初めて体外受精へ進むことになった時、不安になる方は少なくありません。
「体外受精って、実際に何をするの?」
「採卵は痛いのかな」
「毎日注射が必要なの?」
「仕事と通院を両立できる?」
「受精確認って何?」
「胚移植後は安静にしないといけないの?」
「1回で妊娠できるのかな」
「費用やスケジュールがよく分からない」
このように、分からないことが一気に増えます。
タイミング法や人工授精とは違い、体外受精では、卵巣刺激、採卵、受精、胚培養、胚移植、判定日まで、いくつもの段階があります。
初めて聞く言葉が多いので、説明を受けても頭に入りきらないことがあります。
まず、お伝えしたいことがあります。
初めての体外受精で不安になるのは、とても自然なことです。
分からないまま頑張ろうとせず、流れをひとつずつ整理しておくことが大切です。
体外受精は、卵子と精子を体の外で受精させ、育った胚を子宮へ戻す生殖補助医療です。
「体外」という言葉に驚く方もいますが、治療の目的は、卵子と精子が出会い、受精し、胚が育ち、子宮へ戻るまでの過程を医療の力でサポートすることです。
今日は、初めて体外受精へ進む方に向けて、治療の基本的な流れ、確認しておきたいこと、体調管理、東洋医学的な身体づくりをやさしく整理していきます。
体外受精とは何でしょうか
体外受精は、体の外で卵子と精子を受精させる治療です。
医学的には、体外受精・胚移植(IVF-ET)と呼ばれることがあります。
IVFは、体外受精のことです。
ETは、胚移植のことです。
一般的な流れとしては、
- 卵巣を刺激する
- 卵胞の成長を確認する
- 採卵をする
- 精子を準備する
- 卵子と精子を体外で受精させる
- 受精卵を培養する
- 育った胚を子宮へ移植する
- 妊娠判定を行う
という流れになります。
ただし、実際の方法は医療機関や患者さんの状態によって異なります。
卵巣刺激の方法、採卵の数、受精方法、胚を何日目まで育てるか、新鮮胚移植か凍結胚移植か、ホルモン補充の有無などは、人によって変わります。
そのため、この記事は一般的な流れとして読んでいただき、実際の治療方針は必ず主治医の説明を確認してください。
体外受精と顕微授精の違い
体外受精について調べていると、顕微授精という言葉もよく出てきます。
体外受精と顕微授精は、どちらも生殖補助医療に含まれます。
違いは、受精のさせ方です。
体外受精
採卵で得られた卵子の周囲に精子を一緒に入れ、精子が自分で卵子に入って受精するのを待つ方法です。
顕微授精
顕微鏡で確認しながら、細い針を使って1個の精子を卵子の中へ直接注入する方法です。
男性側の精子の数や運動率、過去の受精結果、卵子の状態などによって、体外受精を選ぶか、顕微授精を選ぶか、または両方を行うかが検討されます。
「体外受精に進む」と言われた場合でも、実際には体外受精、顕微授精、またはその両方が含まれることがあります。
分からない時は、
「今回は体外受精ですか?顕微授精ですか?」
「両方行う可能性はありますか?」
「その理由は何ですか?」
と確認しておきましょう。
初めての体外受精の基本的な流れ
ここからは、体外受精の流れを順番に見ていきます。
1.治療方針の説明と準備
最初に、医療機関で治療方針の説明を受けます。
確認されることは、
- 年齢
- 不妊期間
- 月経周期
- 排卵の状態
- AMH
- 卵巣機能
- 子宮の状態
- 卵管の状態
- 精液検査
- 過去の治療歴
- 持病や服薬
- 仕事や通院のしやすさ
- 夫婦の希望
などです。
そのうえで、卵巣刺激の方法、採卵周期、受精方法、移植方針、費用、保険適用の条件、先進医療の有無などを確認します。
初めての体外受精では、説明を一度聞いただけでは分からないことも多いです。
その場で全部理解できなくても大丈夫です。
あとから聞きたいことをメモして、次回の診察で確認しましょう。
2.卵巣刺激
