10月に入り、朝晩の空気に少しずつ冷たさを感じるようになってきました。
妊活を続けていると、季節がひとつ進むことにも敏感になることがあります。
「また時間が経ってしまった」
「今年中には、と思っていたのに」
そんな気持ちがふっと出てくることもあるかもしれません。
食事にも気をつけている。
身体も冷やさないようにしている。
病院にもきちんと通っている。
それでも思うように進まないと、
「もっと何かしなければ」
と思ってしまいますよね。
けれど、10月にまず考えてほしいのは、新しく頑張ることを増やすことではありません。
秋は、これまで頑張ってきた身体を一度見つめ直し、
冷え・睡眠・胃腸という、毎日の身体の土台を整えていく時期
として過ごしてみてはいかがでしょうか。
秋の妊活で、まず見直したい3つの土台
妊活というと、
卵子。
排卵。
ホルモン。
子宮内膜。
採卵や胚移植。
どうしても妊娠に直接関係しそうなものに意識が向きます。
もちろん、必要な検査を受け、医療機関で適切な治療を受けることは大切です。
一方で、妊娠を考える時期の健康づくりでは、
- 食事
- 睡眠
- 身体活動
- 体重管理
- ストレスとの付き合い方
- 喫煙や飲酒などの生活習慣
といった毎日の過ごし方も、身体を支える土台として考えられています。
だからといって、
「生活習慣が悪いから妊娠できない」
という話ではありません。
妊活中の身体づくりで大切なのは、生活を完璧にすることではなく、
「今の身体が、もう少し楽に過ごせるところはないかな」
と考えることです。
秋は特に、
- 冷え
- 睡眠
- 胃腸
この3つから見直してみると、今の身体の状態が分かりやすくなります。
※季節の変わり目の冷えが気になる方は、「10月に向けた冷え対策チェックリスト」もあわせて確認してみてください。
夏にはなかった不調が出ていませんか?
朝晩が涼しくなってくると、
「最近、足先が冷たい」
「朝起きても身体が重い」
「食欲が安定しない」
と感じる方が増えてきます。
ほかにも、
- 食後に胃が重い
- お腹を壊しやすくなった
- 便が硬くなってきた
- 夜中に目が覚める
- 朝スッキリ起きられない
- 生理前の気分の揺れを強く感じる
などが気になることもあります。
もちろん、これらの症状があるからといって、妊娠しにくい身体という意味ではありません。
ただし、
「夏と比べて身体が変わってきた」
というサインにはなります。
季節が変われば、身体の感じ方も変わります。
毎年同じように過ごすのではなく、その時期の身体に合わせて少し調整していくことも、妊活中の身体づくりでは大切です。
西洋医学から考える「睡眠」という身体の土台
秋の妊活で、まず確認してほしいもののひとつが睡眠です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について個人差を踏まえながら、必要な睡眠時間を確保するとともに、睡眠によってしっかり休養できている感覚を大切にすることが示されています。
ここで大切なのは、
「何時間寝れば妊娠しやすくなる」
という単純な話ではありません。
睡眠は、身体と頭を休ませ、毎日の生活を支える大切な時間です。
妊活中は、
「早く寝なければ」
「8時間眠らなければ」
と、睡眠までノルマにしてしまうことがあります。
でも、それではかえって苦しくなります。
まず確認したいのは、
- 寝る時間が毎日大きく変わっていないか
- 朝起きても疲れが強く残っていないか
- 夜中に何度も目が覚めていないか
- 寝る直前までスマートフォンを見続けていないか
- 布団に入ってから妊活について考え続けていないか
という部分です。
特に妊活中は、
「この症状は着床?」
「この胚のグレードは?」
「次の治療はどうなる?」
と検索したくなることが次々に出てきます。
気がつけば、寝る直前までスマートフォンを見ていたという日もあるでしょう。
だからこそ夜だけは、妊活について考えない時間を少しつくることも、身体を休める方法のひとつです。
東洋医学では、秋をどう考える?
東洋医学では、秋は「燥(そう)」、つまり乾燥の影響を受けやすい季節と考えます。
さらに秋が深まり冬へ近づくにつれて、「寒」の影響も少しずつ加わってきます。
ここでいう「燥」や「寒」は、西洋医学の病名ではありません。
身体の状態を理解するための、東洋医学独自の考え方です。
例えば秋になると、
- 喉が乾燥する
- 肌が乾く
- 便が硬くなる
- 手足が冷える
- 食欲が落ちる
- 疲れやすくなる
など、一見すると別々に思える変化が出ることがあります。
東洋医学では、それらを一つひとつ切り離すのではなく、身体全体のバランスとして見ていきます。
これは妊活でも同じです。
「冷えているから、とにかく温めればよい」
とは限りません。
例えば、
手足は冷たいのに顔はほてる。
身体は冷えるけれど胃腸も弱い。
疲れた日に冷えが強くなる。
生理前になると身体が熱っぽくなる。
同じ「冷え」という言葉でも、その背景は一人ひとり違います。
だからこそ、妊活中の体質改善では、
冷えている場所だけを見るのではなく、その方の身体全体を見ていくこと
が大切です。
今日から始める、秋の妊活を支える3つの習慣
1.温かいものを一品加えて、胃腸をいたわる
秋になると、
「身体を冷やしてはいけない」
と思い、すべてを温かい食べ物に変えたくなるかもしれません。
そこまで頑張らなくて大丈夫です。
まずは一品。
例えば朝食なら、
- 温かい味噌汁
- スープ
- ごはん
- 温野菜
- 温かいお茶
など、取り入れやすいものから始めてみましょう。
秋は、
- きのこ
- かぼちゃ
- さつまいも
- 里芋
- れんこん
- にんじん
など、加熱して食べやすい食材も多い季節です。
大切なのは、
「妊活によい食材を食べなければ」
と食事を難しくしてしまわないことです。
食べたあとに胃が苦しくなく、無理なく続けられる食事。
まずはそこを大切にしてください。

