子宮腺筋症の痛みが不安な夜にできるセルフケア

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8月10日の
「子宮腺筋症と妊活の基礎知識」
では、

子宮腺筋症とはどのような状態なのか。

妊娠や体外受精とどのような関連が報告されているのか。

検査や治療を考えるときに何を確認したいのか。

についてお伝えしました。

でも、子宮腺筋症のある方にとって、

「妊娠できるかどうか」

だけが悩みではありません。

生理が始まると、

お腹が痛い。

腰まで重い。

夜中に痛みで目が覚める。

痛み止めを飲もうか迷う。

明日の仕事へ行けるか不安になる。

そんな夜もあると思います。

そして妊活中だと、

「痛み止めを飲んだら妊活によくない?」

「温めすぎたらよくない?」

「痛いけれど我慢した方がいい?」

と、さらに迷ってしまうことがあります。

今夜まずお伝えしたいのは、

痛みを我慢することが、妊活になるわけではありません。

子宮腺筋症の痛みには医学的な治療があります。

そのうえで、自宅では、

痛みをゼロにしようと頑張るのではなく、今夜の身体への負担を少し減らすこと

を考えてみましょう。

目次

子宮腺筋症では、なぜ生理痛が強くなることがあるの?

子宮腺筋症では、子宮内膜に似た組織が子宮筋層の中に存在しています。

代表的な症状には、

・強い月経痛
・過多月経
・骨盤痛
・性交時痛

などがあります。

痛みには、

炎症に関係する物質。

子宮筋の収縮。

病変の広がり。

子宮の大きさ。

など、複数の要因が関係すると考えられています。

そのため、

「冷えを取れば痛みがなくなる」

「血流をよくすれば治る」

という一つの原因だけでは説明できません。

「生理痛だから仕方ない」と我慢し続けないで

以前から痛みが強いと、

「いつものことだから」

と我慢することがあります。

でも、

・以前より痛みが強くなっている
・鎮痛薬なしでは生活できない
・夜中に何度も目が覚める
・仕事や学校を休むことが増えた
・経血量も増えている

のであれば、

症状そのものが治療を見直す理由になります。

子宮腺筋症では、痛みや出血、妊娠希望の有無などを踏まえて治療方法を個別に考えます。

「まだ我慢できるから」

ではなく、

生活にどのくらい影響しているか

も主治医へ伝えてください。

今夜できること1 痛みが楽なら、やさしく温める

月経痛があると、

湯たんぽ。

温熱シート。

お風呂。

などで温めると楽になる方がいます。

温熱療法については、月経困難症を対象とした研究で、痛みを和らげる可能性が示されています。

ただし、この研究は主に一般的な月経痛を対象としたもので、

子宮腺筋症そのものを治療する効果を証明したものではありません。

目的は、

「腺筋症を温めて治す」

ことではなく、

今感じている痛みを少し楽にすること

です。

温めるなら「心地よい」で十分

お腹や腰へ、

熱すぎない湯たんぽや温熱用品を使います。

熱い方が効く。

長時間の方が効く。

というものではありません。

低温やけどを防ぐため、

・直接肌へ長時間当てない
・寝たまま朝まで使い続けない
・熱いと感じたら外す

