着床の時期に気をつけたい生活習慣

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排卵が終わると、少し気持ちが落ち着く一方で、
「ここからどう過ごせばいいのだろう」
と不安が強くなる方は少なくありません。

動きすぎないほうがいいのかな。
コーヒーはやめたほうがいいのかな。
仕事や家事はどこまでしていいのかな。
着床の時期は、正解が分からないまま、心だけが先に疲れてしまいやすい時期です。

まず最初にお伝えしたいことがあります。
着床の時期にいちばん大切なのは、特別なことを増やすことではなく、体と気持ちを乱しすぎないことです。
「これをしたら着床する」という生活習慣はありません。
でも、睡眠不足、喫煙、飲酒のしすぎ、無理な我慢、体を追い込みすぎる生活は、妊活中の心と体に負担を重ねやすくなります。

目次

着床の時期とは、どのくらいのタイミングでしょうか

着床は、受精卵が子宮内膜にもぐり込んでいく過程のことです。
人での研究では、うまくいく妊娠の多くで、着床は排卵後8〜10日ごろに起こると報告されています。
そのため、排卵後から生理予定日前後までは、気持ちが揺れやすい時期でもあります。

ここで大事なのは、
この時期は「何かをしないといけない期間」ではない
ということです。
着床は、意識してコントロールできる行為ではありません。
だからこそ、必要以上に自分を縛らないことが大切です。

生活習慣でまず意識したいのは、睡眠です

着床の時期は、少しの違和感にも敏感になりやすく、夜に検索が止まらなくなる方もいます。
けれど、アメリカの疾病対策センター(CDC)は、良い睡眠は健康だけでなく感情面のウェルビーイングにも重要だと案内しています。
睡眠不足は、不安や抑うつなどとも関連します。

妊活中に必要なのは、完璧な睡眠ではありません。
まずは、

  • 寝る時間を大きくずらしすぎない
  • 寝る直前まで検索を続けない
  • 夜遅い食事やカフェインを重ねすぎない

このくらいでも十分です。
着床の時期ほど、「早く寝なきゃ」と追い込むより、眠りやすい流れを作ることを大切にしてみてください。

食事は「着床にいい物を足す」より「乱しすぎない」が基本です

この時期になると、
パイナップルがいい
温かい物だけにしたほうがいい
特定の食べ物を食べるべき
といった情報が気になりやすくなります。

でも、アメリカの生殖医学会(ASRM)は、妊娠を目指す人には健康的な生活習慣と食事を勧める一方、特定の食品で妊娠率を上げるとは示していません。
また、妊娠を望む女性には葉酸400µgを毎日とることを勧めています。

つまり、着床の時期に本当に大切なのは、

  • 食事を抜きすぎない
  • 冷たい物と甘い物を重ねすぎない
  • 胃腸が重くなる食べ方を続けすぎない
  • 葉酸を毎日続ける

という、地味だけれど崩れにくい形です。
特別な「着床ごはん」より、普段の土台を乱さないことのほうが大切です。

カフェインとアルコールは「ゼロか100か」で考えすぎないことも大切です

妊活中は、コーヒーを1杯飲んだだけでも、
「着床に影響しないかな」
「飲まない方がよかったのかな」
と不安になることがあります。

カフェインについては、ASRMでは、妊娠を目指す時期には摂りすぎを避け、最小限から中等度までにとどめることが勧められています。
また、ACOG(アメリカ産科婦人科学会)では、妊娠中のカフェイン摂取について、1日200mg未満であれば、流産や早産の大きな要因とは考えにくいとされています。

そのため、着床の時期にコーヒーや紅茶を飲んだとしても、「1杯飲んだからもうだめ」と考えすぎる必要はありません。
大切なのは、量を増やしすぎないこと、そしてエナジードリンクなどカフェイン量が多くなりやすい飲み物を習慣的に摂らないことです。

