胚移植前夜と当日に整えたい持ち物・服装・心の準備

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胚移植の日が近づいてくると、

「何を持って行けばいい?」

「どんな服装で行くと楽?」

「前日の食事は変えた方がいい?」

「当日は水をどのくらい飲むの?」

と、細かなことが気になり始めます。

忘れ物をしたらどうしよう。

薬を使う時間を間違えたらどうしよう。

緊張して身体に力が入ったら、移植に影響するのでは。

初めての胚移植はもちろん、経験したことがある方でも、移植の日は普段とは違う緊張を感じるものです。

8月2日の
「胚移植当日の流れをやさしく解説」
では、受付から胚の確認、移植、帰宅までの一般的な流れをお伝えしました。

今回は、その内容を踏まえて、前夜から当日に確認しておきたい準備を具体的に整理していきます。

まず大切なのは、

胚移植の準備は、すべてを完璧に整えるためのものではない

ということです。

当日慌てることを少し減らし、できるだけ落ち着いて医療機関へ向かうための準備と考えてみてください。

目次

最優先は、通院先からの指示を確認すること

胚移植当日の準備は、医療機関によって異なります。

特に確認しておきたいのは、

・来院時間
・受付場所
・食事制限の有無
・水分をとり始める時間
・膀胱に尿をためる必要があるか
・当日使用する薬
・持参する薬
・同意書など必要な書類
・パートナーの同伴が可能か
・移植後の説明や会計までの所要時間

などです。

インターネットでは、

「移植前は○時間前から水を飲む」

「朝食は食べない方がいい」

など、さまざまな体験談が見つかります。

しかし、腹部超音波で確認しながら移植する施設では膀胱に尿をためるよう案内されることがありますが、必要な量や方法は施設ごとに異なります。通院先から受け取った説明書や指示を最優先にしてください。

前夜に確認しておきたいこと

移植前夜は、特別なことをたくさん始める日ではありません。

当日の朝に慌てないよう、必要なものをそろえ、薬や移動時間を確認しておくことが中心です。

1.来院時間と移動方法を確認する

予約時間だけでなく、

・自宅を出る時間
・電車やバスの時間
・駐車場の場所
・渋滞しやすい時間帯
・受付する場所

まで確認しておきましょう。

移植当日は、膀胱に尿をためた状態で移動することがあります。

駅から医療機関まで長く歩く場合や、移動時間が読みにくい場合は、少し余裕を持った計画がおすすめです。

ただし、早く着きすぎて長時間トイレを我慢することにならないよう、施設から指定された来院時間も確認してください。

2.薬を使う時間を書き出しておく

凍結融解胚移植や新鮮胚移植では、

・エストロゲン製剤
・プロゲステロンの腟剤
・内服薬
・注射

などを使用していることがあります。

移植当日も、通常どおり使用する薬がある一方、医療機関から個別の指示が出る場合もあります。

薬の名前と使用時間を、紙やスマートフォンのメモへ書き出しておくと安心です。

「移植の日だから薬を控えた方がいいかも」

と自己判断で中止したり、時間を大きく変えたりしないでください。

胚移植後も、処方薬は通院先から指示された期間・方法で続けることが大切です。

3.必要書類をまとめておく

医療機関によっては、

・診察券
・マイナ保険証または健康保険証
・移植に関する同意書
・治療スケジュール表
・支払いに必要なもの
・薬の記録

などが必要です。

同意書にパートナーの署名が必要な場合は、当日の朝になって慌てないよう前夜までに確認しておきましょう。

4.当日の持ち物を一つのバッグへ入れる

持ち物は玄関近くなど、朝すぐに手に取れる場所へまとめます。

「忘れてはいけない」と頭の中で覚え続けるより、準備を終えて目に見える状態にしておく方が、夜も休みやすくなります。

胚移植当日の持ち物チェック

必要なものは医療機関によって異なりますが、一般的には次のようなものを確認しておくと安心です。

必ず確認したいもの

・診察券
・マイナ保険証または健康保険証
・同意書など指定された書類
・支払いに必要な現金やカード
・医療機関から持参するよう言われた薬
・服用中の薬がわかるお薬手帳やメモ
・スマートフォン

あると便利なもの

・水または指定された飲み物
・小さめのタオル
・ティッシュ
・薄手の羽織もの
・替えのマスク
・生理用ナプキンやおりものシート
・薬を使用する時間を書いたメモ
・聞きたいことを書いた質問メモ
・必要に応じてモバイルバッテリー

