不妊治療をしていると、
「一度、子宮鏡検査をしてみましょう」
と言われることがあります。
すると、
「内診とは違うの?」
「痛い検査?」
「何か悪いものがあるということ?」
「移植前にみんな受けるの?」
と、不安になりますよね。
子宮鏡検査は、
細いカメラを子宮の中へ入れて、子宮内腔を直接観察する検査
です。
経腟超音波検査でも子宮の状態は確認できますが、
子宮鏡では、
実際の子宮内膜の表面や、子宮の中へ突出している病変を直接見ることができる
という特徴があります。
妊活中には、
子宮内膜ポリープ。
粘膜下子宮筋腫。
子宮内の癒着。
子宮の形態異常。
などが疑われたときに行われることがあります。
今日は、
「何が見える検査なの?」
というところから順番に整理していきましょう。
子宮鏡は「子宮の中を見るカメラ」
子宮鏡は、細い内視鏡を腟から子宮頸管を通して子宮内へ入れる検査です。
子宮の中を生理食塩水などで広げながら、
モニターで子宮内腔を観察します。
胃カメラが胃の内側を見るように、
子宮鏡では、
子宮の内側を直接見る
と考えると分かりやすいでしょう。
不妊症の検査では、
経腟超音波。
子宮卵管造影。
MRI。
なども使われますが、
それぞれ分かることが違います。
※なお、子宮鏡検査と子宮頸がん検診は、見る場所も目的も異なる検査です。「妊活中の子宮頸がん検診について」はこちらの記事で詳しく解説しています。
子宮鏡検査で分かる代表的なもの
1.子宮内膜ポリープ
子宮内膜の一部が、子宮の内側へ突出したものです。
小さなものでは症状がないこともありますが、
不正出血の原因になることがあります。
不妊症の診察では、
子宮内膜ポリープが子宮内腔にどのように存在しているのかを確認する目的で、子宮鏡が使われることがあります。
超音波で、
「ポリープかもしれません」
と言われ、
子宮鏡で詳しく確認するケースもあります。
2.粘膜下子宮筋腫
子宮筋腫のうち、
子宮の内側へ向かって発育するもの
を粘膜下子宮筋腫といいます。
筋腫はできる場所によって妊娠への影響が異なります。
特に子宮内腔を変形させる粘膜下筋腫は、不妊症や流産との関連が問題になることがあります。
子宮鏡では、
どの程度子宮内腔へ出ているのかを直接確認できます。
3.子宮内癒着
子宮内膜同士が癒着してしまっている状態です。
流産後の処置。
子宮内の手術。
感染。
などをきっかけに起こることがあります。
程度が強いものは、
Asherman症候群(アッシャーマン症候群)
と呼ばれます。
月経量が以前より極端に少なくなった場合などに、検査が検討されることもあります。
子宮鏡では癒着の場所や程度を直接確認できます。
4.子宮中隔など子宮の形態
生まれつき子宮の形に特徴がある方もいます。
その一つが、
中隔子宮
です。
子宮の中に壁のような組織がある状態で、超音波やMRIなどと組み合わせながら評価します。
必要に応じて、子宮鏡下で治療を検討する場合があります。
「慢性子宮内膜炎も見える?」は少し注意
妊活中の方から、
「子宮鏡をすれば慢性子宮内膜炎も分かりますか?」
と聞かれることがあります。
子宮鏡では、
子宮内膜の発赤。
むくみ。
小さなポリープ状変化。
など、慢性子宮内膜炎を疑う所見がみられることがあります。
ただし、
子宮鏡で見ただけで慢性子宮内膜炎を確定するわけではありません。
必要に応じて子宮内膜の組織を採取し、
病理検査などを組み合わせて診断します。
「子宮鏡で異常がなかったから慢性子宮内膜炎も絶対にない」
とも単純には言えません。
検査の目的を主治医へ確認しておきましょう。
超音波検査をしているのに、なぜ子宮鏡をするの?
