妊活中の漢方、何を基準に選ぶ?

東洋医学の視点から体質改善を伝える奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

妊活を始めると、

「妊活には漢方がいいらしい」

という話を一度は聞くかもしれません。

SNSを見ると、

「この漢方を飲んで妊娠しました」

「冷え性にはこの漢方」

「高温期にはこれ」

と、さまざまな情報が出てきます。

すると、

「私も何か飲んだ方がいいのかな?」

と思いますよね。

漢方は、妊活中の身体づくりに取り入れられる選択肢の一つです。

ただし、

「妊活中だからこの漢方」

というように、目的だけで一つの処方を決めるものではありません。

大切なのは、

今の月経はどうか。

冷えやのぼせはあるか。

胃腸は強いか。

眠れているか。

疲れていないか。

身体に力が入り続けていないか。

といった、

今の身体全体を見ること。

今日は、妊活中に漢方を選ぶときに知っておきたい基本を整理してみましょう。

目次

漢方は「病名だけ」で選ぶものではありません

日本東洋医学会では、漢方薬を選ぶときに、

「証(しょう)」

という考え方を大切にしています。

証とは、

その時点での心と身体の状態を、東洋医学的に整理したものです。

たとえば、

同じ「冷え性」の女性でも、

疲れて身体を温める力が弱っている人。

手足は冷えるけれど顔はほてる人。

胃腸が弱くて冷えている人。

緊張が強く、末端まで巡りにくくなっている人。

では、身体の状態は違います。

ですから、

「冷え=この漢方」

とは単純に決められません。

妊活も同じです。

「妊娠希望」という目的は同じでも、身体は一人ひとり違います。

「妊活にいい漢方ランキング」で決めない

インターネットでは、

「妊活におすすめの漢方5選」

のような情報も見かけます。

当帰芍薬散。

加味逍遙散。

温経湯。

など、婦人科領域で耳にする漢方薬もあると思います。

でも、

有名だから自分にも合うとは限りません。

同じ月経不順でも、

冷えが強い。

ほてりが強い。

胃腸が弱い。

イライラが強い。

疲労が強い。

など、身体の背景は違います。

名前だけで選ぶのではなく、

「なぜ私にこの漢方なのか」

まで説明してもらえることが大切です。

妊活中なら、まず5つを確認してみてください

漢方を考えるとき、難しい東洋医学用語から始める必要はありません。

まず、自分の身体について5つ確認してみましょう。

1.月経

  • 周期は安定している?
  • 月経痛は強い?
  • 経血量は多い・少ない?
  • 塊は多い?
  • 月経前にイライラや落ち込みが強くなる?

月経は、東洋医学で身体の状態を考える大切な情報です。

2.冷えとのぼせ

「冷え性です」

だけではなく、

どこが冷えるのかを見ます。

手足?

お腹?

腰?

それとも、

足は冷えるのに顔はほてる?

寝汗がある?

といったことも確認します。

3.胃腸

これは妊活中にとても大切です。

  • 食欲
  • 胃もたれ
  • 軟便
  • 便秘
  • お腹の張り
  • 食後の眠気

などを見ます。

身体に良いものをたくさん取り入れていても、胃腸が疲れていることがあります。

4.睡眠

  • 寝つける?
  • 夜中に目が覚める?
  • 夢が多い?
  • 朝起きても疲れている?

睡眠も身体の状態を考える大切な手がかりです。

5.疲労と緊張

  • 首肩がこる
  • ため息が多い
  • 身体に力が入っている
  • 疲れているのに休めない

といった状態も確認します。

こうして見ると、

漢方選びは、

「妊娠するための薬を探す」ことではなく、「今の身体を知る」ことから始まる

と分かります。

東洋医学では「気・血・水」から身体を見ることもあります

妊活中によく使われる考え方に、

気・血・水(き・けつ・すい)