移植後に少量の出血や腟剤の残りが出る場合もあるため、気になる方はナプキンやおりものシートを用意しておくと安心です。

ただし、医療機関から専用の持ち物一覧を受け取っている場合は、そちらを優先してください。

飲み物は自分の判断で大量に飲まない

腹部超音波で子宮を確認しながら胚移植を行う施設では、

「膀胱に尿をためて来てください」

と指示されることがあります。

膀胱にある程度尿がたまることで、超音波で子宮を確認しやすくなったり、カテーテルを通しやすくなったりする場合があるためです。

ただし、

満杯になるまで我慢すれば、移植がうまくいきやすくなるという意味ではありません。

尿をためすぎて、

・強い痛みがある
・冷や汗が出る
・待っていられない
・診察台でじっとしていられない

という状態では、かえってつらくなります。

通院先から、

「何時から飲み始めるか」

「どのくらい飲むか」

という指示がある場合は、それに従いましょう。

我慢できないほどつらいときは、黙って耐えず、スタッフの方へ伝えてください。

一部だけ排尿するよう案内してもらえる場合もあります。

食事は普段どおりでよい?

通常、麻酔や鎮静を使わない胚移植では、特別な絶食を指示されないことも多くあります。

ただし、医療機関による違いや、個別の処置予定によって指示が異なる場合があります。

食事制限について何も言われていない場合も、

「念のため食べない方がいい」

と自己判断で朝食を抜く必要はありません。

空腹で気分が悪くなりやすい方は、食べ慣れたものを無理のない量でとっておきましょう。

たとえば、

・ごはんやパン
・卵
・豆腐
・スープやみそ汁
・バナナなど食べ慣れた果物

など、普段食べているもので構いません。

反対に、

「移植前だから栄養をつけなければ」

と、脂っこいものや食べ慣れない健康食品を急に増やす必要もありません。

前夜に食べると着床しやすくなるものはある?

胚移植が近づくと、

「前日はパイナップルを食べた方がいい?」

「アボカドが着床によい?」

「温かいものだけにした方がいい?」

と気になるかもしれません。

しかし、特定の食品を前夜や当日に食べることで、着床が確実になる方法はありません。

前夜の食事で大切なのは、

・食べ慣れている
・胃腸へ負担をかけすぎない
・極端に量を減らさない
・飲酒を控える
・体調に合わせる

といった基本です。

「完璧な移植前メニュー」を作ろうとしなくて大丈夫です。

当日の服装は「着替えやすさ」と「温度調整」を優先

胚移植当日は、内診台へ上がるため、下半身の衣類を脱ぐ、または着替えることがあります。

服装は、

・脱ぎ着しやすい
・締めつけが強くない
・お腹周りが苦しくない
・院内の温度に合わせて調整しやすい

ものがおすすめです。

過ごしやすい服装の例

・ゆったりしたワンピース
・ウエストを締めつけないパンツ
・長めのトップス
・前開きの羽織もの
・脱ぎ履きしやすい靴

ワンピースでなければいけないわけではありません。

普段から着慣れていて、自分が落ち着いて過ごせる服装を選んでください。

締めつけの強い服装は避けてもよいでしょう

膀胱に尿をためる場合、きついデニムや補整下着などは、いつも以上に苦しく感じることがあります。

お腹周りに余裕のある服装にしておくと、移動中や待ち時間も楽です。

靴下や腹巻きは必要?

冷房が苦手な方は、薄手の靴下や羽織ものを持っておくと安心です。

ただし、真夏に厚手の腹巻きや重ね着をして、汗を大量にかく必要はありません。

身体を冷やさないことと、暑さを我慢することは別です。

自分が心地よいと感じる範囲で調整しましょう。

化粧や香水はどうする?

通常の化粧が一律に禁止されているわけではありません。

ただし、香水、香りの強い整髪料、ボディークリームなどを控えるよう案内している医療機関もあります。

施設によってルールが異なるため、説明書に記載がないか確認してください。

迷う場合は、香りの強いものを当日だけ控えておくと安心です。

入浴やシャワーはいつもどおりでいい?

