子宮内膜が薄いと言われたときに考えること

妊活の基礎知識をやさしく伝える奈良・上牧町の不妊鍼灸専門院のブログ画像

胚移植に向けて診察を受け、

「子宮内膜が少し薄いですね」

と言われると、不安になる方は少なくありません。

「このままでは移植できない?」

「着床しにくいということ?」

「もっと身体を温めれば厚くなる?」

「食事やサプリで何とかできない?」

と、帰宅してから検索を続けてしまうこともあると思います。

特に、

「内膜は7mm必要」

「8mm以上ないと着床しない」

といった情報を見ると、自分の数字と比べたくなります。

けれど、最初に知っておいていただきたいのは、

子宮内膜の厚さは大切な判断材料の一つですが、その数字だけで妊娠できる・できないが決まるわけではない

ということです。

今回は、子宮内膜が薄いと言われたときに、何をどう考えればよいのかを整理していきます。

目次

子宮内膜とは?

子宮内膜は、子宮の内側を覆っている組織です。

月経周期の中で、卵巣から分泌されるホルモンの影響を受けながら変化します。

月経が終わったあとは、主にエストロゲンの作用によって少しずつ厚くなります。

排卵後はプロゲステロンの影響を受け、胚を迎えるための状態へ変化していきます。

妊娠が成立しなければ、子宮内膜の一部が剥がれ落ち、それが月経として排出されます。

つまり子宮内膜は、毎月同じ厚さで固定されているものではありません。

子宮内膜の厚さはどうやって測る?

一般的には、経腟超音波検査で子宮内膜の厚さを測ります。

モニターに映った子宮内膜の最も厚い部分を測定し、

「今日は6.8mm」

「8.2mmまで厚くなっています」

などと説明されます。

ただし、超音波検査による測定には多少のばらつきがあります。

また、

・月経周期のどの時点か
・自然周期かホルモン補充周期か
・排卵前か排卵後か
・測定したタイミング

によっても数字の意味は変わります。

そのため、

一回の数字だけを切り取って判断しないこと

が大切です。

「7mm」は絶対に必要なの?

薄い子宮内膜について調べると、よく出てくるのが、

7mm

という数字です。

確かに、これまでの研究では、7mm未満の薄い子宮内膜では妊娠率や出生率が低くなる傾向が報告されています。

しかし、

7mmを境に、妊娠できる人とできない人が完全に分かれるわけではありません。

2025年には、正常染色体と判定された単一胚を用いた30,000件以上の凍結胚移植を調べた大規模な国際研究が報告されました。

その研究では、ホルモン補充周期や修正自然周期では7mm未満になると出生率が低下する傾向がみられました。

一方、自然周期では同じ明確な関係は確認されませんでした。

さらに、子宮内膜の厚さを加えても、出生を予測する力そのものは強くありませんでした。

つまり、

内膜の厚さは重要ではあるけれど、「7mm」という一つの数字だけで結果を決められるほど単純ではない

ということです。

6mm台なら移植しても意味がない?

いいえ。

内膜が6mm台だからといって、

「妊娠する可能性がない」

という意味ではありません。

薄い内膜でも妊娠・出産に至るケースはあります。

一方で、内膜が十分に厚くなっていても、必ず着床するわけではありません。

胚移植の結果には、

・胚の状態
・染色体の状態
・子宮内膜
・子宮内腔の状態
・ホルモン環境
・年齢
・治療歴

など、さまざまな要素が関係します。

そのため、

「7mmを超えれば安心」

「7mm未満なら失敗する」

という二択では考えないようにしましょう。

内膜が薄いと、なぜ気にされるの?

