朝に公開した
「秋に向けて妊活の土台を整える準備」
では、夏の疲れを秋へ持ち越さないために、まず睡眠や胃腸の状態を見直すことをお伝えしました。
そして今夜、暦の上では立秋を迎えました。
とはいえ、外はまだ暑く、寝苦しい夜も続きます。
「秋になったから、今日から早く寝よう」
と思っても、
仕事や家事が終わらない。
治療について調べているうちに時間が過ぎる。
布団へ入っても考え事が止まらない。
気づけば、いつもの就寝時間になっている。
そんな方も多いのではないでしょうか。
早寝を続けられないのは、意思が弱いからとは限りません。
身体や頭がまだ活動している状態で、時計だけを見て急に眠ろうとしても、なかなか眠りへ切り替わらないことがあります。
そこで今夜は、
「早く眠ること」ではなく、「早く休む準備を始めること」
を考えてみましょう。
睡眠は「布団に入った瞬間」から始まるわけではありません
私たちの身体には、約24時間の周期で眠気や覚醒を調整する体内時計があります。
体内時計は、光や暗さ、食事、活動する時間など、日々のさまざまな刺激から影響を受けています。
夜になり周囲が暗くなると、身体は少しずつ睡眠へ向かいます。
反対に、夜遅くまで明るい照明やスマートフォンの画面を見続けていると、身体がまだ活動する時間だと受け取り、眠りへの切り替えが遅れることがあります。
つまり、
眠りは、布団へ入る前の過ごし方から始まっています。
「22時に寝なければ」と決めなくても大丈夫
妊活中は、
「ホルモンのためには22時までに寝るべき」
「夜更かしをすると卵子の質が下がる」
といった情報を目にすることがあります。
しかし、すべての人が同じ時刻に眠ればよいわけではありません。
仕事や家庭の事情、もともとの生活リズムなどは人によって異なります。
また、早く布団へ入っても、眠れずに長時間時計を見続ければ、かえって眠ることが負担になる場合があります。
睡眠を整えるときは、
何時に寝たかだけではなく、必要な睡眠時間を確保できているか、目覚めたときに休めた感じがあるか、日中に強い眠気がないか
も大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠時間だけでなく、睡眠による休養感を高めることが重視されています。
早寝の第一歩は「夜の終了時刻」を決めること
早く寝ようとすると、布団へ入る時刻ばかりに目が向きます。
けれど実際には、
・家事を終える
・スマートフォンを閉じる
・仕事の連絡を確認し終える
・翌日の準備を終える
・照明を落とす
といった、活動を終える時間が決まっていないこともあります。
たとえば、
「23時に寝る」
と決める代わりに、
「22時30分になったら、今日の活動を終える」
と決めてみます。
残っている家事があっても、急ぎでなければ翌日へ回す。
検索したいことがあっても、気になる言葉だけメモして終える。
眠る時間ではなく、まず活動を終える時間を少し早める。
それが、早寝の準備になります。
スマートフォンは「絶対見ない」より、置く場所を変える
妊活中は、夜になると検索が増えやすくなります。
「採卵前にできること」
「胚移植後の症状」
「判定日前の過ごし方」
「自分と同じ年齢の治療結果」
安心したくて調べ始めたはずなのに、次々と別の情報が気になり、いつの間にか眠る時間を大きく過ぎてしまう。
そんなこともあると思います。
スマートフォンを絶対に見ないと決めると、かえって気になる方もいます。
まずは、
・充電する場所を布団から少し離す
・寝室へ持ち込まない
・アラームを設定したら画面を伏せる
・検索は決めた時刻で終える
・気になることは紙へ書いて翌日に回す
など、手を伸ばせばすぐ触れる環境を変えることから始めてみましょう。
米国国立心肺血液研究所も、就寝前の時間は静かに過ごし、テレビやパソコンなどの強い人工光を避けることを睡眠習慣の一つとして紹介しています。
画面を暗くするだけで十分?
