妊活を続けていると、
次の生理。
次の診察。
次の採卵。
次の胚移植。
気がつけば、予定表が治療を中心に回っていることがあります。
「少し疲れたな」
と思っても、
「休んでいる間に時間が過ぎてしまう」
「一周期でも無駄にしたくない」
「ここで休んだら妊娠から遠ざかる気がする」
そんな不安から、立ち止まることさえ怖くなってしまう方もいます。
でも、妊活の「休む」は、必ずしも諦めることではありません。
今後も続けていくために、一度自分の状態を確認する時間をつくる。
そんな休み方があってもいいと思います。
「休みたい」と思うほど頑張っていることがあります
「もう少し頑張らないと」
と思っていると、自分がどれくらい疲れているのか分からなくなることがあります。
たとえば、
- 判定日前になるとほとんど眠れない
- 生理が来るたびに強く落ち込む
- SNSや検索をやめられない
- 仕事中も治療のことばかり考えてしまう
- パートナーとの会話が治療の話ばかりになる
- 通院日が近づくだけで気持ちが重くなる
- 採卵や移植を考えると身体まで緊張する
- 「次も頑張らなければ」と考えること自体がつらい
ということがあります。
不妊治療では、検査や処置だけではなく、
「結果を待つ」
という時間も繰り返します。
期待して、心配して、結果を受け止め、また次を考える。
身体だけでなく、気持ちもずっと動き続けています。
だから、
「少し休みたい」と感じること自体が、弱さではありません。
一度立ち止まって、自分がどのくらい疲れているのか確認してみることも大切です。

「休む」にもいろいろな形があります
妊活を休むと聞くと、
「治療を全部やめる」
ように感じるかもしれません。
でも、休み方は一つではありません。
治療そのものを一周期休む
採卵や胚移植などを一周期見送って、身体や予定を整える方法です。
ただし、年齢や卵巣予備能、現在の治療段階などによって、治療時期の考え方は変わります。
治療を休む場合は、自己判断で決める前に主治医と相談しましょう。
「一周期休むと治療計画にどのような影響がありますか?」
と聞くだけでも構いません。
情報収集を休む
病院へは通うけれど、
- SNS
- ブログ
- 掲示板
- 妊活アプリ
- 検索
こうしたものを見る時間を減らすことも、一つの休み方です。
身体は休んでいても、頭の中がずっと妊活でいっぱいでは、本当に休んだ感覚を得にくいことがあります。
「21時以降は検索しない」
「判定日までは体験談を読まない」
など、小さなルールでも十分です。
妊活のための「頑張り」を少し休む
温活。
運動。
食事管理。
サプリメント。
生活時間。
どれも身体のために始めたことでも、いつの間にか
「守らなければならないこと」
になっている場合があります。
すべてをやめる必要はありません。
ただ、
今、本当に無理なく続けられているか
を一度見直してみましょう。
治療を休むか迷ったら、まず3つ整理してみましょう
休みたい気持ちが出てきても、
「休むべき?」
「続けるべき?」
と二択にすると、さらに苦しくなることがあります。
そんなときは、次の3つに分けて考えてみてください。
1.今、何に一番疲れている?
身体でしょうか。
治療でしょうか。
仕事との両立でしょうか。
結果を待つ時間でしょうか。
周囲との関係でしょうか。
それとも、情報を探し続けることかもしれません。
「妊活そのものに疲れた」と一括りにせず、何が一番負担なのかを書き出してみます。
2.何を休みたい?
治療そのものを休みたいのか。
検索をやめたいのか。
予定を詰め込みすぎるのをやめたいのか。
食事管理を少し緩めたいのか。
ここが分かると、
妊活を全部止めなくても、負担を減らせる部分
が見えてくることがあります。
3.いつもう一度考える?
