採卵の日が近づくほど、期待と不安が大きくなる。
注射や薬が続き、身体も心も少し張りつめている。
「採卵前に鍼灸へ通う意味はあるのかな」と考える。
体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)に進むと、採卵前の時間はとても大切に感じられます。
卵胞は育っているのか。
卵子はいくつ採れるのか。
成熟卵はあるのか。
受精するのか。
胚盤胞まで育つのか。
まだ起きていないことまで、頭の中で何度も考えてしまう方も少なくありません。
まず最初にお伝えしたいことがあります。
鍼灸だけで、卵子の数や質、採卵結果、妊娠を簡単にお約束することはできません。
採卵の結果には、年齢、卵巣予備能、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、胞状卵胞数、卵巣刺激の方法、薬への反応、卵子や精子の状態、染色体、治療内容など、さまざまな要素が関わります。
けれども、採卵前に鍼灸を受ける意味がまったくないかというと、そうではありません。
鍼灸では、採卵に向かう時期の冷え、巡り、睡眠、自律神経の緊張、胃腸の働き、ストレス、身体のこわばりに丁寧に向き合います。
結果を約束するためではなく、採卵へ向かう身体と心の負担を少しでも整えやすくするためのサポートです。
今日は、採卵前に鍼灸へ通う意味、できること、できないこと、東洋医学での見方、採卵前の過ごし方をやさしくお伝えします。
採卵とは何をするのでしょうか
採卵とは、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)で、卵巣の中で育った卵胞から卵子を取り出す処置です。
多くの場合、採卵前には卵巣刺激を行います。
卵巣刺激では、排卵誘発薬や注射を使い、複数の卵胞の発育を目指します。
その後、卵胞の大きさやホルモンの状態を確認しながら、採卵のタイミングを決めていきます。
採卵前には、卵子の成熟を促すための注射や点鼻薬などを使うことがあります。
このタイミングはとても大切で、医療機関の指示通りに行う必要があります。
採卵当日は、腟から超音波で確認しながら、針を使って卵胞液を吸引し、その中から卵子を探します。
麻酔の有無や方法、痛みの感じ方、採卵後の過ごし方は、医療機関や身体の状態によって異なります。
採卵は、妊活や不妊治療の中でも身体的・精神的な負担を感じやすい場面です。
だからこそ、採卵前の身体づくりや心の整え方が大切になります。
採卵前に不安が高まりやすい理由
採卵前は、不安が高まりやすい時期です。
それは、あなたが弱いからではありません。
採卵前には、考えることがたくさんあります。
注射はちゃんとできているか。
卵胞は育っているか。
薬に反応しているか。
採卵数はどれくらいか。
空胞だったらどうしよう。
成熟卵がなかったらどうしよう。
受精しなかったらどうしよう。
胚盤胞まで育たなかったらどうしよう。
採卵前の不安は、採卵そのものだけではありません。
採卵後の受精、培養、移植まで、未来の不安が一気に押し寄せてくるのです。
さらに、卵巣刺激中は注射や薬の影響で、
- お腹の張り
- だるさ
- 眠気
- むくみ
- 気分の揺れ
- 頭痛
- 胃腸の重さ
- 下腹部の違和感
などを感じる方もいます。
身体がいつもと違うと、それだけで不安になります。
採卵前に心が落ち着かないのは自然なことです。
だからこそ、「不安になってはいけない」と責めるのではなく、不安がある状態のままでも身体を少し整えやすくすることが大切です。
鍼灸は卵子の数や質を変えられるのでしょうか
ここは、とても大切なところです。
鍼灸を受けたからといって、卵子の数が必ず増える、卵子の質が必ず良くなる、採卵結果が必ず良くなるとは言えません。
卵子の数や質には、年齢、卵巣予備能、卵巣刺激への反応、遺伝的要素、生活習慣、持病、薬、精子の状態など、多くの要素が関わります。
「鍼灸で卵子の質が上がります」
「採卵数が増えます」
「妊娠率が上がります」
このように断定することはできません。
一方で、採卵前に鍼灸を受ける意味は、数字を直接変えることだけではありません。
採卵に向けて、
- 冷えを感じにくい身体を目指す
- 睡眠を整えやすくする
