9月に入り、
「朝は少し涼しく感じるようになった」
「でも昼間はまだ暑い」
「冷房をつけると寒いけれど、消すと暑い」
そんな季節になってきました。
2026年は、9月7日の夜に二十四節気の一つである**白露(はくろ)**を迎えます。
白露は、草木に露が宿り始めるころを表す言葉です。
暦の上では秋が深まっていく時期ですが、実際の9月上旬はまだ残暑が厳しい日もあります。
そのため、この時期の身体は、
「夏」と「秋」の両方に対応しなければならない状態
になりやすいのです。
昼は暑い。
朝晩は少し涼しい。
室内は冷房で冷える。
汗はまだかく。
でも、喉や肌には少し乾燥を感じる。
こうした季節の変わり目に、
「何となく身体がすっきりしない」
と感じる方も少なくありません。
今回は白露を前に、
秋口に感じやすい「乾き」と「冷え」をどう整えるか
についてお話しします。
白露だから急に寒くなるわけではありません
二十四節気は、昔から季節の移り変わりを知る目安として使われてきました。
ただし、
「白露になった瞬間から身体が冷える」
という意味ではありません。
その年の気温や湿度、住んでいる地域によって実際の気候は違います。
特に近年の9月上旬は、日中に真夏のような暑さが残ることもあります。
だから、
「秋だからもう身体を温めなければ」
と急に厚着をしたり、
暑いのにカイロを使ったりする必要はありません。
大切なのは、
暦ではなく、今の自分の身体と実際の気候を見ること。
東洋医学でも、季節だけを見て全員に同じ養生をするわけではありません。
この時期に起こりやすいのは「寒暖差」
9月上旬に気をつけたいのが、昼と朝晩、屋外と室内の温度差です。
たとえば、
外では汗をかいている。
そのまま冷房の効いた電車や室内へ入る。
身体が冷える。
また外へ出て暑くなる。
ということを一日の中で何度も繰り返すことがあります。
すると、
- 首肩がこる
- 手足が冷える
- お腹が冷たく感じる
- 胃腸の調子が落ちる
- 身体がだるい
と感じる方もいます。
だからといって、
「寒暖差で自律神経が壊れる」
というような極端な捉え方をする必要はありません。
季節の変わり目は、睡眠・衣服・室温などをこまめに調整しながら、身体への負担を和らげていきましょう。
もう一つ気になり始めるのが「乾き」
秋が進んでいくと、空気は徐々に乾燥していきます。
まだ湿度の高い日もありますが、このころから、
- 朝起きると喉が乾く
- 鼻が乾燥する
- 肌がカサつく
- 唇が乾く
- 空咳が出る
- 便が硬くなる
などを感じる方もいます。
ただし、
「白露になったから乾燥症状が出る」
というわけではありません。
冷房の使用。
水分摂取量。
睡眠。
鼻炎。
体調。
さまざまな要素が関係します。
季節は、あくまで身体を見直す一つのきっかけとして考えてください。
東洋医学では秋の「燥」を意識します
東洋医学では、秋に身体へ影響しやすいものの一つとして、
燥(そう)
という考え方があります。
文字どおり「乾燥」です。
乾燥が強くなると、
- 喉
- 鼻
- 皮膚
- 口
- 腸
などに乾きが現れやすいと考えます。
特に東洋医学では、秋は**肺(はい)**との関係が深い季節とされます。
ここでいう「肺」は、西洋医学の肺という臓器だけを指しているわけではありません。
呼吸や皮膚、身体の水分の巡りなども含めた、東洋医学独自の考え方です。
そのため秋の養生では、
「温める」だけではなく「潤す」
という視点も大切になります。
「冷え」と「乾燥」が同時にあることも
秋口の身体を少し難しくするのが、
冷えと乾燥が同時に起こることです。
たとえば、
「足は冷えているけれど、顔は暑い」
「冷房に入ると寒いけれど、外では汗をかく」
「喉は乾くけれど、冷たい飲みものを飲むとお腹が痛くなる」
という方もいます。
こういう場合に、
「冷えているから温かいものを大量に飲もう」
「乾燥しているから水をたくさん飲もう」
と一方向だけで考えるとうまくいかないことがあります。
東洋医学では、
どこが冷えているのか
どこに熱がこもっているのか
胃腸は水分を受け取れる状態なのか
まで見ながら養生を考えます。
妊活中だからといって「冷え」を必要以上に怖がらないでください
妊活中の女性は、
「冷えは妊活の大敵」
「子宮を冷やしてはいけない」
という言葉を目にすることが多いと思います。
すると、
冷たい飲みものを飲んだ。
素足で過ごした。
冷房に当たった。
それだけで、
