手足が冷たい。
だから身体を温める。
一見すると、とても自然なことですよね。
でも、
足は冷たいのに顔は熱い。
身体を温めると汗が出る。
お風呂のあとにほてって眠れない。
そんな方は、温活を強くしすぎることで、かえってつらくなっていることがあります。
10月5日朝の記事「冷え性だと思っていたら、のぼせ体質かもしれない」では、冷えとのぼせが同時に起こることや、東洋医学での考え方についてお伝えしました。
今回はその続きとして、
入浴・カイロ・靴下・寝具など、具体的な温活をどう調整すればよいのか
を見ていきます。
温活の目的は「身体を熱くすること」ではありません
妊活や体質改善について調べていると、
「冷やさないことが大切」
という言葉をよく目にします。
すると、
熱いお風呂、厚い靴下、腹巻き、カイロ、電気毛布
と、温めるものがどんどん増えていくことがあります。
でも、温活の目的は、
身体をできるだけ熱くすることではありません。
寒さや冷えによる不快感を減らし、心地よく過ごせる状態をつくることです。
温めたあとに、
ほっとする。
身体が軽い。
眠りやすい。
と感じるなら、今の身体に合っている可能性があります。
反対に、
汗が止まらない。
顔が熱い。
動悸がする。
眠れない。
ぐったりする。
のであれば、少しやりすぎかもしれません。
1.お風呂は「汗をかくまで入る」を目標にしない
冷え性の方の中には、
「しっかり汗をかくまで入らないと意味がない」
と思っている方もいます。
でも、長湯や熱すぎるお湯が必ず身体に合うわけではありません。
特に、
- 入浴後に顔が真っ赤になる
- 汗が長時間止まらない
- 入浴後に強く疲れる
- 夜になっても身体が熱い
- 布団に入ると寝苦しい
という場合は、一度温度や時間を見直してみましょう。
「何分入るか」より、
出たあとに気持ちよく過ごせるか
を目安にしてください。
疲れている日は、短めの入浴やシャワーだけでも構いません。
2.カイロは「冷えるところ全部」に貼らない
秋から冬になると、カイロを使う方も増えてきます。
腰、お腹、背中、足
と、複数枚使っている方もいるかもしれません。
でも、カイロは身体全体を強く温めるためのものではありません。
特に、
顔や上半身がほてりやすい方は、温める範囲を増やしすぎないようにしましょう。
また、長時間同じ場所を温め続けると、低温やけどの原因になることがあります。
カイロは、
衣服の上から使う。
熱いと感じたら外す。
就寝中は使用しない。
など、安全面にも注意してください。
「冷えているから我慢して貼り続ける」必要はありません。
3.靴下は重ねるほどよいわけではありません
足先が冷たいと、
靴下を2枚、3枚と重ねたくなることがあります。
でも、
締めつけが強い。
汗をかいて蒸れる。
寝ている間に暑くなる。
のであれば、かえって不快になることもあります。
まずは、
一枚で心地よく履けるもの。
足首まで覆えるもの。
締めつけが強すぎないもの。
から試してみましょう。
夜に足が冷える場合でも、
布団に入ったあと暑くなるなら、眠る前に脱いでも構いません。
温活は、
一度始めたら朝まで続けなければいけないものではありません。
身体の変化に合わせて外して大丈夫です。
4.寝具は「暖かさ」より睡眠を邪魔しないことを優先
寒くなってくると、
毛布、冬用布団、電気毛布、湯たんぽ
と、寝具も少しずつ冬仕様になります。
でも、寝ている途中で、
暑くて目が覚める。
汗をかく。
足を布団から出している。
のであれば、少し暖かすぎる可能性があります。
特に「冷えとのぼせ」がある方は、
寝る前は寒い。
眠り始めると暑い。
ということもあります。
そんなときは、
毛布を一枚減らす。
薄い掛け物を重ねて調整できるようにする。
電気毛布は布団を温めるためだけに使い、就寝時は弱める・切る。
などの方法があります。
眠れることを温活より優先してください。
5.足先が冷えたら「温める」前に少し動かす
足先が冷えていると、
すぐにカイロや湯たんぽを使いたくなります。
でも、長時間座っていたあとなどは、身体をほとんど動かしていないことがあります。
そんなときは、
- 足首をゆっくり回す
- つま先を上げ下げする
- ふくらはぎを伸ばす
- 部屋の中を少し歩く
などを試してみてください。
激しい運動をする必要はありません。
1〜2分程度でも構いません。
身体を動かしたあと、
まだ冷えが気になるなら、靴下や膝掛けを足す。
この順番でも十分です。
「顔は暑いのに足は冷たい」ときは全身を温めすぎない
冷えとのぼせが混じる人に一番多い悩みが、
「どこを温めればいいの?」
というものです。
顔や頭が熱いのに、
足は冷たい。
そんなときは、身体全体を厚着したり、室温を大きく上げたりするより、
冷えている足元だけを穏やかに保温する
方法が合う場合があります。
たとえば、
- 薄手の靴下。
- 足首を覆うレッグウォーマー。
- 膝掛け。
- などです。
反対に上半身は、
脱ぎ着できる服装にしておく。
首元を締めつけすぎない。
という調整ができます。
「全部温める」のではなく、
場所によって温かさを変える
という考え方を持ってみてください。
東洋医学では「上熱下寒」として見ることがあります
東洋医学では、
上半身には熱感がある。
下半身には冷えがある。