一方で、アルコールについては少し考え方が異なります。

着床の時期は、まだ妊娠検査薬で反応が出る前であっても、すでに妊娠が成立している可能性があります。日本の公的機関や専門機関でも、以下のように指導されています。

  • 日本産婦人科医会: 妊娠中は少量であっても飲酒を避けるように指導することが大切。
  • 厚生労働省: 胎児性アルコール・スペクトラム障害には治療法がなく、妊娠中に飲酒しないことが唯一の対処法。

そのため、着床期から生理予定日までの時期は、妊娠している可能性を考えて、アルコールは控えるのが基本です。

ただし、ここで一番お伝えしたいのは、
「飲んでしまった自分を責めすぎないでほしい」
ということです。

妊娠に気づく前に飲酒してしまうことは、決して珍しいことではありません。大切なのは、過去の1回をずっと責め続けることではなく、妊娠の可能性に気づいた時点から控えていくことです。

着床の時期には、

  • コーヒーや紅茶は、飲む量を増やしすぎない
  • エナジードリンクは避ける
  • アルコールは、妊娠の可能性を考えて控える

という意識で過ごしてみてください。

妊活中は、何気ない飲み物ひとつでも不安になることがあります。
でも、完璧にできなかった自分を責めるより、今日からできる選択を少しずつ整えていくことが大切です。

身体を追い詰めるためではなく、安心して妊娠を待てる身体づくりのために、できる範囲から整えていきましょう。

喫煙は、着床の時期に限らず避けたい生活習慣です

世界保健機関(WHO)は、喫煙、過度の飲酒、肥満は妊よう性に影響しうる生活要因だと示しています。
ASRMも、妊娠を目指す男女に対して喫煙と娯楽目的の薬物使用を避けるよう勧めています。

着床の時期だけ禁煙すればよい、というより、
妊活全体を通して避けたいこと
として考えるほうが自然です。
もし禁煙が難しい場合は、一人で抱えず、医療機関に相談して大丈夫です。

動きすぎないほうがいいのでしょうか

ここも、とてもよく聞かれるところです。
結論から言うと、普段どおりの生活を大きく変えすぎないことが大切です。

特に、胚移植(ET)のあとについて、NHSの不妊治療施設は、長く横になって休む必要はなく、普段に近い生活でよいと案内しています。
一方で、激しい運動は控え、無理のない範囲で過ごすよう勧めています。

これは自然妊娠を目指している場合も、考え方としては近いです。
つまり、

  • ずっと横になっている必要はない
  • 日常生活や軽い家事、軽い散歩くらいなら過度に怖がらなくてよい
  • ただし、徹夜、過度な運動、体を強く追い込むことは避ける

というバランスが大切です。
「安静にしすぎること」も、心をかえって不安定にしやすいので、普段の生活から大きく外れないことを意識してみてください。

サプリメントや漢方、アロマは増やしすぎないほうが安心です

着床の時期は、「今からでも何か足したい」と思いやすい時期です。
でも、この時期に自己判断でサプリメント、漢方、ハーブ、アロマを次々増やすのはおすすめできません。

HFEAは、補完療法はリラクゼーションやウェルビーイングの助けにはなることがある一方、妊娠の可能性を上げる十分な根拠はないこと、さらにハーブ製品は妊娠中に使うべきでないものや、治療中の薬と相互作用するものがあると案内しています。
そのため、使う前に担当の医師や医療者へ確認することが勧められています。

つまり、
「何かを足すほど安心」
ではなく、
妊娠の可能性がある時期ほど、自己判断で増やしすぎない
ことが大切です。

東洋医学では、着床の時期は「静かに守る」ことを大切にします

東洋医学や中医学では、この時期を、ただ結果を待つ時期とは考えません。
古典の『黄帝内経』の流れをくむ考え方では、妊娠に関わる時期は、気血を消耗しすぎず、巡りを乱しすぎず、静かに守ることが大切だと考えます。