- 自律神経の緊張に配慮する
- 胃腸の働きを支える
- 肩や首、腰のこわばりをゆるめる
- お腹や骨盤まわりの緊張を確認する
- 採卵前の不安を言葉にする
- 生活習慣を見直す
- 通院中の身体の負担を整理する
こうしたサポートができます。
採卵前の鍼灸は、「卵子を直接変える魔法」ではありません。
採卵へ向かう身体と心を、できるだけ整えやすい状態へ近づけるためのサポートです。
採卵前に鍼灸で大切にしたいこと
採卵前の鍼灸で大切にしたいのは、強い刺激を入れることではありません。
採卵前は、卵巣が刺激され、卵胞が育っている時期です。
お腹の張りや違和感が出る方もいます。
そのため、身体の状態を確認しながら、無理のない施術を行うことが大切です。
当院では、採卵前の方に対して、
- 卵巣刺激の方法
- 採卵予定日
- 卵胞の育ち方
- お腹の張り
- 薬や注射の内容
- 睡眠の状態
- 冷え
- 胃腸の状態
- 便通
- むくみ
- 精神的な緊張
- 痛みや不安の強さ
- 医療機関からの注意点
などを確認しながら施術を考えます。
採卵前は、「たくさん刺激すればよい」という時期ではありません。
むしろ、身体の反応を見ながら、安心して受けられる範囲で整えることが大切です。
採卵前の鍼灸で見ているポイント
採卵前の鍼灸では、東洋医学的にいくつかのポイントを見ていきます。
1.冷え
足先が冷える。
お腹が冷たい。
腰まわりが冷える。
冷房に弱い。
こうした冷えは、妊活中の方からよく相談されます。
冷えがあるから妊娠できない、という単純な話ではありません。
けれど、冷えを感じる身体は、筋肉のこわばり、血流、自律神経、睡眠、胃腸、生活習慣などの影響を受けていることがあります。
採卵前は、冷えを責めるのではなく、どこが冷えやすいのか、なぜ冷えやすくなっているのかを見ていきます。
2.睡眠
採卵前は、眠りが浅くなりやすい時期です。
注射の時間。
採卵日への緊張。
卵胞の数への不安。
採卵後の結果への怖さ。
こうしたことで、寝る前に考えごとが止まらなくなる方もいます。
睡眠は、妊活中の身体づくりに大切です。
ただし、1日眠れなかったことで採卵結果がすべて決まるわけではありません。
大切なのは、眠れない自分を責めることではなく、眠りに向かいやすい身体の流れを作ることです。
3.胃腸
採卵前は、緊張や薬、生活リズムの変化で胃腸が重くなる方がいます。
食欲が落ちる。
便秘になる。
下痢気味になる。
胃がむかむかする。
甘いものが欲しくなる。
東洋医学では、胃腸の働きは気血を作る力と関係します。
採卵前だからといって、特別な食材を無理に食べる必要はありません。
胃腸が受け止められる形で、たんぱく質、温かい汁物、消化にやさしい食事を意識することが大切です。
4.自律神経の緊張
採卵前は、身体が常に緊張モードになっている方がいます。
肩に力が入る。
息が浅い。
胸がつまる。
歯を食いしばる。
お腹に力が入る。
検索が止まらない。
これは、気持ちの問題だけではありません。
身体もずっと頑張っている状態です。
鍼灸では、こうした緊張に配慮しながら、呼吸が少し深くなりやすい状態を目指します。
5.お腹や腰まわりのこわばり
採卵前は、お腹の張りや腰の重さを感じる方がいます。
ただし、強いお腹の張り、急な体重増加、息苦しさ、尿量の低下、強い腹痛がある場合は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの確認が必要になることがあります。
このような症状がある場合は、鍼灸で様子を見るのではなく、通院中のクリニックへ相談してください。
採卵前の鍼灸では、医療機関の指示を大切にしながら、安全に配慮して施術を行うことが大前提です。
採卵前に鍼灸へ通うタイミング
「採卵前に鍼灸へ行くなら、いつから通えばいいですか」
この質問はよくあります。
理想を言えば、採卵の直前だけでなく、卵巣刺激に入る前から体調を見ておけると、お身体の傾向を把握しやすくなります。
たとえば、
- 月経周期の状態
- 冷え
- 睡眠
- 胃腸
- PMS
- 生理痛
- 便通
- 疲れやすさ
- ストレスの出方
- 肩や腰のこわばり
- 食事や生活習慣
こうしたことは、1回だけでは見えにくいこともあります。