通院先から特別な指示がなければ、前夜に普段どおり入浴やシャワーをして構いません。

ただし、

「血流をよくしなければ」

と、長時間の熱い入浴やサウナ、岩盤浴などで大量に汗をかく必要はありません。

真夏は発汗によって疲労や脱水が強くなることもあります。

前夜は身体を追い込むのではなく、心地よく眠れる状態を優先しましょう。

前日に運動しても大丈夫?

普段から行っている軽い運動まで、必ず中止する必要はありません。

ただし、

・強い筋肉痛が残る運動
・長時間の激しい運動
・暑い屋外での運動
・脱水につながる活動
・睡眠時間を削る夜遅い運動

を、移植前日にあえて行う必要はありません。

「移植前だから運動で血流を上げなければ」

と頑張るより、疲れを翌日へ残さないことを優先してください。

眠れなくても、自分を責めなくて大丈夫

移植前夜は、

「早く寝なければ」

と思うほど目がさえてしまうことがあります。

時計を見る。

スマートフォンを見る。

明日の流れを何度も確認する。

そして、

「こんなに眠れなかったら、移植に影響するのでは」

と不安になる。

でも、一晩思うように眠れなかったからといって、それだけで移植の結果が決まるわけではありません。

眠れないときは、

眠ることより、身体を休ませること

へ目標を変えてみましょう。

照明を少し暗くする。

スマートフォンを置く。

肩の力を抜く。

横になって目を閉じる。

「眠らなければ」と頑張らなくても構いません。

緊張したら移植に悪い?

胚移植当日に緊張するのは、とても自然なことです。

初めて経験する処置。

大切に育てられた胚を戻す日。

これまでの治療を思い返せば、平常心でいられないこともあります。

「緊張して子宮が硬くなったらどうしよう」

「不安が強いと着床しないのでは」

と考える方もいますが、緊張している自分をさらに責める必要はありません。

緊張を完全になくすことより、

緊張していても、そのまま移植を受けて大丈夫

と思えることの方が大切です。

当日の不安を少し減らす3つの方法

移植前に気持ちを落ち着かせようとしても、考えないようにするのは難しいものです。

そんなときは、次の3つを試してみてください。

1.質問をメモしておく

聞きたいことを頭の中で覚え続けると、忘れないように緊張が続きます。

・今日移植する胚の状態
・薬をいつまで続けるか
・判定日はいつか
・出血したときの連絡先
・仕事や運動について

など、気になることを短く書いておきましょう。

2.息をゆっくり吐く

大きく吸おうとすると、かえって苦しくなることがあります。

まず今ある息をゆっくり吐きます。

肩を下ろし、奥歯を噛みしめていたら少し緩めます。

数を正確に数える必要はありません。

吸う息より、吐く息を少し長めにする程度で十分です。

3.当日の目標を一つにする

「絶対に落ち着いて受ける」

「何も忘れない」

「質問を全部する」

と目標を増やしすぎると、できなかったときに自分を責めてしまいます。

当日の目標は、

医療機関へ行き、移植を受ける

それだけでも十分です。

パートナーにお願いしたいことを具体的に伝える

パートナーに同伴してもらえる場合も、何をしてほしいかは人によって違います。

・移動を一緒にしてほしい
・受付や会計を手伝ってほしい
・あまり話しかけず、静かにそばにいてほしい
・胚の説明を一緒に聞いてほしい
・帰りに食べるものを用意してほしい
・帰宅後の家事を代わってほしい

