秋の夜に不安が増える人の呼吸とツボ

東洋医学の視点から体質改善を伝える奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

昼間は仕事をして、

人と話して、

病院へ行って、

なんとか普通に過ごせていた。

でも、

家に帰り、

お風呂に入り、

布団へ入るころになると、

「次の採卵、大丈夫かな」

「今回もダメだったらどうしよう」

「もう9月。時間だけ過ぎていく」

と、急に妊活のことばかり考えてしまう。

そんな夜はありませんか?

9月8日の
「秋の気配で気分が落ちやすい理由」
では、季節の変わり目に気分や身体が揺れやすくなるときの考え方をお話ししました。

今夜はその続きです。

不安を、

「考えないようにしよう」

と頭だけで止めるのではなく、

呼吸やツボを使って、身体から少し緊張をゆるめる方法

をお伝えします。

目次

夜になると、なぜ考えすぎてしまうの?

夜に不安が出るからといって、

「夜は不安になりやすい体質」

と決まっているわけではありません。

ただ、昼間は、

仕事。

家事。

人との会話。

通院。

予定。

などがあり、意識が外へ向いています。

それが夜になると静かになり、

自分の考えに意識が向きやすくなります。

妊活中なら、判定日や採卵数、胚盤胞、AMH、年齢、妊娠率など、昼間は考えないようにしていたことが、夜になると次々に浮かんでくることがあります。

さらにスマートフォンを開けば、

検索結果。

SNS。

他の人の妊娠報告。

治療体験談。

まで目に入ります。

身体は布団に入っていても、

頭だけはまだ妊活を続けている

状態になっていることがあります。

秋に気分が揺れることはありますが、すべてが季節性うつではありません

秋から冬にかけて日照時間が短くなると、

睡眠や体内時計、気分に変化が出る人がいます。

季節性情動障害(SAD)と呼ばれる状態もあり、

一般には晩秋から冬に症状が始まることが多いとされています。

ただし、

「9月になって少し気分が沈む」

「秋の夜に少し寂しくなる」

だけで、すぐ季節性情動障害というわけではありません。

暑さから気温が変わる。

日の入りが早くなる。

生活リズムが変わる。

妊活の治療が続いている。

今年も残りが少なくなったと感じる。

さまざまな要因が重なります。

だから、

「秋だから私はメンタルが弱くなった」

と考えなくて大丈夫です。

今の身体と生活の中に、

少し休ませた方がよいところがないか見てみましょう。

妊活の不安は「考え方」だけの問題ではありません

不安が強くなると、

身体にも変化が出ることがあります。

肩に力が入る。

顎を噛みしめる。

呼吸が浅くなる。

胸が詰まった感じがする。

お腹が張る。

手足が冷える。

寝つきが悪くなる。

胃腸の調子が乱れる。

こうした変化が出ているときに、

「考えすぎないように」

と言われても、簡単には切り替えられません。

だからこそ、

頭を説得する前に、身体をゆるめてみる

という方法があります。

今夜は「深呼吸しよう」ではなく「呼吸をゆっくり」に

不安なとき、

「深呼吸してください」