「毎回エコーをしているのに、まだ検査が必要なの?」
と思いますよね。
経腟超音波は、
- 子宮筋腫
- 子宮内膜
- 卵巣
- 卵胞
- 子宮内膜症が疑われる所見
などを確認する、とても重要な検査です。
一方、子宮鏡は、
子宮内腔を直接観察できる
ところが大きな違いです。
たとえば超音波で、
「ポリープかな?」
「内膜が少し不整かな?」
「子宮内に何かありそう」
という所見があった場合、
子宮鏡を追加することでより詳しく確認できます。
日本産科婦人科学会でも、不妊症の診察で子宮内膜ポリープなどが疑われた場合には、必要に応じて子宮鏡検査などを追加すると説明しています。
子宮卵管造影とは何が違う?
子宮卵管造影検査(HSG)は、
造影剤を子宮から入れて、
主に卵管が通っているか、子宮内腔の形に異常がないか
を見る検査です。
一方の子宮鏡は、
子宮の内側をカメラで直接見る検査。
です。
つまり、
子宮卵管造影
卵管の通過性や子宮内腔の形を確認する。
子宮鏡
子宮内膜やポリープ、粘膜下筋腫、癒着などを直接見る。
という違いがあります。
どちらが上というものではなく、
調べたいものによって使い分けます。
子宮鏡をすれば卵管の詰まりも分かる?
子宮鏡では、
子宮の内側から左右の卵管の入口を見ることはできます。
ただし、
卵管全体がきちんと通っているかを確認する検査ではありません。
卵管通過性を評価する場合には、
子宮卵管造影検査などが使われます。
「子宮鏡をしたから卵管検査も終わった」
とは限らないので注意してください。
子宮鏡検査は、妊活中なら全員受けるもの?
いいえ。
妊活・不妊治療をしている方全員が、必ず子宮鏡検査を受けるわけではありません。
米国生殖医学会(ASRM)は、
子宮鏡を子宮内病変の診断・治療における確定的な方法と位置づけています。
一方で、
超音波などで子宮内に異常が疑われていない方全員へ、
「念のため」
として子宮鏡を行う必要があるわけではありません。
欧州生殖医学会(ESHRE)でも、
IVF前のルーチンのスクリーニング子宮鏡は推奨していません。
検査には、
必要な人に、
必要なタイミングで行う、
という考え方が大切です。
着床不全が続く場合には?
胚移植を繰り返しても結果につながらない場合、
子宮内腔をもう一度詳しく確認することがあります。
※そもそも「『着床不全』とは何を指すのか、どこから検査を考えるのかについて」は、こちらの記事で整理しています。
欧州生殖医学会の反復着床不全に関する推奨では、
経腟超音波などで子宮内の異常が疑われる場合には、子宮鏡検査を検討できる
としています。
たとえば、
- 子宮内膜ポリープが疑われる
- 粘膜下筋腫が疑われる
- 子宮内癒着が疑われる
- 子宮の形態異常が疑われる
といった場合です。
ただし、
「移植がうまくいかなかったから、とりあえず子宮鏡」
と全員同じ検査を追加するものではありません。
これまでの検査結果や胚移植回数、超音波所見などを合わせて主治医と相談します。
子宮鏡検査はいつ行うの?
月経周期が安定している方の診断目的の子宮鏡検査は、
一般的に、
月経が終わったあとの卵胞期
に行われます。
この時期は子宮内膜がまだ薄く、
子宮の中を観察しやすいためです。
排卵後になると内膜が厚くなり、
小さな病変が見えにくくなることがあります。
また、検査前には妊娠していないことを確認する必要があります。
そのため、
「次の生理が終わったら○日目に来てください」
など、医療機関から日程を指定されることがあります。
予約方法や性交渉についての指示は医療機関によって異なるため、必ず受診先の説明に従ってください。
子宮鏡検査は痛い?
ここが一番気になる方も多いと思います。
痛みの感じ方には個人差があります。
診断目的で使う細い子宮鏡では、
強い痛みをほとんど感じない方もいれば、
生理痛のような痛み。
子宮を押されるような感覚。
子宮頸管を通るときの痛み。
を感じる方もいます。
また、
これまで出産経験があるか。
子宮頸管が通りやすいか。
使用する子宮鏡の太さや検査方法。
などでも変わります。
ACOGでは、細径の子宮鏡や腟鏡を使わない方法などによって、検査時の負担を軽減できる場合があるとしています。
痛みへの不安が強い方は、
検査前に「痛みに弱くて不安です」と伝えて大丈夫です。
使用できる鎮痛薬や麻酔の有無などを確認してみてください。
「診断の子宮鏡」と「手術の子宮鏡」は違います
ここは混同しやすいところです。
診断子宮鏡
子宮の中を観察し、
病変があるか確認することが中心です。
子宮鏡下手術
見つかった、
- 子宮内膜ポリープ
- 粘膜下筋腫
- 子宮内癒着
- 子宮中隔
などを治療します。
医療機関や病変によっては、
診察室で小さなポリープを処置できることもあります。
一方、大きな病変では、
別日に手術室で麻酔を使用して治療する場合があります。
ですから、
「子宮鏡をします」
と言われたら、
見るだけの検査なのか、治療も予定しているのか
を確認しておくと安心です。
子宮内膜ポリープが見つかったら必ず取る?
