仕事から帰ってきて、明日の予定を見る。
病院の予約。
仕事の締め切り。
薬の時間。
家のこと。
それを見た瞬間、
「もう無理かもしれない」
と思う夜があります。
治療をやめたいわけではない。
仕事を辞めたいと決めたわけでもない。
でも、どちらも続けることに疲れてしまった。
そんな状態です。
11月5日朝の記事「妊活と仕事の板挟みで苦しいとき」では、仕事も妊活も大切だからこそ、間に挟まれて苦しくなることについてお伝えしました。
今夜は、その続きです。
もし今、
「仕事か妊活か、どちらかを選ばなければ」
と思っているなら、まず今夜はその答えを出さなくても大丈夫です。
先に、今の負担を少し分けてみましょう。
「全部しんどい」を4つに分けてみる
疲れ切っていると、
「もう全部しんどい」
と感じます。
そんなときは、今抱えているものを、
身体
仕事
治療
気持ち
の4つに分けてみてください。
たとえば、
身体:寝ても疲れが取れない、肩がこる、頭が重い
仕事:急な休みを言いづらい、仕事がたまっている
治療:次の受診日が読めない、注射や薬がつらい
気持ち:結果が出ないことが怖い、周囲に申し訳なく感じる
というように分けます。
問題を解決するためではありません。
何が自分を一番消耗させているのかを見つけるためです。
「妊活全部が無理」だと思っていたけれど、実は一番つらいのは職場への休みの連絡だった。
そんなことに気づく場合もあります。
今夜、大きな決断をしなくていい
疲れている夜ほど、
「仕事を辞めようかな」
「治療を休もうかな」
「もう全部やめたい」
と考えることがあります。
もちろん、本当に働き方や治療方針を変える必要がある場合もあります。
でも、心身ともに疲れ切っている夜に、人生に関わることまで一度に決めなくても構いません。
今夜決めるのは、
明日の朝どうするか。
次の受診日に何を聞くか。
仕事で誰に相談できそうか。
それくらいで十分です。
大きな答えは、少し休んでから考えても遅くありません。
「休みを取ること」が一番つらい場合
治療そのものより、
「また職場に休みを言わないといけない」
ことが一番苦しい方もいます。
不妊治療では、身体の状態を確認しながら通院日が決まることがあり、予定をかなり前から固定できない場合があります。
厚生労働省も、不妊治療と仕事を両立しにくい理由として、通院日の予測の難しさや仕事との日程調整、精神的な負担などを挙げています。
勤務先によっては、
時間単位・半日単位の休暇。
時差出勤。
フレックスタイム。
短時間勤務。
テレワーク。
不妊治療に利用できる独自の休暇。
などが用意されていることがあります。
すべての職場にある制度ではありませんが、
「自分には有給休暇しかない」
と思い込まず、一度就業規則や社内制度を確認してみる価値はあります。
職場にどこまで話すかは、自分で決めていい
不妊治療をしていることを職場に知られたくない方もいます。
それも自然なことです。
誰にでも詳しく説明する必要はありません。
一方、
上司や人事担当者など一人だけに事情を伝えておくことで、通院日の調整が少ししやすくなる場合もあります。
厚生労働省には、治療と仕事を両立するために、医療機関と職場の情報共有に利用できる「不妊治療連絡カード」も用意されています。
使うかどうかは本人次第です。
大切なのは、
「全部隠す」か「全部話す」かの二択にしないこと。
必要な相手に、必要な範囲だけ伝えるという方法もあります。
「仕事に迷惑をかけている」と思ったとき
休みをもらうたびに、
「みんなに迷惑をかけている」
と思ってしまうことがあります。
確かに、自分が休めば誰かが仕事を引き受けてくれる日もあります。
そのことへの感謝はあっていいと思います。
でも、
「助けてもらった」
と
「自分は迷惑な存在だ」
は同じではありません。
誰かが体調を崩したとき。
家族の事情で休んだとき。
仕事が重なったとき。
職場では、お互いに支え合う場面があります。
今は、自分が助けてもらう時期なのかもしれません。