と言われることがあります。

でも、

頑張って大きく息を吸おうとすると、

かえって苦しく感じる方もいます。

ポイントは、

たくさん吸うことではなく、呼吸の速さをゆっくりにすること。

です。

呼吸法については、

ゆっくりした呼吸を続けることで、ストレスや不安の軽減、リラックス反応につながる可能性が報告されています。

難しい方法は必要ありません。

妊活のことが頭から離れない夜の「1分呼吸」

まず、

布団でも、

椅子でも構いません。

肩の力を抜きます。

1.鼻から4秒くらいかけて吸う

お腹を無理に膨らませなくても構いません。

楽に吸います。

2.5~6秒くらいかけて、ゆっくり吐く

口でも鼻でも、楽な方で構いません。

「全部吐き切ろう」

と頑張らなくて大丈夫です。

3.これを5~6回繰り返す

まず1分程度。

慣れてきたら数分続けても構いません。

息を止める必要はありません。

途中で、

苦しい。

めまいがする。

余計に不安になる。

という場合はやめて、いつもの呼吸へ戻してください。

大切なのは、

正しい呼吸法を完璧にすることではなく、少し呼吸をゆっくりにすること

です。

「吐く息を長くすれば絶対にリラックス」ではありません

よく、

「4秒吸って8秒吐く」

「吐く息を2倍にする」

などの方法が紹介されています。

吐く息をゆっくりにすると心地よい方もいます。

ただ、研究では、

吐く時間を必ず長くしなければストレスが減らない、というわけではありません。

呼吸をゆっくり整えること自体が大切です。

ですから、

4秒吸って6秒吐くのが苦しければ、

3秒吸って4秒吐く。

同じくらいの長さで吸って吐く。

でも構いません。

自分が、

「これなら楽」

と思える呼吸を選んでください。

不安が強いときに試したいツボ① 内関(ないかん)

まずおすすめしたいのが、

内関(ないかん)

です。

場所は、

手首の内側。

手首のしわから指3本分ほど肘側へ上がったところ。

腕の中央にある2本の腱の間あたりです。

東洋医学では、

胸のつかえ。

吐き気。

緊張。

などのときによく使われるツボです。

妊活中、

病院へ行く前に緊張する。

判定結果を待って胸が落ち着かない。

そんなときにも使いやすい場所です。

押し方

反対側の親指で、

「気持ちいい」

と感じる程度にゆっくり押します。

強く押し込む必要はありません。

呼吸をしながら、

30秒ほど。

左右とも行ってみてください。

不安が強いときに試したいツボ② 神門(しんもん)

次は、

神門(しんもん)

です。

手首の手のひら側。

小指側にある手首のしわ付近を触ると、

少しくぼんだところがあります。

東洋医学では、

眠り。

落ち着かなさ。

心身の緊張。

などを考えるときに使われます。

夜になると、

頭の中で妊活のことがぐるぐる回る。

布団へ入っても考え続ける。

というときに使いやすいツボです。

ここも、

痛いほど押す必要はありません。

親指で軽く押しながら、

ゆっくり呼吸します。

不安が強いときに試したいツボ③ 印堂(いんどう)

もう一つ、

寝る前に使いやすいのが、

印堂(いんどう)