2.「早く寝る」より、生活リズムを大きく崩さない
睡眠を整えようとすると、
「今日から22時に寝よう」
と急に変えたくなることがあります。
でも、仕事や家事、通院がある中では、なかなか続きません。
まずは、
- 朝起きる時間を大きくずらさない
- 朝起きたらカーテンを開ける
- 夜は部屋を少し落ち着いた明るさにする
- 就寝前のスマートフォンを少し短くする
- 布団の中で検索を続けない
このくらいで十分です。
全部ではなく、一つできそうなものを選んでください。

「身体を整えるために何かをする時間」だけではなく、
何もしない時間も身体づくりの一部です。
3.頑張る運動より「気持ちよく動く」
妊活中の運動も、
「毎日30分歩かなければ」
「筋トレをしなければ」
と新しい課題にする必要はありません。
たとえば、
- 10分ほど散歩する
- 買い物のついでに少し歩く
- 長時間座ったあとに身体を伸ばす
- お風呂上がりに軽くストレッチする
程度でも、身体を動かすきっかけになります。
目安にしたいのは、
「これくらいなら気持ちいい」
と感じられる程度です。

疲れ切るまで頑張る必要はありません。
なお、採卵前後や胚移植後など、治療内容によって運動について注意が必要な場合があります。
病院から運動や生活について指示を受けている場合は、そちらを優先してください。
鍼灸では「冷え」だけを見ているわけではありません
妊活中に鍼灸へ来られる方の中には、
「冷えを改善したい」
という方も多くいらっしゃいます。
でも、実際にお話を伺っていくと、
冷えだけではありません。
「眠りが浅い」
「胃腸が弱い」
「便秘と下痢を繰り返す」
「疲れが取れない」
「首や肩がいつも緊張している」
「治療のことを考えると夜眠れない」
など、複数の悩みが重なっていることが少なくありません。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、
- 現在の妊活・治療状況
- 生理周期
- 睡眠
- 食事や胃腸の状態
- 冷えやほてり
- 疲れ方
- 日常生活
- 心身の緊張
などを確認しながら、今のお身体を見ていきます。
妊活に鍼灸を取り入れるメリットのひとつは、冷え・睡眠・胃腸などを別々の問題として考えるだけでなく、身体全体を見ながら体調管理を考えられることです。
もちろん、鍼灸だけで妊娠を目指すという考え方ではありません。
妊娠に関わる原因を調べるためには、病院での検査や診断が必要です。
当院では医療機関での検査や治療を大切にしながら、その横で、
治療を受ける身体そのものを整えていく
という役割を鍼灸が担えると考えています。
10月は「増やす」より「整える」から
新しい月が始まると、
「今月こそ何か変えよう」
と思うことがあります。
特に妊活中は、
新しいサプリメント。
新しい温活。
新しい食事法。
新しい情報。
つい何かを増やしたくなります。
でも、今すでにいくつものことを頑張っているのであれば、10月は少し違う考え方をしてみてもよいかもしれません。
今日は温かい汁物を一杯飲む。
今夜はスマートフォンを少し早く置く。
天気がよければ10分歩く。
それくらいからで十分です。
身体づくりは、1日で完成するものではありません。
秋は、何かを急いで変えるのではなく、
今ある身体の土台を、ひとつずつ深く整えていく季節。
そんな10月にしてみてくださいね。
次の記事では「夜の整え方」を具体的に
今回は、秋の妊活で意識したい
冷え・睡眠・胃腸
という3つの土台についてお伝えしました。
この続きとなる10月4日夜記事では、
として、帰宅してから眠るまでの時間に取り入れやすい具体的なセルフケアをご紹介します。
知識として分かっていても、実際に毎日の生活へ取り入れるのは難しいものです。
次回は、
「では今夜から何をすればいい?」
というところまで、もう一段具体的に見ていきましょう。
妊活中の身体づくりを、一人で抱え込まないために
妊活では、
「冷えも気になる」
「睡眠もよくない」
「胃腸も弱い」
と、何から手をつければいいのか分からなくなることがあります。
そんなときは、全部を一人で整理しなくても大丈夫です。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、病院での治療状況も確認しながら、今のお身体に必要なことを一緒に整理しています。
まずは、当院の妊活中の身体づくりについて知っていただき、
「自分の場合はどこから整えればいいのかな」
と思われたときに、ご相談いただければと思います。
参考・出典
国立成育医療研究センター「プレコン・チェックシート」(2025年7月改訂)
国立成育医療研究センター「プレコンセプションケアセンター」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)「Acupuncture: Effectiveness and Safety」