ずっと同じ状態が続くとは限りません。
治療を休みたいと思うことと、諦めることは同じではありません
仕事との両立に疲れてくると、
「少し治療を休みたい」
と思うことがあります。
でも、その瞬間に、
「休んでいる間に年齢が上がる」
「時間を無駄にしてしまう」
と不安になることもあります。
年齢や現在の治療状況によっては、治療スケジュールを慎重に考える必要があります。
だから、治療を休むかどうかは自己判断だけで決めず、主治医と相談してほしいと思います。
一方で、
「休みたいと思った自分」を責める必要はありません。
休みたいと思うほど、今まで頑張ってきたということでもあります。
まず、
「最近かなり疲れている」
ということ自体を、次の診察で伝えてもいいのです。
身体から「もう少し休ませて」が出ていないか
妊活と仕事の両方を続けていると、気持ちより先に身体に疲れが出ることがあります。
朝起きられない。
眠っても疲れが残る。
食欲が落ちる。
肩や首がずっと張っている。
胃腸の調子が安定しない。
頭痛が増えた。
何もしていないのに涙が出る。
こうした変化が続いているなら、
「まだ仕事に行けるから大丈夫」
だけで判断しないでください。
症状が強い場合や続く場合は、必要に応じて医療機関へ相談することも大切です。
身体がつらいときに必要なのは、
さらに上手に頑張る方法ではなく、
負担を減らすことかもしれません。
今夜ひとつだけ減らすなら
全部を変える必要はありません。
今夜、一つだけ減らすとしたら何でしょう。
夕食を簡単にする。
洗濯を明日に回す。
妊活の検索をやめる。
仕事のメールを閉じる。
明日の予定を一つ断る。
お風呂に入ったら、そのまま早く寝る。
小さなことで構いません。
今夜の目的は、
「明日からまた完璧に頑張るために回復する」
ことでもありません。
ただ、
今日の負担をこれ以上増やさない。
それだけでも十分です。
限界まで頑張ってから休まなくてもいい
妊活を続けている方とお話ししていると、
「まだ頑張れると思っていました」
と聞くことがあります。
身体が動いているから。
仕事には行けているから。
病院にも通えているから。
でも、
できていることと、余裕があることは同じではありません。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、妊活中の身体をみるとき、
治療の段階だけでなく、
睡眠。
疲労。
胃腸。
冷えやほてり。
肩や背中の緊張。
仕事の忙しさ。
なども伺っています。
鍼灸で仕事や治療の問題そのものを解決することはできません。
でも、仕事と通院の間でずっと緊張している身体を、一度休ませる時間をつくることはできます。
「限界になったから行く」のではなく、
限界になる前に身体を休ませるために利用する。
そんな使い方をしていただいても構いません。
今夜は「続けるか、やめるか」を決めなくていい
仕事を続けるか。
治療を続けるか。
少し休むか。
働き方を変えるか。
大切なことだからこそ、今夜すべて決めなくていいと思います。
まず、
私は今、疲れている。
そう認めるだけでも構いません。
そして明日になったら、
職場へ相談することを一つ。
病院で聞くことを一つ。
自分のために減らすことを一つ。
それくらいから考えてみてください。
妊活も仕事も、
壊れるところまで頑張らなければ続けられないものではありません。
今の生活の中で、
自分が続けられる形へ少しずつ調整していく。
そのために立ち止まる夜があってもいいのです。
今夜は、答えを出すより先に身体を休ませてください。
参考・出典
・厚生労働省「不妊治療と仕事との両立のために」
・厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」
・厚生労働省「不妊治療連絡カード」
・World Health Organization「Guideline for the prevention, diagnosis and treatment of infertility」