です。

眉と眉の間。

ちょうど眉間の中央です。

ここは、

考えごとが多いとき。

目や頭が疲れているとき。

緊張して眉間に力が入っているとき。

に使われることがあります。

人差し指や中指で、

軽く触れる程度でも構いません。

強くグリグリ押さず、

ゆっくり呼吸しながら触れてみてください。

3つ全部やらなくて大丈夫

セルフケアというと、

「毎日3つ全部やらなければ」

と思ってしまう方がいます。

でも、

妊活中はすでにやることがたくさんあります。

薬。

サプリ。

基礎体温。

通院。

食事。

運動。

そのうえ、

ツボ押しまで宿題にしなくて大丈夫です。

今日は内関。

明日は何もしない。

眠れない日に神門。

それくらいで構いません。

セルフケアは、頑張るためではなく、楽になるためにするもの。

です。

呼吸とツボを一緒に使うなら「3分」で十分

寝る前に、

次のように組み合わせても構いません。

1分目

ゆっくり呼吸する。

2分目

内関または神門を軽く押しながら呼吸する。

3分目

印堂に軽く触れ、スマートフォンを置く。

終わりです。

「これで自律神経を完璧に整えよう」

と考える必要はありません。

今より少し、

呼吸。

肩。

頭。

がゆるめば十分です。

スマートフォンを置くことも、大切なセルフケア

ツボを押しながら、

別の手でSNSを見ていたら、

頭はまだ情報を受け取り続けています。

特に妊活中は、

検索を始めると、

「胚移植 症状」

「高温期○日目」

「40歳 妊娠率」

「採卵数 平均」

と、次々に知りたいことが出てきます。

だから、

呼吸やツボをするときだけでも、

スマートフォンを置いてみてください。

3分だけでも構いません。

情報を止める時間をつくることも、身体を休ませる一つの方法です。

東洋医学では、不安だけでなく身体に出ている反応を見ます

東洋医学では、

「不安」という感情だけを切り離して考えません。

どこに身体の変化が出ているかを一緒に見ます。

肝鬱気滞(かんうつきたい)|考えすぎて身体が張っている

  • 首肩がこる
  • 胸が詰まる
  • ため息が多い
  • お腹が張る
  • イライラする
  • 寝つきにくい

というタイプです。

妊活や治療の緊張が続いている方によくみられます。

血虚(けっきょ)|疲れているのに心身が休まりにくい

  • 眠りが浅い
  • 夢が多い
  • 疲れやすい
  • 立ちくらみ
  • 気持ちが揺れやすい

などが重なります。

脾虚(ひきょ)|不安になると胃腸へ出る

  • 食欲が落ちる
  • 胃が重い
  • 便がゆるい
  • 疲れやすい

というタイプです。

同じ、

「夜になると不安になる」

という方でも、

身体に出ている反応は違います。

だから鍼灸でも、

「不安にはこのツボ」と全員同じ施術をするわけではありません。

セルフケアで落ち着かない夜こそ、鍼灸という選択があります

呼吸をした。

ツボも押した。

スマートフォンも閉じた。

それでも、

身体から力が抜けない。

眠れない。

考え続けてしまう。

そんなときまで、

「自分で何とかしなければ」

と思わなくて大丈夫です。

自分では緩めにくい身体を、

誰かに預ける。

その方法の一つが鍼灸です。

近年、鍼灸は不安に対しても研究が進んでいます。

2026年に発表されたランダム化比較試験をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析では、

鍼治療を受けた群で不安症状の改善が報告されています。

また、不妊治療中の女性を対象にした研究でも、

鍼灸を取り入れた群で不安の軽減が報告されています。

妊活中の心身の負担に対して、

身体から整えるという選択肢を持つことには意味があります。

妊活中に鍼灸を受けてほしいのは「不安を消すため」だけではありません

妊活中には、

不安をゼロにすることは難しいと思います。

次の採卵。

胚移植。

判定日。

検査。

年齢。

考えれば、気になることはいくらでもあります。

だから当院では、

「不安にならない身体をつくる」

とは考えません。

大切にしているのは、

不安を抱えていても、身体までずっと緊張し続けない状態をつくること。

です。

首肩が固まっているなら、そこをゆるめる。

呼吸が浅いなら、胸や背中の緊張を見る。

胃腸へ出ているなら、胃腸を整える。

眠れていないなら、睡眠の状態を見る。

身体が少し楽になると、

不安そのものとの距離が少し変わることがあります。

それが、妊活中に鍼灸を取り入れる大きなメリットの一つです。

鍼灸の時間は「妊活を考えなくていい時間」にしてほしい

妊活中は、

何をしていても頭の片隅に妊活があります。

「次の生理はいつ?」

「病院の予約は?」

「薬を飲んだ?」

「今日は排卵日?」

「次の移植は?」

そんな状態が何か月も続きます。