体外受精では、採卵に向けて卵胞を育てるために、卵巣刺激を行うことがあります。
卵巣刺激とは、注射や内服薬を使って卵胞の成長を促す方法です。
卵巣刺激の方法には、いくつかの種類があります。
- 高刺激
- 低刺激
- 自然周期に近い方法
- アンタゴニスト法
- ショート法
- ロング法
- PPOS法
- 内服薬を使う方法
など、医療機関や患者さんの状態によって方針が異なります。
どの方法が一番よいかは、人によって違います。
AMH、年齢、卵胞数、過去の反応、OHSSのリスク、治療歴などを見ながら決められます。
初めての方は、
「注射が多いほど良い卵が取れるの?」
「刺激が少ない方が身体にやさしいの?」
「高刺激と低刺激、どちらが自分に合うの?」
と迷うかもしれません。
これは自己判断で決めるものではなく、主治医と相談して決める内容です。
3.卵胞チェックと採血
卵巣刺激が始まると、数日ごとに通院して卵胞の育ち方を確認します。
超音波検査で卵胞の大きさや数を確認し、必要に応じて採血でホルモン値を見ます。
この結果によって、
- 薬の量を調整する
- 注射を追加する
- 採卵日を決める
- 採卵を延期する
- 刺激方法を見直す
- OHSSのリスクを確認する
ことがあります。
体外受精のスケジュールが読みにくいのは、この卵胞の育ち方が人によって違うからです。
仕事や予定を立てにくいこともあります。
初めての方は、採卵日が直前まで確定しにくいことを知っておくと、心の準備がしやすくなります。
4.排卵を促す注射・薬
卵胞が十分に育ってきたら、採卵のタイミングに合わせて、排卵を促す注射や薬を使うことがあります。
これは、卵子の成熟を促す大切なステップです。
時間が細かく指定されることもあります。
たとえば、
「〇日の〇時に注射してください」
「この時間を守ってください」
「採卵はその約〇時間後です」
というように説明されます。
ここは自己判断で時間をずらさないことが大切です。
不安な場合は、メモやアラームを使い、パートナーにも共有しておくと安心です。
もしも、「指定された時間を過ぎてしまった!」「薬を使い忘れていた!」と気づいた時は、どうかパニックにならず、まずは一度深呼吸をしてください。
慌てて使用したり、服用したりせず、通院中の医療機関へ電話をして指示を仰いでください。
焦ってしまうお気持ちはとてもよく分かりますが、医療機関もイレギュラーな事態には慣れています。
一人で抱え込まず、すぐにプロである主治医を頼ってくださいね。
5.採卵
採卵は、卵巣から卵子を採取する処置です。
多くの場合、腟から超音波を見ながら細い針を使って卵胞液を吸引し、その中から卵子を探します。
麻酔や鎮静を使うかどうかは、医療機関や採卵数、患者さんの状態によって異なります。
採卵当日は、
- 絶食や絶飲の指示
- 来院時間
- 持ち物
- 麻酔の有無
- 帰宅時の付き添い
- 当日の運転可否
- 採卵後の注意点
- 薬の使用
を必ず確認しておきましょう。
採卵後は、軽い下腹部痛、眠気、だるさ、少量の出血、お腹の張りを感じることがあります。
ただし、強い腹痛、急なお腹の張り、吐き気や嘔吐、水分がとれない、尿量の減少、急な体重増加、息苦しさなどがある場合は、医療機関へ連絡してください。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意が必要なことがあります。
6.採精と精子の準備
採卵と同じ日に、パートナーの精子を準備します。
医療機関で採精する場合もあれば、自宅で採取して持参する場合もあります。
精液の状態によっては、体外受精ではなく顕微授精が選ばれることがあります。
また、あらかじめ精子を凍結しておく場合もあります。
男性側も、
- 採精の方法
- 禁欲期間
- 持参する場合の時間
- 容器の扱い
- 体調不良時の対応
- 精子凍結の有無
- 当日採精できない場合の対応
を確認しておくと安心です。
