梅雨時期に自律神経が乱れやすい理由

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梅雨時期になると、朝から体が重い。
眠ったはずなのに疲れが抜けない。
気持ちまでどんよりして、妊活のことを考えると不安が強くなる。

そんなふうに感じる方がいます。

「気合いが足りないのかな」
「体力が落ちているのかな」
「この状態で妊活を続けていて大丈夫かな」

そうやって、自分を責めてしまう方もおられるかもしれません。

まず最初にお伝えしたいことがあります。

梅雨時期に自律神経が乱れやすいのは、気持ちの弱さではありません。
湿気、気圧の変化、蒸し暑さ、冷房による冷え、睡眠の乱れ、ストレスが重なり、体が環境に合わせようとして頑張っている状態です。

梅雨の不調は「気圧のせい」「湿気のせい」と一つに決めつけるより、
いくつもの小さな負担が重なって、自律神経が疲れている状態
として考えると分かりやすくなります。

目次

自律神経とは、体を自動で調整してくれる働きです

自律神経とは、呼吸、心拍、血圧、体温、胃腸の動き、汗、睡眠などを、自分で意識しなくても調整してくれている神経の働きです。

大きく分けると、

  • 交感神経
  • 副交感神経

があります。

交感神経は、活動するとき、緊張するとき、頑張るときに働きやすい神経です。
副交感神経は、休む、眠る、消化する、ゆるむときに働きやすい神経です。

どちらが良い、悪いというものではありません。
大切なのは、必要な時に切り替わることです。

ただ、梅雨時期はこの切り替えに負担がかかりやすくなります。
その結果、

  • 体が重い
  • 頭痛がする
  • めまい感がある
  • 動悸がする
  • 胃腸が重い
  • 便秘や下痢になりやすい
  • 眠りが浅い
  • 不安が強い
  • 肩や首がこる

といった不調を感じることがあります。

厚生労働省の「こころの耳」でも、自律神経のバランスが崩れていると感じる不調として、全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸などが挙げられています。

梅雨時期に自律神経が乱れやすい理由1 湿気で体が重くなる

梅雨時期は、空気中の湿度が高くなります。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温調節がしづらくなります。

人の体は、汗をかいて、その汗が蒸発することで熱を逃がしています。
でも、湿気が多いと汗が乾きにくく、体に熱やだるさがこもりやすくなります。

環境省の暑さ指数(WBGT)は、気温だけではなく、湿度、日射、風なども含めて熱中症リスクを評価する指標です。
つまり、梅雨時期のしんどさは、単に気温だけでは説明できません。
湿度そのものが、体への負担になりやすいのです。

妊活中は、体調の変化に敏感になりやすい時期です。
湿気による重だるさや頭のぼんやり感があると、
「私の体は大丈夫かな」
と不安が大きく見えることがあります。

でもそれは、あなたが弱いからではなく、体が季節に対応しようとしているサインです。

梅雨時期に自律神経が乱れやすい理由2 冷房と外気の温度差

梅雨時期は、外は蒸し暑いのに、室内は冷房で冷えていることが増えます。
この外と中の温度差が、自律神経に負担をかけます。

暑い外では、体は熱を逃がそうとします。
冷えた室内では、体は冷えすぎないように守ろうとします。
この切り替えを何度も繰り返すことで、体温調節を担う自律神経が疲れやすくなります。

特に、

  • 足先が冷える
  • お腹が冷たい
  • 肩がこる
  • 胃腸が重い
  • 生理痛が冷えでつらくなりやすい
  • 夜に足が冷えて眠りにくい

という方は、冷房の影響を受けやすいかもしれません。

厚生労働省の熱中症予防情報では、暑さを避けることや水分補給が大切とされています。
一方で、冷やしすぎる必要はありません。
大切なのは、暑さを避けながら、体を冷やしすぎないことです。

梅雨時期に自律神経が乱れやすい理由3 気圧の変化

梅雨時期は、低気圧や前線の影響で、気圧が変わりやすくなります。
気圧の変化と体調の関係については、まだ研究が進んでいる途中で、すべての人に同じ影響が出るわけではありません。

ただし、近年の研究では、気圧や湿度、風などの気象要素が片頭痛に関係する可能性が報告されている一方で、研究結果は一貫していないとも報告されています。
また、2025年の『Scientific Reports』では、気圧の変化が動物と人の両方で交感神経の活性化を起こす可能性が報告されています。

ここで大切なのは、
「気圧が下がるから必ず不調になる」と決めつけないこと
です。

気圧の変化に敏感な方もいます。
反対に、あまり影響を感じない方もいます。
だから、梅雨時期の不調は、気圧だけでなく、湿気、冷え、睡眠不足、ストレス、月経周期などと合わせて見ていくことが大切です。

