PCOSと体重管理をやさしく考える

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PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されたとき、

「体重を減らしたほうがいいですよ」

と言われたことがある方もいるかもしれません。

そこから毎日の体重が気になり始め、食事を減らしたり、甘いものを我慢したり、運動しなければと焦ったりしていませんか。

妊活中であれば、

「痩せないと排卵しないのかな」

「この体重だから妊娠できないのかな」

と、自分の身体を責めてしまうこともあります。

でも、PCOSは体型だけで診断される病気ではありません。

そして、PCOSだからすべての方が減量しなければならないわけでもありません。

体重を管理することが必要な方もいますが、大切なのは数字だけを追いかけることではなく、今の身体に合った生活を無理なく続けることです。

今日は、PCOSと体重管理を少しやさしく考えてみましょう。

目次

PCOSは「太っているからなる病気」ではありません

PCOSというと、

「体重が多い人に多い病気」

というイメージを持つ方もいます。

確かにPCOSでは、インスリン抵抗性や代謝の問題が関係することがあり、体重管理が治療の一部になる方もいます。

一方で、標準体重ややせ型でもPCOSと診断される方はいます。

つまり、

体重が多い=PCOS、体重が少ない=PCOSではない

というわけではありません。

日本の診断基準でも、月経周期の異常、卵巣所見やAMH、アンドロゲンやLHなどを組み合わせて診断します。

超音波で卵胞が多く見えたから、あるいは体重が増えたからという理由だけでPCOSと決まるものではありません。

診断については婦人科で確認してください。

PCOSだから「まず痩せる」とは限りません

PCOSについて調べると、

「減量すると改善する」

という情報をよく見かけます。

体重が高めで、医師から体重管理を勧められている方では、生活習慣を見直すことが健康状態や代謝、月経周期などの改善につながる場合があります。

ただし、そこで大切なのが、

自分に減量が必要なのか

を分けて考えることです。

すでに適正な体重の方が、

「PCOSだからもっと痩せよう」

と食事を減らす必要はありません。

むしろ極端な食事制限によって、必要な栄養が不足したり、食べることそのものがストレスになったりする可能性があります。

まずは体重だけを見ず、主治医と一緒に身体全体を確認しましょう。

体重が減らなくても、生活を整える意味はあります

生活習慣を見直すと、

「何kg減ったか」

ばかりが成果になりがちです。

でも、PCOSの生活管理では、体重が減らなくても健康的な生活習慣そのものにメリットがあります。

たとえば、日常的に身体を動かすこと、偏りすぎない食事を続けること、睡眠を確保することは、体重だけではなく身体全体の健康を支えます。

体重計の数字が変わらなかったからといって、

「意味がなかった」

とは考えなくて大丈夫です。

続けられる生活をつくれたこと自体が一つの成果です。

「PCOSにはこの食事」という特別な正解はありません

PCOSについて調べると、糖質制限や低GI食、地中海食など、さまざまな食事法が出てきます。

どれを選べばよいのか迷いますよね。

現在の国際的なガイドラインでは、PCOSに対して特定の一つの食事法だけが優れているとはされていません。

大切なのは、栄養が大きく偏らず、自分の生活に合わせて続けられることです。

妊活中だからと、毎日特別なメニューを作らなくても構いません。

たとえば、ごはんなどの主食に、魚・肉・卵・大豆製品などのたんぱく質源を組み合わせ、野菜や汁物を添えるだけでも一食になります。

「PCOS用の食事」を作るのではなく、普段の食事を少し整えるくらいから始めてみましょう。

炭水化物を全部抜かなくても大丈夫です

PCOSではインスリン抵抗性が関係することがあるため、

「糖質は食べないほうがいい」

と思う方もいます。

しかし、ごはんやパン、麺などの炭水化物をすべて避ける必要はありません。

主食を極端に減らした結果、空腹が強くなって間食が増えたり、食事を続けること自体がつらくなったりする方もいます。

必要に応じて量や組み合わせを調整することはありますが、

炭水化物=悪いもの

と考えなくて大丈夫です。

自分の体格、活動量、血糖値などによって適切な食事は違いますので、必要な場合は医師や管理栄養士へ相談しましょう。

「食べてはいけないもの」を増やしすぎない

PCOSの食事を調べているうちに、

砂糖は禁止。

小麦は禁止。

乳製品は禁止。

果物は控える。

というように、食べられないものが増えてしまうことがあります。

医学的な理由やアレルギーなどで制限が必要な場合を除き、自己判断で極端に食品を排除する必要はありません。

食事制限が増えすぎると、外食や家族との食事まで負担になることがあります。

妊活は数日で終わるものではありません。

長く続けられるかどうか

も大切な基準にしてください。

まずは「食べる量」より食生活全体を見る

体重が気になると、

ごはんを半分にする。

夕食を抜く。

間食を全部やめる。

と、量を減らすことから始めがちです。

でもその前に、

朝食をほとんど食べず夜に空腹が強くなっていないか、仕事が忙しくて食事時間が毎日大きくずれていないか、野菜だけで済ませてすぐお腹がすいていないかなど、食生活全体を見てみましょう。

食事量を大きく減らさなくても、食べ方を整えるだけで身体が楽になることがあります。

運動は「痩せるための罰」にしない

PCOSと体重管理について説明を受けると、

「運動しなければ」

と思いますよね。

でも運動は、食べた分を帳消しにするために行うものではありません。

歩くこと、階段を使うこと、家事をすること、軽い筋力トレーニングなど、身体を動かす方法はいろいろあります。

最初から毎日1時間運動する必要もありません。

普段ほとんど身体を動かしていない方なら、10分歩く時間をつくるところからでも十分です。

体重減少だけを目的にすると続かなかったときに自分を責めやすくなりますが、

身体を動かす習慣を残す

という目的なら、少し取り組みやすくなります。

睡眠もPCOSの身体づくりの一部です

食事と運動を頑張っていても、睡眠時間が短い状態が続いている方もいます。

仕事が忙しい、治療について検索して寝る時間が遅くなる、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠にもさまざまな悩みがあります。