休むことに不安がある方は、
「いつまで休むか分からない」
ことが怖い場合もあります。
そんなときは、
「次の生理が来たら考える」
「一周期休んでから主治医と相談する」
「今月いっぱいは生活を整える」
など、見直す時期を決めておく方法もあります。
休む期間を永遠に決める必要はありません。
今の自分に必要な時間だけ考えれば大丈夫です。
「休んだら遅くなる」という不安は主治医と一緒に整理する
妊活では、年齢など時間に関係する要素があるため、
「のんびりしていて大丈夫」
と一律には言えません。
だからこそ、治療を休みたいと思ったら、
「今、一周期休むことは治療上どう考えますか?」
「私の年齢や検査結果では、どのくらい治療時期を意識したほうがいいですか?」
と主治医に確認してみましょう。
「休むかどうか」を一人で判断する必要はありません。
医学的な時間軸を主治医に確認したうえで、
自分の身体や気持ちの状態と一緒に考える。
そのほうが、納得できる決断につながりやすくなります。
東洋医学では「足りなくなっているもの」にも目を向けます
東洋医学には「虚(きょ)」という考え方があります。
これは西洋医学の診断名ではなく、身体を支える力や材料が不足している状態を表す東洋医学独自の表現です。
妊活中の方でも、
- 疲れているのに眠れない
- 食欲が落ちている
- 身体が冷えやすい
- 生理後にぐったりする
- 少し動いただけで疲れる
- 何もしたくないほど消耗している
といった状態が続いていれば、
「さらに何かを足す」前に、
休息・睡眠・食事など、身体を回復させる時間を大切にする
という考え方をします。
温める。
運動する。
頑張って食べる。
それだけが体質改善ではありません。
身体によっては、
休むことも養生の一つです。
鍼灸も「頑張るため」に受けなくていい
妊活中の鍼灸も、
「妊娠するために毎週絶対に行かなければ」
という新しい義務になってしまっては、本来の目的から離れてしまいます。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、治療のスケジュールだけでなく、
睡眠。
食欲。
胃腸の状態。
疲れ。
冷えやほてり。
心身の緊張。
なども確認しながら、その時のお身体を見ています。
「今は治療を積極的に進めている時期」
と
「少し身体を休ませたい時期」
では、同じ身体ではありません。
その時に必要なことを一緒に整理することも、妊活中の身体づくりの一部だと考えています。
自分のお悩みが相談できる内容なのか気になる方は、当院でよく伺うお悩みをまとめています。
休んでいる間に「何かしなければ」と思わなくても大丈夫
治療を休んだ途端、
「この期間に身体を完璧に整えよう」
と思う方もいます。
毎日運動して、食事を変えて、サプリメントを増やして、睡眠も整えて……。
でも、それでは休養期間が新しいトレーニング期間になってしまいます。
休んでいる間にできることは、
よく眠る。
普通に食べる。
少し歩く。
友人と話す。
好きな場所へ出かける。
妊活とは関係のない時間を過ごす。
それでも十分です。
妊活をしている自分も大切ですが、
妊活だけがあなたの毎日のすべてではありません。
休む決断も、前に進むための一つの選択です
休むことは、
後退。
逃げ。
諦め。
ではありません。
続ける。
少し休む。
治療方法を見直す。
病院で相談する。
どれも、今後を考えるための選択です。
今すぐ答えを出さなくても大丈夫です。
まず今日は、
「私は何に疲れているのかな」
と、自分に聞いてみてください。
答えが見つからなければ、
「疲れているかもしれない」
と気づくだけでも十分です。
10月9日夜の記事
「休むと決めた夜に、自分を責めないために」
では、実際に休むと決めたあとに出てきやすい罪悪感や焦りについて、もう少しゆっくり考えていきます。
一度、今の身体と気持ちを整理してみませんか
「治療を続けたい気持ちはある。でも少し疲れている」
そんな二つの気持ちが同時にあっても構いません。
当院では、治療を進める・休むといった判断を代わりに決めることはありません。
病院での治療方針を大切にしながら、今のお身体や生活の状態を一緒に整理し、その時に無理のない身体づくりを考えています。
少し立ち止まって身体を見直したい方も、これから治療を続けるために整えていきたい方も、ご相談いただけます。
参考・出典
European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE)「Routine psychosocial care in infertility and medically assisted reproduction – A guide for fertility staff」
American Society for Reproductive Medicine(ASRM)Mental Health Professional Group「The Psychological Impact of Infertility」
American Society for Reproductive Medicine(ASRM)「Guidance on qualifications for fertility counselors: a committee opinion」(2021)
こども家庭庁「不妊治療に関する取組」
こども家庭庁「性と健康の相談センター事業」

