【芒種】芒種のころに増える重だるさと湿邪

東洋医学の視点から体質改善を伝える奈良・上牧町の鍼灸院ブログ画像

朝から体が重い。
足がむくむ。
眠ったはずなのに、すっきり起きられない。

芒種のころになると、こうした重だるさを感じる方が増えてきます。
妊活中の方は、体が重いだけでも、
「この状態で大丈夫かな」
「冷えやむくみが妊活に悪いのかな」
と不安になってしまうことがあると思います。

まず最初にお伝えしたいことがあります。

芒種のころの重だるさは、気合いが足りないからではありません。
湿気、暑さ、冷房、睡眠の乱れ、胃腸の疲れ、自律神経の乱れを感じる状態が重なり、体が季節の変化に一生懸命ついていこうとしているサインです。

東洋医学では、この時期に増えやすい不調を、**湿邪(しつじゃ)**として考えることがあります。
湿邪とは、体に余分な湿気や水分が停滞し、重だるさ、むくみ、胃腸の不調、頭の重さとして出やすい状態です。

今日は、芒種のころに増える重だるさと湿邪について、妊活中の方にも分かりやすくお伝えします。

目次

芒種とは、どんな時期でしょうか

2026年の芒種は、6月6日です。
国立天文台の暦要項では、2026年の芒種は6月6日0時48分とされています。
芒種は、稲や麦など、穂の出る植物に関わる季節の節目とされ、自然界では湿り気と夏の気配が増していくころです。

また、2026年の近畿地方は、気象庁の速報値で6月4日ごろに梅雨入りしたとされています。
奈良・上牧町、西大和、北葛城郡周辺でも、芒種のころはまさに「湿気」と「梅雨」が重なり始める時期です。

つまり、今年の芒種は、暦の上でも、実際の気候の上でも、湿気の影響を受けやすいタイミングです。

芒種のころに重だるさが増えやすい理由

芒種のころは、気温が上がり始める一方で、湿度も高くなります。
蒸し暑いのに汗がうまく乾かない。
外では湿気、室内では冷房。
この切り替えが、体にとって負担になります。

環境省の暑さ指数(WBGT)は、気温だけではなく、湿度、日射・輻射熱、周囲の気流(風)を取り入れて、熱中症リスクを評価する指標です。
つまり、体のしんどさは、気温だけで決まるわけではありません。湿度も大きく関わります。

芒種のころに起こりやすい不調としては、

  • 体が重い
  • 足がむくむ
  • 顔がむくむ
  • 頭が重い
  • 胃がもたれる
  • 食欲が落ちる
  • 便がすっきり出ない
  • 眠りが浅い
  • 気分が晴れない
  • 下腹部や足先が冷える

などがあります。

これらは一つひとつを見ると小さな不調です。
でも、いくつも重なると、妊活中の心には大きく響きます。

東洋医学でいう「湿邪」とは何でしょうか

東洋医学や中医学では、自然界の湿気が体に影響して起こる不調を、湿邪として考えることがあります。

湿邪の特徴は、
重い、だるい、停滞する、すっきりしない
です。

たとえば、

  • 体が鉛のように重い
  • 足がむくんでだるい
  • 頭に布をかぶったようにぼんやりする
  • 胃腸が重くて食欲が出ない
  • 便がすっきり出ない
  • 雨の日に気分が沈む

こうした状態は、湿邪の影響として説明しやすい不調です。

『黄帝内経』の考え方をもとにすると、季節や自然環境の変化は、体の中の気血水の巡りにも影響すると考えます。
特に湿気は、胃腸の働きと関わる**脾(ひ)**に負担をかけやすいとされます。

脾は、現代的に言うと、食べたものを消化吸収し、気血を作る土台に近いイメージです。
脾が弱ると、食べているのに元気が出ない、むくむ、体が重い、気分も沈みやすい、という状態につながりやすくなります。