妊活は女性だけが頑張るものではありません。
体外受精では、男性側の準備もとても大切です。
7.受精
採卵で得られた卵子と精子を使い、受精を行います。
受精の方法には、
- 体外受精
- 顕微授精
- 体外受精と顕微授精を分けて行う方法
があります。
採卵で卵子が取れても、すべてが成熟卵とは限りません。
成熟卵であっても、すべてが受精するとは限りません。
受精しても、すべてが順調に育つとは限りません。
ここが、体外受精の不安が大きいところです。
「卵子が取れた」
「受精した」
「分割した」
「胚盤胞になった」
「凍結できた」
ひとつずつ結果を待つ必要があります。
この待つ時間が、とても長く感じられる方もいます。
8.受精確認
採卵の翌日などに、受精確認が行われることがあります。
医療機関から、
「〇個採卵できました」
「〇個が成熟卵でした」
「〇個受精しました」
という説明を受けることがあります。
ここで落ち込む方は少なくありません。
- 採卵数が思ったより少なかった
- 成熟卵が少なかった
- 受精しなかった
- 受精数が少なかった
- 顕微授精でもうまくいかなかった
このような結果を聞くと、自分の身体を責めてしまうことがあります。
でも、受精には卵子、精子、年齢、刺激方法、卵子の成熟度、精子の状態、培養環境など、さまざまな要素が関わります。
「私の努力不足」と決めつけないでください。
必要なのは、自分を責めることではなく、次に何を確認するかを主治医と整理することです。
9.胚培養
受精した卵は、受精卵、または胚と呼ばれます。
胚は培養室で育てられます。
初期胚として移植する場合もあれば、胚盤胞まで育ててから移植や凍結を行う場合もあります。
医療機関によって、
- 何日目まで培養するか
- 新鮮胚移植を行うか
- 凍結胚移植にするか
- 胚盤胞まで育てるか
- すべて凍結するか
- 胚のグレードをどう評価するか
が異なります。
胚培養の段階では、胚の成長が気になって何度も検索したくなる方もいます。
ただ、胚の成長は自分の力で直接操作できるものではありません。
不安な時は、検索を続けるより、説明を受ける時に確認したいことをメモしておきましょう。
10.新鮮胚移植か凍結胚移植か
体外受精では、採卵した周期に胚移植を行う場合と、胚を一度凍結し、別の周期に移植する場合があります。
採卵周期に行う移植を、新鮮胚移植と呼ぶことがあります。
一度凍結した胚を別の周期に戻すことを、凍結胚移植と呼びます。
どちらがよいかは、患者さんの状態によって異なります。
たとえば、
- ホルモン値
- 子宮内膜の状態
- OHSSのリスク
- 採卵後の体調
- 胚の状態
- 医療機関の方針
- 保険適用や先進医療の条件
- 患者さんの希望
などを見ながら決められます。
「凍結になったから悪い」
「新鮮胚移植の方が自然でよい」
「凍結胚移植なら必ずうまくいく」
という単純なものではありません。
自分の状態に合わせて判断することが大切です。
11.胚移植
胚移植は、育った胚を子宮内へ戻す処置です。
採卵に比べると、身体への負担は比較的少ないと感じる方もいますが、緊張する方は多いです。
胚移植では、
- 移植する胚の数
- 胚のグレード
- 移植日
- 子宮内膜の状態
- ホルモン補充の有無
- 移植後の薬
- 当日の排尿指示
- 入浴や運動の注意点
などを確認します。
移植後は、
「歩いて大丈夫?」
「階段を使っていい?」
「仕事に行っていい?」
「家事をしていい?」
「お腹を温めた方がいい?」
「温泉や旅行は大丈夫?」
と不安になる方もいます。
多くの場合、医療機関から日常生活の注意点が説明されます。
移植後の過ごし方は、医療機関の指示に従ってください。
過度に安静にしすぎて不安が強くなる方もいれば、動きすぎて疲れる方もいます。
大切なのは、「何もしないこと」ではなく、無理のない範囲で落ち着いて過ごすことです。