ただし、採卵直前だから意味がない、というわけではありません。
採卵前の不安が強い。
身体がこわばっている。
眠れない。
冷えが気になる。
お腹の張りで不安。
薬で身体が重い。
採卵が怖い。
このような時は、採卵前の数日であっても、身体と心を整理する時間として鍼灸が役立つ場合があります。
大切なのは、「いつから通わないとだめ」と決めつけないことです。
今のタイミングでできることを、一緒に考えていきましょう。
採卵前日に鍼灸を受けてもいいのでしょうか
採卵前日に鍼灸を受けてもよいかは、身体の状態や医療機関の指示によります。
基本的には、強い刺激や長時間の施術、身体に負担がかかることは避け、リラックスしやすい施術を中心に考えることが多いです。
ただし、
- お腹の張りが強い
- 卵巣が大きく腫れている
- 強い腹痛がある
- 息苦しさがある
- 尿が少ない
- 医療機関から安静指示がある
- 体調が不安定
- 発熱がある
このような場合は、鍼灸よりも通院先への確認が優先です。
採卵前日は、注射や点鼻薬の時間、絶飲食、来院時間など、医療機関から大切な指示が出ていることがあります。
鍼灸を受ける場合も、採卵スケジュールを必ず伝え、無理のない範囲で行うことが大切です。
採卵当日は鍼灸を受けた方がいいのでしょうか
採卵当日は、医療機関での処置が最優先です。
麻酔を使う場合もあります。
採卵後にお腹の張り、痛み、出血、眠気、ふらつきが出ることもあります。
そのため、採卵当日に鍼灸を受ける必要があるとは考えなくて大丈夫です。
採卵当日は、通院先の指示に従い、無理に予定を詰め込まないことが大切です。
鍼灸を考えるなら、採卵前の体調づくり、または採卵後に医療機関から問題ないとされ、体調が落ち着いてからの回復サポートとして考える方が安心です。
採卵後の強い痛み、出血、発熱、息苦しさ、急な体重増加、尿量の低下などがある場合は、鍼灸ではなく、まず医療機関へ相談してください。
採卵前に鍼灸で使いやすい考え方
採卵前の鍼灸では、東洋医学的に「腎」「肝」「脾」「血」「気」「水」をよく見ていきます。
ここでいう腎・肝・脾は、西洋医学の腎臓・肝臓・脾臓そのものだけを指すのではありません。
身体の働きやリズムを表す東洋医学的な考え方です。
腎虚(じんきょ)タイプ 〜生殖の土台の消耗・足腰の冷え〜
腎は、東洋医学では生殖の土台、生命力、年齢に伴う変化、足腰、冷え、睡眠と関係が深いと考えます。
採卵前の腎虚タイプでは、
- 疲れが抜けにくい
- 足腰が冷える
- 腰が重い
- 明け方に目が覚める
- 年齢への焦りが強い
- AMHの数値が気になる
- 採卵数への不安が強い
- 治療を続けることに疲れている
といった状態が出やすくなります。
このタイプの方は、さらに頑張るより、消耗を減らすことが大切になる場合があります。
夜更かしを減らす。
足腰を冷やさない。
予定を詰めすぎない。
休むことに罪悪感を持ちすぎない。
これも、採卵前の身体づくりの一部です。
肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ 〜ストレス・緊張・気疲れ〜
肝は、気の巡りやストレス、自律神経のような働きと関係します。
採卵前は、期待と不安で気が張りやすい時期です。
肝鬱気滞タイプでは、
- ため息が多い
- 胸や喉がつまる
- 肩や首がこる
- イライラしやすい
- 夜に検索が止まらない
- 採卵結果が気になって落ち着かない
- 下腹部が張る
- 夫婦の会話で言葉が強くなる
といった状態が出やすくなります。
このタイプの方は、不安を消そうとするほど気が詰まりやすくなります。
必要なのは、さらに気合いを入れることではなく、気持ちと身体の緊張を少し逃がすことです。
脾虚(ひきょ)タイプ 〜胃腸の弱りと気力不足〜
脾は、胃腸の働き、食べたものから気血を作る力、水分代謝と関係します。
採卵前に脾虚タイプでは、
- 胃もたれしやすい
- 食欲が落ちる
- 食後に眠くなる
- 軟便になりやすい
- 身体が重い
- むくみやすい
- 甘いものが欲しくなる
- 雨の日に不調が出やすい
といった状態が出やすくなります。
採卵前だからといって、栄養を詰め込もうとしすぎる必要はありません。
