生理が来るたびに、
お腹が痛い。
腰まで重い。
鎮痛薬を飲んでもつらい。
仕事へ行くのもしんどい。
そんな痛みを、
「いつものことだから」
と我慢していませんか。
子宮内膜症では、生理痛だけでなく、下腹部痛・腰痛・排便時の痛み・性交時の痛みなどがみられることがあります。
そして痛みの強さは、
「病変が大きいか小さいか」だけでは決まりません。
画像検査では大きな異常が目立たなくても痛みが強い方もいますし、反対に病変があっても症状が軽い方もいます。
だから、
「これくらいなら我慢しなければ」
と他の人と比べなくて大丈夫です。
痛みで生活が変わっているなら、それ自体が相談する理由になります。
「生理痛だから仕方ない」で終わらせない
生理痛は珍しい症状ではありません。
そのため、
みんな痛い。
昔から痛い。
薬を飲めば何とかなる。
と、長く我慢してしまう方もいます。
でも、
- 痛みで仕事や学校を休む
- 鎮痛薬がないと日常生活が難しい
- 年々痛みが強くなっている
- 生理以外の日にも下腹部が痛む
- 排便時や性交時にも痛みがある
- 妊活を始めてから子宮内膜症を指摘された
という場合には、一度婦人科で相談してみましょう。
「耐えられるかどうか」ではなく、「生活にどのくらい影響しているか」
という視点も大切です。
痛みを10段階で記録してみる
診察で、
「痛いです」
と伝えても、どのくらいなのか説明しにくいことがあります。
そんなときは、
0=痛みなし
10=これ以上ないほど強い痛み
として記録してみましょう。
たとえば、
生理1日目:8
生理2日目:6
生理3日目:3
というだけでも構いません。
さらに、
- いつ痛むか
- どこが痛むか
- 何時間続くか
- 鎮痛薬を使った時間
- 薬を飲んだあとどうなったか
- 出血量
- 排便時の痛み
などを簡単に残しておくと、診察時に状況を伝えやすくなります。
鎮痛薬を「限界まで我慢してから」使わなくてもよいことがあります
痛み止めについて、
「できるだけ我慢したほうが身体にいい」
と思っている方もいます。
でも、医師から鎮痛薬を処方されている場合は、指示された方法で使用してください。
薬によっては、痛みが非常に強くなってからよりも、症状が強くなる前の段階で使用するよう指示されることもあります。
一方で、妊活・不妊治療中は、
排卵前後。
胚移植後。
妊娠の可能性がある時期。
など、治療段階によって薬の確認が必要になる場合があります。
そのため、市販の鎮痛薬を追加するときには、
「子宮内膜症があります」だけでなく、「妊活・不妊治療中です」と伝えて確認する
ようにしてください。
薬を怖がって我慢することも、自己判断で増やすことも避けましょう。
「温めると楽になる人」と「つらくなる人」がいます
生理痛には、
お腹を温める。
腰を温める。
湯船につかる。
といったセルフケアを取り入れる方もいます。
温めることで心地よく感じるのであれば、無理のない範囲で使って構いません。
ただし、
熱いお風呂に長く入る。
カイロを長時間同じ場所へ当てる。
汗が出るほど厚着する。
必要はありません。
また、
温めるとのぼせる。
気分が悪くなる。
痛みが楽にならない。
のであれば、続ける必要もありません。
「子宮内膜症だから温める」ではなく、「温めたあと自分が楽になるか」
を基準にしてください。
痛い日は「動いたほうがいい」と無理をしない
身体を動かすことは、健康維持のために大切です。
でも、
強い痛みがある日に、
運動しないと。
歩かないと。
ストレッチしないと。
と無理をする必要はありません。
身体を丸めて休みたい日もあります。
横になりたい日もあります。
その日は休み、
症状が落ち着いた日に少し歩く。
くらいでも十分です。
痛みが強い日と、調子のよい日で過ごし方を変えて構いません。
仕事や予定を「痛くなる前提」で少し調整する
毎月、
生理1日目が一番つらい。
生理2日目になると少し楽。
というように、自分のパターンが分かっている方もいます。
可能であれば、
その日に重要な予定を詰め込みすぎない。
在宅勤務が選べるなら利用する。
通院予定を調整する。
家事を前日に少し済ませる。
など、
痛くなってから何とかするだけでなく、痛みが出る前に余白をつくる
方法もあります。
もちろん仕事や家庭の事情で難しいこともあります。
全部変えなくて大丈夫です。
一つでも負担を減らせるものがないか探してみてください。
生理以外の日の痛みも記録しておく
子宮内膜症の痛みは、生理中だけとは限りません。
排卵のころ。
生理前。
排便時。
性交時。
長時間座っているとき。
などに痛みを感じる方もいます。
「生理痛の記事だから、生理中だけ記録する」
のではなく、
一か月の中でいつ痛みが出ているか
を確認してみましょう。
月経周期と一緒に記録すると、
「毎月この時期に痛い」
というパターンが見えてくることがあります。
妊活中は「痛み」と「妊娠への影響」を分けて考える
子宮内膜症があると、
「この痛みがあるから妊娠できないのでは?」
と不安になる方もいます。
子宮内膜症は妊娠しやすさと関係することがありますが、
痛みが強いほど妊娠しにくい、と単純に決まるわけではありません。
年齢。
卵巣予備能。
卵管の状態。
精子の状態。
病変の場所や程度。
治療歴。
など、妊娠にはさまざまな要素が関係します。
ですから、
痛むたびに、
「また身体が悪くなった」