12.黄体補充と薬の管理
胚移植後は、黄体ホルモンを補う薬が使われることがあります。
内服薬、腟剤、貼り薬、注射など、方法はいろいろあります。
薬の時間や使い方は、妊娠判定までとても大切です。
初めての方は、
- 薬の時間
- 飲み忘れた時の対応
- 腟剤の使い方
- 貼り薬の交換日
- 出血した時の対応
- 副作用の可能性
- いつまで続けるのか
- 妊娠判定後も続けるのか
を確認しておきましょう。
薬の影響で、眠気、だるさ、胸の張り、下腹部の違和感、気分の変化を感じることがあります。
これらは月経前の症状や妊娠初期症状とも似ているため、判定日前に判断するのは難しいです。
症状だけで結果を決めつけず、判定日を待ちましょう。
13.妊娠判定
胚移植後、指定された日に妊娠判定を行います。
血液検査でhCGを確認する医療機関もあれば、尿検査を行う場合もあります。
判定日前は、とても心が揺れやすい時期です。
- 少しの下腹部痛
- 胸の張り
- 眠気
- おりもの
- 出血
- 体温
- 食欲
- 気分の変化
すべてが気になります。
フライング検査をしたくなる方もいます。
ただ、検査時期や薬の影響によって、結果の受け止め方が難しくなることがあります。
判定日前の検査については、医療機関の方針を確認してください。
陰性だった場合、すぐに次のことを考えるのがつらい方もいます。
陽性だった場合も、そこから胎嚢確認、心拍確認と、不安が続くことがあります。
体外受精は、結果の日だけではなく、その前後の心の支えも大切です。
初めての体外受精で確認しておきたいこと
初めて体外受精へ進む時は、分からないことが多くて当然です。
次の項目をメモしておくと、診察時に確認しやすくなります。
治療方針について
- なぜ体外受精が勧められているのか
- 今の状態で他の選択肢はあるか
- 体外受精と顕微授精のどちらを予定しているか
- 卵巣刺激の方法
- 採卵予定の目安
- 新鮮胚移植か凍結胚移植か
- 胚盤胞まで育てる予定か
- 胚をいくつ移植する予定か
通院について
- 通院回数の目安
- 急な診察が入る可能性
- 採卵日はいつ頃決まるか
- 仕事を休む可能性が高い日
- 採卵後の安静時間
- 胚移植日の予定
- 判定日
薬について
- 注射の方法
- 自己注射の有無
- 内服薬の種類
- 腟剤や貼り薬の使い方
- 副作用
- 飲み忘れた時の対応
- サプリメントとの併用
- 持病の薬との関係
体調変化について
- お腹の張り
- 下腹部痛
- 出血
- 吐き気
- 眠気
- 便秘
- OHSSの注意点
- 連絡すべき症状
- 夜間や休日の連絡先
費用について
- 保険適用になる範囲
- 自費になる可能性があるもの
- 先進医療の有無
- 薬代
- 凍結費用
- 胚の保存費用
- キャンセル時の費用
- 次周期以降の費用
費用の話は聞きにくいと感じる方もいます。
でも、安心して治療を受けるためには大切な確認です。
遠慮せず、医療機関に確認しましょう。
初めての体外受精で起こりやすい不安
初めての体外受精では、身体の負担だけでなく、心の負担も大きくなります。
採卵への不安
- 採卵が痛いのではないか
- 卵が取れなかったらどうしよう
- 麻酔が怖い
- 採卵後に体調が悪くならないか心配
このような不安は自然です。
採卵の方法、麻酔、痛み止め、採卵後の注意点を事前に確認しておくと、不安が少し整理されます。
結果を待つ不安
体外受精では、待つ時間が多くあります。
- 卵胞が育つか
- 採卵できるか
- 成熟卵があるか
- 受精するか
- 胚が育つか
- 移植できるか
- 妊娠判定はどうか
ひとつずつ結果を待つため、気持ちが揺れやすくなります。
これは、体外受精の大きな負担のひとつです。
「不安になってはいけない」と思わなくて大丈夫です。
不安になるのは、それだけ大切な治療に向き合っているからです。
自分を責める気持ち
