「子宮の中にポリープがあるかもしれません」
不妊治療中の診察で突然そう言われたら、驚きますよね。
「これが妊娠できない原因だったの?」
「手術しないといけない?」
「次の胚移植は延期になるのかな?」
と、いろいろなことが気になると思います。
でも、子宮ポリープが見つかったからといって、必ず妊娠できないわけではありません。また、すべてのポリープを同じように扱うわけでもありません。
大切なのは、どこに、どのようなポリープがあり、今の妊活にどのような影響が考えられるのかを確認することです。
今回は、妊活中に知っておきたい子宮内膜ポリープの基礎知識と、検査や治療について整理します。
そもそも子宮ポリープとは?
妊活中に「子宮ポリープ」と言われる場合、多くは子宮の内側にできる子宮内膜ポリープを指します。
子宮内膜は、月経周期に合わせて厚さが変化し、妊娠が成立した場合には受精卵が着床する場所です。
子宮内膜ポリープは、この子宮内膜の一部が局所的に増殖し、子宮の内側へ突出したものです。
大きさは数mm程度の小さなものから、数cmに及ぶものまでさまざまです。一つだけ見つかる場合もあれば、複数できている場合もあります。
子宮内膜ポリープの多くは良性ですが、診察時には大きさや形、出血の有無などを確認し、必要に応じて詳しい検査を行います。
子宮頸管ポリープとは違うの?
子宮内膜ポリープと混同されやすいのが、子宮頸管ポリープです。
子宮頸管ポリープは、子宮の入口にあたる子宮頸管にできるものです。一方、子宮内膜ポリープは、子宮の内側にできます。
どちらも「子宮ポリープ」と呼ばれることがありますが、できる場所が違うため、検査や治療の考え方も異なります。
病院でポリープを指摘された場合には、まず「子宮内膜にあるのか、子宮頸管にあるのか」を確認してみましょう。
子宮内膜ポリープがあっても、症状がないことがあります
子宮内膜ポリープがある方の中には、自覚症状がまったくない方もいます。
不妊治療で超音波検査を受けた際に、偶然見つかることも珍しくありません。
一方で、月経以外の出血、月経量の増加、月経が長引くといった症状が現れる場合もあります。
ただし、不正出血があるからといって、必ずポリープが原因とは限りません。妊娠に関連する出血やホルモンの変化、子宮のほかの病気なども考えられます。
出血が続く場合には、自己判断せず婦人科で確認しましょう。
子宮内膜ポリープは妊娠に影響するの?
子宮内膜ポリープは、妊娠に影響する可能性がある病変の一つと考えられています。
例えば、ポリープの場所や大きさによっては、子宮内腔の形に影響することがあります。また、着床に関わる子宮内膜の環境との関連についても研究されています。
ただし、ポリープが見つかったことだけで、不妊の原因が確定するわけではありません。
妊娠には年齢、排卵、卵管、精子、受精卵の状態など、さまざまな要因が関わっています。
ポリープがあるかどうかだけではなく、これまでの検査結果や治療経過も合わせて考えることが大切です。
どうやって見つけるの?
子宮内膜ポリープが疑われる場合、最初に行われることが多いのが経腟超音波検査です。
子宮内膜の厚さや形を確認し、ポリープが疑われる部分がないかを調べます。
ただし、月経周期によって子宮内膜の厚さが変化するため、超音波検査だけでは判断が難しい場合もあります。
そのようなときには、生理食塩水を子宮内へ注入しながら超音波で観察するソノヒステログラフィーや、細いカメラで子宮の内側を直接観察する子宮鏡検査などが検討されます。
子宮鏡検査では何が分かる?
子宮鏡検査では、細いカメラを子宮内へ入れ、子宮内膜や子宮内腔の状態を直接確認します。
ポリープの有無だけでなく、その大きさ、場所、数などを詳しく観察できます。
検査を行う時期は、月経周期や治療予定などを考慮して決められます。一般的には、月経終了後から排卵前にかけて行われることがあります。
また、使用する器具や麻酔、検査と同時に切除ができるかどうかは、医療機関によって異なります。
9月14日朝の記事「子宮鏡検査で何がわかる?」でも、検査の目的や流れについて詳しく紹介しています。検査を勧められた方は、そちらも参考にしてください。
ポリープが見つかったら、必ず切除するの?
