排卵日はどうやって考える?

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排卵日のことを考え始めると、
毎月その日を外してはいけないような気持ちになることがあります。
少しでもずれたら、今月のチャンスを逃してしまうようで、苦しくなる方も少なくありません。

妊活中は、排卵日が分からないことそのものより、
「分からないまま進むのが怖い」
という気持ちが大きくなることがあります。
それだけ真剣に向き合っているからこそ、不安になるのは自然なことです。

まず最初にお伝えしたいことがあります。
排卵日は、毎月ぴったり同じ日になるとは限りません。
そしてもうひとつ大切なのは、妊活では“排卵日その日だけ”を狙うことより、妊娠しやすい時期を少し幅をもって考えることです。

目次

排卵日は「14日目」と決めつけなくて大丈夫です

妊活をしていると、
「排卵日は生理開始から14日目」
という言葉をよく見かけます。

たしかに、28日周期の方なら、その頃が目安になることがあります。
でも実際には、排卵のタイミングはもっと幅があります。
米国国立小児保健・人間発達研究所であるNICHDでは、平均的な28日周期では排卵は12〜14日目ごろとしつつ、排卵は生理開始から10〜21日目のどこかで起こり得ると説明しています。
また、アメリカ産科婦人科学会であるACOGも、周期が21日なら排卵は7日ごろ、35日なら21日ごろというように、周期の長さによって排卵の目安は変わると案内しています。

つまり、
「14日目に来なかったから異常」
ではありません。
大切なのは、自分の生理周期の長さに合わせて考えることです。

妊娠しやすいのは「排卵日だけ」ではありません

排卵日をどう考えるかで、とても大切なのがここです。
妊活では、排卵日その日だけに意識が向きやすいのですが、妊娠しやすい時期は1日だけではありません。

アメリカ生殖医学会であるASRMは、妊娠しやすい時期は排卵日を含む約6日間で、その時期に1〜2日おきの性交を持つことが妊娠の可能性を高めやすいとしています。
これは、精子が女性の体内で数日生きることがあるためです。
つまり、排卵日を1日だけぴったり当てなければならないわけではなく、排卵の少し前から含めて考えることが大切です。

「今日しかない」と思い詰めるほど、妊活は苦しくなりやすくなります。
だからこそ、排卵日は“1点勝負の日”ではなく、妊娠しやすい時期の中心くらいに考えるほうが、心にも体にもやさしいことがあります。

生理周期が規則的なら、少し安心できることもあります

排卵日のことが気になると、
「ちゃんと排卵しているのかな」
と不安になる方も多いと思います。

でも、ASRM、ACOG、CDC(米国疾病対策センター)はいずれも、21〜35日くらいの規則的な月経があれば、排卵している可能性が高いとしています。
ACOGでは、25〜35日の範囲で2〜3日以上大きくぶれない月経は、毎月排卵している可能性が高いとされています。
逆に、周期が大きく乱れる、何か月も生理が来ない、予測がほとんどつかないという場合は、排卵していない月が混じっていることもあります。

つまり、排卵日を考える時は、
まず自分の月経周期が規則的かどうか
を見ることも大切です。

排卵日を考える手がかりには何がありますか

排卵日を考える時、よく使われる手がかりには次のようなものがあります。

・月経周期
・排卵検査薬
・おりものの変化
・基礎体温
・医療機関での超音波検査や血液検査

この中で、妊活中に取り入れやすいのは、月経周期の把握と排卵検査薬です。
排卵検査薬は、尿の中のLH(黄体形成ホルモン)の上昇をとらえるもので、ASRMでは排卵の1〜2日前の目安になるとされています。
一方で、排卵検査薬は排卵そのものを直接見ているわけではなく、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方などでは結果が読みづらいこともあります。

基礎体温も手がかりにはなりますが、NICEは基礎体温表は排卵確認の方法としては信頼できないため、確認方法として使わないよう勧めている立場です。
ASRMも、毎日の基礎体温測定は正確性に限界があり、 すべての方に必ず必要なものとしては勧めていません。
そのため、基礎体温は“参考”にはなっても、“答え”ではないと受け止めることが大切です。

排卵日が読みにくいのは、珍しいことではありません

妊活中は、排卵日が分からないと、自分の体がうまく働いていないように感じてしまうことがあります。
でも、排卵日は毎月きっちり同じとは限りません。

ストレス、睡眠不足、体調の変化、体重の増減、環境の変化などでも、排卵のタイミングが前後することがあります。
また、月経があるように見えても、毎月必ず同じように排卵しているとは限らないこともあります。
だからこそ、排卵日が少し読みにくい月があること自体は、すぐに異常と決めつけなくて大丈夫です。

ただし、
・周期が極端に不規則
・何か月も生理が来ない
・にきびや多毛など男性ホルモンが高そうな症状がある
・体重変化が大きい
といった場合は、PCOSなども含めて医療機関で相談することが大切です。
CDCも、PCOSは不規則な月経を起こし、不妊の原因になりうると案内しています。

医療機関では、排卵日をどう考えるのでしょうか

医療機関では、自己流の予測だけでなく、必要に応じて
・月経周期の確認
・超音波での卵胞チェック
・血液検査
・排卵検査薬の結果
などを組み合わせて考えていきます。

