フライング検査を我慢したい夜に読む話

東洋医学の視点から体質改善を伝える奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

8月12日の
「判定日前にフライング検査をしたくなるとき」
では、

・妊娠検査薬が何を調べているのか
・早すぎる検査で陰性になる理由
・hCG製剤によって陽性になる場合があること
・薬を自己判断で中止しないこと

など、医学的な部分を中心にお伝えしました。

でも、

知識として、

「判定日まで待った方がいい」

とわかっていても、

夜になると検査薬が気になる。

トイレへ行くたびに、

「今なら出るかな」

と思ってしまう。

検索して、

「BT5 陽性」

「BT6 真っ白」

「胚移植後 症状なし」

などを何度も見てしまう。

そんなこともあると思います。

今夜お伝えしたいのは、

フライング検査をしたくなること自体を、自分の弱さだと思わなくていい

ということです。

ESHRE(欧州ヒト生殖医学会)の心理社会的ケアに関するガイドラインでも、IVF・ICSI治療では、採卵・胚移植と並んで、妊娠判定を待つ期間は不安やストレスが高まりやすい時期とされています。

つまり、

「どうして私はこんなに気になるんだろう」

ではなく、

結果を待っているから、気になる。

まずはそれくらいに考えてみてください。

目次

フライング検査をすると「早く答えがわかる」とは限りません

判定日まで待つのがつらいのは、

「結果を知りたいから」

だと思います。

だったら、

早く検査すれば早く答えが出る。

そう思いますよね。

でも実際には、

早すぎる検査ほど、答えがはっきりしないことがあります。

妊娠検査薬は、尿中のhCGというホルモンを検出します。

妊娠していても、検査した時点ではまだhCG量が少なければ、検査薬が陰性になることがあります。

FDAも、妊娠初期の早すぎる検査では、妊娠しているにもかかわらず陰性となる偽陰性が起こり得ると説明しています。

だから、

判定日前の陰性は、

「妊娠していない」という最終回答にならない場合があります。

陽性でも「これで妊娠確定」と言えない場合があります

不妊治療では、

排卵を促すためなどに、

hCGを含む薬剤を使用することがあります。

代表的なものの一つがオビドレルです。

オビドレルの公式製品情報では、投与後最大10日程度、血液や尿のhCG検査へ影響し、偽陽性の妊娠検査につながる可能性が示されています。

つまり治療方法によっては、

陽性。

「妊娠した!」

とも、

陰性。

「今回はダメだった」

とも、

まだ言い切れない時期があります。

フライング検査で一番つらいのは「結果が曖昧なこと」かもしれません

真っ白だった。

でも、まだ早い?

薄い線が出た。

でも、hCG注射の影響?

昨日より薄い?

写真を撮る。

明るさを変える。

拡大する。

SNSの画像と比べる。

もう一度検索する。

そして、

次の日も検査する。

こうなると、

答えを得るために検査したはずなのに、確認しなければならないことが増えてしまいます。

だから、

「フライング検査は絶対ダメ」

というより、

今夜考えてほしいのは、

「この検査で私は本当に安心できる?」

ということです。

「検査したい」と思ったら、まず10分だけ先延ばししてみる

いきなり、

「判定日まで絶対検査しない」

と決めると、かえって検査薬のことばかり考えてしまうことがあります。

そんなときは、

今すぐやらない。

だけで構いません。

10分後に考える。

お風呂に入ってから考える。

歯を磨いてから考える。

一度ベッドへ行ってから考える。

というように、

少しだけ間をつくります。

その10分で気持ちが変わらなければ、

また考えて構いません。

目標は、

「二度と検査したいと思わない」

ではなく、

衝動のまま今すぐ行動しない時間を少しつくること

です。

検査薬を「見える場所」から外してみる

洗面所を開けるたびに、

妊娠検査薬が見える。

それだけでも、

「やろうかな」

という気持ちは出てきます。

我慢する力を強くするより、

見えないところへ移す。

すぐ取り出せない場所へ置く。

パートナーに一時的に預ける。

という方法でも構いません。

意思の力だけに頼らず、検査しにくい環境をつくる。

これも立派なセルフケアです。

「症状チェック」もフライング検査の一種になることがあります

検査薬を使わなくても、

胸が張っている。

妊娠している?

胸の張りがなくなった。

ダメだった?

下腹部がチクチクする。

着床痛?

今日は何もない。

着床していない?

