妊活中の食欲の乱れと血糖変動

妊活や婦人科ケアに役立つ食養生とセルフケアを伝えるブログ画像

妊活をしていると、

「甘いものを食べない方がいい」

「血糖値を上げない方がいい」

「妊娠したいなら血糖スパイクをなくした方がいい」

という情報を目にすることがあります。

すると、

午後にお菓子を食べただけで、

「また血糖値を上げてしまった」

と不安になってしまう方もいるかもしれません。

一方で実際には、

朝は食欲がない。

昼食が遅くなる。

夕方になると急に甘いものが欲しくなる。

仕事から帰ると食欲が止まらない。

食後に眠くなる。

という方もいます。

まず知っておきたいのは、

食事をすると血糖値が上がること自体は、身体の正常な反応です。

大切なのは、

血糖値を一切上げないことではありません。

そして、

「甘いものが欲しい=血糖値がおかしい」

「食後眠い=糖尿病」

とも判断できません。

今日は、

妊活中に食欲が乱れるとき、血糖値についてどこまで気にしたらよいのか

を整理していきましょう。

目次

そもそも血糖値とは?

食事から摂った炭水化物は、消化・吸収されると主にブドウ糖となり、血液中へ入ります。

すると血糖値が上昇し、膵臓からインスリンが分泌されます。

インスリンは、

血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪などの細胞へ取り込ませる。

肝臓での糖の利用や貯蔵を調節する。

など、血糖値を一定範囲へ戻すために重要な役割をしています。

つまり、

食べる → 血糖値が上がる → インスリンが働く

という流れ自体は正常です。

「血糖スパイク」という言葉を怖がりすぎなくて大丈夫

最近はSNSなどで、

「血糖スパイクを起こすと妊娠しにくい」

という表現を見ることがあります。

でも、

健康な人でも食後には血糖値が上がります。

また、

甘いものが欲しくなる。

眠くなる。

イライラする。

という症状だけから、

実際に異常な血糖変動が起きているかを判断することはできません。

そのため、

自覚症状だけで「私は血糖値が乱れている」と決めつけない

ことが大切です。

ただし、妊活で血糖代謝を確認した方がよい方もいます

特に知っておきたいのが、

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)

です。

PCOSでは、年齢やBMIにかかわらず、

耐糖能異常。

2型糖尿病。

などのリスクが高いことが、国際的なガイドラインで示されています。

インスリンが効きにくくなる状態を、

インスリン抵抗性

といいます。

インスリン抵抗性があると、それを補うために身体がより多くのインスリンを分泌することがあります。

PCOSでは、この代謝の問題と排卵障害や男性ホルモンの増加などが関連することがあります。

PCOSの方は、妊活前に血糖の確認を検討する価値があります

2023年国際PCOSガイドラインでは、

PCOSの女性には血糖状態の評価が推奨されています。

さらに、

妊娠を計画している、または不妊治療を受けるPCOS女性では、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を検討する