子宮内膜は、胚が着床する場所です。

そのため、非常に薄い状態では、胚を受け入れる環境が十分に整っていない可能性があると考えられています。

ただし、

「薄いから血液が届いていない」

「ふかふかしていないから胚がくっつかない」

という単純な仕組みではありません。

子宮内膜の中では、

・ホルモンへの反応
・細胞の変化
・血管の形成
・免疫系の働き
・さまざまな分子のやり取り

が複雑に関係しています。

「厚さ」は、それらの状態を間接的に見る指標の一つと考えた方がよいでしょう。

子宮内膜が厚くなりにくい理由は一つではありません

内膜が薄い場合、

「血流が悪いから」

だけで説明されることがあります。

しかし、実際にはさまざまな背景が考えられます。

1.エストロゲンへの反応

子宮内膜は、エストロゲンの作用を受けて増殖します。

ホルモン補充周期では、エストロゲン製剤を使用して内膜を整えていきます。

内膜が十分に厚くならない場合には、

・使用期間
・投与量
・内服
・貼付剤
・腟からの投与

など、エストロゲンの使用方法を主治医が見直すことがあります。

ESHREの推奨でも、薄い子宮内膜が確認された場合には、まずエストロゲンへの十分な曝露が得られているか確認することが基本とされています。

自己判断で薬を増減するのではなく、現在の方法について主治医へ確認してください。

2.子宮内の癒着

過去に、

・流産後の処置
・子宮内の手術
・子宮内容除去術
・子宮内感染

などがあった場合、子宮内に癒着が生じることがあります。

子宮内癒着が強い状態は、

アッシャーマン症候群

と呼ばれることがあります。

癒着がある部分では内膜が十分に育ちにくくなることがあります。

内膜が何周期も薄い状態が続く場合や、以前に比べて月経量が大きく減った場合などには、必要に応じて子宮内腔を詳しく調べることがあります。

3.子宮内腔の問題

内膜の厚さだけでなく、

・子宮内膜ポリープ
・粘膜下筋腫
・子宮内癒着
・子宮の形態

などを確認することもあります。

超音波検査だけでは判断が難しい場合、

・子宮鏡検査
・生理食塩水を使った超音波検査
・3D超音波

などが検討されることがあります。

ASRMの2026年の反復着床不成功に関する見解でも、内膜厚が不十分な場合には、状況に応じて子宮内腔を再評価することが考えられています。

4.もともと内膜が薄めの方もいます

毎周期ほぼ同じ程度までしか厚くならない方もいます。

さまざまな治療を行っても、

「いつも6mm台」

「7mmを少し下回る」

という方もいます。

その場合、

「もっと厚くなるまで何周期でも移植を延期すべきなのか」

という問題が出てきます。

しかし、内膜の厚さを追い求めて治療を繰り返せば、必ず結果がよくなると証明されているわけではありません。

年齢や胚の数、これまでの治療経過なども含め、

現在の内膜のまま移植を進めるメリットと、移植を見送って追加治療や調整を続けるメリットや負担を比較して考える

必要があります。

これは自己判断することではなく、主治医と相談して決めていく部分です。

内膜の「見え方」も確認することがあります

超音波では厚さだけでなく、内膜の見え方について説明されることがあります。

排卵前には、

三層構造(トリプルライン)

と呼ばれる特徴的な見え方を示すことがあります。

ただし、

「三層だから必ず着床する」

「三層に見えなければ妊娠できない」

というものではありません。

厚さと同じように、判断材料の一つとして用いられます。

血流をよくすれば内膜は厚くなる?

「内膜が薄い」と聞くと、

「子宮への血流を増やせばいいのでは?」

と思うかもしれません。

血液が身体の組織へ酸素や栄養を運ぶことは確かです。

適度な身体活動や禁煙など、全身の健康を整える生活習慣も大切です。

しかし、

ウォーキングを増やせば何mm厚くなる

お腹を温めれば内膜が増える

というような関係は証明されていません。

「血流をよくしなければ」と考えすぎて、

・真夏に長時間歩く
・サウナへ通う
・カイロを貼る
・熱いお風呂へ長時間入る

必要はありません。

特に8月は、暑さや脱水による身体への負担にも注意してください。

「冷え=内膜が薄い」ではありません

手足が冷たいと、

「子宮も冷えている」

「だから内膜が薄い」

と思ってしまうことがあります。

しかし、

手足の冷えと子宮内膜の厚さを、そのまま同じものとして考えることはできません。

冷えがつらいのであれば、その症状へのケアをすることには意味があります。

ただし、

「冷えているから内膜が育たない」

と自分を責めないでください。

食事で子宮内膜を厚くできる?

妊活の情報では、

「内膜を厚くする食べ物」

として、

・アボカド
・ザクロ
・ナッツ
・黒豆
・ビタミンEを含む食品

などが紹介されることがあります。

これらの食品自体を食べてはいけないわけではありません。

しかし、

特定の食品を食べることで、薄い子宮内膜が確実に厚くなるという十分な根拠はありません。

妊活中の食事としては、

・極端な食事制限をしない
・主食を適量とる
・魚、肉、卵、大豆製品などからたんぱく質をとる
・野菜や果物を取り入れる
・不足している栄養素があれば適切に補う

といった基本を優先しましょう。

サプリメントを増やせば厚くなる?