胃腸にやさしい形で、たんぱく質、温かい汁物、ごはん、野菜を無理なく取り入れることが大切です。
血虚(けっきょ)タイプ 〜栄養不足・心身の消耗〜
血は、身体を養い、心を落ち着かせる働きと関係します。
血虚タイプでは、
- 顔色が青白い
- めまいがしやすい
- 立ちくらみがある
- 爪が割れやすい
- 髪がぱさつく
- 目が疲れやすい
- 眠りが浅い
- 不安になりやすい
- 月経後に疲れやすい
といった状態が出やすくなります。
採卵前は、通院、採血、注射、緊張、睡眠不足で心身が消耗しやすい時期です。
血を養うためには、鉄だけでなく、たんぱく質、胃腸の働き、睡眠も大切です。
水滞・湿(すいたい・しつ)タイプ 〜水分の滞り・むくみと重だるさ〜
梅雨時期の採卵前は、湿気の影響で身体が重くなりやすい方がいます。
水滞・湿タイプでは、
- むくみやすい
- 身体が重い
- 頭がぼんやりする
- 胃腸が重い
- 雨の日に不調が出る
- お腹が張る
- 眠気が強い
といった状態が出やすくなります。
このタイプの方は、冷たい飲み物や甘いもの、脂っこい食事を控えめにし、温かい汁物や軽い運動を取り入れるとよいでしょう。
6月下旬・夏至の時期に意識したい採卵前の養生
6月下旬は、二十四節気でいう夏至の時期にあたります。
2026年は6月21日に夏至を迎えました。6月下旬は、夏至に入り本格的な暑さと湿気に向かっていく時期です。
夏至は、一年の中で昼の時間が長く、陽の気が高まりやすい節目です。
活動する力、外へ向かう力が強くなりやすい一方で、夜に休む力も大切になります。
採卵前に夏至の時期が重なると、
- 夜に頭が冴えやすい
- 採卵結果が気になって検索してしまう
- 暑さと冷房で体温調整が難しい
- 湿気で身体が重い
- 胃腸が重くなる
- むくみやすい
- 注射や薬の影響でだるい
といった状態が出やすく感じられることがあります。
この時期は、強く温めすぎるより、冷やしすぎないこと。
活動しすぎるより、夜に静けさを作ること。
食べすぎるより、胃腸に負担をかけないこと。
このバランスが大切です。
採卵前だからといって、急に特別なことを増やす必要はありません。
今の身体が少し楽になる方向へ、できることをひとつずつ整えていきましょう。
採卵前におすすめの食養生
採卵前に「これを食べれば卵子の質が良くなる」という食材はありません。
けれど、妊活中の身体づくりとして、胃腸を助け、気血を作りやすい食事を意識することは大切です。
おすすめしやすい食材は、
- 味噌汁
- 豆腐
- 卵
- 鶏肉
- 白身魚
- 鮭
- かつお
- しじみ
- あさり
- 納豆
- 小松菜
- にんじん
- かぼちゃ
- とうもろこし
- 枝豆
- そら豆
- しそ
- 生姜
- 黒ごま
- なつめ
などです。
採卵前は、不安から食事まで完璧にしようと頑張りすぎる方がいます。
でも、完璧な食事を目指す必要はありません。
ごはん。
味噌汁。
たんぱく質。
温かい飲み物。
消化にやさしいもの。
この基本で十分です。
注射や薬の影響で胃腸が重い日は、無理にたくさん食べなくても大丈夫です。
温かい味噌汁、卵、豆腐、白身魚、鶏肉のスープなど、受け止めやすい形を選んでみてください。
採卵前に控えめにしたいこと
採卵前は、身体も心も敏感になりやすい時期です。
次のようなことが続いている場合は、少し控えめにできないか見直してみましょう。
- 寝る直前まで採卵結果を検索する
- 夜更かしが続く
- 冷たい飲み物が多い
- アイスや冷たいデザートが多い
- 甘いものが続く
- 脂っこい食事が多い
- 極端な糖質制限をする
- サプリメントを増やしすぎる
- 激しい運動をする
- 長時間のサウナや熱すぎる入浴
- 冷房で足元やお腹を冷やす
- 予定を詰めすぎる
- 不安をひとりで抱え続ける
全部を完璧に避ける必要はありません。
「寝る前の検索を10分だけ減らす」
「冷たい飲み物を1杯だけ常温にする」
「夕食に味噌汁を足す」
「採卵前日は予定を詰めすぎない」
このくらいで大丈夫です。
妊活中の養生は、厳しく制限するものではありません。
採卵に向かう身体と心を、少しでも楽にするためのものです。
採卵前に使いやすいツボ
ツボ押しは、採卵数や卵子の質を直接変えるものではありません。