梅雨時期に自律神経が乱れやすい理由4 睡眠の質が落ちやすい

梅雨時期は、眠りの質も乱れやすくなります。

理由としては、

  • 寝室が蒸し暑い
  • 湿度が高く寝苦しい
  • 冷房で体が冷える
  • 雨音や湿気で眠りが浅くなる
  • 日照時間や活動量が変わる
  • 夜にスマホや検索が増える

などがあります。

厚生労働省の「こころの耳」では、良い睡眠のために、光・温度・音に配慮した睡眠環境、適度な運動、朝食、寝る前のリラックス、カフェインやお酒、たばこへの注意が大切とされています。
また、睡眠に不安がある時は専門家に相談することも勧められています。

妊活中は、結果待ちや通院の緊張で、夜に検索が止まらなくなることがあります。
でも、夜の検索は交感神経を刺激しやすく、眠りを浅くする原因になることがあります。

梅雨時期は特に、
寝る前に情報を増やすより、体を休める準備をすること
を意識してみてください。

梅雨時期に自律神経が乱れやすい理由5 ストレス反応が体に出やすい

妊活中は、心のストレスが体に出やすい時期です。

厚生労働省の「こころの耳」では、ストレス反応には、心理面、身体面、行動面があり、身体面では頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸、息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢、不眠などが挙げられています。
また、不安や恐怖を感じると自律神経系が興奮し、動悸、息苦しさ、血圧上昇、発汗、口渇、肩こりなどが現れることも示されています。

梅雨時期の重だるさに、妊活の不安が重なると、
「体がしんどい」
「心もしんどい」
が同時に起こりやすくなります。

でも、それはあなたの心が弱いからではありません。
体が湿気や気圧、寒暖差に対応しながら、妊活の不安も抱えている状態です。
しんどくなるほうが、自然です。

妊活中に自律神経の乱れを感じやすい理由

妊活中は、もともと自律神経に負担がかかりやすい時期です。

たとえば、

  • 排卵日を意識する
  • タイミングを合わせる
  • 通院予定に合わせて動く
  • 検査結果を待つ
  • 人工授精(AIH)や体外受精(IVF)の予定を考える
  • 生理が来るかもしれない不安を抱える
  • 周囲の妊娠報告に心が揺れる

こうした状況では、体が常に「緊張モード」になりやすくなります。

梅雨時期は、そこに湿気、冷房、睡眠の乱れが加わります。
だから、普段なら何とか過ごせる方でも、6月に入ると急に疲れやすくなることがあります。

ここで必要なのは、
「もっと頑張らなきゃ」
ではなく、
自律神経が切り替わりやすい生活に戻してあげること
です。

東洋医学では、梅雨時期の不調をどうみるのでしょうか

東洋医学や中医学では、梅雨時期の不調を「湿邪(しつじゃ)」として考えることがあります。

湿邪とは、体の中に余分な湿気や水分が停滞して、重だるさ、むくみ、胃腸の弱り、頭の重さとして出る状態です。

梅雨時期は、東洋医学のベースとなる考え方(五行学説)において、胃腸の働きと関わる脾(ひ)に負担がかかりやすいと考えます。
脾は、食べたものから気血を作り、体に必要なエネルギーを生み出す働きに近いイメージです。

湿邪が強くなり、脾が弱ると、

  • 食欲が落ちる
  • 胃が重い
  • 便がゆるい、またはすっきり出ない
  • むくみやすい
  • 体が重い
  • 気分が晴れない
  • 眠っても疲れが抜けない

といった状態が出やすくなります。

さらに、妊活中の不安や緊張が重なると、**肝鬱気滞(かんうつきたい)**も出やすくなります。
肝鬱気滞とは、ストレスや我慢で気の巡りが滞り、胸のつかえ、ため息、肩こり、イライラ、不安感などが出やすい状態です。

梅雨時期の妊活不調は、
湿邪で体が重くなり、肝鬱気滞で気持ちが張りつめる
という重なりで見ると分かりやすいです。

自律神経が乱れやすい人のセルフチェック

次の中で、当てはまるものがあるか見てみてください。
これは診断ではなく、今の体のサインを知るためのチェックです。

梅雨の湿邪チェック

  • 朝から体が重い
  • 雨の日に頭が重い
  • むくみやすい
  • 胃がもたれる
  • 便がすっきり出ない
  • 甘いものが欲しくなる
  • 冷たい飲み物が増えている
  • 体がだるくて動く気になれない

自律神経の乱れを感じるチェック

  • 眠りが浅い
  • 寝つきが悪い
  • 朝起きても疲れている
  • 動悸や息苦しさを感じることがある
  • 首肩がこりやすい
  • 胃腸が不安定
  • 便秘や下痢をしやすい
  • 頭痛やめまい感がある

妊活中の緊張チェック

  • 排卵日や結果待ちで不安が強くなる
  • 夜に検索が止まらない
  • 生理前に気持ちが落ち込みやすい
  • パートナーに気持ちを言えず我慢しやすい
  • 検査結果が頭から離れない
  • 通院前後に体がこわばる

