満月の前後になると、少し気持ちが落ち着かなくなる。
理由ははっきりしないのに、胸のあたりがそわそわする。
妊活中は、そんな小さな揺れさえ、大きな不安につながることがあります。
「月のせいなのかな」
「こんなことで揺れる自分が弱いのかな」
そう思ってしまう方もおられるかもしれません。
まず最初にお伝えしたいことがあります。
満月の前後に気持ちが揺れやすいと感じても、それを“気のせい”とも“満月がすべての原因”とも決めつけなくて大丈夫です。
研究では、満月前後の睡眠変化を報告したものもあれば、有意な差を認めなかったものもあり、結論は一貫していません。大切なのは、月を怖がることではなく、揺れやすい日にどう自分を整えるかです。
2026年5月31日は満月
2026年5月31日の満月は、東京では17時45分です。
朝の時点ですでに、今日は「満月の日」と意識しやすい一日です。
こういう日は、気持ちが揺れやすい方ほど、朝から情報を詰め込みすぎないことが大切です。
満月と気分や睡眠の関係は、どう考えたらよいのでしょうか
満月と人の心身の関係については、昔からさまざまに語られてきました。
ただ、医学的には、満月が必ず不安や不調を起こすとまでは言えません。
一方で、2021年の研究では、満月前の夜に月明かりが得られる環境で、寝つきが遅くなり、睡眠時間が短くなる傾向が報告されました。
その反対に、2015年の大規模な住民研究では、月の位相による睡眠への有意な影響は認められませんでした。
つまり、
満月で誰もが必ず乱れるわけではない。
でも、一部の方では、眠りや気分の揺れと重なって感じられることはあり得る。
このくらいの受け止め方が、いちばん現実的です。
妊活中は、もともと気持ちが揺れやすい土台があります
妊活中は、結果待ち、通院、生活調整、周囲との比較、パートナーとの温度差など、心が張りつめやすい要素が重なりやすい時期です。
そのため、少し眠りが浅いだけでも、不安が大きく見えやすくなります。
近年のレビューでは、睡眠と体内時計の乱れは、さまざまな精神的不調と広く関わることが示されています。
また、睡眠を改善すると、不安や抑うつ、反すう思考の改善につながることが報告されています。
だからこそ、満月そのものよりも、満月前後に睡眠や緊張が乱れた時にどう整えるかが大切です。
「満月だから不調になる」と思い込みすぎないことも大切です
満月の記事やSNSを見ていると、
「満月はメンタルが不安定になる」
「満月は妊活に悪い」
という強い表現に触れることがあります。
でも、ここで大切なのは、満月を不調の犯人にしすぎないことです。
もし今日は気持ちが揺れやすいとしても、それは
睡眠不足
疲労
考えすぎ
カフェインの摂りすぎ
結果待ちの緊張
などが重なっているのかもしれません。
「満月だからだめだ」ではなく、
「今日は揺れやすい日かもしれないから、少しやさしく過ごそう」
と考えるほうが、心は守られやすくなります。
満月前後に整えたいのは、まず睡眠です
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠に関わる不調は、睡眠環境、生活習慣、嗜好品によっても左右され、続く場合には医療機関への相談が勧められています。
また、厚生労働省のメンタルヘルス情報では、良い眠りのために、光・温度・音への配慮、寝る前のリラックス、カフェイン・お酒・たばこを控えめにすることが大切だと案内されています。
満月前後に気持ちが揺れやすいと感じる日は、
「今日一日をどう頑張るか」より、「今夜どう眠りやすくするか」
を意識してみてください。
たとえば、
- 夜に検索しすぎない
- 寝る前のスマホ時間を短くする
- カフェインを夕方以降まで引きずらない
- 寝酒で無理に眠ろうとしない
- 部屋の光を少し落とす
こうした小さな工夫のほうが、気持ちの揺れには実際に役立ちやすいです。
呼吸を整えると、身体の緊張が少しゆるみやすくなります
アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、リラクゼーション技法について、**ゆっくりした呼吸、血圧の低下、心拍数の低下などを特徴とする「リラクゼーション反応」**をもたらす方法だと説明しています。
呼吸法だけで妊活の悩みが消えるわけではありませんが、胸のつかえや肩のこわばりが強い時には、入り口として使いやすい方法です。
今日は、次のような3分だけの呼吸を試してみてください。
鼻から4つ数えて吸う。
口から6つ数えながら吐く。
これを無理のない範囲で繰り返す。
大切なのは、深く吸い込むことより、吐く息を少し長めにすることです。
苦しくなるほど頑張らなくて大丈夫です。
「呼吸を整えよう」とするより、「吐くたびに肩の力を少し抜こう」と思うくらいで十分です。
東洋医学では、満月前後の揺れをどうみるのでしょうか
東洋医学や中医学では、こうした揺れを「月が悪い」とは考えません。
ただ、自然のリズムと人の身体は無関係ではなく、季節や生活の乱れによって、気・血・水の巡りが偏りやすくなると考えます。
5月の終わりは、春の「肝」の働きの揺れを引きずりながら、初夏の「火」の気配が強くなり始める時期です。
そのため、
のぼせ感
眠りの浅さ
イライラ
胸の張りつめ
頭に血が上る感じ
が出やすい方では、**肝鬱気滞(かんうつきたい)や肝火上炎(かんかじょうえん)**のような見立てをすることがあります。
また、考えすぎて胃腸が弱り、食欲が乱れ、疲れやすくなっている方では、**肝脾不和(かんぴふわ)**のように、気持ちの揺れが消化吸収にも影響している状態としてみることがあります。
難しく聞こえるかもしれませんが、分かりやすく言えば、
気持ちの緊張で、気が上にのぼり、休みにくくなっている状態
です。