また、妊娠を約束するものでもありません。
けれど、採卵前の緊張、冷え、胃腸の重さ、眠りの浅さに気づくきっかけとして取り入れることはできます。
強く押し込まず、息を吐きながら、気持ちのよい程度に触れてください。
内関
手首の内側、しわから指3本分ほどひじ寄りの中央にあります。
胸のつかえ、不安感、吐き気、緊張がある時に使いやすいツボです。
採卵前に緊張して胃がむかむかする方にも触れやすい場所です。
神門
手首の小指側、手首のしわの近くにあります。
心がざわざわする時、眠る前に考えごとが止まらない時に使われることがあります。
「落ち着かなきゃ」と頑張るより、呼吸と一緒にやさしく触れてください。
足三里
膝のお皿の外側下から、指4本分ほど下にあります。
胃腸の働き、疲れ、梅雨時期の重だるさが気になる時に使いやすいツボです。
採卵前に胃腸が重い方、食欲が乱れる方に向いています。
太谿
内くるぶしとアキレス腱の間にあります。
腎と関係が深いツボとして使われます。
足腰の冷え、疲れやすさ、妊活中の土台づくりを意識したい時に向いています。
太衝
足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前にあります。
イライラ、ため息、気持ちの詰まり、緊張がある時に使いやすいツボです。
採卵結果が気になって検索が止まらない方、肩や首がこわばる方に向いています。
三陰交
内くるぶしの上、指4本分ほど上にあります。
婦人科系のケアでよく使われるツボです。
冷え、むくみ、月経周期を意識した身体づくりで選ばれることがあります。
妊娠中や妊娠の可能性がある時期は、自己判断でのツボ押しは控え、必ず施術者にご相談ください。
採卵前でお腹の張りが強い場合も同様です。
採卵前に確認しておきたい医療機関への質問
採卵前は、不安なことを頭の中に置いたままにすると、どんどん大きくなります。
気になることは、次回の診察や看護師さんへの確認用にメモしておくと安心です。
たとえば、
- 採卵日はいつ頃になりそうですか
- 卵胞はいくつくらい見えていますか
- 採卵前の注射や点鼻薬の時間はいつですか
- 飲み忘れや打ち忘れがあった時はどうすればいいですか
- 採卵前日の食事や水分はどうすればいいですか
- 採卵当日の絶飲食は何時からですか
- 麻酔はありますか
- 採卵後に気をつける症状はありますか
- 仕事はいつから戻れますか
- 運動や入浴はどうすればいいですか
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の注意点はありますか
- 採卵後の受精確認はいつ分かりますか
こうした質問は、遠慮しなくて大丈夫です。
採卵前は、分からないことが不安を強めます。
確認できることは確認し、ひとりで抱え込まないようにしましょう。
今日からできる3つのこと
1.採卵結果を検索しすぎない時間を作る
採卵前は、採卵数、成熟卵、空胞、AMH、卵子の質、受精率など、検索したくなる言葉が増えます。
検索は悪いことではありません。
でも、検索したあとに不安が強くなるなら、少し距離を置くことも大切です。
寝る前だけ検索しない。
10分だけ短くする。
不安なことはメモにして、主治医に聞く。
このくらいからで大丈夫です。
2.お腹の張りや体調をメモする
採卵前は、身体の変化をメモしておくと安心です。
- お腹の張り
- 痛み
- むくみ
- 体重の変化
- 尿の量
- 息苦しさ
- 眠気
- 食欲
- 便通
- 薬や注射の時間
こうしたことを書いておくと、通院先に相談しやすくなります。
特に強い腹痛、急な体重増加、息苦しさ、尿量の低下がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。
3.採卵前日は予定を詰めすぎない
採卵前日は、心も身体も緊張しやすい日です。
できれば、予定を詰めすぎず、少し余白を作っておきましょう。
早めに入浴を済ませる。
持ち物を準備する。
注射や点鼻薬の時間を確認する。
寝る前の検索を減らす。
温かい飲み物を飲む。
それだけで十分です。
採卵前日に必要なのは、完璧な養生ではありません。
安心して当日を迎えやすい準備です。
鍼灸でできるサポート