と、身体を何度も確認してしまうことがあります。

でも胚移植後は、

プロゲステロンなどの黄体補充によって、

眠気。

胸の張り。

腹部膨満。

便秘。

下腹部の違和感。

などが起こることもあります。

そのため、

症状の有無だけから妊娠結果を判断することはできません。

症状がある日。

ない日。

変わった日。

それだけで、一日の希望と不安を大きく動かさなくても大丈夫です。

「今日の症状」を検索し始めたら、一度目的を確認する

検索そのものが悪いわけではありません。

必要な情報を調べることは大切です。

でも、

「この症状なら妊娠している証拠が欲しい」

という目的で検索を始めると、

安心できる情報が見つかるまで、

検索が終わらなくなることがあります。

そして、

一つ安心できる投稿を見つけても、

その下に、

「私は同じ症状だったけれど陰性でした」

という投稿が出てきます。

するとまた不安になる。

今夜検索したくなったら、

「私は今、情報を探している? それとも安心を探している?」

と一度考えてみてください。

安心を探しているなら、

検索以外の方法の方が今の自分には合っているかもしれません。

SNSの「BT○で陽性」は、自分の結果とは比べられません

胚移植後には、

「BT5で陽性でした」

「BT6では真っ白だったけれどBT8で陽性」

などの投稿を目にすることがあります。

でも、

移植した胚の日齢。

検査薬。

検査時間。

尿の濃さ。

着床のタイミング。

hCG製剤の使用。

など条件が違います。

FDAも、検査時期が早いことや尿が薄いことなどによって偽陰性が起こり得るとしています。

他の人のBT5と、自分のBT5は完全に同じ条件ではありません。

比較しても、本当の答えにはたどり着きにくいのです。

今夜だけ「判定日のことを考えない時間」をつくる

判定日までずっと、

考えない。

不安にならない。

というのは難しいと思います。

だから、

一日全部ではなく、

30分だけ妊活から離れる時間

をつくってみてください。

ドラマを見る。

本を読む。

音楽を聴く。

温かい飲み物を飲む。

家族と別の話をする。

軽く身体を伸ばす。

好きな香りを使う。

何でも構いません。

「気をそらさなければ」

と頑張る必要もありません。

30分経って、

また気になってしまっても大丈夫です。

妊活を考えていない時間が30分あった。

それだけでも十分です。

「不安になると着床しない」と思わないでください

判定待ちの期間に、

「ストレスは着床によくない」

という情報を見ることがあります。

すると今度は、

不安。

ストレス。

着床しないかもしれない。

もっと不安。

という新しい不安が加わります。

不妊治療の待機期間に不安やストレスが高まりやすいこと自体は、ESHREでも認識されています。

だからこそ、

不安になった自分を、さらに責める必要はありません。

リラックスできなかったから着床しない。

考えすぎたからダメになる。

というように、自分の感情へ妊娠結果の責任を背負わせないでください。

東洋医学では「考え続けて休めない状態」も身体の一部として見ます

東洋医学では、

不安だけを、

「気持ちの問題」

として切り離しません。

眠り。

食欲。

胃腸。

身体の緊張。

疲れ。

月経。

などと合わせて身体全体のバランスを見ます。

肝鬱気滞(かんうつきたい)|緊張して身体に力が入りやすい状態

・検索をやめたいのにやめられない
・肩や首に力が入っている
・ため息が多い
・胸やお腹が張る
・寝る前になると考え込む

という方では、

肝鬱気滞=緊張などによって気の巡りが滞っている状態

として見ることがあります。

心脾両虚(しんぴりょうきょ)|考えすぎて疲れ、眠りも浅い状態

・ずっと考えてしまう
・寝つきが悪い
・眠りが浅い
・食欲も落ちている
・疲れているのに頭だけ動いている

という方では、

心脾両虚=考えすぎや疲労によって、心身を養う力が不足している状態

として見ることがあります。

東洋医学の体質は、

「このタイプだから妊娠しにくい」

と決めるためのものではありません。

今の身体が何に疲れているのかを見るための一つの考え方

として使います。

判定待ちの時期に鍼灸を取り入れる意味

妊活鍼灸というと、

「着床させるために受けるもの」

と思われるかもしれません。

もちろん、鍼灸とARTの妊娠成績については研究が行われており、2026年のメタ解析でも、鍼灸併用群で臨床妊娠率や着床率が有意に高かったという前向きな結果が報告されています。一方、出生率については明確な結論には至っておらず、研究の質や施術方法の違いなど課題も残っています。

だから当院では、

「このツボを使えば着床する」

という考え方ではありません。

それと同時に、

「妊娠結果とは関係ないから、判定待ちに鍼灸を受ける意味もない」

とも考えていません。

鍼灸は、判定日までを一人で耐えるためのものではありません

不妊治療に伴う不安やストレスに対する鍼灸も研究されています。

IVFを受ける女性を対象とした研究では、鍼治療を受けた群で胚移植時の不安が軽減した可能性が報告されています。別の研究でも、不妊治療に関連するストレスを軽減する補助的な方法として鍼灸の可能性が示されています。