だから、満月前後は「頑張って整える」より、上がりすぎたものを下ろす、張りつめたものをゆるめることが大切です。
満月前後におすすめの食養生
こういう日は、刺激の強いものや、気分を大きく揺らしやすいものを重ねすぎないことが大切です。
東洋医学の考え方でも、のぼせや緊張が強い日は、辛い物、アルコール、カフェインのとりすぎは控えめが安心です。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、カフェイン、お酒、たばこは控えめにすることが勧められています。
おすすめなのは、
- 温かい汁物
- 消化にやさしいごはん
- 白湯
- そら豆、アスパラガスなど旬の野菜
- たんぱく質を少しずつとれる食事
です。
逆に、
甘い物の食べすぎ
夜遅い食事
エナジードリンク
カフェインの重ね飲み
は、気持ちの揺れや眠りにくさを強めやすいので注意したいところです。
妊活中に月のリズムを意識する時の、ちょうどよい距離感
月周期を意識すること自体は悪いことではありません。
新月や満月をきっかけに、自分の体調や気分を振り返るのは、とてもよいことです。
ただし、
「満月だから悪くなる」
「新月だから良くなる」
と決めつけすぎると、かえって心が不自由になります。
月は、未来を決めるものではなく、
自分を丁寧にみるための“目印”くらいでちょうどいい
と私は思います。
妊活中は、ただでさえ「何か意味を見つけたい」気持ちが強くなります。
だからこそ、月のせいにしすぎず、自分を責めすぎず、
「今日は揺れやすいかもしれないから、少しやさしくしよう」
という使い方がいちばん実用的です。
不妊・妊活における鍼灸の役割
鍼灸は、満月前後の揺れを魔法のように止めるものではありません。
また、排卵の有無、卵管の通り道、精液所見、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)など、妊活に必要な検査や治療の代わりになるものでもありません。
必要な確認は、クリニックや病院など、専門の医療機関で行うことが大切です。
その一方で、妊活中に重なりやすい
冷え
眠りの浅さ
首肩のこわばり
気持ちの張りつめ
月経前後の不調
自律神経の乱れを感じる状態
などを、東洋医学の視点から整える支えにはなり得ます。
当院でも、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、妊活中の心と身体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。
満月前後に気持ちが揺れやすい方には、体質や生活習慣、睡眠の質まで含めて丁寧にみていくことを大切にしています。
今日からできる3つ
1.今日は「刺激を減らす日」と決める
満月の日に無理に元気になろうとしなくて大丈夫です。
検索、SNS、カフェイン、夜更かしなど、気持ちを揺らしやすい刺激を少し減らすだけでも違います。
2.眠りの準備を、昼から始める
夜になってから慌てるより、夕方以降のカフェインを控える、夜の予定を詰めすぎない、部屋の光を落とすなど、眠りやすさを先に作っておくほうが安心です。
3.「揺れる自分」を責めない
満月前後に少し不安定になることがあっても、それで妊活がだめになるわけではありません。
不安が強い日は、直すより、まず守る。
その意識のほうが、心にはやさしく働きます。
自分でやさしく触れやすいツボ
満月前後に、胸のざわつきや眠りにくさが気になる時に使いやすいツボがあります。
神門(しんもん)
手首の小指側、手のひら側のしわのあたり。
胸のざわつきがある時、眠りに入りにくい時、気持ちが落ち着かない時に使いやすいツボです。
太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前。
ため息が増える時、イライラしやすい時、気の巡りを整えたい時に使いやすいツボです。
強く押し込まなくて大丈夫です。
息を吐く時に、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。
当院の考え方
当院では、満月前後に気持ちが揺れやすいと感じる方の感覚を、軽く見ません。
それを「非科学的」と切り捨てるのでもなく、「満月のせい」と単純化するのでもなく、
今の心と身体が揺れやすい状態にあるサイン
として丁寧に受け止めます。
だからこそ当院では、
病院での検査や治療を大切にしながら、
東洋医学の視点も取り入れ、
冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。
満月の夜を、怖い夜にしなくて大丈夫です。
揺れやすい日ほど、自分に少し静かな時間を返してあげてください。
ひとりで抱えず、まずは今の体調や気持ちを整理するところから始めていきましょう。
この記事を書いた人
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。
ご自身に合ったセルフケアを知りたい方、妊活中の身体づくりを見直したい方は、当院にご相談ください。
病院での検査や不妊治療を大切にしながら、お身体の状態や生活習慣に合わせて、無理のない形でサポートいたします。
【参考・出典】
国立天文台・Time and Date(2026年5月31日の満月時刻)
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」・こころの耳(睡眠とストレス対処)
イギリス国民保健サービス(NHS)ストレス対処情報
アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)リラクゼーション技法
睡眠と満月に関する研究、睡眠とメンタルヘルスに関する研究