ことも大切です。

真夏で身体全体が暑いのであれば、無理に温める必要もありません。

温めて楽になる人だけ、心地よい範囲で使う。

それくらいで構いません。

今夜できること2 お風呂を「治療」にしない

痛みがある日は、

湯船につかると楽になる方もいます。

一方で、

熱いお湯に長く入り、

大量に汗をかくと、

かえってぐったりすることがあります。

特に8月は、ただでさえ暑さによる負担があります。

「血流をよくするために30分入らなければ」

と頑張らなくて大丈夫です。

短めの入浴。

ぬるめのお湯。

体調によってはシャワー。

でも構いません。

今夜少し休みやすくなる方法を選ぶ

ことを優先してください。

今夜できること3 楽な姿勢を探す

痛みがあるときに、

「正しい寝方」

が決まっているわけではありません。

仰向けがつらければ横向き。

膝を少し曲げると楽なら、その姿勢。

腰がつらければ、膝の間や下にクッションを入れる。

自分が楽に感じる姿勢で構いません。

痛みがあるのに、

「骨盤を整えるため」

「血流をよくするため」

と無理な姿勢を保つ必要はありません。

強いストレッチや腹部マッサージはしなくてもいい

痛いと、

「ほぐした方がいいかな」

と思うことがあります。

でも、

強くお腹を揉む。

痛い場所を何度も押す。

強い開脚やひねりを行う。

必要はありません。

身体を動かす方が楽なら、

肩を回す。

足首を動かす。

少し身体を伸ばす。

くらいからで十分です。

痛みを我慢して行うセルフケアは、セルフケアではありません。

鎮痛薬を使うのは「負け」ではありません

子宮腺筋症の痛みでは、NSAIDsなどの鎮痛薬が治療選択肢として使用されます。

痛み止めを飲むことに対して、

「なるべく薬を使わない方が身体にいい」

「毎月飲んでいるから心配」

と感じる方もいるかもしれません。

でも、強い痛みを何時間も我慢することが必ず身体に良いわけではありません。

大切なのは、

自分の状態や妊活の治療段階に合った薬を、適切に使うこと

です。

妊活中の鎮痛薬はどう考える?

ここは自己判断を避けたいところです。

妊活中でも、

「痛み止めは全部禁止」

というわけではありません。

一方で、

排卵誘発中。

採卵周期。

胚移植前後。

妊娠の可能性がある時期。

すでに妊娠している。

といった治療段階や、ほかに使用している薬によって、選ぶ鎮痛薬や使用方法を確認した方がよい場合があります。

そのため、

不妊治療中に市販の鎮痛薬を追加する場合は、通院先や薬剤師へ確認しておく

と安心です。

すでに主治医から、

「痛いときはこの薬を使ってください」

と指示されているのであれば、その指示を優先してください。

「なるべく我慢してから飲む」方がいい?

痛みがかなり強くなってから鎮痛薬を使うと、

「もっと早く飲めばよかった」

となることがあります。

月経痛によく使われるNSAIDs(ロキソプロフェンなど)は、痛みの原因となる物質(プロスタグランジン)が作られるのを抑える薬です。そのため、一般的な月経困難症では、痛みが限界に達する前(月経開始前後など)から適切に使い始める方法が推奨されています。

