妊活について調べていると、
「この記事、本当に信じていいのかな?」
と迷うことがあります。
医療機関の記事、個人ブログ、SNS、動画、サプリメント販売会社の記事など、同じテーマでも書いてあることが違う場合があります。
しかも、不妊治療には専門用語が多いため、一見すると医学的に詳しそうな記事でも、どこまで信頼してよいのか判断しにくいですよね。
10月19日朝の記事「妊活に必要な情報の選び方」では、情報を見るときには発信元や更新日、自分の治療段階との関係を確認することをお伝えしました。
今回はその続きとして、
記事やSNSを開いたとき、その場で確認できる8つのチェック項目
にまとめます。
全部に○がつかなければ読んではいけない、というものではありません。
「これはどんな種類の情報だろう?」
と、一度立ち止まるためのチェックリストとして使ってみてください。
チェック1|誰が発信している情報ですか?
まず確認したいのは、内容よりも発信者です。
治療方法、検査、薬など医学的な内容について調べる場合は、公的機関、医学会、医療機関などが発信している情報を一つの基準にできます。
記事の上部や下部に、
- 運営している組織
- 執筆者や監修者
- 専門分野
- 問い合わせ先
などが記載されているか確認してみましょう。
反対に、誰が書いたのか分からず、引用元もなく、医学的な内容だけが断定的に書かれている場合には、その記事だけで判断しないほうが安心です。
「何が書いてあるか」の前に、「誰が書いているか」を見る。
これを最初の習慣にしてみてください。
チェック2|いつ公開・更新された情報ですか?
妊活や不妊治療に関する情報は、時間とともに変わることがあります。
検査方法や治療の考え方が更新されたり、ガイドラインが改訂されたりすることもあります。
そのため、記事を読んだら公開日や最終更新日を確認してください。
特に、薬、治療法、検査、保険制度などについては、何年も前の記事が現在も検索上位に表示されていることがあります。
古い記事だからすべて間違いということではありません。
ただし、
「今も同じ考え方なのか」
を確認する視点は必要です。
チェック3|その主張の根拠が書かれていますか?
「妊娠率が上がります」
「着床しやすくなります」
「卵子の質が改善します」
こうした表現を見たときには、
「それは何を根拠に言っているの?」
と一度確認してみてください。
医学会のガイドライン、研究論文、公的機関の資料などが示されているかを見る方法があります。
ただし、「研究があります」と書いてあるだけでも十分ではありません。
一つの小さな研究だけを大きく取り上げている場合や、動物実験の結果をそのまま人にも当てはまるように説明している場合もあります。
研究そのものを細かく読み解く必要はありません。
少なくとも、根拠の出どころが確認できるかを見てみましょう。
チェック4|「絶対」「必ず」「これだけで」と書かれていませんか?
妊活中は結果が分からないからこそ、強い言葉に引かれやすくなります。
たとえば、
「これを食べれば妊娠しやすくなる」
「この方法なら必ず卵子の質が上がる」
と書いてあれば、試してみたくなるかもしれません。
でも、妊娠には年齢、卵子や精子、子宮・卵管、胚、治療方法など、多くの要素が関係します。
一つの食品やサプリメント、セルフケアだけで結果を保証することはできません。
特に、強い不安をあおったあとで商品購入へ誘導する内容には慎重になりましょう。
「絶対」という言葉が出てきたら、一度画面を閉じて別の情報も確認する。
そのくらいで構いません。
チェック5|医学情報と体験談を分けて読めていますか?
個人ブログやSNSには、医療機関の説明にはないリアルな経験があります。
採卵後にどんな気持ちだったのか、仕事と通院をどう両立したのかなど、同じ経験をしている方の言葉に救われることもあります。
体験談を読むこと自体に問題はありません。
ただし、
「この人もAMHが同じだから、私も同じ結果になる」
「この人がこのサプリを飲んで妊娠したから、私も飲もう」
という使い方は避けたいところです。
体験談から分かるのは、
「その人にはそういう経験があった」ということ。
医学的な治療判断とは分けて考えましょう。
チェック6|その情報は「今の自分」に必要ですか?
信頼できる情報でも、今必要とは限りません。
たとえばタイミング法を始めたばかりなのに、反復着床不全の検査について何時間も調べている。
まだ採卵前なのに、何年も先に検討するかもしれない治療まで読んで不安になっている。
そんなことがあります。
記事を開いたら、
「これは今の私の治療に関係する情報?」
と一度確認してみてください。
今必要なら読む。
次回の診察で聞けばよいならメモする。
まだ関係なければ、今は閉じる。
情報を捨てるのではなく、読む時期を選ぶという考え方です。
チェック7|自分の検査結果へ勝手に当てはめていませんか?