ポリープが見つかったからといって、
すべて同じように治療するわけではありません。
大きさ。
数。
症状。
位置。
妊活の状況。
などを考えて判断します。
一方、不妊症で子宮内膜ポリープが問題になると考えられる場合には、子宮鏡下で摘出を検討することがあります。
ACOGも、不妊症や反復流産をポリープ切除を検討する状況の一つとして挙げています。
大切なのは、
「ポリープがあります」だけで怖くならず、自分の場合はなぜ治療するのかを確認すること。
です。
子宮内膜ポリープについては、
9月28日8:00公開予定「子宮ポリープと妊活の基礎知識」
でも詳しくお話しします。
検査後はどう過ごせばいい?
診断目的の子宮鏡後には、
少量の出血。
軽い下腹部痛。
違和感。
などがみられることがあります。
その日の運動。
入浴。
性交渉。
仕事。
については、行った検査・処置内容によって指示が変わります。
医療機関から説明された注意事項を優先してください。
また、
- 出血が多い
- 強い腹痛が続く
- 発熱
- 強い体調不良
- 悪臭のある分泌物
などがある場合には、検査を行った医療機関へ相談してください。
子宮鏡検査で「異常なし」だったら意味がなかった?
そんなことはありません。
「何も見つからなかった」
という結果も、大切な情報です。
子宮内腔に、
明らかなポリープ。
粘膜下筋腫。
癒着。
などがないと確認できれば、
次の治療を考える材料になります。
妊活の検査は、
何か悪いものを探すためだけではありません。
一つずつ可能性を整理し、次の治療へ進むための検査
でもあります。
「子宮鏡をすれば着床する」と考えなくても大丈夫
子宮鏡を受けると、
「これで次は着床できますか?」
と期待したくなりますよね。
でも、
子宮鏡そのものが胚を着床させる治療ではありません。
大切なのは、
子宮内膜ポリープや癒着など、
治療の対象になる子宮内病変があるかを確認し、必要なら適切な治療につなげること。
です。
逆に、
超音波検査などで特に異常がない方へ、
着床率を上げる目的だけでルーチンに子宮鏡を行うことも、現在は推奨されていません。
だから、
「受けていないから妊娠できないのでは?」
と不安になりすぎなくて大丈夫です。
主治医から勧められた場合には、
「私の場合、何を確認する目的ですか?」
と聞いてみてください。
検査の意味が分かるだけでも、不安はかなり変わります。
検査が増えるほど、身体まで緊張していませんか?
