PCOSで食事管理がつらい夜に読む話

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今日も食事に気をつけた。

甘いものも控えた。

夕食のごはんも少なめにした。

それなのに夜になるとお腹がすいてしまい、何かを食べたあとで、

「また我慢できなかった」

と落ち込んでいませんか。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されると、食事や運動、体重について説明を受けることがあります。

妊活中であれば、「きちんと管理しないと排卵しないのかな」「痩せないと妊娠できないのかな」と、食べることそのものが不安になってしまう方もいると思います。

10月20日朝の記事「PCOSと体重管理をやさしく考える」では、PCOSだからすべての方が減量しなければならないわけではなく、体重の数字だけではなく生活全体を見ることについてお伝えしました。

今夜はもう少し、食事を頑張りすぎて疲れてしまったときの話をしましょう。

目次

食事管理が苦しいなら、方法を見直してもいい

PCOSについて検索すると、さまざまな食事法が見つかります。

糖質を減らす方法、GI値を意識する方法、食べる順番を工夫する方法などを見ているうちに、「結局、何を守ればいいの?」と分からなくなることがあります。

現在の国際的なPCOSガイドラインでは、特定の一つの食事法だけが、体重・代謝・ホルモン・生殖などの面でほかより優れているとはされていません。

大切にされているのは、栄養が大きく偏らず、本人の生活や好みに合い、長く続けられることです。

食事管理が毎日苦しいのであれば、

「自分の意志が弱い」ではなく、「今のやり方が厳しすぎないかな」

と考えてみてください。

方法を緩めることは、PCOSの管理を諦めることではありません。

続けられる形へ調整することも身体づくりの一つです。

「食べてはいけないもの」が増えすぎていませんか

最初は「甘いものを少し控えよう」だったのに、調べるほど禁止する食品が増えてしまうことがあります。

お菓子だけでなく、パンや麺、果物まで気になり始め、外食も何が入っているか分からないから怖い。

そうなると、食事を楽しむより、

「今日は何を食べてはいけないか」

を考える時間のほうが長くなってしまいます。

もちろん、医師や管理栄養士から医学的な理由で具体的な指示を受けている場合は、その内容を優先してください。

そうではない場合、食品を一つずつ敵にする必要はありません。

PCOSだからといって、すべての炭水化物や甘いものを完全に禁止しなければならないわけではありません。

ごはんを食べたことを「失敗」にしなくて大丈夫

PCOSではインスリン抵抗性が関係する場合があるため、糖質について意識する機会があります。

そこから、

「ごはんを食べたらダメなのかな」

と考えるようになる方もいます。

でも、ごはんやパン、麺などの炭水化物は、普段の食事に含まれるエネルギー源です。

必要に応じて量や組み合わせを調整することはあっても、食べたこと自体を失敗にする必要はありません。

夕食でごはんを食べたあとに、

「またできなかった」

ではなく、

「今日はこれで食事を終えた」

くらいで構いません。

一回の食事でPCOSの状態や妊娠の結果が決まるわけではありません。

「昨日食べすぎたから、今日は抜く」を繰り返さない

夜に食べすぎたと感じると、

「明日の朝は食べないでおこう」

と調整したくなることがあります。

でも、極端に食事を減らすことで空腹が強くなり、その日の夜にまたたくさん食べたくなることもあります。

そうすると、

「食べすぎたと思う → 翌日に減らす → 強くお腹がすく → また食べる → 後悔する」

という流れになってしまうことがあります。

食べすぎたと感じる日があっても、翌日は極端な帳尻合わせをせず、いつもの食事へ戻すことをまず考えてみてください。

甘いものを食べた夜も、そこで一日を終えていい

妊活中は、甘いものを食べただけでも、

「身体によくなかったかな」

と気になることがあります。

PCOSと言われていると、なおさらでしょう。

でも、ケーキを一つ食べた、チョコレートを食べたという一回の出来事だけで、これまでの身体づくりが台無しになるわけではありません。

食べたあとに、さらにネットで検索したり、明日の食事制限を考えたり、体重計に乗ったりするところまで続けなくて大丈夫です。

おいしかったなら、

「今日はおいしく食べた」で終える夜があっても構いません。

食事を「100点か0点か」で評価しない

