結果があります。
さらに同じ解析では、胚移植の日だけではなく、卵巣刺激など治療周期の中で鍼灸を取り入れた研究にも前向きな結果がみられました。ただし、最適な時期や施術回数はまだ決まっていません。
だからこそ、
「移植の日だけ何かをする」のではなく、採卵前、採卵後、移植周期、治療のお休み期間まで、その時々の身体を見ながら整えていく。
そんな鍼灸の取り入れ方があります。
9月は「もっと頑張る」から始めなくていい
8月にできなかったことを、
9月から全部やり直す必要はありません。
早く寝られなかった。
食生活が乱れた。
運動できなかった。
サプリが増えた。
不安になって検索ばかりしてしまった。
それを反省材料だけにしなくて大丈夫です。
まず、
「今の身体に何が残っているかな?」
と見直してみてください。
疲れているなら休む。
胃腸が弱っているなら食事を整える。
眠れていないなら睡眠を優先する。
治療のことで身体まで張りつめているなら、ゆるめる時間をつくる。
9月の妊活は、
新しいことを足すところからではなく、8月に頑張った身体を整えるところから始めてもいいのです。
【参考・出典】
世界保健機関(WHO)「暑い時期に身体を守るための健康アドバイス」
世界保健機関(WHO)「不妊の予防・診断・治療に関するガイドライン」
米国生殖医学会(ASRM)「自然妊娠の可能性を高めるための考え方」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
Frontiers in Endocrinology「生殖補助医療に併用する鍼治療のタイミングと施術量に関するメタ解析・ネットワークメタ解析」
秋に向けて、妊活の身体を一度整えたい方へ
妊活を続けていると、
次の検査、次の採卵、次の胚移植と、
どうしても先の予定に目が向きます。
でも、その治療を受けるのは今のあなたの身体です。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、現在の治療段階や使用している薬だけでなく、睡眠、胃腸、疲労、冷えやほてり、月経の状態なども確認しながら施術を行っています。
病院で必要な不妊治療を受けながら、
次の治療へ進む身体も、鍼灸で一緒に整えていく。
秋から妊活を頑張り直すのではなく、まず今の身体を確認するところから始めてみませんか。