だから施術中くらいは、

次の治療を考えなくてもいい。

スマートフォンを見なくてもいい。

他の人の妊娠報告を見なくてもいい。

ベッドへ横になり、

身体を預けて休む。

自分で身体を整えようとしなくていい時間をつくること。

これも、妊活中の鍼灸の大切な役割だと考えています。

蓮心はり灸堂では「不安があります」だけでは施術を決めません

同じ不安でも、

採卵前なのか。

胚移植前なのか。

判定日待ちなのか。

治療を一周期休んでいるのか。

では、身体の状態も違います。

蓮心はり灸堂では、

  • 現在の治療段階
  • 採卵・胚移植の予定
  • 使用している薬
  • 月経周期

を確認しながら、

  • 睡眠
  • 胃腸
  • 便通
  • 冷え・のぼせ
  • 首肩・背中の緊張
  • 疲労
  • 呼吸の浅さ
  • 今、一番気になっていること

まで一緒に見ます。

「不安ですね」

と話を聞くだけでなく、

その不安が今の身体へどのように表れているのかを見て、施術へつなげる。

これは身体に触れられる鍼灸だからこそできることです。

夜の不安を「私の性格だから」で終わらせない

「昔から考えすぎる性格だから」

「心配性だから」

と、自分を決めつけている方もいます。

でも、

妊活で治療や検査が続けば、

誰でも不安になることがあります。

そして、

身体が疲れている。

眠れていない。

胃腸が乱れている。

ずっと緊張している。

そんな状態なら、

さらに考え込みやすくなることもあります。

だから、

性格を変えようとするより、

今の身体を少し楽にしてあげる。

そこから始めてもいいと思います。

不安や落ち込みが長く続くときは、専門的な相談も大切です

セルフケアや鍼灸を利用しながら、

必要なときには医療や心理的なサポートも使ってください。

たとえば、

  • 気分の落ち込みや強い不安がほぼ毎日続く
  • 2週間以上つらい状態が続いている
  • 眠れない日が続く
  • 食事が取れない
  • 仕事や家事が難しくなっている
  • 今まで楽しめていたことが楽しめない

という場合には、

主治医。

心療内科・精神科。

心理職。

不妊カウンセリング。

などへ相談することも大切です。

鍼灸を受けるか、心の専門家へ相談するか、

どちらか一つを選ぶ必要はありません。

必要なサポートを組み合わせて、自分を守る。

それで構いません。

今夜は「未来の答え」を出さなくていい

夜に考えていると、

「このまま治療を続ける?」

「病院を変える?」

「次も採卵する?」

「私は妊娠できる?」

と、

大きな答えを出したくなることがあります。

でも、

疲れている夜に、

妊活の未来を全部決めなくても大丈夫です。

今夜決めることは、

少し呼吸をゆっくりする。

それくらいで十分です。

内関を軽く押す。

神門に触れる。

印堂をゆるめる。

スマートフォンを置く。

眠る。

明日のことは、

明日の身体で考えましょう。

妊活のことを考え続けて、身体まで休めなくなっている方へ

「夜になると検索が止められない」

「次の治療を考えると胸が落ち着かない」

「眠ろうとしても身体に力が入っている」

「セルフケアをしても、自分ではなかなか緩められない」

そんな状態なら、

鍼灸を、

頑張ることを増やすためではなく、頑張っている身体を休ませるため

に取り入れてみてください。

蓮心はり灸堂では、

妊活・不妊治療の予定を確認しながら、

睡眠。

胃腸。

月経。

冷え・のぼせ。

疲労。

首肩・背中の緊張。

呼吸。

まで丁寧に見て施術しています。

不安を無理に消そうとするのではなく、

身体から少しずつ、

「休める状態」

へ戻していきます。

鍼灸の時間くらいは、

次の結果を考えなくてもいい。

ただ身体を預けて休む。

そんな時間を、妊活の中に持ってみませんか。

参考・出典

米国国立精神衛生研究所(NIMH)「季節性情動障害」

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)「リラクゼーション法について知っておきたいこと」

Brain Sciences「ストレス・不安軽減のための呼吸法に関するシステマティックレビュー」

Complementary Therapies in Medicine「ゆっくりした呼吸によるストレス軽減」

Journal of Clinical Psychology「不安に対する鍼治療のシステマティックレビュー・メタ解析」

Healthcare「不妊女性の感情的問題に対する鍼灸のシステマティックレビュー・メタ解析」

Reproductive BioMedicine Online「IVFに関連する不安に対する鍼灸の効果に関するシステマティックレビュー・メタ解析」

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