【秋分】秋分の夜のセルフお灸

不妊鍼灸による妊活サポートを表す奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

今日は秋分でした。

朝の記事
「【秋分】秋分の妊活養生 昼夜のバランスを整える」
では、朝の光、睡眠、食事、気温差への対応など、生活全体から秋の身体を整える方法をお話ししました。

夜は、もう少し小さなセルフケアをしてみましょう。

今日ご紹介するのは、

セルフお灸です。

「妊活のお灸って、お腹にするの?」

「どのツボが妊娠に効くの?」

「熱い方が効きそう」

そんなイメージがあるかもしれません。

でも、自宅で行うお灸は、頑張って熱さに耐えるためのものではありません。

秋分の夜は、

自分の身体へ意識を戻す小さな時間

としてお灸を使ってみましょう。

目次

そもそも「お灸」って何をしているの?

お灸は、ヨモギの葉から作られるもぐさを使い、ツボへ温熱刺激を加える鍼灸療法の一つです。

鍼とは刺激方法が違いますが、どちらもその方の体調や目的に合わせて使います。

自宅で使われることが多いのは、もぐさが直接皮膚に触れにくい構造になった台座灸です。

市販されているセルフケア用のお灸にもさまざまな温度があります。

最初から強いものを選ぶ必要はありません。

「じんわり温かくて気持ちいい」くらいで十分です。

お灸は「熱いほど効く」わけではありません

セルフお灸で一番覚えておいてほしいことです。

熱くなってきたのに、

「ここからが効くところ」

と我慢しないでください。

お灸による刺激は、熱さを耐える競争ではありません。

熱い。

ピリピリする。

痛い。

と感じたら、すぐに外します。

実際、お灸に関する安全性の研究では、やけどや水疱などが報告されており、刺激時間、皮膚との距離、温度などが安全性に関係すると考えられています。

だからこそ、

心地よいところで終えることが、セルフお灸を上手に続けるコツです。

妊活中のセルフお灸は「妊娠するツボ探し」にしない

インターネットでは、

「妊娠のツボ」

「着床のツボ」

「卵巣に効くツボ」

といった情報も見かけます。

でも、一つのツボへお灸をすれば妊娠率が上がる、というような単純なものではありません。

同じ妊活中でも、

胃腸が弱っている方。

眠れない方。

肩に力が入っている方。

治療が続いて疲れている方。

月経痛がつらい方。

身体の状態は違います。

セルフお灸も、

「妊娠させるためのツボ」ではなく、今の身体をいたわるために使う。

そう考えてみてください。

今夜おすすめ① 足三里(あしさんり)

どこにある?

膝のお皿の外側下あたりから、指4本分ほど下へ進んだところが目安です。

すねの骨のすぐ外側にあります。

こんなときに

東洋医学では、足三里は胃腸の働きや疲労などを考えるときによく使う代表的なツボです。

妊活中、

食欲が落ちている。

胃が重い。

疲れやすい。

という方にも施術で使用することがあります。

自宅で場所を探すときは、ミリ単位で正確な場所を探そうとしなくても構いません。

押して少し響く感じや、他の場所と感覚が違うところを目安にします。

今夜おすすめ② 内関(ないかん)

どこにある?

手首の内側にある横じわから、指3本分ほど肘側へ進んだところです。

腕の中央あたり、2本の腱の間が目安になります。

こんなときに

東洋医学では、内関は胸やみぞおち周辺の不快感、緊張などを考えるときによく使うツボです。

妊活中、

病院へ行く前になると緊張する。

胃がムカムカする。

胸のあたりが落ち着かない。

夜になっても身体の力が抜けない。

そんな方にも使うことがあります。

手首周辺なので、自分でも確認しやすいツボの一つです。

今夜おすすめ③ 神門(しんもん)

どこにある?

