夫婦で生活習慣を見直すときに責め合わない話し方

男性不妊とご夫婦で取り組む妊活ケアを表すブログ画像

8月19日の
「男性の喫煙・飲酒と妊活」
では、

男性の喫煙が、

精子濃度。

運動率。

形態。

精子DNA。

などと関連する可能性があることや、

過剰な飲酒についても妊活中は見直す価値があることをお伝えしました。

医学的には、

「禁煙した方がいい」

「飲みすぎは減らした方がいい」

と理解できても、

実際に夫へ伝えるとなると、

話は別です。

「タバコやめた方がいいんだって」

と伝えると、

「俺だけが原因みたいに言うなよ」

と返される。

「お酒少し減らせない?」

と聞くと、

「仕事のストレスもあるんだから」

と嫌がられる。

精液検査をお願いしたら、

「まだそこまでする必要ないでしょ」

と後回しにされる。

するとこちらも、

「私は毎月こんなに病院へ行っているのに」

「採血も注射もしているのに」

「どうしてあなたは何もしてくれないの?」

と言いたくなります。

妊活中に、こうした気持ちが出ること自体は不思議ではありません。

WHOの2025年不妊ガイドラインでも、妊活・不妊治療では生活習慣への支援だけでなく、不妊がもたらす心理的・社会的負担への継続的な支援の重要性が示されています。さらに生活習慣については、女性だけでなく妊娠を目指す個人・カップル双方を対象として考えることが勧められています。