があります。

身体を動かしたり、活動を支えたりする力として考えます。

不足すると、

疲れやすい。

だるい。

食欲が落ちる。

など。

巡りが滞ると、

イライラ。

胸やお腹の張り。

ため息。

などがみられることがあります。

身体を養うものとして考えます。

不足すると、

疲れやすい。

眠りが浅い。

立ちくらみ。

肌の乾燥。

など。

巡りが滞った状態を、

瘀血(おけつ)

と考えることがあります。

身体を潤し、必要なところへ水分を巡らせるものとして考えます。

バランスが崩れると、

むくみ。

めまい。

身体の重だるさ。

などとして現れることがあります。

これらを組み合わせながら、

「今の身体はどこに偏りがあるのか」

を見ていきます。

妊活でよく耳にする5つの体質

妊活の記事でもよくご紹介している体質を、漢方という視点から改めて整理します。

腎虚(じんきょ)|疲れや冷えが強い

東洋医学では、「腎」は生殖や成長、加齢などとも深く関係すると考えます。

  • 疲れが抜けない
  • 腰がだるい
  • 冷えが強い
  • 夜になるとぐったりする

といった状態です。

肝鬱気滞(かんうつきたい)|緊張が強い

  • ため息が増える
  • 首肩がこる
  • 胸やお腹が張る
  • イライラ
  • 月経前に不調が強い

など。

妊活や不妊治療が続き、身体に力が入り続けている方にもみられます。

脾虚(ひきょ)|胃腸が弱い

  • 食欲が安定しない
  • 軟便
  • 胃が重い
  • 疲れやすい
  • むくみやすい

という状態です。

「妊活に良いもの」を次々食べるより、まず胃腸から整えたいタイプです。

血虚(けっきょ)|身体を養う力が不足している

  • 疲れやすい
  • 立ちくらみ
  • 眠りが浅い
  • 肌や髪の乾燥
  • 月経量が少ない

などが重なることがあります。

瘀血(おけつ)|「血」の巡りが滞っている

  • 月経痛
  • 経血の塊
  • 慢性的な肩こり
  • 下腹部の不快感

などから考えることがあります。

ただし、

「この体質だから妊娠しにくい」

と診断するためのものではありません。

漢方や鍼灸で、

今の身体をどこから整えるかを考えるための一つの見方

です。

同じ女性でも、体質はずっと同じではありません

ここも漢方を考えるうえで大切なポイントです。

半年前は、

冷えと疲れが強かった。

でも今は、

採卵が続き睡眠不足。

あるいは、

胚移植前で緊張が強い。

薬を使い始めて胃腸の状態が変わった。

ということもあります。

つまり、

以前合っていた漢方が、ずっと同じように必要とは限りません。

東洋医学では、

その時々の身体を見ながら考えます。

「以前もらった漢方が残っているから」

と自己判断で長期間飲み続けるより、

今の身体に合っているか一度確認してみましょう。

市販の漢方薬なら、自分で選んでも大丈夫?