- 採卵数が少ない
- 受精しない
- 胚盤胞にならない
- 移植しても陰性だった
このような時、自分の身体を責めてしまう方がいます。
でも、体外受精の結果は、努力だけで決まるものではありません。
睡眠、食事、温活、サプリメントを頑張っても、結果が思うようにならないことがあります。
それは、あなたの努力が足りないからではありません。
必要なのは、責めることではなく、次に何を確認するかを整理することです。
体外受精中の生活で気をつけたいこと
体外受精中は、特別な生活をしなければいけないと思いすぎる方がいます。
でも、基本は「無理をしすぎず、身体を整えながら過ごすこと」です。
睡眠
睡眠は、身体の回復、自律神経、ホルモンリズム、気分の安定に関わります。
眠れない日があるからといって、それだけですべてが悪くなるわけではありません。
ただし、夜更かしや検索しすぎが続くと、心も身体も疲れます。
治療中は、寝る前のスマホを少し減らし、呼吸を整える時間を作りましょう。
食事
体外受精中の食事は、特別なものをたくさん足すより、基本を守ることが大切です。
- ごはん
- 味噌汁
- 卵
- 魚
- 鶏肉
- 豆腐
- 納豆
- 野菜
- 海藻
- きのこ
主食、たんぱく質、汁物を意識しましょう。
採卵前後や移植前後は、医療機関の指示を優先してください。
運動
体外受精中の運動は、時期によって注意点が変わります。
卵巣刺激中は卵巣が大きくなるため、激しい運動や腹部に強い負担がかかる運動を控えるよう指示されることがあります。
採卵後や胚移植後も、運動の可否は医療機関の指示に従ってください。
ウォーキングや軽いストレッチ程度が合う時期もありますが、自己判断で強い運動を続けないようにしましょう。
仕事
体外受精中は、通院日が直前に決まることがあります。
仕事との両立に悩む方は少なくありません。
採卵日、移植日、判定日だけでなく、卵胞チェックの日も必要になります。
可能であれば、
- 急な通院があること
- 採卵日が直前に決まりやすいこと
- 午前中の通院が多い可能性
- 体調によって休みが必要なこと
を考えて、仕事の調整方法を検討しておきましょう。
すべてを一人で抱え込まないことも大切です。
東洋医学では、初めての体外受精をどう見るのでしょうか
東洋医学には、体外受精そのものを行う技術はありません。
採卵、受精、胚培養、胚移植、妊娠判定は、クリニックや病院など、専門の医療機関で行う医療です。
東洋医学や鍼灸は、その代わりになるものではありません。
ただし、体外受精へ向かう身体づくり、治療中の体調管理、不安や緊張、睡眠、胃腸、冷え、月経周期の不調を整える視点として、東洋医学が役立つことがあります。
ここでいう気・血・水、肝・脾・腎は、西洋医学の臓器そのものだけを指すのではなく、身体の働きやリズムを表す東洋医学的な考え方です。
腎虚(じんきょ) 〜生殖の土台と回復力の消耗〜
腎は、東洋医学では生殖の土台、年齢に伴う変化、足腰、冷え、睡眠と関係が深いと考えます。
体外受精へ進む方の中には、
- 年齢への焦りがある
- AMHの数値が気になる
- 採卵数が不安
- 妊活が長引き、心身が疲れている
- 足腰が冷える
- 明け方に目が覚める
- 疲れが抜けにくい
- 休むことに罪悪感がある
という方もいます。
このタイプの方は、さらに頑張りすぎるより、回復する時間を確保することが大切です。
睡眠。
足元の冷え対策。
予定の余白。
治療のことを考えない時間。
これも妊活中の大切な養生です。
肝鬱気滞(かんうつきたい) 〜治療への不安で気が滞る状態〜
肝は、気の巡りやストレス、自律神経のような働きと関係します。
体外受精中は、結果を待つ時間が多く、不安が強くなりやすいです。
肝鬱気滞タイプでは、
- 検索が止まらない
- ため息が増える
- 肩や首がこる
- 胸や喉がつまる
- 月経前にイライラする
- 夫婦で治療方針の話をすると感情が強く出る