「妊娠しにくくなったかもしれない」
と不安になる方もいます。
でも、
一度身体が冷えたことや、冷たいものを口にしたことだけで妊娠できなくなるわけではありません。
また、「子宮を温めれば妊娠率が上がる」と医学的に証明されているわけでもありません。
妊活中の冷えは、
妊娠できる・できないを判断するサインではなく、
身体全体のコンディションを見る一つの情報
として考えてください。
妊活中に確認したいのは「冷え以外の症状」
冷えがあると、
どうしても「温めること」だけに目が向きます。
でも実際には、
- 睡眠はどうか
- 食欲はあるか
- 便通はどうか
- 疲れが残っていないか
- 月経痛は強くないか
- 首肩がこわばっていないか
- のぼせはないか
なども一緒に見る必要があります。
たとえば、
足が冷えているけれど顔はほてる。
胃腸が弱く、食べるとすぐお腹を壊す。
眠りが浅く、疲れが抜けない。
こうした方に、
「冷えているからもっと温めましょう」
だけでは十分ではありません。
冷えの背景に何があるのかを見る。
ここが東洋医学で身体をみるメリットの一つです。
睡眠・食事・通院リズムをまとめて見直したい方は、前回の記事でも具体的な整え方をご紹介しています。
白露のころに見られやすい東洋医学の3タイプ
秋口には、次のような状態が目立つ方がいます。
脾虚(ひきょ)|夏の胃腸疲れが残っている
- 食欲が安定しない
- 軟便になりやすい
- 胃が重い
- 身体がだるい
- むくみやすい
という方です。
夏に冷たい飲食物が増えたり、暑さで食欲が落ちたりした影響が残っていることがあります。
このタイプでは、
いきなり栄養をたくさん足すより、
まず普通に食事を受け取れる胃腸へ戻していく
ことを大切にします。
肺燥(はいそう)|乾燥を感じやすい
東洋医学では、
- 喉が乾く
- 鼻が乾く
- 肌が乾燥する
- 乾いた咳が出る
- 便が硬くなる
など、乾燥が目立つ状態を「肺燥」などと捉えることがあります。
この場合には、
強く温めることだけではなく、
潤いを補う
という考え方も取り入れます。
肝鬱気滞(かんうつきたい)|季節の変わり目に緊張が強い
- 首肩がこる
- ため息が多い
- お腹が張る
- 寝つきが悪い
- 気分が落ち着かない
といった方では、
「気」の巡りが滞った状態を考えることがあります。
身体が冷えているように感じても、実際には緊張が強く、手足まで巡りにくくなっている場合もあります。
こうした方では、
温め続けるより、
まず身体の緊張をゆるめる
ことを優先する場合があります。
白露前から始めたい3つの養生
全部を変える必要はありません。
今日からできることを3つだけご紹介します。
1.脱ぎ着できる一枚を持つ
9月上旬は、
朝。
昼。
電車。
職場。
スーパー。
それぞれ体感温度が違います。
おすすめは、
「厚着する」ではなく「調節できるようにする」こと。
薄手のカーディガンやストールなど、冷房の中だけ使える一枚があると便利です。
首や肩、お腹が冷えてつらい方は、その部分を無理なく守ってあげましょう。
2.水分は一度にたくさんではなく、こまめに
乾燥が気になると、
「たくさん水を飲まなければ」
と思うかもしれません。
しかし胃腸が弱い方は、一気に大量の水分を摂るとお腹が重くなることがあります。
基本は、
喉の渇きや活動量に合わせて、こまめに補うこと。
まだ汗をかく季節なので、水分を極端に控える必要もありません。
冷たい飲みものが身体に負担になると感じる方は、常温や温かいものへ変えてみてもよいでしょう。
3.夜は「少し温かいもの」を一品
すべての料理を温かくする必要はありません。
たとえば、
- 味噌汁
- スープ
- 煮物
- 温かいお茶
など、
一日の終わりに身体がほっとするものを一つ
取り入れてみてください。
特に胃腸が疲れている方は、夜に冷たいものをたくさん摂るより、温かいものの方が楽に感じることがあります。
「潤いを足す」といっても、特別な食材は必要ありません
東洋医学では秋に、
梨。
白きくらげ。
れんこん。
山芋。
ごま。
豆腐。
など、潤いを補う食材が紹介されることがあります。
ただし、
これらを食べれば妊娠しやすくなるわけではありません。
また、身体に良いと聞いたからといって大量に食べる必要もありません。
季節の食材を、
いつもの食事へ少し取り入れる。
それくらいで十分です。
今夜の記事では、白露の夜に取り入れやすい温かい飲みものについて、さらに具体的にご紹介します。