ビタミンE、L-アルギニンなど、内膜への効果を期待して使われる成分について研究されたことはあります。

ただし、

「内膜が薄いから、このサプリメントを飲めばよい」と全員に勧められるほどの確立した方法ではありません。

不妊治療中は、すでに複数の薬やサプリメントを使用していることもあります。

内膜が薄いと言われた直後に、自己判断で複数の商品を追加しないようにしましょう。

まずは、

「今飲んでいるもの」

を主治医や専門家と整理する方が大切です。

PRP療法はどう考えればいい?

近年、

PRP(多血小板血漿)療法

を薄い子宮内膜に対して行う施設もあります。

自分の血液から血小板を多く含む成分を取り出し、子宮内へ注入する方法です。

内膜の厚さや妊娠成績が改善したという研究も報告されています。

一方で、

・研究人数が少ない
・治療方法が統一されていない
・対象となる患者さんが研究ごとに違う
・十分な比較試験が少ない

などの問題があります。

ASRMが2026年に示した反復着床不成功に関する委員会見解でも、PRPには有望な報告があるものの、

現時点では日常診療として推奨するには根拠が不十分

とされています。

「新しい治療=より効果が高い」

とは限りません。

費用や身体的負担も含め、主治医と相談して検討してください。

G-CSFなどの追加治療は?

G-CSFという薬剤を子宮内へ使用し、内膜を厚くする治療についても研究されています。

しかし、研究結果は一定していません。

ASRMの2026年見解でも、反復着床不成功に対するG-CSFのルーチン使用は推奨されていません。

ネット上で見つけた追加治療を、

「まだ試していないからやらなければ」

と考えなくても大丈夫です。

子宮内膜が薄いとき、病院で確認したいこと

診察室では数字を聞いた瞬間に頭が真っ白になり、あとから質問が浮かぶことがあります。

そんなときは、次のようなことを確認してみてください。

1.今の内膜は何mmですか?

まず現在の数字を確認します。

2.前の周期と比べてどうですか?

毎回薄いのか、今回だけなのかによっても考え方が変わります。

3.今回の移植方法では、この厚さをどう考えますか?

自然周期、修正自然周期、ホルモン補充周期など、治療方法によって判断が異なる場合があります。

4.薬の調整は必要ですか?

エストロゲン製剤を使用している場合は、量や投与方法を変更することがあります。

5.子宮内腔の検査は必要ですか?

内膜が繰り返し薄い場合や、これまでの治療歴によっては確認することがあります。

6.このまま移植する選択肢もありますか?

厚くなるまで待つことだけが唯一の選択肢とは限りません。

自分の場合のメリットとデメリットを確認してみましょう。

一度薄かっただけで「薄い内膜の体質」と決めないで

一周期の測定で、

「私は内膜が薄い体質なんだ」

と思ってしまうことがあります。

でも、内膜の厚さは周期によって変わることがあります。

測定時期や治療方法によっても違います。

まずは、

以前の周期では何mmだったか

いつ測定した数字なのか

今回どのような治療をしているのか

まで合わせて確認しましょう。

数字一つを、自分の体質そのものにしないことが大切です。

東洋医学では、子宮内膜が気になる方をどう見る?

東洋医学では、子宮内膜の厚さを直接測定したり、診断したりすることはできません。

そのため、

「内膜が薄い=瘀血」

「内膜が薄い=血虚」

と一つの体質に決めるものでもありません。

月経、睡眠、胃腸、冷え、疲労などを含めて全身を見ていきます。

たとえば、

血虚(けっきょ)

身体を養う「血」が不足していると捉える状態

・月経量が少ない
・疲れやすい
・立ちくらみがある
・肌や髪が乾燥しやすい
・眠りが浅い

などがみられることがあります。

瘀血(おけつ)

血の巡りが滞っていると捉える状態

・月経痛が強い
・経血に塊が多い
・同じ場所が痛みやすい
・月経前後に痛みが強くなる

などがみられることがあります。

脾虚(ひきょ)

胃腸の働きや、身体を支える力が弱っていると捉える状態

・食欲が安定しない
・軟便になりやすい
・疲れやすい
・食後に眠くなる

などがみられることがあります。

腎虚(じんきょ)

身体を支える基礎的な力が不足していると捉える状態

・疲れが抜けにくい
・腰や脚がだるい
・冷えやすい
・年齢とともに体力低下を感じる

などがみられることがあります。

これらは東洋医学独自の身体の捉え方です。

子宮内膜の厚さについては、超音波検査など医療機関での評価を優先します。

鍼灸で子宮内膜を厚くできますか?