採卵結果、卵子の数や質、受精、胚盤胞、妊娠には、年齢、卵巣予備能、卵巣刺激への反応、卵子や精子の状態、染色体、ホルモン、治療内容、生活習慣、ストレスなど、さまざまな要素が関わります。
そのため、鍼灸だけで採卵数や卵子の質、妊娠という結果を簡単にお約束することはできません。
また、当院で卵巣の状態や不妊症の原因を診断したり、病院での検査や治療の代わりを行ったりすることはできません。
けれども、冷えや巡り、睡眠、自律神経の緊張、胃腸の働き、水分代謝、生活習慣、体質に丁寧に向き合うことは、採卵へ向かう身体を整えていく大切な一歩になります。
採卵前には、
- 注射や薬による身体の重さ
- お腹の張り
- 睡眠の浅さ
- 採卵結果への不安
- 肩や首のこわばり
- 胃腸の重さ
- 便秘
- むくみ
- 足元の冷え
- 検索が止まらないつらさ
- 夫婦の会話での緊張
などが重なることがあります。
当院では、東洋医学の視点から気血水、肝・脾・腎のバランスを見ながら、その方に合った身体づくりを一緒に考えています。
採卵結果を変えると約束するのではなく、採卵に向かうまでの心身の緊張、眠り、胃腸、冷え、日々の過ごし方を丁寧に見ていきます。
病院での検査や治療を大切にしながら、今できることを無理のない形で整理していきましょう。
当院の考え方
採卵前は、妊活の中でも特に緊張しやすい時期です。
卵胞の数。
採卵できる卵子の数。
成熟卵かどうか。
受精するかどうか。
胚盤胞まで育つかどうか。
まだ結果が出ていないことまで、何度も考えてしまうと思います。
当院では、採卵前の不安を「考えすぎ」と片づけることはありません。
病院での検査や不妊治療は、とても大切です。
卵巣刺激、採卵日、トリガー、採卵後の注意点、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスク、薬の使い方、強い腹痛や息苦しさなどについては、クリニックや病院など、専門の医療機関で確認することが大切です。
そのうえで当院では、治療と治療の間にある毎日の体調、冷え、むくみ、睡眠、胃腸、心の揺れにも目を向けています。
奈良・上牧町、西大和、北葛城郡周辺で体外受精や顕微授精に取り組まれている方が、採卵前の不安をひとりで抱え込まなくてよいように。
うまく言葉にできなくても大丈夫です。
「採卵が怖い」
「卵子が採れるか不安」
「注射や薬で身体が重い」
「採卵前に何を整えればいいか分からない」
その気持ちから、一緒に整理していきましょう。
鍼灸は、採卵結果を保証するものではありません。
でも、採卵へ向かう身体と心を、少しでも整えやすくするための時間にはなれます。
この記事を書いた人
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を尊重しながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経の緊張・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えています。
採卵前の不安が強い方、注射や薬による身体の重さ、冷え、睡眠の乱れ、胃腸の不調が気になる方は、当院にご相談ください。
病院での検査や治療を大切にしながら、お身体の状態や採卵スケジュールに合わせて、無理のない形で身体づくりをサポートいたします。
不安な気持ちも、うまく言葉にできなくても大丈夫です。
ひとりで抱え込まず、まずは今のお身体とお気持ちを一緒に整理していきましょう。
参考・出典
日本生殖医学会『生殖医療Q&A 体外受精とはどんな治療ですか』
日本生殖医学会『生殖医療ガイドライン』
日本産科婦人科学会『体外受精・胚移植に関する見解』
日本産婦人科医会『生殖補助医療に関する解説』
世界保健機関(WHO)『不妊の定義・世界の不妊有病率』
イギリス国立医療技術評価機構(NICE)『不妊の評価と治療に関するガイドライン』
欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)『体外受精・顕微授精における卵巣刺激ガイドライン』
コクラン『生殖補助医療における鍼治療に関するレビュー』
アメリカ生殖医学会(ASRM)『胚移植に関するガイドライン』