手首の手のひら側、小指側にある横じわの端付近が目安です。

こんなときに

東洋医学では、神門は心身の緊張や眠りなどを考えるときに使うことがあります。

布団へ入っても妊活のことを考えてしまう。

次の診察が気になる。

判定日が怖い。

身体は疲れているのに頭が休まらない。

そんな夜に、自分の手首へそっと触れてみるだけでも構いません。

必ずお灸をしなければいけないわけではなく、指でやさしく押すセルフケアに変えても大丈夫です。

3つ全部しなくて大丈夫です

足三里。

内関。

神門。

3つ紹介しましたが、全部にお灸をする必要はありません。

今夜なら、

「胃腸が少し疲れているから足三里」

「身体から力が抜けないから内関」

というように、一つ選ぶだけでも十分です。

左右両方に行う場合も、最初から何個も続ける必要はありません。

セルフケアは、数を増やすほどよくなるものではありません。

少ない刺激から、自分の反応を見てみましょう。

台座灸を使うときの基本

初めてセルフお灸をする方は、直接皮膚の上でもぐさを燃やす方法ではなく、市販の台座灸など、家庭用に作られたものを選ぶと扱いやすくなります。

製品の説明書を確認したうえで、次のように行います。

  1. お灸をする場所を確認する
  2. 安定した姿勢で座る
  3. お灸に火をつけ、説明書どおりにツボへ置く
  4. 心地よい温かさを感じながら過ごす
  5. 熱い・痛いと感じたら終了を待たずに外す
  6. 使用後は完全に消火して処分する

お灸をしながら眠らないようにしてください。

スマートフォンに夢中になり、熱くなっていることに気づかないのも避けましょう。

お灸をしている数分は、お灸だけをする。

そんな時間にするのがおすすめです。

何壮すればいい?

「何個すれば効きますか?」

とよく聞かれます。

でも、セルフお灸では、

たくさん行うことより、

皮膚や身体の反応を見ながら少ない刺激から始めること

をおすすめします。

初めてなら、まずは選んだツボに1壮程度からで構いません。

もっと必要かどうかは、身体の状態や使用するお灸によっても変わります。

毎日たくさん行うより、鍼灸師にツボと刺激量を確認してもらうと、自宅でも続けやすくなります。

毎日しないと意味がない?

そんなことはありません。

今日は疲れたからする。

身体が冷えて落ち着かない日にする。

胃腸が重い日にする。

「今日はお灸をしたいな」

と感じた日に使う方法でも構いません。

妊活中は、

薬。

サプリ。

基礎体温。

通院。

セルフケア。

と、すでに毎日の予定が増えています。

お灸まで、

「毎日やらなければ妊娠できない宿題」

にしないでください。

お灸をするなら、換気も忘れずに

もぐさを燃やすタイプのお灸では煙やにおいが出ます。

煙で咳が出る。

目や喉が刺激される。

気分が悪くなる。

という方もいます。

窓を少し開けたり換気扇を使ったりして、空気がこもらないようにしてください。

煙が苦手な方は、煙の少ないタイプの商品などを選ぶ方法もあります。

喘息など呼吸器疾患がある方は、煙の出ないタイプ(微煙・無煙灸)であっても、使用前に主治医や鍼灸師へ相談してください。

妊娠している可能性がある時期はどうする?

妊活中は、

「まだ妊娠しているか分からない」

という時期があります。

セルフお灸についても、

「このツボなら妊娠中でも絶対安全」

と自己判断する必要はありません。

妊娠している可能性がある時期や妊娠判明後は、刺激量や施術部位について鍼灸師へ確認しておくと安心です。

特に、腹部や腰仙部などへ自分で強い温熱刺激を加えることは避け、普段と違う身体の変化がある場合にはセルフケアより医療機関への相談を優先してください。

妊娠の可能性があるから鍼灸やお灸ができない、という意味ではありません。

身体の状態と時期に合わせて、刺激方法や場所を調整していくことが大切です。

皮膚の感覚が鈍いところには使わない

セルフお灸では、

「熱くなったら外す」

ことが安全の基本です。

そのため、しびれなどで温度を感じにくい場所や、傷、炎症、皮膚トラブルがある場所には自己判断でお灸をしないでください。

飲酒後や強い眠気があるときなど、熱さへの反応が遅れそうな状態で行うことも避けましょう。

お灸は、

熱さに耐えるものではなく、温かさを心地よく受け取るもの。

この感覚を大切にしてください。

月経痛に対するお灸の研究も進んでいます

お灸は昔から使われてきましたが、現在は臨床研究も行われています。

2025年に公表された原発性月経困難症に対するシステマティックレビュー・メタ解析では、11件のランダム化比較試験を対象に、お灸による月経痛や関連症状の改善が報告されました。

これは、

「妊活中にお灸をすれば妊娠しやすくなる」

ことを示す研究ではありません。

一方で、

お灸が単なる気分転換ではなく、女性の身体のつらさに対して研究されている施術法の一つ

であることを知っておいてください。

月経痛など毎月の不調がある方は、セルフお灸だけで我慢せず、医療機関で原因を確認しながら鍼灸を取り入れる方法もあります。

セルフお灸と鍼灸院のお灸は何が違うの?