ことが勧められています。

OGTTは、

甘いブドウ糖液を飲み、その後の血糖値を測定する検査です。

PCOSでは、空腹時血糖やHbA1cだけよりもOGTTの方が血糖状態の評価に適しているとされています。

ですから、

PCOSと言われている。

月経不順がある。

血糖値について指摘されたことがある。

家族に糖尿病が多い。

という方は、

自己流の「血糖値対策」を始める前に、

一度、主治医へ血糖検査について相談してみる

のもよいでしょう。

甘いものが欲しくなる=意志が弱い、ではありません

午後になると、

チョコレート。

クッキー。

菓子パン。

アイス。

が欲しくなる。

すると、

「また我慢できなかった」

と思ってしまう方がいます。

でも、食欲は、

血糖値だけで決まるものではありません。

睡眠。

食事量。

食事間隔。

ストレス。

月経周期。

運動量。

仕事の忙しさ。

など、さまざまな要因が関係します。

朝食をほとんど食べず、

昼食も軽く済ませ、

夕方になって強く空腹になっているなら、

甘いものを食べたくなるのは不思議なことではありません。

まず、

「甘いものを我慢する」より「それまでに身体へ必要な食事が入っているか」

を確認してみてください。

妊活だから「糖質を全部減らす」はおすすめしません

血糖値が気になると、

ご飯を食べない。

パンを食べない。

麺を食べない。

果物もやめる。

という極端な糖質制限へ進んでしまうことがあります。

でも、

炭水化物は身体の重要なエネルギー源です。

特に妊活中は、

「血糖値を上げないこと」

だけを目標にするのではなく、

必要なエネルギー。

たんぱく質。

脂質。

ビタミン。

ミネラル。

食物繊維。

を含めた食事全体を見る必要があります。

PCOSについても、2023年国際ガイドラインでは、

特定の一つの食事法が、ほかの食事法より代謝・ホルモン・生殖成績に優れているという根拠はありません。

持続できる健康的な食事を、本人の好みや生活に合わせることが勧められています。

「低GI食品だけ食べる」にもしなくて大丈夫

GIとは、

食べ物が血糖値をどの程度上げやすいかを見る指標です。

参考にはなりますが、

GIの数字だけを見て食事を決める必要はありません。

同じ食べ物でも、

量。

調理方法。

一緒に食べるもの。

その人の代謝。

などによって食後血糖の反応は変わります。

「高GIだから禁止」

というより、

食事全体のバランスを見る

方が続けやすいと思います。

まず見直したいのは「単品で済ませる食事」

朝は菓子パンだけ。

昼はおにぎりだけ。

午後はクッキーだけ。

という食事になっていないでしょうか。

炭水化物そのものを悪者にする必要はありません。

ただ、

炭水化物だけに偏るより、

たんぱく質。

野菜や海藻。

豆類。

乳製品。

などを一緒に組み合わせることで、食事全体の栄養バランスを整えやすくなります。

米国糖尿病学会(ADA)の2026年栄養指針でも、

野菜。

豆類。

全粒穀物。

果物。

質のよいたんぱく質。

食物繊維。

などを含む、栄養密度の高い食事が重視されています。

朝食は「完璧」でなくても、何か足してみる

朝、

食パンだけ。

おにぎりだけ。

という方なら、

卵。

ヨーグルト。

納豆。

豆腐。

牛乳や豆乳。

など、

たんぱく質になるものを一つ追加する

方法があります。

いきなり、

玄米。

サラダ。

魚。

味噌汁。

全部そろえなくても構いません。

妊活の食養生は、

100点を一日だけ取ることより、

60~70点くらいを続けられること

の方が大切です。

甘いものを食べるなら「禁止」より「位置を変える」

「お菓子は絶対ダメ」

と決めると、

数日我慢したあとに反動でたくさん食べてしまう方もいます。

たとえば、

空腹が限界になった16時に、

菓子パンとジュースを急いで食べる。

より、

昼食をある程度しっかり食べて、

午後に、

ヨーグルト。

果物。

少量のお菓子。

ナッツ。

などを組み合わせる。

といった方法もあります。

大切なのは、

甘いものを一生排除することではなく、食欲が暴走しにくい生活リズムをつくること

です。

甘い飲み物は、意外と見落とされやすいところ

カフェラテ。

ジュース。

清涼飲料水。

スポーツドリンク。

甘い紅茶。

などは、食事とは別に糖質が入りやすいものです。

毎日何杯も飲んでいる場合は、

そのうち一部を、

水。

麦茶。

無糖のお茶。

などへ変える方法があります。

ADAも、糖分の多い飲料や精製度の高い食品を減らし、より栄養価の高い食品を選ぶことを推奨しています。

「夕方にふらつく=低血糖」と決めつけないで

夕方になると、

手が震える。

冷や汗が出る。

動悸がする。

強い空腹になる。

という場合、

「低血糖かも」

と思うことがあります。

実際に低血糖が起こる病気もあります。

しかし、

症状だけでは診断できません。

特に、

意識が遠くなる。

頻繁に強い症状が起こる。

食事をしても改善しない。

糖尿病の薬を使用している。

という場合は、

食養生だけで対応せず医療機関へ相談してください。

「食後眠い」だけでインスリン抵抗性とは判断できません

妊活中のSNSでは、

「食後眠くなる人は血糖スパイク」

「眠いならインスリン抵抗性」

という表現を見かけることがあります。

でも、

食後の眠気だけで、

PCOS。

糖尿病。

インスリン抵抗性。

を診断することはできません。

気になる場合は、

症状から自己診断するより、

必要な血液検査を受ける方が確実です。

妊活中の食事は「妊娠率を上げる食材探し」にしない

妊活をしていると、

アボカド。

ナッツ。

玄米。

オートミール。

魚。

発酵食品。

など、

「妊娠にいい食べ物」を探したくなります。

でも、食事と妊孕性については研究されているものの、

特定の一つの食べ物を食べれば妊娠率が上がる、と言えるものではありません。

妊娠前の食事についても、健康的な食事パターンとの関連を示す研究はありますが、どの食事法が妊娠率を最も上げるかについて確立した答えはありません。

だからこそ、

一つの食品へ期待するより、

毎日の食事を極端にしない

ことを大切にしましょう。

東洋医学では「甘いものが欲しい」をどう見る?