つまり、

妊活は、

「妻が身体を整えて、夫に協力してもらう」

ものではありません。

二人それぞれにできることを整理していくもの

です。

目次

「正しいことを言う」だけでは伝わらないことがあります

たとえば喫煙について。

米国生殖医学会(ASRM)は、喫煙男性では非喫煙男性と比べて精液所見や精子機能検査が低い傾向があり、用量依存的な影響も報告されているとしています。

ですから、

「妊活中は禁煙を考えた方がいい」

という医学情報そのものは間違っていません。

でも、

夫婦の会話では、

正しい情報を伝えれば、

相手がそのまま行動してくれるとは限りません。

特に、

「あなたの精子が悪くなるからタバコをやめて」

と言われれば、

相手には、

「自分が不妊の原因だと言われている」

と聞こえることがあります。

医学情報と、

相手への伝え方。

この二つは分けて考えましょう。

夫婦で話すときは「原因探し」から始めない

妊活では、

女性側。

男性側。

双方。

あるいは明確な原因がわからない場合があります。

ですから、

生活習慣を見直す目的も、

「誰が悪いかを決めること」

ではありません。

目的は、

これから変えられることを、二人で整理すること

です。

会話の入り口を、

「あなたの○○が悪い」

から、

「私たちにできることを整理したい」

へ変えてみましょう。

NGになりやすい言い方1 「私はこんなに頑張っているのに」

これは、

言いたくなる気持ちがとてもわかる言葉です。

女性側では、

通院。

超音波検査。

採血。

注射。

採卵。

胚移植。

薬。

と、

身体に直接かかわることが多くなります。

一方、夫が普段と変わらずお酒を飲んでいると、

「私ばかり」

と感じることがあります。

ただ、

「私はこんなに頑張っているのに、あなたは何もしてくれない」

と言われると、

相手は、

生活習慣について考えるより先に、

「責められている」

ことへの反論を始めやすくなります。

こう言い換えてみます

「病院へ通うことが増えて、最近ちょっと私一人で頑張っている感じがしてつらいんだ。二人でできることを一度整理したい」

ここで伝えているのは、

「あなたが悪い」

ではなく、

「私は今こう感じている」

です。

相手の人格や努力を評価する前に、

自分が困っていることを伝えます。

NGになりやすい言い方2 「妊活しているんだから、お酒くらいやめて」

「くらい」

という言葉は、

相手にとっては、

「簡単なことなのに、なぜできないの?」

と聞こえる場合があります。

毎晩飲酒する習慣がある方にとって、

急にやめることは簡単ではないこともあります。

こう言い換えてみます

「全部やめてほしいというより、一回今の量を一緒に見てみない?」

あるいは、

「毎日飲んでいるなら、まず週に何日か飲まない日を作れそう?」

のように、

「ゼロか100か」ではなく、具体的な一歩

にします。

ただし依存が疑われるほどの飲酒については、

妊活だけの問題として夫婦だけで解決しようとせず、医療機関への相談も考えてください。

NGになりやすい言い方3 「その生活だから精子が悪いんじゃない?」

これは避けたい言い方です。

精液検査で、

濃度。

運動率。

形態。

などに問題があったとしても、

一つの生活習慣だけを原因と断定することはできません。

男性不妊には、

精索静脈瘤。

ホルモン。

遺伝学的要因。

精路の問題。

発熱。

年齢。

生活習慣。

など、さまざまな要因があります。

ですから、

「タバコのせいでこの数値になった」

ではなく、

「原因を一つに決めることはできないみたい。でも、変えられるところとして喫煙は見直す価値があるみたいだよ」

くらいがよいでしょう。

精液検査をお願いするときは「あなたを調べる」から「二人を調べる」へ

男性にとって、

精液検査は、

抵抗を感じやすい検査の一つです。

「精子を調べられる」

ことが、

男性としての能力を評価されるように感じる方もいます。

そこで、

「あなたに問題がないか調べてきて」

と言われると、

受診のハードルがさらに上がることがあります。

こんな伝え方があります

「妊活は女性側と男性側の両方を確認するものみたいだから、私も検査するし、一緒に一度確認しておかない?」

あるいは、

「何もなければ、それがわかることも次の判断材料になるみたいだよ」

と伝えます。

精液検査は、

悪いところを探す検査だけではありません。

今の状態を知り、次の妊活方針を考える材料

でもあります。

「精液検査を受けて」より「いつなら受けられそう?」へ

お願いして終わると、

結局何週間も進まないことがあります。

そこで、

「検査してほしい」

だけではなく、

「今月の中なら、いつ頃なら受けに行けそう?」

と、

具体的な予定へ落とします。

ただし、

「じゃあ水曜ね」

と妻側がすべて予約・管理すると、

今度は妻が、

夫の妊活管理者

になってしまいます。

本人ができることは本人に任せることも大切です。

妊活で「妻が夫を管理する形」にならないように

こんな状態になっていないでしょうか。

「今日はお酒何杯飲んだ?」

「タバコ何本?」

「サプリ飲んだ?」

「何時に寝た?」

「精液検査予約した?」

毎日確認している。

妻としては、

治療を前へ進めたいから確認しています。

でも、

この関係が続くと、

夫婦というより、

監督する人と監督される人

のようになることがあります。

そして妻側の仕事も、

さらに一つ増えてしまいます。

「本人に任せる項目」をつくる

たとえば、

夫:

・禁煙について調べる
・精液検査を予約する
・自分のサプリを管理する

妻:

・自分の治療スケジュールを共有する
・自分の薬を管理する

二人:

・週末に今後の予定を確認する

というように、

役割を分けます。

相手の宿題まで自分が抱えない

ことも大切です。

一回の話し合いで全部決めようとしない

生活習慣について話すなら、

喫煙。

飲酒。

睡眠。

運動。

食事。

サプリ。

精液検査。

受診。

全部を一晩で決めようとすると、

会議のようになってしまいます。

今日なら、

タバコのことだけ。

今週は、

精液検査だけ。

と、一つに絞っても構いません。

話すタイミングも意外と大切です

帰宅直後。

仕事で疲れているとき。

お酒を飲んでいる最中。

寝る直前。

夫婦げんかの途中。

こうしたときに、

「妊活の話なんだけど」

と始めると、

内容以前に受け止めにくいことがあります。

できれば、

「妊活のことで10分くらい話したいんだけど、今日と明日ならどっちがいい?」

と、

相手にも話す準備をする時間をつくる

方法があります。

「10分だけ」にするのもおすすめです

妊活の話は、

始めると長くなりやすいものです。

病院。

検査。

採卵。

費用。

仕事。

生活。

将来。

話題が全部つながっています。

だからこそ最初に、

「今日はタバコのことだけ10分話したい」

と決める方法があります。

話が広がりそうなら、

別のテーマはまた次回へ。

これだけでも、

「妊活の話=長くて重い」

という印象を減らしやすくなります。

相手が「大丈夫でしょ」と言ったら

こちらが調べた医学情報を、

相手が、

「そんなの気にしすぎ」

「みんな飲んでるじゃん」

「タバコ吸ってても子どもできてる人いるし」

と言うことがあります。

そこで、

大量の論文を送りつけたくなるかもしれません。

でも、

相手を言い負かすことが目的ではありません。

「絶対悪い」ではなく「少しでも変えられるなら」

たとえば喫煙なら、

「吸っていたら絶対妊娠できない、という話ではないみたい。でも精子への影響を示す研究はあるから、変えられるものなら一緒に考えたいんだ」

と伝えます。

ASRMも、男性喫煙者では精液所見や精子機能検査が低い傾向を示す研究があり、妊娠前の禁煙支援を推奨しています。

「絶対」ではないから何もしなくていい

でも、

「可能性がある」から全部禁止

でもありません。

「子どものために」だけを使いすぎない

「子どもが欲しいなら禁煙できるでしょ」

という言い方も、

強い圧力になることがあります。

妊活のためであることは確かですが、

禁煙や節酒は、

本人自身の健康にも関係します。

「妊活もそうだけど、これから先の身体のためにも一緒に考えてみない?」

という視点があってもよいでしょう。

妊活を「努力量の競争」にしない

妊活中に一番苦しくなりやすいのが、

「どちらが頑張っているか」

の比較です。

妻:

採卵している。

注射している。

病院へ行っている。

夫:

仕事している。

お金も考えている。

自分なりには協力している。

お互いが、

「自分の方が大変」

となると、

話は生活習慣から離れていきます。

妊活で必要なのは、

努力量を同じにすることではありません。

身体的な負担は同じにはできません。

だから、

「同じことをする」ではなく「それぞれができる役割を持つ」

と考えてみてください。

ESHREも「両方のパートナーを治療に関わらせる」ことを勧めています

不妊治療では、

どうしても女性が患者、

男性は付き添い、

という形になりがちです。

しかしESHREの心理社会的ケアガイドラインでは、不妊治療の過程で両方のパートナーを積極的に関与させることが推奨されています。

これは、

二人が同じ治療を受ける、

という意味ではありません。

情報、判断、生活改善、心理的負担を、妻だけの問題にしない

ということです。

「一緒にやろう」が負担になることもあります

一方、

何でも、

「二人で一緒に」

にしなくても構いません。

妻は早寝する。

夫は禁煙を進める。

妻は通院する。

夫は精液検査を予約する。

と、

別々に取り組んでもよいのです。

大切なのは、

お互いが妊活から完全に外れてしまわないこと

です。

生活習慣を見直すときの4つの話し方

ここまでを、実際に使いやすい形にまとめます。

1.「あなたは」より「私は」で始める

「あなたは何もしてくれない」

ではなく、

「私は最近、一人で頑張っている感じがして少しつらい」

と伝える。

2.人格ではなく、一つの行動を話す

「妊活への意識が低い」

ではなく、

「今は毎日お酒を飲んでいるから、量について一度考えたい」

と具体的にします。

3.禁止ではなく、小さな変更を相談する

「もう絶対飲まないで」

ではなく、

「まず週2日だけ飲まない日にできそう?」

と聞いてみます。

4.結論を押しつけず、二人で決める

「私はこうした方がいいと思っているけど、どう思う?」

と、

相手の考えも聞きます。

ただし「配慮して言えば、必ず相手が変わる」わけではありません

ここも大切です。

言い方を変えた。

優しく話した。

医学的な説明もした。

それでも、

検査を受けない。

禁煙を考えない。

話し合おうとしない。

という場合もあります。

そのとき、

「私の伝え方が悪かった」

とすべて背負わないでください。

コミュニケーションは、

一人だけでは成立しません。

話し合いがずっと成立しない場合は、第三者を使う方法もあります

夫婦だけで話すと、

いつも同じところでけんかになる。

という場合は、

主治医。

看護師。

不妊カウンセラー。

心理職。

など、

第三者から説明してもらう方法があります。

WHOは2025年ガイドラインで、不妊による不安・孤立などの心理社会的負担に対して、継続的な心理社会的支援へのアクセスを重視しています。

ESHREも、治療に関する不安を話し合える機会や、必要に応じた専門的な心理社会的ケアを勧めています。

二人だけで解決しなければ、

妊活が失敗、

というわけではありません。

当院でも「夫にどう伝えたらいい?」という相談があります

妊活鍼灸では、

身体のことだけをお聞きするわけではありません。

たとえば、

「夫が精液検査へ行ってくれない」

「生活習慣の話をするとけんかになる」

「自分ばかり治療しているように感じる」

というお話を伺うこともあります。

もちろん、

夫婦関係を治療する場所ではありません。

でも、

不妊治療の流れ。

男性側の検査。

生活習慣について現在わかっていること。

を整理し、

妻が一人で情報を抱え込まなくてもよいようにすること

はできます。

妊活に鍼灸を取り入れるメリットは「妻の負担も一緒に見られること」

夫の生活習慣が気になると、

妻の意識は、

夫の、

タバコ。

お酒。

睡眠。

食事。

へ向かいます。

でも、

その間にも妻自身は、

通院。

薬。

仕事。

採卵。

胚移植。

判定待ち。

を続けています。

そこで当院では、

夫側のことだけでなく、

女性自身の、

睡眠。

胃腸。

疲労。

月経。

冷えやほてり。

肩や腰の緊張。

なども確認します。

夫を変えるために妻がさらに頑張るのではなく、妻自身の身体も整える。

これも大切な妊活の一部です。

鍼灸は「夫婦の生活改善の代わり」ではありません

鍼灸を受けているから、

禁煙しなくていい。

検査を受けなくていい。

ということではありません。

男性側に必要な医学的評価は、