鍼灸を受ける時間は、

結果を予測するための時間ではなく、

肩の力を抜く。

身体の緊張を見る。

眠れているか確認する。

胃腸の状態を見る。

疲れをため込みすぎていないか確認する。

という時間にもできます。

妊娠判定だけを見続けている意識を、一度自分の身体へ戻す。

それも、判定待ちの時期に鍼灸を取り入れるメリットの一つです。

不妊治療中に鍼灸を継続するメリット

当院では、

胚移植の日だけを特別な一日として見るのではなく、

採卵へ向かう時期。

採卵後。

胚移植前。

胚移植後。

判定日まで。

その後の治療。

と、身体の変化を継続して見ていきます。

たとえば判定待ちでも、

前回より眠れている。

胃腸が落ち着いている。

肩の緊張が強くなっている。

身体が冷えるというより、むしろほてっている。

など、状態は一人ひとり違います。

不妊治療の段階と身体の変化の両方を見ながら施術できること。

これは、妊活に鍼灸を継続して取り入れる大きなメリットだと考えています。

「今夜検査しない」と決めたら、代わりにすることを一つ決める

ただ、

「検査しない」

だけでは、空いた時間にまた検査のことを考えてしまいます。

ですから、

代わりの行動を一つ決めておきます。

たとえば、

検査したくなったら白湯を飲む。

検索したくなったら10分だけドラマを見る。

症状を確認したくなったら肩をゆっくり回す。

などで構いません。

大きなセルフケアはいりません。

行動を一つ置き換えるだけです。

それでも検査してしまったら、自分を責めない

ここも大切です。

「今日は絶対やらない」

と決めたのに、

検査してしまった。

すると、

「また我慢できなかった」

と自分を責める方がいます。

でも、

検査したことを後悔して、

さらに自分を責める必要はありません。

もし判定日前に検査した場合は、

その結果を最終判定として扱わない

ことを覚えておいてください。

早期の陰性は偽陰性の可能性がありますし、hCG製剤を使用している場合には偽陽性の可能性があります。

そして、

検査結果だけを理由に、

黄体補充など処方されている薬を自己判断で中止・変更しないでください。

通院先から指定された判定方法と指示を優先しましょう。

今夜覚えておきたい3つのこと

1.早すぎる検査は「早く答えが出る」とは限らない

陰性でも早すぎるだけかもしれない。

陽性でもhCG製剤の影響かもしれない。

だから判定日前ほど、結果が曖昧になる場合があります。

2.不安になることと、妊娠結果は分けて考える

不安になった。

検索した。

眠れなかった。

だから着床しない。

と自分の感情へ結果の責任を負わせないでください。

3.結果ではなく、今夜の身体へ意識を戻す

肩は上がっていない?

あごに力が入っていない?

お腹は空いていない?

喉は渇いていない?

身体は疲れていない?

判定結果は今日決められません。

でも、

今夜、自分の身体を少し休ませることはできます。

判定日まで、何もしないで待つ必要はありません

判定待ちは、

治療は終わった。

でも結果はまだわからない。

という、独特な時間です。

だからこそ、

「ただ待つしかない」

と感じることがあります。

でも、

生活を整える。

食事をする。

眠る。

仕事をする。

身体を休ませる。

鍼灸を受ける。

誰かに話す。

そういうことまで止める必要はありません。

結果を変えるために必死で何かをするのではなく、結果を待っている自分自身の身体を整える。

その時間にしてもいいのです。

妊活に鍼灸を取り入れることも、

「絶対に着床させるため」

ではなく、

病院で必要な不妊治療を受けながら、治療を続ける身体を一緒に整えていく選択肢

として考えてみてください。

【参考・出典】

米国食品医薬品局(FDA)「家庭用妊娠検査薬について」

欧州医薬品庁(EMA)「オビドレル製品情報」

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)「不妊治療における心理社会的ケアのガイドライン」

Frontiers in Endocrinology「生殖補助医療に併用する鍼治療のタイミングと施術量に関するメタ解析・ネットワークメタ解析」

Human Reproduction「体外受精における鍼治療と心理社会的アウトカムに関する研究」

Reproductive BioMedicine Online「体外受精中の鍼治療と不安・QOLに関する研究」

判定日までの不安も、身体と一緒に整えていきたい方へ

「検査しないと決めても、毎晩気になってしまう」

「胚移植後は身体の小さな変化まで怖くなる」

「眠れず、検索ばかりしてしまう」

そんな方もいらっしゃると思います。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、

・現在の不妊治療の段階
・胚移植からの日数
・使用している薬
・睡眠
・胃腸の状態
・冷えやほてり
・肩や首の緊張
・疲労
・月経や出血の状態
・治療中に感じている身体の負担

などを確認しながら施術を行っています。

不妊治療と鍼灸の研究では、臨床妊娠率や着床率について前向きな結果も報告されています。

同時に当院が大切にしているのは、

「妊娠するための身体」だけを見るのではなく、妊娠を願いながら治療を続けている女性の身体そのものを整えること

です。

判定日までの時間も、

一人で緊張を抱え続ける必要はありません。

病院で必要な治療を受けながら、

鍼灸で睡眠や胃腸、身体の緊張、疲労なども含めて整えていく。

そんな妊活の進め方もあります。

「今の治療段階でも鍼灸を受けていい?」

「胚移植後、判定日まで身体をどう過ごしたらいい?」

という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次