スマートフォンの夜間モードやブルーライトを抑える機能を使っている方もいると思います。
こうした機能は、画面の刺激を弱める工夫の一つです。
ただし、
画面の色を変えれば、何時間見続けても睡眠へ影響しないという意味ではありません。
治療情報やSNSの内容そのものによって、頭が活動し続けることもあります。
大切なのは光だけでなく、
「次の情報を探す」
「自分と誰かを比べる」
「結果を予測する」
という状態から、頭を少し離すことです。
部屋の照明を少し暗くする
寝る直前まで、昼間と同じような明るい照明の下で過ごしていませんか。
光は、身体に今が活動する時間なのか、休む時間なのかを伝える手がかりになります。夕方以降の強い人工光は、睡眠へ向かう身体の働きを妨げることがあります。
眠る1時間ほど前になったら、
・天井の照明を少し暗くする
・間接照明へ切り替える
・白く強い光を避ける
・テレビを消して静かな時間をつくる
など、できる範囲で明るさを落としてみましょう。
部屋全体を真っ暗にする必要はありません。
「今日の活動はそろそろ終わり」
と身体へ知らせる程度で構いません。
入浴は「身体を温めるために我慢する時間」ではありません
妊活中は、
「身体を温めなければ」
と、疲れている日も長く湯船へ入っている方がいます。
入浴は、気持ちを切り替えるきっかけになります。
ただし、熱いお湯へ長時間入り、大量に汗をかく必要はありません。
特に立秋のころは、日中の暑さですでに身体が消耗しています。
入浴後に、
・ぐったりする
・喉が強く渇く
・身体がほてって眠れない
・動悸がする
という場合は、温度や入浴時間が身体に合っていない可能性があります。
自分が心地よいと感じる温度で、無理のない時間にしましょう。
疲れている日は、短いシャワーで済ませても構いません。
夕食が遅くなる日は、量を調整する
仕事や通院で、夕食が遅くなることもあります。
遅い時間に食べること自体を責める必要はありません。
ただ、眠る直前に量の多い食事や脂っこい料理をとると、胃腸が働き続け、寝つきに影響することがあります。就寝前の重い食事を避けることは、公的な睡眠情報でも勧められています。
夕食が遅くなりそうな日は、
・夕方におにぎりなどを少し食べる
・帰宅後は量を控えめにする
・脂っこいものを減らす
・消化しやすい料理を選ぶ
など、分けて食べる方法もあります。
「夜は食べない方がいい」と極端に抜く必要もありません。
空腹が強すぎて眠れない場合は、身体に負担の少ないものを少量とりましょう。
カフェインは夕方以降の習慣を確認する
コーヒーや緑茶、紅茶などを飲むことが、夜の楽しみになっている方もいると思います。
カフェインへの反応には個人差がありますが、遅い時間のカフェインは寝つきに影響することがあります。
米国国立心肺血液研究所は、カフェインの影響が数時間続く可能性があり、夕方の摂取でも睡眠を妨げる場合があると説明しています。
眠りが浅いと感じる方は、
・午後のコーヒーを少し早める
・夕方以降はカフェインを含まない飲み物へ替える
・一日の摂取回数を確認する
などを試してみましょう。
妊活中だから一切飲んではいけない、という話ではありません。
自分の睡眠への影響を確認することが大切です。
お酒は「眠れるように感じる」ことがあります
お酒を飲むと、眠気を感じる方もいます。
しかし、眠りにつきやすく感じても、夜中に目が覚めたり、眠りが浅くなったりすることがあります。
睡眠のために飲酒を習慣にすることはおすすめできません。
妊娠の可能性がある時期や不妊治療中の飲酒については、主治医の指示も確認してください。
寝室は「少し涼しい」と感じる程度に調整する
立秋を迎えても、熱帯夜が続くことがあります。
「冷房を使うと身体が冷えるから」
と、汗をかきながら我慢して眠っている方もいます。
しかし、暑さで何度も目が覚めているのであれば、身体は十分に休めません。
睡眠環境は、
・静か
・暗い
・暑すぎない
・寒すぎない
状態を目指します。公的な睡眠情報でも、寝室を静かで涼しく暗い環境に整えることが勧められています。
エアコンを使う場合は、
・風を直接身体へ当てない
・薄手の寝具で調整する
・冷えやすい部分だけ覆う
・暑くて目が覚めない温度を探す
など、自分の体感に合わせましょう。
考え事が止まらないときは、頭の中から紙へ移す
布団へ入ると、
「薬を使う時間は合っていたかな」
「次の診察で何を聞こう」
「今回もうまくいかなかったら」
と、考え事が増えることがあります。
考えないようにしようとすると、かえって頭から離れなくなることもあります。
そんなときは、気になることを紙やメモへ書き出してみましょう。
たとえば、
・次の診察で確認すること
・明日調べること
・忘れたくない予定
・今、不安に思っていること
を短く書きます。
答えまで出す必要はありません。
「今日はここまで。続きは明日の自分に任せる」
ためのメモです。
呼吸は「大きく吸う」より「ゆっくり吐く」
緊張が続いていると、呼吸が浅くなり、肩やあごにも力が入りやすくなります。
眠る前は、無理に大きく吸おうとせず、まず今ある息をゆっくり吐いてみましょう。
鼻から自然に吸い、
口または鼻から、少し長めに吐く。
肩を下ろす。
奥歯を噛みしめていたら緩める。
正しい秒数を守る必要はありません。
吐く息を少し長めにする
くらいで十分です。
東洋医学では、夜になっても頭が休まらない状態をどう考える?