セルフケアをしても「何となく不調」が続くとき
服装も気をつけている。
睡眠も取っている。
食事にも気をつけている。
それでも、
「冷える」
「身体がだるい」
「胃腸が戻らない」
「眠りが浅い」
「首肩がずっとこっている」
という方もいます。
そんなときに、
さらに温活を増やす。
サプリメントを増やす。
食材を増やす。
という方向だけで考える必要はありません。
今の身体のどこに負担が残っているのかを、一度整理する。
その方法の一つとして鍼灸があります。
季節の変わり目に鍼灸を取り入れるメリット
鍼灸は、
「冷えている場所だけに鍼をする」
「白露になったからこのツボ」
というものではありません。
同じ「冷える」という方でも、
胃腸が弱っている。
睡眠不足が続いている。
月経前で身体が緊張している。
採卵後の疲れが残っている。
胚移植前で不安が強い。
など、背景が違います。
鍼灸では、
- 睡眠
- 胃腸
- 便通
- 冷え・のぼせ
- 月経
- 首肩の緊張
- 疲労
などを一緒に確認しながら、
今の身体でどこを優先して整えるかを考えられる
ことがメリットの一つです。
睡眠障害に対する鍼灸については、睡眠の質を改善する可能性を示した研究がありますが、対象や治療方法にはばらつきがあり、すべての方に同じ効果があると断定できるものではありません。
当院でも、
「鍼灸をすれば必ず眠れる」
「身体を温めれば妊娠しやすくなる」
という説明はしていません。
それよりも、
季節や治療の変化に身体がついていきにくくなっているときに、今の状態を一緒に整理して整えていく
ことを大切にしています。
蓮心はり灸堂では「季節」と「治療周期」の両方を見ます
妊活中の身体は、季節だけでは判断できません。
たとえば同じ9月でも、
タイミング法をしている方。
人工授精前の方。
採卵周期の方。
採卵後で疲れが残っている方。
胚移植を控えている方。
判定日を待っている方。
身体への負担はそれぞれ違います。
蓮心はり灸堂では、
- 現在の治療段階
- 次の通院予定
- 月経周期
- 使用している薬
を確認したうえで、
- 睡眠
- 胃腸
- 冷え・のぼせ
- 便通
- 月経
- 疲労
- 首肩の緊張
などを合わせて見ています。
だから、
「冷えているから温める」
「秋だから潤す」
だけではありません。
季節+治療周期+今の身体
を一緒に見ながら、その方に必要な施術を考えます。
自分では、
「温めた方がいいのかな」
「まだ暑いから冷やしていいのかな」
と判断しにくくなっているときに、一緒に身体の状態を整理できることも、専門的な妊活サポートを受けるメリットの一つです。
白露は「身体を急に秋仕様にする日」ではありません
暦が変わったからといって、
身体が一晩で夏から秋へ変わるわけではありません。
暑い日は冷房を使っていい。
汗をかいたら水分を補う。
朝晩冷えるなら一枚羽織る。
喉が乾くなら少し潤す。
胃腸が疲れているなら温かい料理を一品加える。
それくらいの調整で十分です。
季節の養生とは、
季節に合わせて何か特別なことをすることではなく、その日の身体に合わせて少しずつ変えること
だと思います。
白露を、
「身体を温めなければ」
という新しい課題を増やす日にするのではなく、
「今の私は、夏の疲れをどのくらい残しているかな?」
と身体を見るきっかけにしてみてください。
今夜は、この続きとして、
をご紹介します。
乾燥が気になる方。
胃腸が少し疲れている方。
寝る前にほっとするものが欲しい方。
そんな方が、自宅で無理なく取り入れられる内容にしていきます。
秋への変化に身体がついていかないと感じる方へ
「足は冷えるのに、上半身は暑い」
「夏から胃腸の調子が戻らない」
「最近眠りが浅くなった」
「採卵や胚移植に向けて身体も整えておきたい」
そんなときは、冷えだけを一人で何とかしようとしなくても大丈夫です。
蓮心はり灸堂では、季節の変化だけではなく、妊活・不妊治療の予定や月経周期も確認しながら、睡眠・胃腸・冷え・疲労・緊張などを総合的に見ています。
季節に身体を合わせるのではなく、今の身体に合う整え方を見つける。
そのための一つの方法として、鍼灸を取り入れてみてください。
参考・出典
国立天文台暦計算室「2026年の二十四節気・白露」
Cochrane Database of Systematic Reviews「不眠症に対する鍼灸」
Frontiers in Neurology「慢性不眠症に対する鍼灸のシステマティックレビュー・メタ解析」