子宮内膜ポリープが見つかっても、必ずしも全員がすぐに切除するわけではありません。
小さく、症状がなく、悪性を疑う所見もない場合には、経過観察が選択されることがあります。
特に閉経前の女性では、ポリープが自然に小さくなったり、消失したりする場合もあります。
一方で、不正出血が続く、ポリープが不妊の一要因と考えられる、悪性の可能性を確認する必要があるといった場合には、切除が検討されます。
妊活中の場合は、ポリープの状態に加えて、これまでの治療経過や今後の予定も判断材料になります。
人工授精の前に切除すると妊娠率は上がる?
人工授精を予定している方では、子宮内膜ポリープの切除によって妊娠率が改善する可能性が報告されています。
2018年のコクランレビューでは、人工授精を受ける女性204人を対象とした研究などが検討されました。
その結果、人工授精前にポリープを切除した群では、切除しなかった群と比べて臨床妊娠率が高くなる可能性が示されています。
ただし、研究の数は限られており、出生率への影響については十分なデータがありませんでした。
そのため、切除を検討するときには、ポリープの状態と今後の治療計画を合わせて主治医と相談することが大切です。
体外受精や胚移植の前なら、どう考える?
体外受精(IVF)や胚移植を予定している方は、ポリープが見つかると「移植を延期した方がいいの?」と心配になると思います。
近年の米国生殖医学会の見解では、子宮内膜ポリープが着床に影響する可能性を示す研究がある一方で、体外受精前のポリープ切除が着床率や出生率を改善することについては、十分な根拠がないとされています。
だからといって、ポリープを放置してよいという意味ではありません。
特に、子宮内腔へ突出しているポリープがある場合や、これまでの胚移植の経過から子宮内膜の評価が必要な場合には、検査や切除が検討されることがあります。
「ポリープがあるから必ず延期」でも、「小さいから絶対に問題ない」でもありません。
今の治療段階に合わせて考えていきましょう。
採卵中に見つかった場合、治療は中止になる?
採卵に向けて卵巣刺激をしている途中で、ポリープが見つかることもあります。
その場合も、必ず採卵周期を中止するとは限りません。
ポリープの状態や医療機関の方針によっては、採卵を進めて受精卵を凍結し、そのあとにポリープの検査や切除を行い、別の周期で胚移植する方法も考えられます。
一方、ポリープの状態によっては、予定していた治療方針を変える必要がない場合もあります。
今後の治療については、採卵や胚移植の予定を把握している主治医と相談しましょう。
子宮鏡下ポリープ切除術とは?
子宮内膜ポリープを切除する場合には、子宮鏡で内部を確認しながら取り除く方法が広く用いられています。
子宮の内側を直接見ながら切除できるため、ポリープの位置を確認しやすく、取り残しを減らすことにもつながります。
また、取り除いた組織を病理検査へ提出することで、組織の性質を確認できます。
手術方法や麻酔、日帰りで行えるかどうかなどは、ポリープの状態や医療機関によって異なります。
手術を勧められたときには、具体的な方法や術後の予定について確認しておきましょう。
切除したら、すぐ妊活を再開できる?
ポリープ切除後、いつから妊活や不妊治療を再開できるのかも気になりますよね。
再開時期は、手術方法、切除した範囲、術後の出血や子宮内膜の状態、病理検査の結果などによって異なります。
自己判断で再開時期を決めず、主治医に確認してください。
特に胚移植を予定している方は、切除後の子宮内膜の状態をどのように確認するのか、次の移植周期をいつから予定できるのかを聞いておくと安心です。
手術後に気をつけたい症状
ポリープ切除後には、少量の出血や軽い下腹部痛がみられる場合があります。
ただし、出血が多い、強い腹痛が続く、発熱がある、悪臭を伴うおりものが出るといった場合には、医療機関へ連絡してください。
術後の生活や運動、入浴、夫婦生活などについては、手術を受けた医療機関からの指示を優先しましょう。
食事や温活でポリープを小さくできる?
