足先は冷たいのに、顔だけ熱い。
お腹を温めると気持ちはいいけれど、しばらくすると顔がほてってくる。
寝る前まで靴下や腹巻きを重ねていたら、今度は暑くて眠れない。
そんな経験はありませんか。
10月17日朝の記事「妊活中の温活 やりすぎが逆効果になること」では、温活は強く温めるほどよいわけではなく、のぼせや発汗、寝苦しさなどが出たら一度「足す温活」から「調整する温活」へ変えてみることをお伝えしました。
今回はその続きです。
同じ「のぼせ」でも、足元の冷えと一緒に起こる方、夜になると熱っぽくなる方、緊張したときに急に顔が熱くなる方では、身体の感じ方が違います。
東洋医学の見方も使いながら、今の身体に合う温め方を考えてみましょう。
まず「のぼせているのに冷え性」ということはあります
「顔が熱いなら、身体は冷えていないのでは?」
と思うかもしれません。
でも実際には、顔や上半身は熱く感じるのに、足先は冷たいという方がいます。
東洋医学では、このように上半身に熱感があり、下半身に冷えを感じる状態を「上熱下寒(じょうねつげかん)」という言葉で表すことがあります。
これは西洋医学の診断名ではありません。
身体のどこに熱を感じ、どこに冷えを感じているのかを整理するための東洋医学的な見方です。
ですから、
「冷え性だから全身をもっと温めなければ」
と考える前に、まず自分の身体を上下に分けて感じてみてください。
温活のあとに顔が熱くなるなら、一度「足しすぎ」を確認する
腹巻きをして、厚手の靴下を履き、カイロを貼って、電気毛布も使う。
一つひとつは心地よくても、重なると身体には暑すぎることがあります。
温活をしたあとに顔が赤くなる、汗が増える、喉が渇く、身体がだるくなる、眠りにくくなるのであれば、温める量を少し減らしてみましょう。
たとえば腹巻きは残してカイロを外す、靴下を薄手に替える、電気毛布は布団を温めたら寝る前に弱める、といった調整です。
全部やめる必要はありません。
「何を追加する?」ではなく、「一つ減らしたらどう感じる?」
という見方に変えてみてください。
タイプ1|足は冷たいのに顔がほてる「上熱下寒タイプ」
こんな感覚がある方です。
- 足先やふくらはぎは冷たいのに、顔や頭は熱く感じる
- 暖房の効いた部屋では顔だけほてりやすい
- お風呂へ長く入るとのぼせる
- 厚着をすると上半身ばかり暑くなる
このような方は、全身を一気に強く温めるより、上半身に熱をこもらせないことを意識してみましょう。
このタイプのセルフケア
まず、首元まで厚着をしすぎていないか確認します。
上半身は脱ぎ着しやすい服装にし、足元が冷えるならレッグウォーマーなどで部分的に調整する方法があります。
入浴も、熱いお湯で長時間身体を温めるより、心地よい温度で「少し温まったな」と感じるところで終えて構いません。
顔がほてってきたら、
「もう少し頑張って温まろう」
ではなく、そこで一度終えるサインと考えてみてください。
「冷たい足を温めれば上半身の熱が必ず下がる」とは限りません
東洋医学では上下のバランスという見方をしますが、
「足を温めれば必ず顔のほてりが治る」
という意味ではありません。
足湯をすると気持ちよい方もいれば、足湯でも全身が暑くなってしまう方もいます。
大切なのは、方法よりもそのあと身体がどう反応したかです。
足湯をして楽になるなら続ける。
汗が増えて寝苦しくなるなら短くする、あるいはやめてみる。
自分の身体の反応を基準にしてください。
タイプ2|夕方から夜に熱く感じる「潤い不足タイプ」
昼間はそれほど気にならないのに、夕方から夜になると顔や手のひらが熱く感じる。
口や喉が乾きやすく、寝ている間に汗をかくこともある。
東洋医学では、このような状態を身体を潤す「陰」が不足した「陰虚(いんきょ)」の傾向としてみることがあります。
こちらも診断名ではありません。
乾燥や熱感、睡眠などを組み合わせて身体を見るための考え方です。
このタイプのセルフケア
このタイプでは、
「冷えてはいけないから」
と寝る直前まで強く温め続けると、かえって寝苦しく感じることがあります。
寝具を厚くしすぎていないか、電気毛布を朝まで高い温度で使っていないか、就寝前のお風呂が熱すぎないかを確認してみてください。
また、秋から冬にかけては、涼しくなることで水分摂取量が減りやすくなります。
喉が渇いてから一度にたくさん飲むのではなく、日中に飲みやすい量をこまめに取る方法もあります。
夜に熱を感じる方ほど、温めることだけでなく休息と水分も一緒に見直してみましょう。
汗をかくほど温めることを目標にしない
「汗を出せば巡りがよくなる」
という情報を見て、長風呂や厚着をしている方もいます。
でも、汗を大量にかくことそのものを温活の目標にする必要はありません。
入浴後に喉が強く渇く、ぐったりする、動悸を感じる、眠りにくくなるのであれば、今の身体には刺激が強すぎる可能性があります。
妊活中でも、
汗をかいた量と身体づくりの成果は比例しません。
お風呂から上がったあとに「気持ちよかった」と感じられる程度を目安にしてください。
タイプ3|緊張すると急に顔が熱くなる「気滞・気逆タイプ」
仕事中に緊張すると顔が熱くなる。
イライラしたときや人前で話すときに、一気にほてる。
胸やみぞおちがつかえる感じがあり、ため息も増える。
このような方では、東洋医学で「気滞」や、気が上へ向かいやすい「気逆」という見方をすることがあります。
このタイプでは、温度だけを調整しても、緊張している場面ではのぼせを感じることがあります。
このタイプのセルフケア
「顔が熱い、どうしよう」
と意識しすぎると、それ自体が緊張につながることがあります。
まず衣服を一枚調整し、ゆっくり息を吐いてみましょう。