朝食は整えられた。

昼は外食だった。

夜は少し食べすぎた。

そんな一日があったとしても、食生活全体が失敗したわけではありません。

食事管理が苦しくなっていると、

「理想どおりにできた日」と「できなかった日」

の二つに分けてしまいがちです。

でも実際の生活には、その間がたくさんあります。

仕事が忙しい日もあれば、通院が長引く日もあります。疲れて料理をしたくない日や、家族や友人と外食を楽しむ日もあるでしょう。

そうした生活まで含めて続けられる方法でなければ、長期的な身体づくりは苦しくなってしまいます。

毎日100点を目指すより、無理なく続けられる70点くらいを積み重ねる。

そのくらいの感覚で十分です。

「健康的な食事」を特別な料理にしない

PCOSのために食事を整えようとすると、毎日きちんと料理をして、栄養バランスのよい献立を作らなければならないように感じることがあります。

でも、疲れている日にまで何品も作る必要はありません。

ごはんと具だくさんのみそ汁に卵や豆腐を合わせる。冷凍野菜を使う。買ってきた魚や肉のおかずに、簡単な野菜を一品足す。

それくらいでも一食になります。

大切なのは、

「PCOSによい完璧な献立」ではなく、無理なく食事を続けられる形を持っておくこと。

食事を整えるために疲れ切ってしまわないようにしてください。

外食やコンビニの日も「失敗した日」にしない

仕事や通院があると、毎日自炊するのは難しいものです。

外食やコンビニを利用する日もあります。

そんな日に、

「今日はもうダメ」

と思わなくて大丈夫です。

余裕があれば、丼だけではなく汁物をつけてみる、麺類なら卵や肉・魚などが入ったものを選んでみるなど、小さく調整することもできます。

でも、疲れている日はそこまで考えなくても構いません。

外食したこと自体を罪悪感にしないことも、食事を長く続けるためには大切です。

体重計の数字で、今日の食事を採点しない

翌朝、体重が少し増えていると、

「昨日食べたからだ」

と思ってしまうことがあります。

でも体重は、脂肪だけでなく、水分量や便通、月経周期などによっても日々変動します。

数百グラム増えただけで、その日の食事を大きく減らす必要はありません。

体重測定が必要な場合でも、数字を見るたびに気持ちが大きく落ち込むようなら、測る頻度や方法について医師や管理栄養士へ相談しても構いません。

PCOSの診療では、体重だけを健康のすべてとせず、体重に対する偏見や心理的な負担にも配慮することが重視されています。

体重は身体を見る情報の一つであって、努力を採点する点数ではありません。

体重が減らなくても「できていること」はあります

生活を整え始めると、

「何kg減った?」

が一番分かりやすい成果に見えます。

でも、健康的な生活には、体重が減らなくても意味があります。

以前より歩くようになった、食事を抜く回数が減った、夜更かしが少なくなった、朝食を食べられるようになったなど、数字に出にくい変化も身体づくりの一部です。

国際PCOSガイドラインでも、体重減少がなくても健康的な生活習慣にはメリットがあることが示されています。

体重計が変わらなかったからといって、

「何もできていない」

とは考えないでください。

妊活中ほど、食事を「結果」と結びつけすぎない

移植が陰性だった。

排卵が遅れた。

採卵数が思ったより少なかった。

そんな結果が出たあと、

「あのとき甘いものを食べたから?」

「もっと痩せていれば違った?」

と考えてしまうことがあります。

でも、不妊治療の結果を一回の食事へ結びつけることはできません。

妊娠には、年齢、卵子や精子、子宮や卵管、胚、治療方法など多くの要素が関係します。

食事は身体を支える大切な要素ですが、治療結果への責任を背負うものではありません。

食べたものを過去にさかのぼって責めないでください。

パートナーや家族からの言葉がつらいとき

周囲の人が心配して、

「甘いものは控えたほうがいいんじゃない?」

「もう少し痩せたほうがいいって言われたんでしょ?」

と声をかけることがあります。

悪気はなくても、その言葉がつらいこともありますよね。

そんなときは、

「食事のことは自分でも考えているから、食べているときには言わないでほしい」

と伝えて構いません。

PCOSだからといって、毎回の食事を周囲から監視される必要はありません。

もし協力してほしいのであれば、一緒に散歩する、食事の準備を手伝ってもらう、診察の説明を一緒に聞くなど、監視ではない支え方をお願いしてみてもよいでしょう。