たとえば、

  • ため息が増える
  • 胸や脇が張る
  • 首肩がこる
  • 生理前のように気持ちがざわつく

という方では、**肝鬱気滞(かんうつきたい)**のように、緊張で巡りが滞りやすい状態としてみることがあります。
また、

  • 足先やお腹が冷えやすい
  • 疲れやすい
  • 胃腸が弱い
  • 眠りが浅い

という方では、**脾気虚(ひききょ)腎虚(じんきょ)**のように、支える力が弱りやすい状態と考えることもあります。

この時期の養生で大切なのは、
頑張ることを増やすより、気血を消耗しすぎないことです。
旬の食材でいえば、たけのこ、そら豆、アスパラガス、初鰹、金目鯛などを、冷やしすぎない形でやさしく取り入れるのも一つです。

不妊・妊活における鍼灸の役割

鍼灸は、着床を保証するものではありません。
また、排卵の有無、卵管の通り道、精液所見、体外受精(IVF)や胚移植(ET)など、妊活に必要な検査や治療の代わりになるものでもありません。
必要な確認は、クリニックや病院など、専門の医療機関で行うことが大切です。

その一方で、妊活中に重なりやすい

  • 冷え
  • 眠りの浅さ
  • 首肩のこわばり
  • 気持ちの張りつめ
  • 月経前後の不調
  • 自律神経の乱れを感じる状態

などを、東洋医学の視点から整える支えにはなり得ます。

HFEAは、鍼灸を含む補完療法について、リラクゼーションや一般的なウェルビーイングのために使われることはある一方、赤ちゃんを得る可能性を高める十分な根拠はないと案内しています。
また、妊娠中に避けたほうがよいハーブ製品もあるため、治療中に使っているものがある場合は医療者に確認することが勧められています。

当院でも、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、着床の時期を含めた妊活全体の心と体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。

今日からできる3つ

1.生活を大きく変えすぎない

着床の時期は、特別なことを始めるより、徹夜や無理な運動、食べすぎ飲みすぎを避けて、普段の生活を少し整えるくらいで十分です。

2.葉酸は毎日続ける

食事内容が揺れやすい時期でも、葉酸400µgは毎日続けることが大切です。
「今日は食べられなかったからもういい」とは考えず、淡々と続けてみてください。

3.検索のしすぎで心を消耗しない

着床症状を探し続けるほど、体の小さな変化が全部不安に見えやすくなります。
夜だけは検索を止める、SNSを見る時間を決めるなど、心を守る工夫も大切です。

自分でやさしく触れやすいツボ

着床の時期に、気持ちのざわつきや冷えが気になる時に使いやすいツボがあります。

神門(しんもん)
手首の小指側、手のひら側のしわのあたり。
胸のざわつきがある時、眠りに入りにくい時、気持ちが落ち着かない時に使いやすいツボです。

三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところから、指4本分ほど上。
冷えや婦人科系のお悩み、下半身の巡りを整えたい時に使いやすいツボです。

どちらも、強く押し込まなくて大丈夫です。
息を吐きながら、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。
妊娠の可能性がある時や体調に不安がある時は、無理をせずご相談ください。

当院の考え方

当院では、着床の時期を「何かを頑張りきる時期」とは考えていません。
むしろ、体と心を必要以上に揺らさないことを大切にしています。

この時期に不安が強くなるのは、あなたが真剣だからです。
でも、真剣さが強すぎると、睡眠が乱れ、食事が偏り、気持ちが張りつめてしまうことがあります。

だからこそ当院では、必要な検査や治療はクリニックや病院など、専門の医療機関で大切に進めていただきながら、
その土台として、

  • 冷え
  • 睡眠
  • 自律神経の乱れを感じる状態
  • 気持ちの張りつめ
  • 月経前後の不調
  • 体質や生活習慣

などを、東洋医学の視点から丁寧にみていくことを大切にしています。

着床の時期に気をつけたい生活習慣とは、
何かを足すことではなく、
今ある体の力を乱しすぎないことです。

ひとりで抱えず、まずは今の過ごし方や体調を一緒に整理するところから始めていきましょう。

この記事を書いた人

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

院長プロフィールを見る

ご自身に合ったセルフケアを知りたい方、妊活中の身体づくりを見直したい方は、当院にご相談ください。
病院での検査や不妊治療を大切にしながら、お身体の状態や生活習慣に合わせて、無理のない形でサポートいたします。

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