漢方薬には、

医療機関で処方されるものだけでなく、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品もあります。

そのため比較的身近に感じます。

ただ、

漢方薬も「医薬品」です。

「自然のものだから何種類飲んでも大丈夫」

というものではありません。

日本東洋医学会も、複数の漢方薬を併用すると、生薬成分が重複することがあると説明しています。

たとえば甘草など、複数の漢方に含まれている生薬があります。

ですから、

病院から漢方を処方されている。

市販の漢方も飲んでいる。

妊活サプリも複数使用している。

という場合は、

何を飲んでいるかまとめて医師・薬剤師・登録販売者へ伝える

ようにしてください。

「漢方だから副作用がない」ではありません

漢方薬にも副作用はあります。

だから怖がる必要がある、ということではありません。

大切なのは、

医薬品として正しく使うこと。

です。

たとえば、生薬の甘草を含む漢方薬などでは、まれに偽アルドステロン症と呼ばれる副作用が問題になることがあります。

むくみ。

血圧上昇。

筋力低下。

こむら返り。

など、いつもと違う症状が出た場合には医師や薬剤師へ相談してください。

また、処方された漢方を飲んで、

「何となく合わない」

「胃腸がつらくなった」

というときも、我慢して続ける必要はありません。

身体を整えるための漢方だからこそ、身体の変化を見ながら使う。

それが大切です。

妊娠の可能性がある時期は、必ず伝えてください

妊活中は、

薬を始めた時点では妊娠していなくても、

数週間後には妊娠している可能性があります。

厚生労働省も、

妊娠している、または妊娠の可能性が否定できない場合には、医薬品について医師や薬剤師へ相談するよう案内しています。

これは漢方薬も同じです。

タイミング法。

人工授精。

胚移植。

自然妊娠を目指している。

どの段階でも、

「妊娠希望です」

と最初に伝えてください。

また、妊娠が分かったからといって、処方薬をすべて自己判断で中止する必要もありません。

今飲んでいる漢方がある場合は、処方した医師・薬剤師へ確認しましょう。

不妊治療の薬と漢方を一緒に飲んでいい?

これもよくある質問です。

不妊治療では、

排卵誘発薬。

ホルモン剤。

黄体ホルモン。

注射。

甲状腺などの治療薬。

そのほかの薬。

を使用することがあります。

漢方薬を併用できる場合もありますが、

すべてを自分だけで判断する必要はありません。

不妊治療の主治医に、

「現在、この漢方を飲んでいます」

と伝えておきましょう。

そして漢方を処方する側にも、

「今、不妊治療でこの薬を使っています」

と伝えます。

両方に情報を共有する。

これだけでも安全に治療を進めやすくなります。

「妊活だから漢方を飲まなければ」と思わなくて大丈夫

ここもお伝えしたいところです。

妊活をしているから、

全員が漢方を飲まなければならないわけではありません。

食事。

睡眠。

治療。

鍼灸。

運動。

漢方。

サプリ。

妊活中は、取り入れようと思えばいくらでも増えていきます。

大切なのは、

「今の私に本当に必要?」

と一度考えること。

漢方を飲むことが目的ではありません。

身体を整える方法の一つとして、必要なら取り入れる。

それくらいの距離感で構いません。

漢方と鍼灸は、どちらか一つを選ばなくてもいい

漢方と鍼灸は、どちらも東洋医学の考え方をもとに身体を見る方法です。

漢方は、

身体の内側から働きかける方法。

鍼灸は、

身体の外側から刺激を加え、今の状態に合わせて整えていく方法

と考えると分かりやすいでしょう。

どちらか一つだけを選ばなければならないわけではありません。

実際には、

漢方を服用しながら鍼灸を受ける方もいます。

薬を増やしたくない時期に、まず鍼灸で身体を整えてみる方もいます。

ここは、その方の身体や治療状況によって考えていきます。

妊活中に鍼灸を組み合わせる良さ

妊活中に鍼灸をおすすめしたい理由の一つは、

「飲むもの」だけでは分からない、その日の身体を直接確認しながら施術できること

です。

たとえば、

漢方は冷えを意識して飲んでいる。

でも実際には、

足は冷えるのに顔はほてっている。

首肩が強くこっている。

眠りが浅い。

便秘もある。

ということがあります。

鍼灸では、

今日は胃腸が疲れているのか。

緊張が強いのか。

冷えが強いのか。

睡眠不足が強いのか。

その日の身体を確認しながら施術します。

そして、

その日の身体に合わせて内容を変えられる。

ここは、妊活中に鍼灸を取り入れる大きな魅力の一つです。

「漢方を飲んでいるから大丈夫」ではなく、身体の変化を見る

漢方を飲み始めると、

「これで体質改善できている」

と思ってしまうことがあります。

でも大切なのは、

薬の名前ではなく、

身体がどう変化しているか

です。

眠りは?

胃腸は?

月経は?

疲労は?

冷えは?

首肩は?

食欲は?