ASRMは、不妊の評価では排卵の状態、卵管の通り道、子宮の状態、男性側の精液所見を系統的に確認することが大切だとしています。
つまり、排卵日だけが分かればよいわけではなく、妊娠までの流れ全体をみることが大切です。

また、排卵しにくい方では、排卵誘発薬を使いながらタイミングをみていくことがあります。
その際には、頭痛、ほてり、吐き気などの副作用が出ることがあり、注射薬ではOHSS(卵巣過剰刺激症候群)や多胎妊娠のリスクもあるため、医療機関で慎重に管理しながら進めることが大切です。

東洋医学では、排卵日は「巡り」と「養い」のバランスでみていきます

東洋医学や中医学では、排卵日をただの“日付”としてはみません。
月経周期全体の流れの中で、気・血・水の巡りと、肝・脾・腎の働きのバランスから考えていきます。

『黄帝内経』では、女性の体は周期的な変化の中で血と腎の働きが深く関わるとされ、気血がのびやかに巡ることが大切だと考えられています。
また春から初夏は、五行学説では「木」から「火」へ移り変わる時期で、感情や巡りに関わる「肝」が乱れやすい頃でもあります。

この時期に、
・ため息が増える
・イライラしやすい
・胸や脇が張る
・首肩がこる
・眠りが浅い
・生理前に不調が強い
という方は、東洋医学でいう**肝鬱気滞(かんうつきたい)**のように、気の巡りが滞っている見方をすることがあります。

また、
・冷えやすい
・疲れやすい
・朝がつらい
・胃腸が弱い
・食欲にむらがある
という方では、脾気虚腎虚のように、体を支える力や養う力が弱っている見方をすることもあります。

排卵日を考える時に大切なのは、
「何日目か」だけではなく、
自分の体が整って流れやすい状態にあるかどうか
です。

不妊・妊活における鍼灸の役割

鍼灸は、排卵日を診断したり、卵管の通り道を調べたり、精液検査の代わりになったりするものではありません。
必要な検査や治療は、医療機関で確認することが大切です。

一方で、妊活中に重なりやすい
・冷え
・首肩のこわばり
・眠りの浅さ
・気持ちの張りつめ
・月経前後の不調
などを、東洋医学の視点から整える支えにはなれます。

ヒト受精・胚研究機構であるHFEAは、鍼灸について妊娠率を高める明確な根拠は十分ではないとしつつ、ストレス軽減やウェルビーイング向上のために用いられることがあると案内しています。
当院でも、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、妊活中の心と体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。

今日からできる3つのこと

1.排卵日を「1日だけの勝負」にしない

排卵日は、その日だけが大事なのではありません。
妊娠しやすい時期には少し幅があります。
「その日を外したら終わり」と思い詰めるより、妊娠しやすい時期全体を考えることが大切です。

2.周期が不規則なら、自己流で抱え込みすぎない

月経が規則的なら、少し安心できることがあります。
でも、不規則な方は、排卵日の自己予測だけで悩み続けないことが大切です。
PCOSなど、排卵が不安定になる背景があることもあるため、必要な時は医療機関で相談してください。

3.初夏の養生で「巡り」と「胃腸」をいたわる

この時期は、気温差や疲れで巡りが乱れやすく、胃腸も弱りやすい頃です。
食養生としては、
・たけのこ
・そら豆
・アスパラガス
・初鰹
・金目鯛
など、旬のものを取り入れながら、冷たいものや甘いものに偏りすぎないようにしてみてください。
温かい汁物や、消化にやさしいたんぱく質を少しずつとることも、体を整える助けになります。

自分でやさしく触れやすいツボ

排卵日のことを考えるほど気持ちが張りつめてしまう時や、巡りの滞りが気になる時に使いやすいツボがあります。

太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前。
ため息が増える時、イライラしやすい時、気の巡りを整えたい時に使いやすいツボです。

三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところから、人差し指から小指までの指幅4本分ほど上。
冷えや婦人科系のお悩み、下半身の巡りを整えたい時によく使われます。

どちらも、強く押し込む必要はありません。
息を吐きながら、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。
妊娠の可能性がある時や体調に不安がある時は、無理をせずご相談ください。

当院の考え方

当院では、排卵日を大切に考えます。
でも、排卵日だけで妊活の全てを決めることはしません。

大切なのは、
排卵日を知ろうとすることではなく、
その背景にある
冷え
睡眠
自律神経の乱れを感じる状態
月経前後の不調
気持ちの張りつめ
まで含めて整えていくことです。

必要な検査や治療は医療機関で確認する。
そのうえで鍼灸では、妊活中の心と体の土台を整える支えになる。
当院は、その立ち位置をとても大切にしています。

排卵日が分からないと不安になるのは、当然のことです。
でも、分からないことがあるからこそ、ひとりで抱え込まずに相談していいのです。

排卵日は、あなたを追い詰めるための数字ではありません。
今の体の流れを知るための、ひとつの手がかりです。
もし今、排卵日のことを考えるたびに苦しくなっているなら、
それは頑張りが足りないからではありません。
少し整理の仕方を変えたほうがいい時なのかもしれません。

ひとりで抱えず、まずは今の周期や体調を一緒に整理するところから始めていきましょう。

この記事を書いた人

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

院長プロフィールを見る

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