東洋医学でも、

「甘いものを食べる人は悪い」

とは考えません。

その背景にある身体の状態を見ます。

脾虚(ひきょ)|疲れると甘いものが欲しくなるタイプ

・疲れると甘いものが欲しい
・食後にだるい
・胃腸が弱い
・軟便になりやすい
・朝は食欲が少ない

という方では、

脾虚=胃腸の働きや身体を支える力が弱っている状態

として見ることがあります。

無理な食事制限をするより、

三食すべて完璧でなくても、

身体へ定期的に食事を入れることを考えます。

肝鬱気滞(かんうつきたい)|ストレスで食欲が変わるタイプ

・イライラすると食べる
・仕事が終わると甘いものが欲しい
・生理前に食欲が増える
・お腹や胸が張る
・ため息が増える

という場合、

肝鬱気滞=緊張などによって気の巡りが滞っている状態

として見ることがあります。

食欲だけをコントロールしようとするより、

睡眠や緊張まで一緒に見ることが大切です。

湿(しつ)|甘いもののあと身体が重いタイプ

・むくみやすい
・身体が重い
・胃がもたれる
・甘いものを食べるとさらにだるい
・舌がべたつく感じがする

などでは、

湿=身体の水分がうまく巡らず、重だるさとして表れている状態

として見ることがあります。

妊活中の「食欲の乱れ」も鍼灸で相談していい?