子宮内膜ポリープが見つかると、
「食事を変えたら小さくなる?」
「身体を温めた方がいい?」
「何か自分でできることはない?」
と考える方もいるでしょう。
ただし、特定の食べものや温活、お灸によって、子宮内膜ポリープを確実に小さくしたり、消失させたりできるという医学的根拠はありません。
ポリープそのものの評価や必要な治療は、婦人科で行うことが大切です。
一方、検査や手術を待っている期間も、睡眠や食事を整え、日々の身体をいたわることはできます。
ポリープの治療と、妊活を続けるための身体づくりは、役割を分けて考えていきましょう。
東洋医学では、ポリープだけで体質を決めません
東洋医学には、血の巡りが滞った状態を表す瘀血(おけつ)という考え方があります。
そのため、子宮内膜ポリープについて調べると、「瘀血が原因」と説明されていることがあるかもしれません。
しかし、子宮内膜ポリープがあるという理由だけで、東洋医学的に瘀血と判断するわけではありません。
月経痛や慢性的な痛みがあるのか、睡眠はどうか、胃腸の状態はどうか、冷えやのぼせはあるのかなど、身体全体の状態を確認する必要があります。
また、瘀血という東洋医学の考え方は、医学的な血栓や子宮内膜ポリープそのものを意味するわけではありません。
ポリープが見つかったときこそ、鍼灸で身体を整えるという選択
ポリープが見つかり、次の検査や手術の予定を待つ間、不安で眠れなくなる方もいます。
「次の胚移植が延期になるかもしれない」
「また治療に時間がかかる」
そんな気持ちから、首肩に力が入り、胃腸の調子まで乱れてしまうこともあるでしょう。
鍼灸によってポリープを取り除くことはできませんが、妊活や治療に伴う身体の緊張や、首肩のこり、睡眠の悩みなどに対して、身体づくりを支える方法として取り入れることができます。
2022年に発表された体外受精に関連する不安への鍼灸のシステマティックレビューでは、8試験を対象に、不安を軽減する小さいながら有意な効果が報告されています。
検査や手術の予定が決まるまでの間も、何もできないわけではありません。
子宮内膜ポリープは医療機関で適切に評価しながら、今つらい身体を鍼灸で整えていく。
そんな組み合わせができます。
蓮心はり灸堂では、現在の治療計画に合わせて施術します
「ポリープが見つかり、次の移植をどうするか相談中です」
「子宮鏡の手術を受ける予定です」
そんな段階でも、身体づくりについてご相談いただけます。
当院では、ポリープの診断や治療方針を決めるのではなく、主治医の説明や現在の治療予定を確認したうえで施術を組み立てます。
睡眠、胃腸、月経、冷え・のぼせ、疲労、首肩の緊張など、今の身体に現れている不調も一緒に確認します。
手術前後や妊娠の可能性がある時期には、その状況に合わせて施術内容を調整します。
検査や治療が増え、不安を感じているときこそ、自分の身体を休ませる時間も大切にしていただきたいと思っています。
ポリープが見つかったら、まず確認したい3つ
1.どこに、どのくらいのポリープがあるのか
子宮内膜なのか子宮頸管なのか、大きさや数、位置について確認しましょう。
2.今の妊活では、どのような対応が必要なのか
経過観察でよいのか、追加検査や切除を検討するのか、主治医へ確認します。
3.次の治療予定へ影響があるのか
人工授精や採卵、胚移植を予定している場合には、そのスケジュールと合わせて相談しましょう。
すべてを一度に理解する必要はありません。次の診察で確認したいことを、事前にメモしておくだけでも十分です。
ポリープが見つかったからといって、自分を責めないで
不妊治療中には、新しく何かが見つかるたびに、
「また問題が増えた」
と感じてしまうことがあります。
でも、ポリープが見つかったことは、今の身体の状態を詳しく知るきっかけでもあります。
必要な検査を受け、治療の選択肢を確認し、今後の予定を主治医と相談する。
その一つ一つが、これからの妊活を進めるための大切な過程です。
ポリープが見つかったことを、これまでの努力が無駄だったという意味にしないでください。
子宮ポリープが見つかり、妊活の進め方に迷っている方へ
突然の検査や治療方針の変更で、不安になることもあると思います。
次の採卵や胚移植がどうなるのか気になり、眠れなくなる夜もあるかもしれません。
そんなときこそ、必要な医療を受けながら、自分の身体も大切にしていきましょう。
蓮心はり灸堂では、妊活・不妊治療の経過や検査結果、今後の予定を確認しながら、睡眠、胃腸、月経、疲労、冷え・のぼせ、首肩の緊張などを含めて施術を組み立てています。
「治療の予定が変わってしまい、身体も気持ちも疲れている」
という段階からでも構いません。
次の治療へ向かうまでの時間も、今の身体を少しずつ整えていきましょう。
参考・出典
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023:子宮内膜ポリープの診断法および取り扱い」
カナダ産婦人科学会「子宮内膜ポリープの診断と管理に関する診療ガイドライン」(2024年)
米国生殖医学会「反復着床不全:委員会見解」(2026年)
英国国立医療技術評価機構(NICE)「不妊症:評価と治療」(2026年)
米国産科婦人科学会(ACOG)「子宮内病変の診断と治療における子宮鏡の使用」
コクラン共同計画「妊娠を希望する女性の子宮内病変に対する子宮鏡下治療」
Reproductive BioMedicine Online「体外受精に関連する不安に対する鍼灸の効果:システマティックレビュー・メタ解析」(2022年)