そこを定期的に確認します。

鍼灸の施術では、毎回こうした身体の変化を確認するため、

「最近、自分でも気づいていなかったけれど、前より眠れている」

「以前より胃腸が安定している」

など、自分の変化に気づくきっかけになることもあります。

身体づくりを一人で評価し続けなくていいことも、鍼灸を取り入れるメリットです。

蓮心はり灸堂では「漢方の名前」だけで身体を判断しません

妊活中の方から、

「当帰芍薬散を飲んでいます」

「加味逍遙散を処方されました」

とお聞きすることがあります。

その情報も大切です。

でも、

「その漢方を飲んでいるならこの体質ですね」

と決めるわけではありません。

蓮心はり灸堂では、

  • 現在の治療段階
  • タイミング法・人工授精・体外受精のどこにいるか
  • 採卵・胚移植の予定
  • 使用している薬や漢方
  • 月経周期

を確認したうえで、

  • 睡眠
  • 食欲・胃腸
  • 便通
  • 冷え・のぼせ
  • 月経の状態
  • 首肩の緊張
  • 疲労
  • 今、一番気になる症状

を一緒に見ています。

薬の名前から身体を見るのではなく、今の身体を見て施術を組み立てる。

そこを大切にしています。

採卵期と胚移植期でも、整えたい身体は変わります

同じ女性でも、

採卵周期。

採卵後。

胚移植前。

判定日待ち。

一周期休んでいる時期。

では身体の状態が変わります。

採卵周期では、

通院や注射が増え、身体が疲れているかもしれません。

胚移植前なら、

緊張が強く、眠りが浅くなっているかもしれません。

治療を休んでいる周期なら、

胃腸や睡眠をしっかり立て直せるかもしれません。

だからこそ、

ずっと同じ身体づくりをするのではなく、その時期に合わせて変える

ことが大切です。

鍼灸は毎回身体を確認しながら施術内容を調整できるため、こうした治療周期との相性も良いと考えています。

漢方を始める前に、自分の体質を少し整理しておく

漢方相談へ行く前に、

難しい東洋医学用語を覚える必要はありません。

代わりに、

「最近の月経は?」

「冷えはどこ?」

「胃腸は?」

「眠れている?」

「疲れている?」

「一番困っていることは?」

をメモしておくだけでも十分です。

そして、

現在飲んでいる薬。

漢方。

サプリメント。

も一緒に整理しておきましょう。

この続きは、**9月17日21:00公開予定「漢方を飲む前に整理したい体質メモ」**で、

実際に何を書いておけばよいのか、そのまま使える形でご紹介します。

「何を飲めばいい?」から「今の身体はどう?」へ

妊活中は、

どうしても、

「何を飲めばいい?」

「何を食べればいい?」

「何をすればいい?」

と、外から何かを足す方向へ意識が向きます。

でも、その前に、

今の身体はどうなっている?

と一度見てみてください。

胃腸が弱っているのに、サプリを増やしていない?

眠れていないのに、さらにやることを増やしていない?

身体が緊張しているのに、もっと頑張ろうとしていない?

そこで一度立ち止まる。

その時間も、立派な身体づくりです。

漢方を飲んでいても、もっと身体を丁寧に整えたい方へ

「漢方を飲み始めたけれど、これでいいのか分からない」

「冷えだけではなく、睡眠や胃腸も気になる」

「採卵や胚移植に向けて、身体全体を整えておきたい」

「薬やサプリを増やすだけではなく、別の方法も取り入れたい」

そんな方には、鍼灸を組み合わせる方法があります。

蓮心はり灸堂では、今服用している漢方や不妊治療のお薬も確認しながら、月経・睡眠・胃腸・冷え・疲労・身体の緊張まで丁寧に見て、その日の身体に合わせた施術を行っています。

漢方を飲む。

鍼灸を受ける。

どちらか一つに決めるのではなく、

必要なものを、その時の身体に合わせて上手に組み合わせる。

そんな身体づくりもできます。

「何から整えたらいいのか分からない」

というところからでも大丈夫です。

今の身体を一緒に整理しながら、妊活を続けやすい状態をつくっていきましょう。

参考・出典

日本東洋医学会「漢方Q&A」

日本東洋医学会「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン2025」

厚生労働省「妊娠と薬」

国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」

医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品の適正使用・安全性情報」

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