PCOSの身体づくりを考えるときは、食事と体重だけを見るのではなく、睡眠やストレスなども一緒に考えてください。

「もっと運動しなければ」と睡眠時間を削って運動するより、今日は早めに休むほうが身体に合っている日もあります。

毎日体重を測ることがつらいなら、距離を置いてもいい

体重管理を始めると、毎朝体重計に乗る方もいます。

数字を見ることがモチベーションになるなら、それでも構いません。

ただ、100g増えただけで落ち込む、食べたことを後悔する、体重が気になって一日中気分が沈むようになっているなら、測る頻度を見直してもよいでしょう。

体重は、水分量や便通、月経周期などでも日々変動します。

毎日の数字だけで身体の状態すべてを評価することはできません。

必要な体重管理は主治医と相談しながら、数字との付き合い方も自分が続けやすい方法を選んでください。

体重の話をされること自体がつらい方もいます

PCOSでは体重について話題になることがありますが、その言葉自体が負担になる方もいます。

これまでに何度も、

「痩せたほうがいい」

と言われてきた方なら、診察で体重を測るだけでもつらく感じるかもしれません。

生活習慣について相談するときには、

「体重の数字を言われるとつらいです」

「食事制限で以前つらくなったことがあります」

と伝えて構いません。

現在の国際ガイドラインでも、PCOSの診療では体重に対する偏見やスティグマへ配慮することが重視されています。

身体を整えるための相談で、自分を責め続ける必要はありません。

妊活中は「何kgになれば妊娠できる」と考えすぎない

体重管理を始めると、

「あと5kg減れば妊娠できるかもしれない」

と期待してしまうことがあります。

でも、妊娠の結果を体重だけで予測することはできません。

PCOSによる排卵障害がある場合には、生活習慣の見直しと並行して、排卵誘発など医療的な治療が必要になることもあります。

年齢、精子、卵管、その他の検査結果なども関係します。

体重を整えることは、妊娠するための試験ではありません。

自分の健康状態を整える一つの要素

として考えてください。

月経が長く来ない場合は、体重管理だけで様子を見ない

PCOSでは月経周期が長くなることがあります。

「痩せれば生理が来るかもしれない」

と、自分だけで食事や運動を頑張り続けるのはおすすめできません。

月経が長期間来ない状態では、婦人科での管理が必要になる場合があります。

妊娠を希望しているかどうかによっても治療方法は変わりますので、生理が長く来ていない方は婦人科へ相談してください。

また、急激な体重変化やほかの症状がある場合にも、PCOSだけが原因と決めつけず医療機関で確認しましょう。

東洋医学では体重だけを見て身体を判断しません

東洋医学でも、

「PCOSだから痩せる施術」

という考え方はしません。

月経周期、冷えやほてり、胃腸、便通、睡眠、疲れなどを一緒に確認します。

同じPCOSでも、身体の状態は一人ひとり違います。

食事を減らしすぎて疲れている方と、睡眠不足や生活リズムが乱れている方では、見直すところも同じではありません。

まず今の身体が何に困っているのかを整理することが大切です。

「体重を減らす」より「続けられること」を一つ決める

今日から何か変えるなら、大きな目標を立てなくても構いません。

朝食を抜いていた方なら何か一品食べてみる、野菜が少なかった方なら夕食に一皿足す、ほとんど歩いていなかった方なら10分だけ歩いてみる、といった小さな変化でも十分です。

一度に、

食事制限。

運動。

早寝。

体重測定。

を全部始める必要はありません。

3か月続けられそうなことを一つ選ぶ。

それくらいの考え方から始めてみましょう。

PCOSの身体を体重だけで見たくない方へ

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂では、PCOSについてご相談いただく場合にも、体重だけで身体を判断することはありません。

生理周期の変化や冷え、睡眠、胃腸、疲れ、現在受けている不妊治療なども確認しながら身体を見ていきます。

生理周期の乱れや生理に伴うお悩みについて、当院でどのように対応しているかご案内しています。

食事管理がつらくなっている方へ

PCOSについて調べて、

食べてはいけないものばかり増えた。

食事のたびに罪悪感がある。

体重計を見るのが怖い。

そんな状態になっているなら、身体づくりそのものが負担になっているかもしれません。

10月24日21:00の記事
「PCOSで食事管理がつらい夜に読む話」
では、食事を頑張りすぎて苦しくなったときの考え方をもう少し詳しくお伝えします。

「ちゃんと管理できない自分が悪い」と思わなくても大丈夫です。

続けられる方法へ戻していきましょう。

今の身体に合った整え方を一緒に考えてみませんか

PCOSと診断されると、食事、運動、体重、妊活について一度に考えることが増えます。

何から手をつければよいか分からなくなる方もいます。

当院では婦人科や生殖医療での治療を大切にしながら、今の生活や身体の状態を一緒に整理しています。

「体重を減らすことだけではなく、身体全体を見直したい」という方もご相談ください。


この記事を書いた人

菅原 裕万
ロータスリーフ 蓮心はり灸堂 院長
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

施術歴17年以上。妊活・婦人科・マタニティなど、女性のライフステージに伴う身体の変化を中心に、生理周期・胃腸・睡眠・冷えなども確認しながら身体づくりをサポートしています。


参考・出典

日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会「多囊胞性卵巣症候群の診断基準(2024)」

International PCOS Network「International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome 2023」

American Society for Reproductive Medicine「Recommendations from the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome」

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

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