- 採卵結果や受精確認が気になって眠れない
といった状態が出やすくなります。
このタイプの方は、情報を増やすより、気を巡らせることが必要な場合があります。
軽く歩く。
深く息を吐く。
肩を回す。
不安をメモにする。
主治医に聞くことを整理する。
頭の中で考え続けるより、身体へ意識を戻す時間を作りましょう。
脾虚(ひきょ) 〜胃腸が弱り、気血を作りにくい状態〜
脾は、胃腸の働き、食べたものから気血を作る力、水分代謝と関係します。
治療中は、緊張や薬、通院、暑さで胃腸が弱ることがあります。
脾虚タイプでは、
- 食欲が落ちる
- 胃が重い
- 食後に眠くなる
- 軟便になりやすい
- むくみやすい
- 朝から身体が重い
- 冷たい飲み物でお腹がゆるくなる
- 採卵後に胃腸が乱れやすい
といった状態が出やすくなります。
このタイプの方は、栄養を増やそうとする前に、胃腸が受け取りやすい形に整えることが大切です。
味噌汁。
お粥。
卵。
豆腐。
白身魚。
鶏肉のスープ。
やわらかく煮た野菜。
治療中こそ、胃腸にやさしい食事を意識しましょう。
血虚(けっきょ) 〜身体と心を養う力が不足しやすい状態〜
血は、身体を養い、心を落ち着かせる働きと関係します。
体外受精中は、採血や採卵、月経、緊張、睡眠不足などが重なり、疲れを感じやすい方がいます。
血虚タイプでは、
- めまいがしやすい
- 立ちくらみがある
- 顔色が青白い
- 爪が割れやすい
- 髪がぱさつく
- 眠りが浅い
- 不安になりやすい
- 月経後に疲れやすい
といった状態が出やすくなります。
このタイプの方は、卵、魚、鶏肉、しじみ、あさり、小松菜、黒ごま、なつめなどを、胃腸に合う形で取り入れましょう。
瘀血(おけつ) 〜血の巡りが滞りやすい状態〜
瘀血は、血の巡りが滞りやすい状態です。
瘀血タイプでは、
- 月経痛が強い
- 経血にかたまりがある
- 下腹部が冷える
- 肩こりや腰痛が強い
- 顔色がくすみやすい
- 同じ場所が痛みやすい
- 子宮内膜症や筋腫を指摘されたことがある
といった状態が出やすくなります。
体外受精中は、子宮内膜、血流、冷え、ストレスも含めて身体を見ていくことがあります。
ただし、強い月経痛、不正出血、下腹部痛がある場合は、婦人科で確認してください。
初めての体外受精中におすすめの食養生
体外受精中の食事は、特別な食材で結果を変えるためのものではありません。
身体を支え、胃腸を整え、治療中の疲れを少しでも軽くするためのものです。
おすすめしやすい食材は、
- ごはん
- 味噌汁
- 卵
- 豆腐
- 納豆
- 魚
- 鶏肉
- 赤身肉を少量
- しじみ
- あさり
- 小松菜
- にんじん
- かぼちゃ
- 山芋
- オクラ
- きのこ
- わかめ
- ひじき
- 黒ごま
- 枝豆
- なつめ
- しそ
- 生姜を少し
などです。
採卵前後は、胃腸に負担をかけすぎないこと。
移植前後は、医療機関の指示を優先すること。
夏は、冷たいものだけに偏らないこと。
不安が強い日は、食事を完璧にしようとしすぎないこと。
このあたりを意識しましょう。
体外受精中に控えめにしたいこと
体外受精中は、次のようなことが増えていないか見直してみましょう。
- 夜更かしが続く
- 検索しすぎて眠れない
- 冷たいものばかり食べている
- 食事を抜く日が続く
- サプリメントを自己判断で増やす
- アルコールが増える
- 採卵周期に激しい運動をする
- 仕事や予定を詰め込みすぎる
- 夫婦で大切な話を疲れている夜にする
- 体調変化を我慢する
体外受精中は、頑張る場面が多いです。
だからこそ、日常生活では「減らせる負担」を見つけることが大切です。
体外受精中におすすめのツボ
ツボ押しは、採卵数、卵子の質、受精、胚の成長、着床、妊娠を約束するものではありません。
また、OHSSや不妊症を診断したり治療したりするものでもありません。