と考えすぎないでください。
妊活については、痛みの管理とは別に、主治医と治療方針を確認することが大切です。
子宮内膜症の治療は「痛みに耐えること」ではありません
子宮内膜症の治療には、
鎮痛薬。
ホルモン療法。
手術。
妊娠希望を踏まえた不妊治療。
など、さまざまな選択肢があります。
どの方法が合うかは、
年齢。
症状。
病変。
妊娠希望。
これまでの治療。
などによって変わります。
そのため、
「妊活中だから子宮内膜症の治療は何もできない」
と決めつける必要はありません。
妊娠希望があることを婦人科で伝えたうえで、
痛みをどう管理しながら妊活を進めるか
を相談してみましょう。
いつもの痛みと違うときは、我慢せず医療機関へ
子宮内膜症がある方でも、
すべての腹痛が子宮内膜症によるものとは限りません。
特に、
- 急に非常に強い痛みが出た
- これまでと明らかに違う痛み
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 意識が遠のくような感じがある
- 発熱を伴う
- 大量の出血がある
- 妊娠の可能性があり、強い腹痛や出血がある
といった場合は、
「いつもの子宮内膜症だろう」
と決めつけず、医療機関へ相談してください。
東洋医学では痛みだけを切り取らずに見ます
東洋医学では、
「子宮内膜症だからこのツボ」
という考え方だけではありません。
同じように痛みがある方でも、
冷えが強い。
経血に塊が多い。
生理前に張りやすい。
疲れると痛みが強くなる。
胃腸が弱い。
など、身体の状態は違います。
たとえば東洋医学では、
瘀血傾向
血の巡りが滞っている状態として、刺すような痛みや経血の塊などを一緒にみることがあります。
肝鬱気滞傾向
生理前の張り・イライラ・胸やみぞおちのつかえなどと一緒に考えることがあります。
血虚・脾虚傾向
疲れやすさ、胃腸の弱さ、月経後の消耗などを含めてみることがあります。
ただし、
東洋医学の体質名は、子宮内膜症の原因を説明する診断名ではありません。
身体全体を整理するための一つの見方です。
鍼灸で子宮内膜症そのものを治療するわけではありません
子宮内膜症の診断。
卵巣の状態の確認。
薬物治療。
手術の判断。
は医療機関で行います。
鍼灸がその代わりになるものではありません。
一方で、
生理に伴う身体のつらさ。
腰や骨盤まわりの緊張。
冷え。
睡眠。
胃腸。
疲れ。
など、痛みと一緒に重なっている身体の状態を確認することはできます。
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、婦人科での治療内容も確認しながら、その方の身体全体を見て施術を行っています。
子宮内膜症を含め、生理痛や生理周期に伴うお悩みについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
痛みがある日は「何もしない」も選択肢です
痛い日に、
食事を整えなければ。
運動しなければ。
温活しなければ。
セルフケアしなければ。
と予定を増やす必要はありません。
薬を使う。
身体を休める。
食べられるものを食べる。
早めに眠る。
それだけの日もあります。
10月17日夜の記事
「痛みがある日に無理をしないための養生」
では、実際に痛みがある日の過ごし方を、もう少し生活に落とし込んでお伝えします。
痛みを「我慢できたか」で評価しない
今日は薬を飲まずに耐えられた。
仕事を休まず行けた。
予定を全部こなした。
それが「良い日」とは限りません。
強い痛みを抱えながら無理を続ければ、身体だけでなく気持ちも消耗します。
痛いときに休んだ。
薬を使った。
予定を減らした。
病院へ相談した。
それも立派な対処です。
痛みに勝つことではなく、痛みの中でも自分の身体を守ること。
そこを大切にしてください。
この記事を書いた人
菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
妊活・婦人科・マタニティなど、女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、生理周期・痛み・冷え・睡眠なども確認しながら身体づくりをサポートしています。
毎月繰り返す痛みを、一人で我慢し続けないために
子宮内膜症。
生理痛。
腰痛。
生理前後の体調変化。
いくつもの症状が重なると、
「どこから相談したらいいのか分からない」
という方もいます。
当院では、婦人科での診断や治療を大切にしながら、生理周期や生活の状態も含めて現在のお身体を整理しています。
病院で治療を受けながら、身体づくりも一緒に考えてみたい方はご相談ください。
参考・出典
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」
日本産科婦人科学会「子宮内膜症」
European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE)「Endometriosis Guideline」(2022)
National Institute for Health and Care Excellence(NICE)「Endometriosis: diagnosis and management」
厚生労働省「女性の健康に関する情報」