妊活では、AMH、精子濃度、運動率、内膜の厚さ、胚の評価など、数字を目にする機会が増えます。
すると、
「AMH 0.8 妊娠」
「内膜7mm 着床」
など、自分の数字をそのまま検索したくなることがあります。
似た数字の人がうまくいった体験談を見れば安心し、うまくいかなかった投稿を見れば不安になる。
でも、妊娠や治療方針は一つの数字だけで決まりません。
同じ検査値でも、年齢やほかの検査結果、治療歴などによって状況は違います。
検索するより、
「私の場合、この数字は治療にどう関係しますか?」
と主治医へ聞くほうが、自分に必要な情報になります。
チェック8|読んだあと、行動を急かされていませんか?
情報を読んだあと、
「今すぐこれを買わないと」
「この検査を受けないと手遅れになる」
「この病院へ変えなければ」
と急に焦っていませんか。
もちろん、医学的に早めの受診や治療が必要なこともあります。
ただ、記事や広告を読んだ直後に強い焦りが生まれ、そのまま購入や契約へ誘導されている場合には、一度時間を置いてみましょう。
特に高額なサプリメント、検査、サービスについては、主治医へ確認したり、別の情報源も見たりしてから考えて構いません。
急いで決める必要があるのかまで確認する。
それも情報を見分ける大切なポイントです。
迷ったら、この8項目だけ確認してください
記事やSNSを見て迷ったときは、次の8項目を確認してみましょう。
- 発信者が分かる
- 公開日・更新日が確認できる
- 根拠や出典が示されている
- 「絶対」「必ず」と断定しすぎていない
- 体験談と医学情報が区別されている
- 今の自分の治療段階に関係する
- 自分の検査結果へ単純に当てはめていない
- 不安をあおって購入や行動を急かしていない
全部を毎回チェックしなくても大丈夫です。
「ちょっと怪しいかも」
と思ったときに、この中から2~3個を見るだけでも情報との距離が取りやすくなります。
AIで調べるときも「確認の入口」と考える
最近では、検索だけでなくAIを使って妊活情報を調べる機会も増えています。
AIは専門用語を分かりやすく整理したり、診察で聞きたいことをまとめたりするときには便利です。
一方で、もっともらしい説明でも、情報が古かったり、個人の治療条件に合わなかったりする可能性があります。
そのため、治療方法、薬、検査結果など重要な判断については、
AIの回答だけで最終判断せず、元の情報や医師・薬剤師へ確認する
ようにしてください。
「調べる入口」と「医療判断」を分けて使うことが大切です。
「正しい情報を探し続ける」ことも疲れにつながります
情報の見分け方を知ると、
「全部きちんと確認しないと」
と思う方もいるかもしれません。
でも、すべての記事の出典や研究まで確認する必要はありません。
医学的な判断が必要な内容なら、公的機関や医学会など信頼できる情報をまず確認し、分からなければ次の診察で聞く。
それで十分なこともたくさんあります。
情報収集そのものが新しい仕事にならないようにしてください。
最後まで判断できなければ「診察で聞くメモ」に移す
調べても分からないことはあります。
そんなときは、検索を続ける代わりに質問へ変えてみましょう。
たとえば、
この検査は私にも必要ですか?
この情報は現在の治療にも当てはまりますか?
このサプリメントを追加する意味はありますか?
という形です。
質問としてメモできたら、その日は検索を終えて構いません。
自分で答えを出すことより、必要な人へ聞ける形にすることも情報整理の一つです。
情報が増えすぎて、身体のことが分からなくなってきたら
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、
「いろいろ調べたけれど、結局自分は何をしたらいいのか分からなくなった」
というご相談をいただくことがあります。
そんなときには、新しいセルフケアをさらに増やすのではなく、現在の治療状況や生理周期、睡眠、胃腸、冷え、疲れなど、実際の身体へ一度戻って整理します。
妊活中によくある身体や気持ちのお悩みについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
情報を選ぶ力は「検索を終える力」でもあります
信頼できる情報を見つけることは大切です。
でも、それと同じくらい、
「ここまで分かれば今日は十分」
と検索を終えられることも大切です。
すべてを知ってから治療を受けることはできません。
分からないことがあれば、その都度確認していけば大丈夫です。
妊活情報を集めることに疲れたら、一度画面から離れ、自分の生活や身体へ戻る時間もつくってみてください。
現在の治療と身体づくりを一度整理してみたい方はご相談ください。
この記事を書いた人
菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
施術歴17年以上。妊活・婦人科・マタニティなど、女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、病院での治療状況も確認しながら身体づくりをサポートしています。
参考・出典
日本生殖医学会「生殖医療ガイドライン」
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」
国立成育医療研究センター「プレコンセプションケアセンター」
World Health Organization(WHO)「Infertility」
European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE)「Routine Psychosocial Care in Infertility and Medically Assisted Reproduction」