妊活中に湿邪が重なると、どんな不調になりやすいのでしょうか

妊活中は、体調の小さな変化が不安につながりやすい時期です。
湿邪が重なると、次のような形でつらさを感じやすくなります。

下腹部が重い

湿邪があると、下半身に重だるさが出やすくなります。
下腹部が重いと、子宮や卵巣のあたりが気になり、
「何か悪いのかな」
と不安になりやすくなります。

ただし、下腹部の重さがすべて妊活に悪いわけではありません。
強い痛み、発熱、不正出血、急な腹痛がある場合は、セルフケアではなく、クリニックや病院など、専門の医療機関へ相談してください。

むくみやすい

芒種のころは湿気が増え、足のむくみを感じやすくなります。
座りっぱなし、立ちっぱなし、塩分、睡眠不足、冷え、月経前のホルモン変化もむくみに関わります。

むくみがあると、体が重く感じられ、気持ちまで沈みやすくなります。
特に妊活中は、むくみを「悪いサイン」と受け止めすぎてしまうことがあります。

でも、むくみは体の巡りや水分バランスのサインです。
怖がりすぎず、ただし急な片足のむくみ、痛み、赤み、息苦しさがある場合は、早めの受診が必要です。

胃腸が重くなる

湿邪は脾に負担をかけやすいため、胃腸の不調として出ることがあります。

  • 食欲が落ちる
  • 胃もたれする
  • 便がすっきりしない
  • 便秘や下痢をしやすい
  • 甘いものが欲しくなる
  • 食後に眠くなる

こうした状態があると、妊活中に必要な栄養も取り込みにくくなります。
葉酸、鉄、たんぱく質などを意識することは大切ですが、その前に胃腸が疲れていると、食べること自体が負担になることもあります。

芒種のころの不調は、自律神経とも関係します

湿気が多く、暑さと冷房の差が大きい時期は、自律神経にも負担がかかりやすくなります。

厚生労働省の情報では、不安や恐怖を感じると自律神経系が興奮し、動悸、息苦しさ、血圧上昇、発汗、肩こりなどの身体症状が現れることがあるとされています。
また、ストレス反応では、頭痛、肩こり、腰痛、胃痛、食欲低下、便秘や下痢、不眠などが出ることもあります。

妊活中は、もともと結果待ちや通院で緊張しやすい時期です。
そこに芒種の湿気、梅雨の重だるさ、睡眠の乱れが重なると、体も心も疲れやすくなります。

だから、芒種の不調は、
「湿気だけ」
「気圧だけ」
「自律神経だけ」
と一つに決めるより、季節・生活・妊活の緊張が重なった状態として見ることが大切です。

睡眠が乱れると、重だるさはさらに強くなります

芒種のころは、夜も湿気が多く、寝苦しさを感じる方が増えます。
冷房をつけると冷える。
消すと暑い。
この調整の難しさが、睡眠の質に影響します。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、カフェインには個人差があるものの、睡眠時間の短縮や深睡眠の減少がみられることがあり、夕方以降のカフェイン、飲酒、喫煙は睡眠の妨げになりやすいとされています。

妊活中は、夜に検索が止まらなくなることもあります。
でも、寝る前の検索は交感神経を刺激し、眠りを浅くしやすくなります。

芒種のころは、
体を温めること
と同じくらい、
眠れる環境を整えること
が大切です。

芒種のころに出やすい体質タイプ

ここからは、東洋医学的な体質チェックです。
当てはまるものがあっても、落ち込まなくて大丈夫です。
これは悪いところ探しではなく、今の体がどこで頑張っているかを知るための目安です。

脾虚湿盛タイプ

  • 朝から体が重い
  • 胃腸が弱い
  • 食後に眠くなる
  • むくみやすい
  • 便がすっきりしない
  • 甘いものが欲しくなる
  • 雨の日に頭が重い