けれど、体外受精中の緊張、胃腸の重さ、冷え、むくみ、眠りの浅さ、不安に気づくセルフケアとして取り入れることはできます。
強く押し込まず、息を吐きながら、気持ちよい程度に触れてください。
足三里(あしさんり) 〜胃腸・疲れ・体力の土台〜
膝のお皿の外側下から、指4本分ほど下にあります。
胃腸の働きや疲れを意識する時に使いやすいツボです。
通院や採卵前後で疲れやすい方におすすめです。
三陰交(さんいんこう) 〜冷え・婦人科系の身体づくり〜
内くるぶしの上、指4本分ほど上にあります。
婦人科系のケアでよく使われるツボです。
冷え、月経周期、むくみを意識した身体づくりで選ばれることがあります。
ただし、妊娠中や妊娠の可能性がある時期、移植後は強く押し込まず、温める程度にしてください。
内関(ないかん) 〜胸のざわざわ・胃のむかつき・緊張〜
手首の内側、しわから指3本分ほどひじ寄りの中央にあります。
胸のつかえ、不安、胃のむかつき、呼吸の浅さがある時に使いやすいツボです。
採卵前や判定日前に緊張しやすい方におすすめです。
太衝(たいしょう) 〜焦り・イライラ・気の巡り〜
足の甲にあり、足の親指と人差し指の骨が交わるあたりにあります。
焦り、イライラ、検索しすぎ、夫婦の話し合いで気が張る時に使われることがあります。
強く押しすぎず、足の甲をさするように触れてみましょう。
関元(かんげん) 〜下腹部の冷え・体力の土台〜
おへそから指4本分ほど下にあります。
東洋医学では、下腹部の冷えや体力の土台を意識する時に使われることがあります。
採卵後、移植後、妊娠の可能性がある時期は強く押さず、手を当てて温める程度にしてください。
今日からできる3つのこと
1.治療の流れを紙に書き出す
初めての体外受精では、頭の中だけで整理しようとすると混乱しやすいです。
- 卵巣刺激
- 卵胞チェック
- 採卵
- 採精
- 受精確認
- 胚培養
- 胚移植
- 薬
- 判定日
紙に書き出して、分からないところに印をつけてみましょう。
次の診察で聞くことが見えやすくなります。
2.主治医に聞くことを3つだけ決める
診察では聞きたいことが多くなります。
でも、全部聞こうとすると、かえって混乱することがあります。
まずは3つだけ決めてみましょう。
「今回の刺激方法を選んだ理由」
「採卵後に注意する症状」
「新鮮胚移植か凍結胚移植か」
「薬を忘れた時の対応」
「仕事を休む可能性が高い日」
このように、今一番不安なことから確認しましょう。
3.検索する時間を決める
体外受精中は、検索したくなる場面が何度もあります。
採卵数。
受精率。
胚盤胞到達率。
胚のグレード。
移植後の症状。
判定日前の体験談。
検索したくなるのは自然です。
ただ、夜に長く検索すると、不安が増えて眠りが浅くなることがあります。
- 検索は時間を決める
- 体験談ばかり見ない
- 医療機関に聞くことをメモする
- 寝る前はスマホを少し遠ざける
これだけでも、心を守るセルフケアになります。
鍼灸でできるサポート
体外受精には、卵巣刺激、採卵、受精、胚培養、胚移植、判定日など、医療機関で行う大切な過程があります。
そのため、鍼灸だけで採卵数、卵子の質、受精、胚の成長、着床、妊娠、ホルモン値の改善をお約束することはできません。
また、当院で不妊症の原因を診断したり、病院での検査や治療の代わりを行ったりすることもできません。
体外受精の方針、採卵、受精方法、胚移植、薬、OHSSの注意点、保険適用、先進医療、費用については、必ずかかりつけの医療機関へ確認してください。
そのうえで、妊活中の身体づくりとして、
- 採卵周期に向けて体調を整えたい
- 冷えやむくみを整えたい
- 胃腸の働きを助けたい
- 睡眠を整えたい
- 自律神経の緊張をやわらげたい
- 採卵後の疲れを整えたい
- 胚移植前後の不安を相談したい
- 治療と生活のバランスを整えたい
という方に対して、鍼灸でサポートできることがあります。