吸うことより、吐く息を少し長めにするイメージです。
また、仕事や妊活について考える時間が夜まで続いている方は、就寝直前まで検索や仕事を続けないことも大切です。
身体を温める前に、身体が活動モードのままになっていないかを見てみてください。
のぼせる日は「冷やせばいい」とも限りません
顔が熱いからと、
冷たいシャワー。
氷。
強い冷房。
などで急に身体を冷やしたくなることがあります。
一時的には気持ちよくても、今度は身体全体が寒くなり、また温めるという繰り返しになる方もいます。
暑ければ服を一枚脱ぐ、室温を少し調整する、風を通す、水分を取るなど、まずは穏やかな方法から始めてみましょう。
温めすぎたから、今度は強く冷やす。
という極端な調整をしなくて大丈夫です。
「温活をしないと妊活によくない」という不安から離れる
妊活中は、
足が冷たい。
今日は腹巻きをしていない。
冷たいものを飲んだ。
ということまで、
「妊娠しにくくならないかな」
と気になることがあります。
でも、一回身体が冷えたから妊娠できなくなるわけではありません。
同じように、
温活をたくさん行えば妊娠しやすくなる、と単純に決まるものでもありません。
妊活の身体づくりは、温めることだけではなく、睡眠、食事、運動、現在受けている治療などさまざまな要素があります。
温活だけを妊娠結果と結びつけすぎないようにしてください。
「のぼせ」は温活のせいだけとは限りません
ここは大切なところです。
最近急に顔がほてるようになったからといって、
「温めすぎたから」
とは限りません。
更年期前後にはホットフラッシュや発汗などの血管運動神経症状がみられることがあります。
また、発熱、甲状腺の病気、薬の影響など、別の理由で熱感や動悸を感じる場合もあります。
のぼせが繰り返し強く起こる、夜間の発汗が続く、動悸や体重変化など別の症状もある場合には、セルフケアだけで判断せず医療機関へ相談してください。
40代前後で急にほてりが増えたとき
40代頃から月経周期の変化とともに、顔のほてりや発汗を感じる方がいます。
更年期に伴う症状の可能性もありますが、
「この年齢だから更年期」
と自己判断する必要はありません。
婦人科では症状や月経の状態を確認し、必要に応じてほかの病気との区別も行います。
症状によっては治療の選択肢もありますので、
我慢しながら温活だけで何とかしようとしないことも大切です。
東洋医学の「体質」は自分を分類するためのものではありません
ここまで、
上熱下寒。
陰虚。
気滞・気逆。
という言葉をご紹介しました。
でも、
「私は上熱下寒だから、この方法だけをやる」
と固定する必要はありません。
今日は足が冷えている。
別の日は寝不足でほてりやすい。
生理前は緊張やイライラが強い。
というように、同じ人でも身体の状態は変化します。
東洋医学の体質は、
身体を一つの言葉で決めつけるためではなく、今どんな変化が重なっているのかを見るためのヒント
として使ってください。
今夜試すなら「足す」より一つ減らしてみる
今夜も、
腹巻き。
厚手の靴下。
湯たんぽ。
電気毛布。
長めの入浴。
を予定しているなら、その中から一つだけ減らしてみてください。
そして、
寝つきはどうだったか。
夜中に暑くならなかったか。
朝の足の冷えはどうだったか。
を確認します。
一晩で体質を判断する必要はありません。
数日試して、
「これくらいが楽」
という温かさを探してみましょう。
冷えとのぼせを一緒に見直したい方へ
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、
「足は冷えるのに顔は暑い」
というご相談をいただいた場合にも、冷えている部分だけを見て温めるわけではありません。
冷え・ほてりの場所や時間帯に加えて、生理周期、睡眠、胃腸、発汗、疲れ方なども確認します。
冷えやほてりを含め、女性の身体全体をどのように整えていくのか詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
温活は「我慢して続けるもの」ではありません
寒いなら温める。
暑くなったら一枚減らす。
温めると気持ち悪い日はやめる。
それで構いません。
妊活中だからと、身体の感覚より「冷やしてはいけない」というルールを優先しすぎないでください。
自分が心地よく眠れ、食べられ、日中を過ごせることも大切な身体づくりです。
温活をしているのに冷えとのぼせが繰り返し、何を調整すればよいのか分からない方は、現在のお身体を一度整理してみましょう。
この記事を書いた人
菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者
施術歴17年以上。妊活・婦人科・マタニティなど、女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、冷え・ほてり・睡眠・胃腸・生理周期なども確認しながら身体づくりをサポートしています。
参考・出典
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」
厚生労働省「女性のヘルスケアに関するガイダンス(中高年期編)」
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)「Menopausal Symptoms: In Depth」
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)「Acupuncture: Effectiveness and Safety」
消費者庁「低温やけどに御用心」