もちろん構いません。

妊活鍼灸というと、

「卵子や子宮だけを見る施術」

と思われがちです。

でも当院では、

食欲。

胃腸。

便通。

睡眠。

疲れ。

冷えやほてり。

身体の緊張。

月経。

なども確認します。

なぜなら、

妊活をしている身体は、子宮や卵巣だけでできているわけではないからです。

鍼灸で血糖値を下げる、と考えるわけではありません

PCOSやインスリン抵抗性についても、鍼灸は研究されています。

ただし、PCOSとインスリン抵抗性のある342人を対象とした無作為化比較試験では、鍼治療はインスリン感受性についてメトホルミンや偽鍼を明確に上回りませんでした。

ですから、

「鍼灸を受ければ血糖値が正常になる」

とはお伝えしません。

血糖異常やPCOSが疑われる場合は、医学的な検査・治療が基本です。

それでも、妊活に鍼灸を取り入れる意味があります

血糖値を直接治療することと、

妊活中の身体全体を整えること

は別です。

食欲が乱れている方では、

眠れていない。

胃腸が弱っている。

仕事で緊張が続いている。

疲労が強い。

月経前になると食欲が変わる。

など、いくつもの状態が重なっていることがあります。

鍼灸では、

それらを一つずつ切り離すのではなく、

現在の不妊治療の段階と合わせて身体を見ていくことができます。

これが、

妊活中に鍼灸を取り入れるメリットの一つ

だと考えています。

鍼灸と生殖補助医療には前向きな研究データもあります

さらに、妊活・不妊治療と鍼灸については、

「身体が楽になるだけ」

という研究しかないわけではありません。

2026年に発表された、42試験・9,390人を対象としたメタ解析では、生殖補助医療に鍼灸を併用した群で、

臨床妊娠率 RR 1.25

着床率 RR 1.16

と、対照群より有意に高い結果が報告されています。

一方、

出生率については統計学的な有意差に達しておらず、エビデンスの確実性も非常に低いと評価されています。

したがって、

「鍼灸を受ければ妊娠できる」

とは言えません。

しかし、

生殖医療に鍼灸を組み合わせることについて、妊娠率・着床率に前向きな研究結果が蓄積されている

ことも、妊活中に鍼灸を検討する一つの材料になります。

食事だけを頑張りすぎないことも妊活では大切

妊活を始めると、

白砂糖禁止。

小麦禁止。

乳製品禁止。

お菓子禁止。

外食禁止。

というように、

食べられないものがどんどん増えてしまう方がいます。

でも、

毎日の食事が、

「身体を養う時間」

ではなく、

「間違えてはいけない試験」

のようになってしまうのはおすすめしません。

PCOSの国際ガイドラインでも、特定の一つの食事法ではなく、本人の好みや目標に合わせた持続可能な健康的な食事が重視されています。

妊活は数日ではありません。

続けられることが大切です。

今日からできる3つのこと

1.甘いものを減らす前に、食事を抜いていないか確認する

特に、

朝食。

昼食。

が極端に少ない方は、

まずそこから見直します。

2.炭水化物を抜くのではなく、何か一つ足す

おにぎりだけなら、

卵。

納豆。

ヨーグルト。

豆腐。

などを足してみる。

「減らす」だけでなく、

必要なものを足す

という考え方です。

3.一週間だけ「食欲が乱れる時間」を見る

15時。

夕食前。

夜22時。

など、

いつ甘いものが欲しくなるかを確認します。

同時に、

前の食事。

睡眠。

仕事の忙しさ。

月経周期。

も簡単にメモしてみると、

自分なりのパターンが見つかることがあります。

甘いものが止まらない夜には、また違う整え方があります

日中は気をつけているのに、

夜になると、

チョコレート。

アイス。

お菓子。

が止まらなくなる。

そんな方もいると思います。

それをすべて、

「血糖値のせい」

「意思が弱いせい」

にする必要はありません。

睡眠不足。

一日の食事量。

緊張。

月経周期。

東洋医学でいう脾虚や肝鬱気滞。

など、いくつもの背景があります。

このテーマの続きは、8月26日の
「甘いものが止まらない夜の東洋医学的セルフケア」
で、

食べたくなったその瞬間にできることを、より具体的にお伝えします。

妊活中の食事は「血糖値を完璧にすること」が目的ではありません

食事は、

身体を動かす。

眠る。

働く。

ホルモンをつくる。

身体を維持する。

ための土台です。

もちろん、

PCOSや糖尿病など、血糖管理が特に重要な方もいます。

その場合は、

きちんと検査を受け、必要な治療を行います。

一方、

血糖値について特に異常を指摘されていない方まで、

「食後血糖を上げてはいけない」

と毎食怖がる必要はありません。

妊活中だからこそ、

食事を減点方式にしないこと。

食欲。

胃腸。

睡眠。

疲労。

月経。

そして不妊治療の段階。

それらを一緒に見ながら、

自分が続けられる身体づくりを考えていきましょう。

【参考・出典】

国際PCOSネットワーク「多嚢胞性卵巣症候群の評価と管理に関する国際エビデンスベースガイドライン 2023」

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)「多嚢胞性卵巣症候群ガイドライン」

米国糖尿病学会(ADA)「糖尿病診療基準 2026―健康行動と栄養療法」

Human Reproduction「PCOS・インスリン抵抗性女性に対する鍼治療とメトホルミンの無作為化比較試験」

Human Reproduction Update「妊娠前の食事と女性の妊孕性に関するエビデンスレビュー」

Frontiers in Endocrinology「生殖補助医療に併用する鍼治療のタイミングと施術量に関するメタ解析・ネットワークメタ解析」

食欲や胃腸の乱れも含めて、妊活の身体を整えたい方へ

「妊活を始めてから食事のことばかり気になる」

「甘いものを食べると罪悪感がある」

「PCOSと言われて、食事をどうしたらいいかわからない」

「採卵や胚移植に向けて、身体全体を整えたい」

そんな方もいらっしゃると思います。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、

・現在の妊活・不妊治療の段階
・月経周期
・食欲
・胃腸の状態
・便通
・睡眠
・冷えやほてり
・疲労
・身体の緊張
・食事やサプリメント

などを確認しながら、その方に合わせて施術を行っています。

鍼灸で糖尿病やインスリン抵抗性の治療を代わりに行うことはできません。

必要な検査や医学的治療は、主治医のもとで受けることが大切です。

その一方で、

生殖補助医療に鍼灸を併用した研究では、臨床妊娠率や着床率について前向きなデータも報告されています。

病院で必要な不妊治療を受けながら、食欲・胃腸・睡眠・疲労なども含めて、治療を続ける身体全体を整えていく。

それが、当院が大切にしている妊活鍼灸です。

「食事をもっと制限する」前に、

今の身体に何が足りていないのか。

どこに負担がかかっているのか。

一緒に整理するところから始めてみませんか。

「PCOSがあり、妊活中の身体づくりについて相談したい」

「採卵・胚移植と並行して鍼灸を取り入れてみたい」

という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次