これは、当院でもよく聞かれる質問です。

現時点では、

鍼灸によって子宮内膜を確実に厚くできる、あるいはその結果として妊娠・出生率を高められると断定することはできません。

そのため当院では、

「内膜を○mmにするための施術」

とは考えていません。

睡眠が浅い。

疲労が強い。

胃腸が安定しない。

冷えやほてりがつらい。

治療への緊張が続いている。

そのような身体全体の状態を確認しながら、病院での治療を受ける方の体調管理を補助していきます。

内膜を評価し治療するのは生殖医療、鍼灸では治療中の身体全体を支える。

この役割を混同しないことを大切にしています。

今日からできることは「内膜を厚くする3つ」ではありません

内膜が薄いと言われると、

「今すぐ何かしなければ」

と思うかもしれません。

でも、まず行ってほしいのは次の3つです。

1.過去の内膜の厚さを確認する

今回だけなのか、繰り返しているのかを整理します。

2.薬を自己判断で変えない

ホルモン補充中は、指定された方法で使用してください。

サプリメントも急に増やさないようにしましょう。

3.主治医へ次の方針を確認する

「もう少し待つ」

「薬を調整する」

「今回移植する」

「追加検査をする」

など、考えられる選択肢を確認します。

数字を見て、自分の身体を責めなくて大丈夫

内膜が6.5mm。

前回より薄かった。

薬を増やしても思ったほど厚くならなかった。

そんな結果を見ると、

「私の身体は胚を受け入れられないのかな」

と思ってしまうことがあります。

でも、

子宮内膜の数字は、あなたが妊活をどれだけ頑張ったかを表す点数ではありません。

よく眠れなかったから。

冷たいものを飲んだから。

運動できなかったから。

仕事を休めなかったから。

そうした一つの行動だけを原因にして、自分を責めないでください。

医学的に確認できることは主治医と確認する。

そのうえで、自分で整えられる生活の部分は無理のない範囲で整える。

それで十分です。

内膜が気になると、血流や冷えまで気になり始める方へ

「内膜が薄い」

と言われたあと、

手足が冷たいだけで不安になる。

今日は歩いていないと心配になる。

血流によい食品を探し続ける。

眠れなかった翌朝に、

「また内膜によくないことをしてしまった」

と思ってしまうことがあります。

けれど、

医学的に確認するべき内膜の問題と、毎日の体調管理は分けて考えることが大切です。

このテーマの続きは、8月16日の
「子宮内膜が気になる人の血流・睡眠・冷え対策」
で、身体を追い込まずにできる生活上の整え方を詳しくお伝えします。

「内膜のために何かをしなければ」と頑張るのではなく、治療を続ける身体をどう支えていくか、一緒に考えていきましょう。

【参考・出典】

米国生殖医学会(ASRM)「反復着床不成功に関する委員会見解 2026」

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)「反復着床不成功に関する適正診療推奨」

Human Reproduction「凍結胚移植における子宮内膜厚と出生率―正常染色体単一胚30,676件の解析」

Human Reproduction Open「反復着床不成功に関するESHRE適正診療推奨」

Obstetrics & Gynecology「凍結胚移植における自然周期とホルモン補充周期による子宮内膜準備の比較」

子宮内膜が気になり、何をしたらよいか迷っている方へ

「内膜をもっと厚くしたい」

と思うほど、

食事。

温活。

運動。

サプリメント。

いろいろな方法を試したくなるかもしれません。

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、子宮内膜を確実に厚くする施術として鍼灸をご案内するのではなく、病院での検査や治療を大切にしながら、

・冷えやほてり
・睡眠
・疲労
・胃腸の状態
・月経の状態
・身体の緊張
・治療に伴う心身の負担
・日々の生活リズム

などを確認し、その方の治療段階に合わせて身体全体を整えていきます。

内膜の数字だけを見るのではなく、治療を続けている今の身体全体を整えていくこと。

それが当院で大切にしている妊活サポートです。

「内膜が薄いと言われて、何をしたらよいかわからない」

「病院での治療と並行して、生活や身体づくりについて相談したい」

という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次