ただし、

腺筋症がある方。

妊活中の方。

持病がある方。

ほかの薬を使用している方。

では個別の判断が必要です。

「限界まで我慢してから飲む」ことを自分のルールにせず、使い方を主治医へ確認しておきましょう。

毎月薬が必要なら、それ自体を主治医へ伝えて

鎮痛薬が効くから、

「とりあえず毎月これで乗り切ろう」

としている方もいると思います。

でも、

毎月何日間も必要。

以前より使用回数が増えた。

効きにくくなっている。

という場合は、

そのこと自体が大切な診療情報です。

子宮腺筋症の治療には、鎮痛薬のほかにもホルモン治療などがありますが、妊娠を希望しているかどうかによって治療の選び方が変わります。

妊活中であれば、

「痛みを抑えること」

だけでなく、

「妊娠を目指す治療をいつ進めるか」

も含めて主治医と相談します。

痛みと一緒に「経血量」も見ておく

子宮腺筋症では、月経痛だけでなく過多月経がみられることがあります。

そのため、

痛みが強い夜は、

「痛みだけ」

ではなく、

出血量も確認しておきましょう。

たとえば、

・ナプキンをどのくらいの間隔で交換したか
・夜用でもすぐいっぱいになるか
・大きな血の塊が頻繁に出るか
・何日間多い状態が続くか

を簡単にメモしておくと、次の診察で役立ちます。

過多月経が続く方は、貧血にも注意

毎月の出血量が多いと、鉄欠乏性貧血につながることがあります。

・立ちくらみ
・動悸
・息切れ
・頭痛
・強い疲労
・顔色が悪い

などがある場合には、

「腺筋症だから疲れるんだろう」

だけで済ませず、血液検査について相談してみてください。

痛みと貧血が重なると、月経のたびに身体の負担が大きくなります。

痛い日は「食事も完璧にしなくていい」

強い生理痛がある夜に、

「妊活だから栄養バランスを整えなければ」

と料理を頑張る必要はありません。

食欲があるなら、

普段どおり食べて構いません。

つらいときは、

・おにぎり
・うどん
・スープ
・卵
・豆腐
・ヨーグルト

など、食べやすいものを組み合わせる方法でも構いません。

一食完璧にするより、

薬を使うためにも、水分や食事をある程度とれる状態をつくる

ことを優先してください。

水分も我慢しない

月経中は、

「むくむから水を控えよう」

と思う方がいます。

でも、8月は発汗も多い季節です。

水分を極端に控える必要はありません。

冷たい水でお腹が痛くなる方は、常温や少し温かいものへ変えて構いません。

一方、

冷たいものが平気な方まで、

「腺筋症だから白湯だけ」

にする必要はありません。

痛くて眠れない夜は「眠らなければ」と焦らない

痛みが続くと、

時計を見るたびに、

「もう0時」

「明日仕事なのに」

と焦ります。

そうすると、

痛み。

眠れない焦り。

明日の不安。

が重なってしまいます。

今夜は、

「今すぐ眠る」より「まず身体を休ませる」

と考えてみてください。

照明を落とす。

スマートフォンを少し離す。

楽な姿勢になる。

必要な鎮痛薬を使う。

温めた方が楽なら温める。

それで十分です。

呼吸は「痛みを消すため」ではなく、身体の力を抜くため

痛いときには、

無意識に、

肩。

あご。

お腹。

お尻。

へ力が入ります。

痛みを呼吸だけで消そうとしなくて構いません。

鼻から自然に吸って、

少しゆっくり吐く。

これを数回繰り返します。

目的は、

痛みの上に重なっている身体の緊張を少し減らすこと

です。

東洋医学では腺筋症の痛みをどう見る?

東洋医学では、

「子宮腺筋症だから全員同じ体質」

とは考えません。

月経痛の特徴。

経血。

冷え。

ほてり。

胃腸。

疲れ。

睡眠。

などを合わせて見ていきます。

瘀血(おけつ)|刺すような痛みや血の塊が目立つタイプ

・痛む場所がはっきりしている
・刺すように痛む
・経血に塊が多い
・月経痛が強い

などでは、

瘀血=血の巡りが滞っていると捉える状態

として見ることがあります。

寒凝(かんぎょう)|冷えると痛みが強くなりやすいタイプ

・冷えると痛みが強い
・温めると少し楽
・手足も冷えやすい

という場合には、

東洋医学で、

寒凝=冷えによって気血の巡りが滞っていると捉える状態

として見ることがあります。

ただし、

これは「医学的に子宮が冷えている」という意味ではありません。

気滞(きたい)|張るような痛みや緊張が目立つタイプ

・お腹が張る
・胸も張る
・月経前にイライラする
・ため息が増える
・緊張すると痛みを強く感じる

などでは、

気滞=緊張などによって気の巡りが滞っていると捉える状態

として見ることがあります。

血虚(けっきょ)|出血後にぐったりするタイプ

月経量が多く、

・月経後に強く疲れる
・立ちくらみがある
・眠りが浅い
・肌や髪が乾燥する

といった場合には、

血虚=身体を養う「血」が不足していると捉える状態

として見ることがあります。

ただし、血虚と医学的な貧血は同じではありません。

過多月経や立ちくらみがある場合には、血液検査による確認を優先してください。

ツボ押しをするなら「痛くない強さ」で

痛みがある夜に、

「このツボを押せば腺筋症がよくなる」

と考える必要はありません。

強く押したり、何十分も刺激したりする必要もありません。

ご自宅で使いやすいツボの一つとして、

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの一番高いところから、指4本ほど上にあります。

月経に関係する不調で、東洋医学ではよく用いるツボです。

親指で、

気持ちいい程度に10~20秒ほど

ゆっくり押します。

左右1~2回程度でも構いません。

妊娠の可能性がある時期や妊娠中は、自己流で強い刺激を続けず、施術者へご相談ください。

鍼灸で子宮腺筋症を治せますか?