食べることへの不安が強くなってきたら、一人で頑張らない

PCOSでは食事や体重について考える機会が増えるため、そのこと自体が大きな負担になる場合があります。

たとえば、食べることが怖くなっている、食事を抜くことが増えている、食後の強い罪悪感が続く、食べ始めると止められないことを繰り返す、体重や食べ物のことを一日の大部分で考えている、といった状態です。

このような場合には、

「もっと意志を強くしなければ」

と頑張り続けないでください。

PCOSでは体重に関係なく、摂食障害や食行動の問題にも注意することが推奨されています。

医師や管理栄養士、必要に応じて心理職などへ相談することも選択肢です。

「食事管理がつらい」と診察で伝えていい

診察では月経周期や排卵、血液検査、体重などの話が中心になり、

「食事のことばかり考えて疲れています」

とは言いにくいかもしれません。

でも、それも大切な情報です。

「制限すると反動で食べてしまいます」

「体重計に乗るのがつらくなっています」

「食事を楽しめなくなりました」

と、そのまま伝えて構いません。

生活習慣の改善は、苦しさを我慢して続けることではありません。

続けられる方法へ調整するために相談することも、PCOSと付き合っていくうえで大切です。

今夜は食事の反省より、3つだけ確認してみる

寝る前に今日食べたものを採点する代わりに、次の3つを振り返ってみてください。

  1. 今日は食事を大きく抜かずに過ごせたか
    完璧な内容でなくても、身体に必要な食事を取れたかを見ます。
  2. 食べたあと、身体はどう感じたか
    満腹感、空腹の強さ、胃の重さなど、身体の感覚を確認します。
  3. 明日も続けられそうなことは何か
    朝食を食べる、野菜を一品足す、少し歩くなど、一つだけ選びます。

明日の食事を厳しくする必要はありません。

今日できなかったことより、明日も続けられることを一つ残す。

それで十分です。

東洋医学でも「食事を完璧にすること」が目的ではありません

東洋医学では、胃腸の状態も身体を見る大切な要素の一つです。

ただし、

「PCOSだからこの食材」

「この体質だからこれは食べてはいけない」

というように、細かな禁止事項を増やすことが目的ではありません。

食欲や胃もたれ、便通、冷え、睡眠、生理周期などを一緒に確認しながら、今の身体にどんな負担が重なっているのかを見ていきます。

妊活や婦人科のお悩みを含め、女性の身体をどのように整えていくのかはこちらをご覧ください。

明日の朝は、また普通の食事から始めて大丈夫

今夜、食べすぎたと思っている。

甘いものを食べた。

予定していた食事ができなかった。

そんな日でも、明日から厳しい食事制限を始める必要はありません。

朝になったら、また普段の食事へ戻れば大丈夫です。

PCOSの身体づくりは、一食ごとの合否判定ではありません。

続けられる食事、動ける身体、休める睡眠を少しずつ積み重ねていくものです。

食事を管理することより、食事と長く付き合っていけること。

そこを大切にしてみてください。

食事や体重管理が負担になり、何から整え直せばよいか分からなくなっている方もご相談ください。


この記事を書いた人

菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

施術歴17年以上。妊活・婦人科・マタニティなど女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、生理周期・胃腸・睡眠・冷えなども確認しながら身体づくりをサポートしています。


参考・出典

日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会「多囊胞性卵巣症候群の診断基準(2024)」

International PCOS Network「International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome 2023」

American Society for Reproductive Medicine「Recommendations from the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome」

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

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