このタイプは、胃腸の力が弱り、湿気をさばきにくい状態です。
冷たい飲み物や甘いものを控えめにし、温かい汁物を取り入れることが大切です。

寒湿タイプ

  • 足腰が冷える
  • お腹が冷たい
  • 雨の日に体が重い
  • 冷房がつらい
  • 湯船に入ると楽
  • 生理痛が冷えで強くなりやすい

このタイプは、冷えと湿気が重なって、巡りが滞りやすい状態です。
お腹、腰、足首を冷やさないことが大切です。

肝鬱気滞タイプ

  • ため息が多い
  • 胸や脇が張る
  • 首肩がこる
  • 結果待ちに不安が強くなる
  • 生理前にイライラしやすい
  • 寝る前に検索が止まらない

このタイプは、ストレスや我慢で気の巡りが滞りやすい状態です。
呼吸、軽い散歩、太衝のツボ、夜の情報量を減らすことが助けになります。

気滞瘀血タイプ

  • 生理痛が強い
  • 経血に塊が出る
  • 下腹部が張る
  • 肩こりが強い
  • 冷えとむくみが同時にある
  • ストレスで症状が悪化しやすい

このタイプは、気血の巡りが滞り、痛みや張りとして出やすい状態です。
生理痛が強い場合、不正出血がある場合、痛みが続く場合は、婦人科での確認も大切です。

芒種の食養生

芒種のころは、湿気をため込みすぎず、胃腸を冷やさない食事を意識します。
完璧な薬膳を作る必要はありません。
いつもの食事に、少しだけ季節の養生を足す感覚で大丈夫です。

おすすめしやすい食材は、

  • はと麦
  • 小豆
  • 黒豆
  • とうもろこし
  • そら豆
  • アスパラガス
  • しそ
  • しょうが
  • ねぎ
  • 冬瓜
  • きのこ
  • 鶏肉
  • 白身魚
  • 味噌汁
  • 温かいスープ

などです。

芒種のころは、そら豆やアスパラガスなどの初夏の食材も取り入れやすい時期です。
体が重い日は、油っこいものを重ねるより、温かい汁物、消化にやさしいたんぱく質、香りのよい薬味を少し足すのがおすすめです。

反対に、控えめにしたいのは、

  • 冷たい飲み物のとりすぎ
  • アイスの食べすぎ
  • 甘いものの重ね食べ
  • 脂っこいもの
  • 夜遅い食事
  • カフェインのとりすぎ
  • 寝酒

です。

「湿邪を流すために水分を控える」という考え方はおすすめしません。
暑さや湿気が増える時期は、脱水や熱中症にも注意が必要です。
環境省の暑さ指数では、気温だけでなく湿度も熱中症リスクに関わる要素として扱われています。水分はこまめにとり、冷たいものばかりに偏らないようにしましょう。

妊活中のサプリメント・漢方・アロマで気をつけたいこと

芒種のころに重だるさが強いと、サプリメントや漢方、アロマを試したくなることがあります。
もちろん、体質に合えば助けになるものもあります。

ただし、妊活中、移植周期、妊娠の可能性がある時期は、自己判断で増やしすぎないことが大切です。

注意したいのは、

  • 利尿作用を強く期待するサプリ
  • デトックスを強くうたう健康食品
  • 妊娠中の安全性がはっきりしないハーブ
  • 精油を肌に直接塗る使い方
  • 精油を飲む使い方
  • 複数の漢方薬の自己判断併用

です。

漢方薬は、むくみがあるから全員同じもの、冷えがあるから全員同じもの、という使い方はしません。
冷えてむくむ人、のぼせてむくむ人、胃腸が弱くて重い人、ストレスで張る人では、考え方が変わります。

妊活中や妊娠の可能性がある時期は、クリニックや病院など、専門の医療機関、薬剤師、登録販売者、漢方に詳しい専門家に相談してください。

今日からできる3つ

1.冷たい飲み物を1回だけ温かいものに変える

芒種のころは蒸し暑く、冷たい飲み物が増えやすくなります。
でも、冷たいものが続くと、胃腸が冷えて湿邪をさばきにくくなる方がいます。

まずは1日1回だけ、白湯、温かい麦茶、味噌汁、スープに変えてみてください。

2.足首とお腹を冷やさない

外は蒸し暑くても、室内の冷房で足元やお腹が冷えることがあります。
妊活中の方は、下腹部や腰まわりの冷えが気になりやすい方も多いです。

薄手の腹巻き、レッグウォーマー、湯船、足首回しを取り入れてみてください。

3.夜の検索を少し減らす

湿気で体が重い夜は、心も重くなりやすいです。
そんな時に妊活の検索を続けると、不安がさらに大きくなることがあります。

今夜は、検索を少し早めに切り上げてください。
情報を増やすより、眠りやすい体に戻すことを優先しましょう。

自分でやさしく使えるツボ

陰陵泉(いんりょうせん)