男性不妊を扱う泌尿器科や生殖医療機関で受けます。

生活習慣で変えられることは、

無理のない範囲で見直す。

その一方で女性側は、

病院で必要な不妊治療を受けながら、

鍼灸で治療を続けている身体全体を整えていく。

それぞれ役割が違います。

今夜、夫婦で一つだけ話すなら

全部を変えなくて構いません。

今夜なら、

こんな始め方でも十分です。

「妊活のことで、一つだけ相談したいんだけどいい?」

そして、

今日話すテーマは一つにします。

「タバコについて」

でも、

「精液検査について」

でも、

「お酒について」

でも構いません。

最後に、

「じゃあ、今週はこれだけやってみようか」

で終わります。

次の問題まで全部話さなくて大丈夫です。

今夜使える言い換えをまとめます

「タバコやめて」

ではなく、

「妊活で二人にできることとして、禁煙について一度考えてみない?」

「お酒飲みすぎ」

ではなく、

「今どのくらい飲んでいるか、一週間だけ一緒に見てみない?」

「精液検査くらい受けてよ」

ではなく、

「私も検査しているから、二人の状態を一度確認して次を考えたい」

「私ばっかり頑張ってる」

ではなく、

「最近、一人で妊活を背負っている感じがして少しつらい」

「もっと妊活に協力して」

ではなく、

「あなたにできそうなことを一つ決めたいんだけど、何ならできそう?」

妊活で大切なのは「同じだけ頑張ること」ではありません

採卵の痛みを、

夫が半分引き受けることはできません。

精液検査を、

妻が代わりに受けることもできません。

だから、

夫婦で完全に同じ負担にはできません。

でも、

情報を共有する。

検査を受ける。

生活を見直す。

通院予定を知る。

話を聞く。

そうしたことはできます。

同じ負担ではなく、同じ方向を向く。

妊活では、

それくらいでも大きな違いになります。

「誰が悪い?」ではなく「二人で次に何をする?」

生活習慣について話す目的は、

夫の行動を採点することではありません。

妻の頑張りを証明することでもありません。

精液検査が悪かったとしても、

誰かを責めるための数字ではありません。

WHOが示すように、妊活の生活改善は個人だけではなくカップルにも向けられるものであり、心理社会的な負担も含めて支えることが重要です。

だから、

「どうしてやってくれないの?」

で終わるのではなく、

「では、私たちは次に何をする?」

へ進める。

それが、

夫婦で妊活を続けていくための一つの考え方です。

【参考・出典】

世界保健機関(WHO)「不妊の予防・診断・治療に関するガイドライン」

世界保健機関(WHO)「初の世界不妊ガイドライン―人を中心とした科学的ケア」

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)「不妊・生殖補助医療における心理社会的ケアガイドライン」

米国生殖医学会(ASRM)「タバコ・マリファナ使用と不妊に関する委員会見解」

ご夫婦の妊活を、一人で背負いすぎていると感じる方へ

「夫に何度言っても伝わらない」

「私ばかり病院へ通っているように感じる」

「生活習慣の話をすると、いつもけんかになってしまう」

そんな状態が続くと、

妊活そのものだけでなく、

身体も疲れてしまいます。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、

・現在の不妊治療の段階
・これまでの治療経過
・ご夫婦の検査状況
・女性側の睡眠
・胃腸や食欲
・月経
・疲労
・冷えやほてり
・身体の緊張

などを確認しながら、妊活を続ける女性の身体づくりをサポートしています。

妊活に鍼灸を取り入れるメリットは、

妊娠に関係する部分だけを見ることではありません。

病院で必要な不妊治療を受けながら、妊活を続ける中で積み重なった睡眠の乱れ・胃腸・疲労・身体の緊張まで一緒に整えていけること

も大きな特徴です。

「夫をどうにかしなければ」

と一人で抱え続ける前に、

自分自身の身体も一度休ませ、整える時間をつくってみてください。

「夫婦で何から見直したらよいかわからない」

「病院での治療と並行して、自分自身の身体も整えていきたい」

という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

なお、当院は女性専用を基本としております。

男性への施術は、既存患者様からのご紹介がある場合、またはご夫婦でご来院いただく場合に限りご相談を承っています。

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