妊活が長くなると、
採血。
内診。
子宮卵管造影。
採卵。
胚移植。
そして子宮鏡。
「また検査か……」
と思うことがあります。
医学的には必要な検査でも、
受ける側の身体には、
緊張。
睡眠不足。
胃腸不調。
首肩のこわばり。
疲労。
として負担が表れることがあります。
そんなとき、
検査を受ける身体そのものを整えておく
という考え方も持ってみてください。
子宮鏡検査の前後にも、鍼灸を取り入れることができます
鍼灸は、
子宮鏡検査の代わりになるものではありません。
子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫を診断するのは医療機関です。
でも、
検査を控えて、
身体にずっと力が入っている。
眠れない。
胃腸の調子まで崩れている。
首肩がガチガチになっている。
そんな身体を整えるために、鍼灸を取り入れることはできます。
妊活では、
検査そのものだけでなく、検査や治療を受け続けている身体をケアすること
も大切です。
鍼灸の施術では、
検査予定。
次の採卵。
胚移植。
月経周期。
使用している薬。
なども確認しながら、
睡眠。
胃腸。
冷え・のぼせ。
疲労。
身体の緊張。
などを一緒に見ていきます。
検査結果が出るまで「何もできない時間」にしなくていい
「子宮鏡が終わるまで移植は待ち」
「ポリープの結果を見てから次を考える」
そんな時期もあります。
妊活中は、
治療が止まっているように感じる時間が、とてももどかしいですよね。
でも、
その期間にも身体は生活しています。
眠る。
食べる。
月経が来る。
仕事をする。
疲れる。
だから、
次の治療までの期間を、
身体を立て直す時間
として使うことができます。
睡眠が乱れているなら睡眠を。
胃腸が疲れているなら胃腸を。
身体が緊張しているなら緊張を。
鍼灸では、その時点の身体を確認しながら施術内容を変えていきます。
妊活の予定に合わせながら、
今整えられるところを一緒に見ていくことができます。
蓮心はり灸堂では「検査結果」だけで身体を見ません
子宮鏡を受ける予定の方なら、
まず、
- なぜ子宮鏡を受けるのか
- 検査日はいつか
- 診断目的か手術予定か
- 次の採卵・胚移植予定
- 現在使用している薬
などを確認します。
そして、
- 月経
- 睡眠
- 胃腸
- 便通
- 冷え・のぼせ
- 疲労
- 首肩や背中の緊張
- 検査への不安
まで一緒に見ます。
病院では、
子宮の中を正確に調べてもらう。
鍼灸院では、
その検査や治療を受けている女性の身体全体を整える。
それぞれの役割を上手に使いながら妊活を進めていくことができます。
子宮鏡検査を勧められたら、確認したい5つ
最後に、主治医へ確認しておくと安心なことをまとめます。
1.何を確認するための検査ですか?
ポリープ?
筋腫?
癒着?
着床不全の評価?
目的を確認しましょう。
2.診断だけですか?治療もしますか?
見るだけなのか、病変があればその場で処置するのかを確認します。
3.検査日はいつですか?
月経周期の何日目に行うのか確認します。
4.痛みへの対策はありますか?
鎮痛薬や麻酔の有無など、不安があれば事前に聞いて大丈夫です。
5.次の妊活・胚移植はいつから?
病変がなかった場合。
ポリープを切除した場合。
筋腫を治療した場合。
では予定が変わることがあります。
次の治療開始時期まで確認しておくと安心です。
「何か見つかったら怖い」と思っている方へ
検査前は、
「異常が見つかったらどうしよう」
と考えてしまいます。
でも、
何かが見つかった場合には、
今後の妊活で確認すべきことが一つ分かった
とも考えられます。
必要であれば治療をする。
問題がなければ次へ進む。
どちらの結果も、
これからの治療方針を決めるための大切な情報です。
検査を受けることだけでも十分頑張っています。
その前後まで、
食事も生活も完璧にしようとしなくて大丈夫です。
身体が緊張している。
眠れない。
妊活の検査が続いて疲れている。
そんなときは、
検査を頑張る身体そのものにも、少し目を向けてあげてください。
鍼灸で身体を整えながら、次の治療へ向かう方法もあります。
検査や治療が続き、身体まで疲れている方へ
「子宮鏡を受けることになって不安」
「移植までに身体を整えておきたい」
「検査が続き、睡眠や胃腸まで乱れてきた」
そんな方は、一人で全部を整えようとしなくても大丈夫です。
蓮心はり灸堂では、
子宮鏡などの検査予定。
採卵。
胚移植。
使用している薬。
月経周期。
まで確認しながら、その時期の身体に合わせて施術を行っています。
検査は病院でしっかり受ける。
そして、
検査を受けながら頑張っている身体は、鍼灸で丁寧に整える。
そんなふうに医療と鍼灸を使い分けながら妊活を進めることもできます。
「今は何を整えればいい?」
というところからでも、ご相談ください。
参考・出典
日本産科婦人科学会「不妊症」
米国生殖医学会(ASRM)「不妊女性の妊孕性評価に関する委員会意見」
米国産科婦人科学会(ACOG)「子宮内病変の診断・治療における子宮鏡の使用」
欧州生殖医学会(ESHRE)「反復着床不全に関するグッドプラクティス推奨」
欧州生殖医学会(ESHRE)「生殖医療におけるアドオン治療に関するグッドプラクティス推奨」