という状態を、
上熱下寒(じょうねつげかん)
と表現することがあります。
これは西洋医学の病名ではありません。
身体の状態を整理するための東洋医学の見方です。
たとえば、
- 顔がほてる。
- 頭が熱い。
- イライラしやすい。
- 足は冷たい。
- 生理前になるとのぼせる。
などが重なる方もいます。
また、
肝鬱気滞。
血虚。
瘀血。
腎虚。
など、ほかの体質傾向が一緒にみられることもあります。
だからこそ、
「冷え性だから温める」
だけではなく、身体全体を見ていくことが大切です。
妊活中でも「温活を頑張りすぎない」
妊活では、
「冷えはよくない」
という情報から、温活を義務のように続けている方もいます。
- 毎日必ず入浴する。
- カイロを貼る。
- 冷たいものは禁止。
- 靴下は必ず履く。
でも、
温活をたくさんすれば妊娠しやすくなる、と単純に考えることはできません。
温活は、妊娠のための必須条件ではありません。
身体が冷えてつらい。
冷えると眠りにくい。
そんな不快感を和らげるために使う。
それくらいの距離感で大丈夫です。
身体を整えるために始めた温活が、新しいストレスにならないようにしてください。
温活を見直したほうがよいサイン
次のような状態がある場合は、温め方を少し弱めてみましょう。
- 入浴後に強く疲れる
- 顔のほてりが増える
- 発汗が多くなる
- 夜に寝苦しくなる
- 動悸を感じる
- カイロを外すとほっとする
- 厚着をするとイライラする
- 足は冷たいのに上半身は暑い
「温めないといけない」
より、
温めたあとの身体の反応
を見てください。
また、ほてりや発汗が強く続く場合や、
動悸。
体重の急な変化。
月経周期の大きな変化。
強い倦怠感。
などがある場合には、温活の問題だけと考えず、婦人科や内科などへ相談してください。
今日からは「温活の引き算」もしてみましょう
温活というと、何を足すかを考えがちです。
でも、冷えとのぼせが混じる方では、
何を減らすか
も大切です。
たとえば、
熱すぎるお風呂を少しぬるめにする。
カイロを2枚から1枚にする。
厚い靴下を一枚にする。
寝具を一枚減らす。
こうした引き算でも、身体が楽になることがあります。
一度全部やめる必要はありません。
「これはなくても大丈夫かな?」
と、一つずつ試してみてください。
鍼灸では「冷えている場所」だけを見ません
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、
「足が冷たいです」
というご相談でも、足だけを見て施術を決めるわけではありません。
顔のほてり。
汗。
睡眠。
胃腸。
生理周期。
肩や首の緊張。
疲れ方。
などを一緒に確認します。
同じ「冷え」でも、
温めたほうが楽になる方。
温めすぎるとつらくなる方。
それぞれ違います。
冷えやほてりを含めて身体全体を見直したい方へ、女性の体質改善について詳しくご案内しています。
温活は「正しい方法」より「自分に合う方法」
お風呂は何分。
カイロはどこ。
靴下は何枚。
インターネットにはたくさんの方法があります。
でも、身体の状態は一人ひとり違います。
さらに同じ人でも、
生理前。
睡眠不足の日。
仕事で疲れた日。
気温が高い日。
では感じ方が変わります。
だから、
昨日ちょうどよかった温活が、今日も正解とは限りません。
今日は少し寒いから一枚足す。
今日は暑いから外す。
そんな調整ができることも、身体を大切にすることです。
温活は、守らなければいけないルールではありません。
自分の身体が楽になるための道具として使ってくださいね。
この記事を書いた人
菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
妊活・婦人科・マタニティなど、女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、冷え・ほてり・睡眠・胃腸なども確認しながら身体づくりをサポートしています。
温めても楽にならない冷えを、一度整理してみませんか
冷え対策をしているのに、
なかなか足が温まらない。
温めると顔がほてる。
夜になると暑くて眠れない。
という方もいます。
そんなときは、さらに温活を増やす前に、
今の身体に本当にその温め方が合っているのか
を一度見直してみてもよいかもしれません。
当院では、冷えだけではなく、ほてり・睡眠・胃腸・生理周期なども一緒に確認しています。
自分に合った身体の整え方を知りたい方はご相談ください。
参考・出典
厚生労働省「低温やけどに関する注意喚起」
日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編」
日本女性医学学会「女性医学ガイドブック」
Autonomic Neuroscience「Sex hormone effects on autonomic mechanisms of thermoregulation in humans」
Autonomic Neuroscience「Autonomic control of body temperature and blood pressure: influences of female sex hormones」

