夫婦で検査結果を受け止めるとき

男性不妊とご夫婦で取り組む妊活ケアを表すブログ画像

不妊検査の結果を聞く日は、

「何もありませんように」

と思う一方で、

「何か原因が分かったほうがいいのかな」

という複雑な気持ちになることがあります。

そして実際に、

AMHが低かった。

卵管に問題があった。

精子の数や運動率を指摘された。

ホルモン値に気になるところがあった。

という結果を聞くと、

「私のせいなのかな」

「夫にどう話そう」

「妻に申し訳ない」

と、検査結果がそのまま自分自身の評価のように感じてしまうことがあります。

でも、不妊検査は、

誰に責任があるのかを決めるための検査ではありません。

今の状態を知り、

これからどんな選択肢があるのかを考えるための情報です。

今日は、結果を聞いたあとに夫婦でどのように整理すればよいのか、一緒に考えてみましょう。

目次

検査結果は「良い・悪い」だけで見ない

検査結果を見ると、

基準値の中。

基準値より低い。

高い。

という数字がまず目に入ります。

すると、

「正常だから大丈夫」

「基準値から外れたから妊娠できない」

と考えてしまうことがあります。

でも、不妊検査の多くは、

一つの数値だけで妊娠できる・できないを決めるものではありません。

年齢。

月経周期。

排卵。

卵管。

卵巣の状態。

子宮。

精子。

性交のタイミング。

これまでの妊娠歴や治療歴。

さまざまな要素を合わせて考えていきます。

結果用紙の一つの数字だけで、これからの妊活すべてを判断しないようにしましょう。

「原因が自分にあった」と考えすぎない

女性側に所見が見つかったとき、

「私の身体が悪いから」

と感じてしまうことがあります。

男性側の検査で指摘を受けた場合も、

「自分のせいで妻に治療をさせている」

と考えてしまう方がいます。

でも、

医学的な要因が見つかることと、誰かに責任があることは別です。

病気や体質、精子や卵子の状態は、

努力や性格の評価ではありません。

生活を完璧にしていなかったから。

仕事を頑張りすぎたから。

過去に何かをしたから。

と、簡単に一つの原因へ結びつけることもできません。

検査結果は、

「あなたが悪かった」

という通知ではありません。

これからの治療を考えるための一つの情報です。

男性側の結果は、特に「自分のせい」と感じやすいことがあります

精液検査で、

精子濃度。

運動率。

精液量。

形態。

などを指摘されたとき、

男性側がショックを受けることがあります。

でも、精液所見には変動があります。

体調。

発熱。

禁欲期間。

採取条件。

その時期の身体の状態。

などによって結果が変化することがあります。

そのため、一度の結果だけで最終的な状態を決めるのではなく、必要に応じて再検査や泌尿器科的な評価が行われます。

「今回低かった」

という結果と、

「自分には妊娠させる力がない」

という意味は同じではありません。

数字から自分自身の価値まで判断しないでください。

検査結果を聞いた直後に、夫婦で結論を出さなくてもいい

診察室を出た直後は、

頭の中がいっぱいになっていることがあります。

先生から説明された内容を全部覚えていない。

何を質問したかったのか分からなくなった。

帰り道で急に不安になった。

ということもあります。

そんな状態で、

「これからどうする?」

「体外受精に進む?」

「病院を変える?」

と、すぐに答えを出さなくても構いません。

まず、

今日聞いたことを整理する。

分からなかった言葉を書き出す。

次回聞きたいことをまとめる。

それから考えても遅くありません。

大きな治療方針は、気持ちが少し落ち着いてから話す。

それも一つの方法です。

まず確認したいのは「この結果が何を意味するのか」

検査結果を受け取ったら、

最初に確認したいのは、

「この数字は悪いですか?」

だけではありません。

たとえば、

この結果は、今後の治療にどう関係しますか?

再検査は必要ですか?

追加で確認する検査はありますか?

自然妊娠・人工授精・体外受精などの選択に影響しますか?