「支えてほしい」だけでは、パートナーも何をすればよいかわからないことがあります。

してほしいことを一つだけでも具体的に伝えておくと、お互いに動きやすくなります。

同伴できない場合は、移植が終わったあとに連絡する時間を決めておくだけでも安心につながります。

移植後の帰り道まで考えておく

胚移植は、一般的に麻酔を使わず短時間で行われることが多く、体調に問題がなければ処置後に歩いて帰宅できます。

また、移植後に長時間横になっていることで妊娠率が高まるという根拠はなく、ASRMは移植後のベッド上安静を推奨していません。

ただし、

・長時間の移動になる
・暑い時間帯に歩く
・荷物が重い
・膀胱を我慢して疲れている
・移植後に仕事へ戻る

という場合は、帰り道で無理をしない工夫をしておきましょう。

タクシーを予約する。

荷物を軽くする。

途中で休憩する。

帰宅後の食事を用意しておく。

こうした準備は、胚を動かさないためではなく、移植を終えた自分の身体を無理なく休ませるためのものです。

移植後はすぐトイレへ行っても大丈夫

膀胱に尿をためていた方は、移植後すぐにトイレへ行きたくなると思います。

排尿したことで、子宮内へ移した胚が尿と一緒に外へ出てしまうことはありません。

尿が通る尿道と、胚が移植された子宮は別の場所です。

移植後に安全に排尿し、帰宅できることは医療機関の患者向け案内でも説明されています。

「なるべく我慢した方がよい」

と思わなくて大丈夫です。

帰宅後に特別なことをする必要はありません

胚移植を終えると、

「横になっていた方がいい?」

「お風呂はやめた方がいい?」

「何を食べればいい?」

と気になることがあります。

通院先から個別の指示がなければ、長時間寝たきりになる必要はありません。

処方薬を指示どおり使用し、無理のない範囲で普段に近い生活を送ります。

ただし、

「普通に過ごしてよい」

という言葉を、

「疲れていても休んではいけない」

と受け取る必要はありません。

移植を終えて気持ちが緩み、どっと疲れが出ることもあります。

休みたい方は休む。

軽く動きたい方は普段どおり過ごす。

その日の体調に合わせて構いません。

出血や痛みがあったときの連絡先を確認しておく

移植後、腟鏡やカテーテルの刺激などによって、少量の出血や軽い違和感がみられることがあります。

少量の出血だけで、移植の結果を判断することはできません。

一方で、

・出血量が多い
・強い腹痛が続く
・発熱がある
・息苦しい
・急激にお腹が張る
・体調が明らかに悪化した

ときは、通院先へ相談してください。

夜間や休診日に症状が出た場合の連絡先も、移植前に確認しておくと安心です。

前夜と当日に「完璧」を求めなくて大丈夫

前夜に少し眠れなかった。

朝食を思ったほど食べられなかった。

膀胱へ尿をためすぎてしまった。

忘れ物に気づいて慌てた。

移植中に緊張して身体へ力が入った。

帰りに少し歩いた。

そんな一つひとつを、

「これで結果が悪くなったらどうしよう」

と考えなくて大丈夫です。

胚移植は、あなたが完璧に準備できたかを試す日ではありません。

これまで、薬を使い、診察へ通い、採卵や胚培養を経て、今日まで治療を続けてきました。

当日は、

・指定された時間に向かう
・薬を指示どおり使う
・必要なものを持って行く
・困ったことはスタッフへ伝える

それができれば十分です。

今夜は「明日のために休む」だけでいい

胚移植の前夜は、何か特別なことをして妊娠の可能性を高める夜ではありません。

身体を温めるために無理をする。

着床によいと聞いたものを急に食べる。

夜遅くまで成功例を検索する。

そうしたことを増やさなくても大丈夫です。

持ち物を確認する。

薬の時間を確認する。

着て行く服を用意する。

目覚ましをかける。

そして、少しでも身体を休ませる。

今夜できる準備は、それで十分です。

明日、不安があっても構いません。

緊張していても構いません。

そのままの状態で、胚移植の日を迎えて大丈夫です。

【参考・出典】

米国生殖医学会(ASRM)「胚移植の実施に関するガイドライン」

米国生殖医学会(ASRM)「生殖補助医療を提供する施設の最低基準」

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)「IVF培養室における適正実施のための改訂ガイドライン」

Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust「胚移植後の患者さんへのご案内」

Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust「患者さんのためのIVF培養室ガイド」

Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust「IVF治療:胚を子宮へ移植するまで」

胚移植を迎える心と身体を、無理なく整えたい方へ

移植日が近づくと、

「身体を冷やさない方がいい?」

「もっと何かした方がいい?」

「緊張している自分でも大丈夫?」

と、普段なら気にならないことまで心配になることがあります。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、病院での治療方針や服薬を大切にしながら、

・睡眠
・冷えやほてり
・疲労
・胃腸の状態
・身体の緊張
・治療中の不安
・日々の生活リズム

などを確認し、その方の治療段階に合わせた身体づくりを考えています。

胚移植のために、特別な身体をつくらなければならないわけではありません。

頑張り続けている身体の負担を少し減らし、移植の日まで無理なく過ごせる状態を整えること。

それも、妊活中の大切な身体づくりの一つです。

「移植日が決まり、今の身体の状態を一度相談しておきたい」

「不安や緊張も含めて、どう過ごせばよいか整理したい」

という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

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