東洋医学では、眠りの状態を、心と身体の両方から見ていきます。
考え事が多く、
・布団へ入っても頭が働き続ける
・夢を多く見る
・眠りが浅い
・食欲が落ちている
・疲れているのに眠れない
という場合には、
心脾両虚(しんぴりょうきょ)=考えすぎや疲労によって、心と胃腸を支える力が弱っている状態
という見方をすることがあります。
また、
・イライラする
・胸や喉が詰まる
・ため息が増える
・月経前に眠りにくくなる
・身体に力が入っている
という場合は、
肝鬱気滞(かんうつきたい)=気の巡りが滞り、緊張や詰まり感が出やすい状態
として捉えることもあります。
さらに、
・寝汗が多い
・手足がほてる
・口や喉が乾く
・夜中に何度も目が覚める
場合には、
陰虚(いんきょ)=身体を潤し、熱を鎮める働きが不足した状態
という視点で見ることがあります。
ただし、眠れない理由を東洋医学の体質だけで説明できるわけではありません。
暑さ、薬、仕事、痛み、こころの負担、睡眠時無呼吸など、さまざまな要因が関係します。
眠れない夜にやってほしくない「反省会」
布団へ入って眠れないと、
「今日も早く寝られなかった」
「またスマートフォンを見てしまった」
「こんな生活では妊活によくない」
と、自分を責めたくなることがあります。
でも、
一晩眠れなかったことだけで、不妊治療の結果が決まるわけではありません。
睡眠を整えることは、妊娠を保証する方法ではありません。
治療を続ける身体の健康や、日中の心身の状態を支えるためのものです。
眠れない夜に必要なのは、反省ではなく休息です。
眠れなくても、横になって身体を休ませる。
時計を何度も確認しない。
翌日は無理な予定を少し減らす。
それくらいで構いません。
今夜から始める「早寝の準備」3つ
すべてを変える必要はありません。
今夜は、次の中から一つだけ選んでみてください。
1.スマートフォンを置く時間を15分早める
1時間早くする必要はありません。
いつもより15分だけ早めてみましょう。
2.照明を一段階暗くする
天井照明を消し、間接照明へ替える。
テレビを消す。
それだけでも構いません。
3.明日の心配を一つ書いて終える
答えを探すのではなく、
「次の診察で聞く」
「明日確認する」
とメモして、今日の考え事を終えます。
早寝よりも、同じ時間に起きることを意識する
眠れなかった翌日は、長く寝て取り戻したくなることがあります。
休息が必要な日は無理をする必要はありません。
ただ、休日ごとに昼まで眠り、夜に眠れなくなる状態を繰り返している場合は、起きる時間の差を小さくすることも一つの方法です。
公的な睡眠情報でも、平日と休日で就寝・起床時刻を大きく変えず、規則的な睡眠スケジュールを保つことが勧められています。
朝起きたらカーテンを開け、光を浴びる。
朝食をとる。
日中に少し身体を動かす。
夜だけでなく、朝から睡眠の準備は始まっています。
眠りの不調が続くときは、我慢しすぎないで
生活を整えても、
・眠れない状態が続く
・夜中に何度も目が覚める
・朝早く目が覚めて眠れない
・日中の強い眠気で仕事や運転に支障がある
・大きないびきや呼吸が止まると言われる
・脚の不快感で眠れない
・不安や落ち込みが強い
といった場合は、睡眠障害や身体の病気が関係している可能性もあります。
「妊活中のストレスだから」
「体質だから」
と我慢し続けず、医療機関へ相談してください。
立秋の夜に、まず休む準備を一つだけ
季節は、立秋を境に急に変わるわけではありません。
睡眠も同じです。
今日一日で、生活リズムを完全に変える必要はありません。
いつもより15分早くスマートフォンを置く。
照明を暗くする。
明日の服を用意する。
冷房を調整する。
考え事を一つだけ紙へ書く。
その中から一つできれば十分です。
早寝の準備は、妊活を完璧にするための課題ではありません。
暑さや治療で頑張り続けている身体へ、
「今日の活動はここまで」
と伝えるための時間です。
今夜は、眠れた時間を採点するのではなく、休む準備を始められたことを大切にしてみてください。
【参考・出典】
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
厚生労働省「Good Sleepガイド 成人版」
米国国立心肺血液研究所「健康的な睡眠習慣」
米国国立心肺血液研究所「睡眠と覚醒の周期」
睡眠や夏の疲れを、身体の側から整えたい方へ
妊活や不妊治療中は、
「早く寝なければ」
と思っていても、治療のことが頭から離れず、眠る準備へ切り替えられないことがあります。
さらに夏の暑さが重なると、
・眠りが浅い
・寝汗をかく
・朝から疲れている
・胃腸の調子が安定しない
・身体に力が入り続けている
・冷えとほてりの両方が気になる
といった不調が重なることもあります。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、眠ることだけを目標にするのではなく、
・睡眠のリズム
・冷えやほてり
・疲労
・胃腸の状態
・月経の状態
・身体の緊張
・妊活や不妊治療の段階
・日々の生活リズム
などを確認しながら、その方に合った身体づくりを考えています。
治療を頑張り続けている身体を少し休ませ、眠りへ切り替わりやすい状態を整えること。
それも、妊活中の体調管理の一つです。
「夜になっても頭が休まらない」
「夏になってから眠りが浅く、疲れが抜けない」
という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