というところです。

検査項目の名前を知ることより、

自分たちの今後にどう関係するのか

を理解するほうが大切です。

分からなければ、次の診察でそのまま質問してください。

「私の結果」「あなたの結果」と分けすぎない

妊活では、

女性の検査。

男性の検査。

と分かれます。

でも、妊娠は夫婦二人に関係することです。

たとえば、

「あなたの精子が少ないから」

「私のAMHが低いから」

と分けるほど、

「原因を持っている人」

と

「問題のない人」

という構図になってしまうことがあります。

そうではなく、

「私たちの場合、今こういう条件がある」

と考えてみてください。

これは問題を曖昧にするという意味ではありません。

医学的な問題はきちんと確認する。

ただし、それを夫婦の責任問題にはしない。

その二つを分けて考えることが大切です。

不妊検査の結果や資料を夫婦二人で並んで確認し、これからについて一緒に考える様子
検査結果は誰かを責めるためのものではありません。二人で今の状態を知り、次に確認することを整理していきましょう。

相手の結果を聞いたとき、すぐに励まさなくてもいい

パートナーから、

「検査で引っかかった」

と言われると、

「大丈夫だよ」

「気にしなくていいよ」

と励ましたくなることがあります。

もちろん、その言葉で安心する方もいます。

でも、相手がまだショックを受けているときは、

「大丈夫」

と言われても気持ちが追いつかないことがあります。

そんなときは、

「それはショックだったね」

「説明をもう一度一緒に確認しようか」

「今日は決めなくてもいいんじゃない?」

くらいでも構いません。

解決することより、まず受け止めること。

その時間が必要な場合もあります。

「なんで今まで検査しなかったの?」を言いたくなったとき

検査結果を知って、

「もっと早く検査していれば」

と思うこともあります。

特に、一方が検査を嫌がっていた場合には、

怒りが出てくることもあるでしょう。

その気持ち自体を否定する必要はありません。

でも、

「あなたが早く受けなかったから」

と原因を過去へ求め続けても、検査結果は変わりません。

今必要なのは、

次に何を確認するのか。

治療はどうするのか。

という部分です。

夫婦で話すときは、

「どうして今まで」より「これからどうする」

へ少しずつ視点を移してみてください。

検査結果を家族や友人へ話すかどうかも夫婦で確認する

不妊検査の内容は、とても個人的な情報です。

自分は母親に相談したい。

相手は誰にも話してほしくない。

ということもあります。

特に男性側の精液検査などは、

本人が知らないところで家族へ話されることに抵抗を感じる場合もあります。

そのため、

「この結果、誰かに相談してもいい?」

と一度確認しておくことも大切です。

夫婦だから、すべて自由に共有してよい。

とは限りません。

お互いのプライバシーも大切にしながら相談先を考える。

そんな視点も持ってみてください。

結果を聞いた日は、妊活の話を終える時間も決める

夫婦で話していると、

検査。

治療。

費用。

仕事。

次の予定。

と、どんどん話題が広がります。

気づけば、夕食中も。

お風呂のあとも。

布団に入ってからも。

ずっと妊活の話。

ということがあります。

大切な話だからこそ、

今日は30分だけ。

21時まで。

この話が終わったら映画を見る。

というように、

妊活の話を終える時間

も作ってみてください。

夫婦の時間すべてを治療会議にしないことも大切です。

検査結果を一緒に整理するときは「3つ」に分ける

夫婦で結果を見直すなら、次の3つに分けると整理しやすくなります。

1.分かったこと

今回の検査で医師から説明された内容。

2.まだ分からないこと

説明を聞いたけれど理解できなかったこと。

次回質問したいこと。

3.次にすること

再検査。

次回診察。

追加検査。

治療方針の相談。

などです。

これだけで構いません。

今後の人生すべてを決める必要はありません。

次の一歩だけ分かれば十分です。

夫婦で「同じ気持ち」にならなくてもいい

検査結果を聞いて、

一人はすぐ治療を進めたい。

もう一人は少し考えたい。

ということもあります。

片方は落ち込んでいる。

片方は意外と冷静。

そんな違いもあります。

夫婦だから、

同じ日に。

同じ温度で。

同じ気持ちにならなければいけない。

わけではありません。

大切なのは、