鍼灸や灸について、月経痛を対象とした研究はあります。

ただし、

鍼灸によって子宮筋層にある腺筋症の病変をなくしたり、妊娠率を高めたりできると断定することはできません。

当院では、

・月経に伴う身体的負担
・腰や腹部周囲の緊張
・睡眠
・冷えやほてり
・胃腸の状態
・疲労
・治療に伴う心身の負担

などを確認しながら施術を行います。

婦人科で必要な診断や治療を受けながら、

痛みがある時期を少しでも過ごしやすくするための身体づくり

として鍼灸を位置づけています。

「いつもの腺筋症の痛み」と決めつけない方がいい症状

普段から月経痛が強い方ほど、

多少の変化があっても、

「腺筋症だから」

と思ってしまうことがあります。

でも、

・突然、いつもと違う激しい痛みが出た
・立っていられないほど痛い
・意識が遠くなる、失神した
・発熱を伴っている
・嘔吐が続く
・大量の出血が続く
・息苦しさや強い動悸がある

場合には、

いつもの月経痛としてセルフケアだけで様子を見ず、医療機関へ相談してください。

妊娠の可能性があるときの強い腹痛にも注意

妊活中の場合、

月経だと思っていた出血が、

妊娠に関係する出血である可能性もあります。

妊娠検査薬が陽性。

判定日後。

月経が遅れている。

という状況で、

・強い下腹部痛
・特に片側へ強い痛み
・大量出血
・めまい、ふらつき
・意識が遠くなる

などがある場合は、早めに医療機関へ連絡してください。

「腺筋症のいつもの痛み」

と自己判断しないことが大切です。

今夜やることは3つで十分

痛くて何も考えたくない夜は、これだけで構いません。

1.主治医から指示されている鎮痛薬を確認する

我慢大会にしません。

使用方法を守って使います。

市販薬を追加したい場合は、治療周期や妊娠の可能性も含めて通院先や薬剤師へ確認します。

2.楽なら、やさしく温める

湯たんぽや温熱用品などを、

熱すぎない範囲で使います。

温めてつらいなら使わなくても構いません。

3.今夜は「治療のこと」を調べすぎない

痛みがある夜ほど、

「腺筋症 妊娠率」

「腺筋症 IVF」

と検索したくなることがあります。

でも今夜必要なのが、

将来の妊娠率ではなく、

この痛みをどう過ごすか

であれば、検索は明日に回しても構いません。

痛い夜に、妊活まで全部考えなくて大丈夫

子宮腺筋症があり、妊活をしていると、

痛みが強いだけで、

「この子宮で妊娠できるのかな」

と未来まで不安になることがあります。

でも、

今痛いことと、

この先妊娠できるかどうかは、

同じ問いではありません。

今夜は、

妊娠率。

次の採卵。

次の移植。

まで全部考えなくて構いません。

今日は痛みを少し楽にして、身体を休ませることだけを考える。

そして明日になったら、

必要なことを主治医へ聞く。

それで十分です。

子宮腺筋症があるからこそ、

痛みを我慢し続けるのではなく、

痛みのある自分の身体も、妊活と同じくらい大切に扱ってください。

【参考・出典】

アジア子宮内膜症・子宮腺筋症学会「子宮腺筋症ガイドライン」

台湾子宮内膜症学会「子宮腺筋症の管理に関する専門家コンセンサス」

米国産科婦人科学会(ACOG)「月経困難症―痛みを伴う月経」

Journal of Obstetrics and Gynaecology Canada「子宮腺筋症の診断と管理」

Scientific Reports「原発性月経困難症に対する温熱療法のシステマティックレビュー・メタ解析」

Reproductive Medicine and Biology「子宮腺筋症の管理に関するアジアガイドライン」

子宮腺筋症の痛みを我慢しながら、妊活を続けている方へ

「生理が来るたびに痛みが怖い」

「妊活中だから、痛み止めを使っていいのか迷う」

「痛みや出血で、毎月身体が消耗している」

そんな方もいらっしゃると思います。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、

・月経痛
・経血量
・冷えやほてり
・睡眠
・胃腸の状態
・疲労
・身体の緊張
・妊活や不妊治療の段階

などを確認しながら、その方に合った身体づくりを考えています。

子宮腺筋症そのものの診断や治療は、婦人科で適切に受けることが大切です。

そのうえで、

痛みや疲労を抱えながら妊活を続ける身体を、少しでも休ませやすい状態へ整えていくこと

を鍼灸や養生の役割として考えています。

「子宮腺筋症があり、月経のたびに身体がつらい」

「病院での治療と並行して、身体のケアについても相談したい」

という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

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