すねの内側を膝の方へなぞっていき、骨の出っぱりの下で指が止まるあたりにあります。
湿気によるむくみ、足の重だるさ、胃腸の重さが気になる時に使いやすいツボです。

足三里(あしさんり)

膝のお皿の外側の下から、指4本分ほど下にあります。
胃腸の働きを整えたい時、梅雨時期に体が重い時、疲れやすい時に使いやすいツボです。

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上の骨の際にあります。
冷え、むくみ、婦人科系のお悩み、下半身の巡りを整えたい時に使いやすいツボです。

妊娠の可能性がある時期や妊娠中は、強く押しすぎず、やさしく触れる程度にしてください。

太衝(たいしょう)

足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前にあります。
ため息、イライラ、胸のつかえ、結果待ちの不安が強い時に使いやすいツボです。

どのツボも、強く押し込む必要はありません。
息を吐きながら、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。

不妊・妊活における鍼灸の役割

ここも、誠実にお伝えしたいところです。
鍼灸は、湿邪を一度で取り除くものではありません。
また、妊活に必要な検査や治療の代わりになるものでもありません。

排卵の確認、卵管の通り道、精液所見、子宮や卵巣の状態、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、胚移植(ET)の適応については、クリニックや病院など、専門の医療機関で確認することが大切です。

そのうえで鍼灸は、妊活中に重なりやすい

  • 冷え
  • むくみ
  • 胃腸の弱り
  • 睡眠の浅さ
  • 首肩のこわばり
  • 自律神経の乱れを感じる状態
  • 月経前後の不調
  • 結果待ちの不安

などを、東洋医学の視点から整える支えにはなり得ます。

アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、鍼灸について、適切に行われれば比較的安全とする一方で、健康上の問題で必要な医療を遅らせる目的で使わないよう案内しています。
また、体外受精に関する研究では、鍼灸と偽鍼の比較で妊娠率や出生率に差が認められなかったレビューもあり、妊娠を保証するものではありません。

だからこそ当院では、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、妊活中の心と身体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。

当院の考え方

当院では、芒種のころに増える重だるさや湿邪の不調を、ただの季節のだるさとして軽く見ません。
とくに妊活中の方にとって、体が重い、むくむ、眠れない、気分が沈むという状態は、それだけで不安につながりやすいからです。

でも同時に、湿邪を怖がりすぎる必要もありません。
体は、湿気や暑さ、冷房、月経周期、妊活の緊張に合わせようとして、一生懸命に働いています。

当院では、病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

芒種のころの重だるさは、怠けているサインではありません。
季節の湿気を受け止めながら、体が頑張っているサインです。

まずは今朝、温かいものを一口。
足首を少し回して、深く吐く息をひとつ。
それだけでも、体は少しずつ「巡る方向」へ戻り始めます。

この記事を書いた人

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
当院は女性専用院として、病院での高度生殖医療や検査を尊重しつつ、東洋医学の視点から冷えや睡眠、日々の生活習慣を優しく見守り、お一人おひとりに寄り添った身体づくりを伴走しています。

院長プロフィールを見る

ご自身に合ったセルフケアを知りたい方、妊活中の身体づくりを見直したい方は、当院にご相談ください。
病院での検査や不妊治療を大切にしながら、お身体の状態や生活習慣に合わせて、無理のない形でサポートいたします。

【参考・出典】

国立天文台「令和8年(2026)暦要項」芒種の日時。
気象庁「令和8年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)」近畿地方の梅雨入り。
環境省「暑さ指数(WBGT)」湿度・日射・気温を含めた熱中症リスク評価。
厚生労働省「こころの耳」ストレス反応と自律神経、身体症状。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」睡眠、カフェイン、飲酒、喫煙に関する情報。
アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)鍼灸の安全性と不妊領域に関する研究概要。

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