当院では、病院での治療方針を大切にしながら、東洋医学の視点で気血水、肝・脾・腎、血虚、瘀血、冷え、湿の状態を見ていきます。
初めての体外受精では、
「睡眠はとれているか」
「胃腸は弱っていないか」
「冷えやむくみが強くないか」
「採卵前後に不安が強くなっていないか」
「薬や通院で疲れていないか」
「検索しすぎて心が休めていないか」
「夫婦で治療方針を共有できているか」
を丁寧に確認していきます。
当院の考え方
初めての体外受精は、とても大きな一歩です。
期待もある。
不安もある。
怖さもある。
費用の心配もある。
仕事との両立もある。
夫婦での話し合いもある。
採卵や受精結果への緊張もある。
「ここまで来てしまった」
「本当にこれでいいのかな」
「頑張っても結果が出なかったらどうしよう」
「自分の身体は大丈夫なのかな」
そんな気持ちになる方もいます。
でも、体外受精へ進むことは、決して負けではありません。
医療の力を借りながら、妊娠の可能性を広げるための選択肢のひとつです。
大切なのは、治療の流れを知り、自分の身体の状態を理解し、必要な確認をしながら進むことです。
分からないことがあるのは当然です。
不安になるのも当然です。
検索したくなるのも当然です。
気持ちが揺れるのも当然です。
だからこそ、ひとりで抱え込まないでください。
奈良・上牧町、西大和、北葛城郡周辺で、初めての体外受精、採卵周期、胚移植前後の体調管理、冷え、睡眠、胃腸の弱り、自律神経の緊張に悩んでいる方へ。
「体外受精の流れが分からず不安」
「採卵に向けて身体を整えたい」
「胚移植前後の過ごし方を相談したい」
「治療中の不安や緊張が強い」
「病院の治療と並行して体質を整えたい」
そんな時は、うまく言葉にできなくても大丈夫です。
病院での治療方針を大切にしながら、今のお身体とお気持ちを一緒に整理していきましょう。
採卵後の強い腹痛、急なお腹の張り、吐き気や嘔吐、水分がとれない、尿量の減少、急な体重増加、息苦しさ、発熱、出血が多い場合は、クリニックや病院など、専門の医療機関へ早めに相談してください。
この記事を書いた人
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を尊重しながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経の緊張・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えています。
当院は女性のための鍼灸院です。男性の施術は、既存患者様からのご紹介、またはご夫婦でのご来院に限り、他の方と重ならない時間帯で対応しております。
「初めての体外受精、スケジュールや専門用語ばかりで頭がいっぱいになっていませんか?」
奈良・上牧町の蓮心はり灸堂は、頑張る女性のための女性専用鍼灸院です。
当院では、病院での治療方針やスケジュールを一番に尊重しながら、東洋医学の視点で「採卵に向けた身体づくり」や「移植前後の体調管理(冷え、睡眠、胃腸の弱り、自律神経の緊張など)」を丁寧にサポートいたします。
「何から質問していいか分からない」 「うまく言葉にまとめられない」
そんな時でも大丈夫です。あなたのペースで構いません。
ホッと息をつける空間で、今のお身体とお気持ちを、私たちと一緒に少しずつ整理していきましょう。
参考・出典
日本生殖医学会『生殖医療Q&A 体外受精・胚移植』
日本生殖医学会『生殖医療ガイドライン』
日本産科婦人科学会『不妊症に関する情報』
日本産婦人科医会『生殖補助医療』
こども家庭庁『不妊治療に関する取組』
厚生労働省『不妊治療の保険適用に関する情報』
アメリカ生殖医学会(ASRM)『体外受精に関する患者向け情報』
英国ヒト受精・胚発生認可庁(HFEA)『体外受精に関する情報』
世界保健機関(WHO)『不妊に関するファクトシート』