相手の感じ方が自分と違うことを「真剣ではない」と決めないこと。

人によって、ショックの受け止め方は違います。

治療について意見が違うときは「結論」より「理由」を聞く

たとえば、

「すぐ体外受精へ進みたい」

という人と、

「もう少し自然に待ちたい」

という人。

意見だけを見ると、正反対です。

でも、

「なぜそう思う?」

と聞くと、

年齢が気になる。

治療が怖い。

費用が心配。

仕事との両立が不安。

身体への負担が心配。

など、それぞれ理由があります。

意見ではなく、その下にある不安を聞く。

そうすると、話し合いの方向が少し変わることがあります。

すぐに解決できない気持ちが残っても大丈夫

話し合ったから、

不安が消える。

納得できる。

とは限りません。

検査結果を受け止めるまで、時間がかかることもあります。

男性側が、

「この話は今したくない」

という日もあるでしょう。

女性側が、

「今日はもう治療の話を聞きたくない」

という日もあります。

無理にその日のうちに理解し合おうとしなくても構いません。

今日はここまで。

と区切ることも、夫婦で妊活を続けるためには必要です。

検査結果のあと、身体にも負担が出ることがあります

結果を聞いたあと、

眠れない。

胃が痛い。

食欲がない。

肩や首に力が入る。

身体がだるい。

といった変化が出ることもあります。

気持ちの問題だから、

と無視しなくても大丈夫です。

心配ごとが増えれば、身体にも疲れが出ることがあります。

東洋医学では、

睡眠。

胃腸。

緊張。

冷え。

生理周期。

なども含めて身体を見ていきます。

妊活中によくある身体や気持ちのお悩みについて、当院でどのようにお話を伺っているかをご紹介しています。

次の記事では「責め合わない会話」をもう少し具体的に

検査結果を受け止めたあと、

本当は相手を責めたくないのに、

「もっと早く検査してくれたら」

「私ばかり治療している」

という言葉が出てしまうことがあります。

10月20日夜の記事
「検査結果を責め合わないための夫婦の会話」
では、

どう切り出すか。

何を避けたほうがよいか。

意見が違うときどう話すか。

を、もう少し具体的に考えます。

検査結果は「夫婦の成績表」ではありません

検査で気になる結果があった。

それは確かに不安なことです。

でも、

女性として。

男性として。

夫として。

妻として。

良い・悪いを評価するものではありません。

今の身体の情報が一つ増えた。

そして、その情報を使って次を考える。

それだけです。

「誰のせい?」ではなく、「私たちは次に何を確認しよう?」

そんなところから始めてみてください。


この記事を書いた人

菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

施術歴17年以上。妊活・婦人科・マタニティなど、女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、ご夫婦での妊活や治療中の身体づくりについてもお話を伺っています。

結果を聞いたあと、身体も一度整理したい方へ

検査結果が出ると、

次の治療。

生活。

仕事。

夫婦のこと。

いろいろなことを一度に考えなくてはならないように感じることがあります。

当院では、病院での検査や治療を大切にしながら、睡眠・胃腸・冷え・疲れなど、その時のお身体も一緒に確認しています。

検査結果を受けて、

「身体づくりも一度整理しておきたい」

という方はご相談ください。


参考・出典

日本生殖医学会「生殖医療ガイドライン」

日本泌尿器科学会「男性不妊症診療ガイドライン」

American Urological Association / American Society for Reproductive Medicine「Diagnosis and Treatment of Infertility in Men: AUA/ASRM Guideline」

European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE)「Routine Psychosocial Care in Infertility and Medically Assisted Reproduction」

World Health Organization(WHO)「Infertility」

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