自宅のお灸には、

好きな時間にできる。

数分で取り入れられる。

自分の身体へ目を向けるきっかけになる。

という良さがあります。

一方、鍼灸院では、

「足三里をすればいい」

というように一つのツボだけで考えるわけではありません。

月経周期。

現在の不妊治療。

使用している薬。

睡眠。

胃腸。

冷え・のぼせ。

疲労。

首肩の緊張。

その日の体調。

などを確認し、ツボ、刺激量、鍼とお灸の組み合わせを変えていきます。

セルフお灸は日々のケア、鍼灸院での施術は身体全体を見ながら組み立てるケア。

両方を上手に使い分けることができます。

自分に合ったツボを知ると、セルフお灸はもっと使いやすくなる

インターネットでツボを調べると、

たくさん出てきます。

どれを使えばいいか分からず、結局、

足にも。

お腹にも。

腰にも。

たくさんお灸をしてしまうことがあります。

でも、本来ツボは、

その人の今の身体に合わせて選ぶもの

です。

蓮心はり灸堂では、施術時の身体の状態を確認しながら、

「自宅でするなら今日はこのツボ」

というセルフケアもお伝えできます。

自宅でのお灸を、施術と施術の間の身体づくりとして使うこともできます。

これも、鍼灸院へ相談するメリットの一つです。

蓮心はり灸堂では「妊活にはこのツボ」と一律には決めません

同じ妊活中でも、

採卵前。

人工授精後。

胚移植前。

高温期。

治療を休んでいる周期。

では身体の状態が違います。

さらに、

眠れているか。

胃腸はどうか。

月経はどうか。

身体は冷えるのか、ほてるのか。

疲労はどうか。

首肩は緊張しているか。

まで確認します。

そのうえで、その日に合う鍼やお灸を組み合わせます。

「妊活だから同じツボ」ではなく、「今のあなたの身体だから、この施術」。

それが当院で大切にしている考え方です。

今夜のお灸は、一つだけでいい

秋分だから、

特別なことをたくさんしなくて大丈夫です。

今夜セルフお灸をするなら、

足三里。

内関。

神門。

この中から一つ選んでみてください。

温かい。

少し身体へ意識が戻った。

今日はこれで終わり。

それで十分です。

お灸のあとに、また妊活について検索を始めるより、

少し水分を取り、

スマートフォンを置いて、

そのまま身体を休ませてみましょう。

セルフお灸の目的は、妊活の宿題を一つ増やすことではありません。

今夜の身体を少し労わることです。

秋分の夜、自分の身体に触れる時間を

妊活中は、

卵胞。

内膜。

ホルモン。

胚。

検査結果。

と、身体を数字で見ることが増えていきます。

でも身体には、

温かいと感じる。

疲れていると感じる。

気持ちいいと感じる。

少し力が抜けたと感じる。

そんな感覚もあります。

お灸をする数分だけは、

数字ではなく、

自分の身体の感覚へ戻る時間

にしてみてください。

セルフお灸を妊活の身体づくりに取り入れたい方へ

「自分にはどのツボが合う?」

「妊娠の可能性がある時期もしていい?」

「お腹にお灸をしていたけれど、このままで大丈夫?」

そんな疑問がある方は、自己流で増やしていく前にご相談ください。

蓮心はり灸堂では、現在の妊活・不妊治療の段階や使用している薬を確認しながら、月経、睡眠、胃腸、冷え・のぼせ、疲労、首肩の緊張など、今の身体に合わせて施術を組み立てています。

必要に応じて、自宅で取り入れやすいツボも一緒にお伝えします。

セルフケアでできること。

施術だからできること。

その両方を使いながら身体を整えていきましょう。

お灸を「妊娠するために頑張るもの」ではなく、自分の身体を丁寧に見ていく習慣へ。

秋分の夜から、小さく始めてみてください。

参考・出典

Frontiers in Medicine「原発性月経困難症に対するお灸療法の有効性:システマティックレビュー・メタ解析」

Complementary Therapies in Medicine「お灸の有害事象:システマティックレビュー」

Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine「お灸の安全性:症例報告のシステマティックレビュー」

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