当てはまるものが多くても、落ち込まなくて大丈夫です。
これは「悪いところ探し」ではありません。
今の体が、どこで頑張りすぎているかを見つけるためのものです。

受診したほうがよいサイン

自律神経の乱れのように感じる症状でも、別の病気が隠れていることがあります。
次のような場合は、セルフケアだけで様子を見ず、医療機関に相談してください。

  • 強い胸の痛みがある
  • 息苦しさが続く
  • 失神しそうになる
  • 片側の手足に力が入りにくい
  • ろれつが回らない
  • 今までにない激しい頭痛
  • めまいが強く、歩きにくい
  • 動悸が長く続く
  • 体重減少や発熱がある
  • 不眠、不安、気分の落ち込みが2週間以上続く
  • 日常生活や仕事に支障が出ている

妊活中だからといって、体調不良を我慢しなくて大丈夫です。
必要な時は、クリニックや病院など、専門の医療機関へ相談してください。

今日からできる3つ

1.朝に光を浴びて、体内時計を起こす

梅雨時期は曇りや雨の日が多く、朝の光が弱くなりがちです。
でも、朝にカーテンを開ける、少し外の空気を吸う、朝食をとることは、体内時計を整える助けになります。

厚生労働省の睡眠情報でも、適度な運動、朝食、寝る前のリラックスが、眠りと目覚めのメリハリにつながるとされています。

まずは、朝起きたらカーテンを開ける。
それだけでもよいスタートです。

2.冷房で足首とお腹を冷やさない

梅雨時期は、蒸し暑さと冷房の冷えが同時にあります。
外では汗ばむのに、室内では足元が冷える。
この切り替えが自律神経に負担をかけます。

妊活中の方は、足首、お腹、腰まわりを冷やしすぎないように意識してみてください。

  • 薄手の腹巻き
  • レッグウォーマー
  • 温かい飲み物
  • 湯船に浸かる
  • 冷たい飲み物を続けない

こうした小さな工夫で十分です。

3.夜は「情報」より「休息」を優先する

妊活中の夜は、ついスマートフォンで情報を検索したくなる時間です。
でも、寝る前のその時間は、心を落ち着かせるより、かえって不安を強くしてしまうことがあります。

夜は、
「答えを探す時間」
ではなく、
「体を休ませる時間」
に変えてみてください。

イギリス国民保健サービス(NHS)では、ストレス対処として、アルコール、喫煙、カフェインに頼りすぎないこと、呼吸法などを紹介しています。
呼吸を整えるなら、鼻から吸って、口からゆっくり吐く。
無理に深く吸い込まず、まずは3分だけで大丈夫です。

梅雨時期におすすめの食養生

梅雨時期は、胃腸を冷やさず、湿気をため込みすぎない食事を意識します。

おすすめしやすい食材は、

  • はと麦
  • 小豆
  • 黒豆
  • とうもろこし
  • そら豆
  • アスパラガス
  • しょうが
  • ねぎ
  • しそ
  • 大葉
  • 鶏肉
  • 白身魚
  • 味噌汁
  • 温かいスープ

などです。

反対に、控えめにしたいのは、

  • 冷たい飲み物のとりすぎ
  • アイスの食べすぎ
  • 甘いものの重ね食べ
  • 脂っこいもの
  • 夜遅い食事
  • カフェインのとりすぎ
  • 寝酒

です。

「完璧な食事」をしようとしなくて大丈夫です。
まずは、冷たいものを1回だけ温かいものに変える。
夕食に味噌汁を足す。
そのくらいからで十分です。

自分でやさしく使えるツボ

内関(ないかん)

手首の内側、しわから指3本分ほどひじ寄りの中央にあります。
胸のつかえ、不安感、緊張による気持ち悪さ、乗り物酔いのようなむかつきに使いやすいツボです。

足三里(あしさんり)

膝のお皿の外側の下から、指4本分ほど下にあります。
胃腸の働きを整えたい時、梅雨時期に体が重い時、疲れやすい時に使いやすいツボです。

陰陵泉(いんりょうせん)

すねの内側を膝の方へなぞっていき、骨の出っぱりの下で指が止まるあたりにあります。
湿気によるむくみ、足の重だるさ、胃腸の重さが気になる時に使いやすいツボです。

太衝(たいしょう)

足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前にあります。
ため息、イライラ、胸のつかえ、気の巡りを整えたい時に使いやすいツボです。

どのツボも、強く押し込む必要はありません。
息を吐きながら、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。

不妊・妊活における鍼灸の役割

ここも、誠実にお伝えしたいところです。
鍼灸は、自律神経の乱れを一度で解決するものではありません。
また、妊活に必要な検査や治療の代わりになるものでもありません。

排卵の確認、卵管の通り道、精液所見、子宮や卵巣の状態、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)の適応については、クリニックや病院など、専門の医療機関で確認することが大切です。

そのうえで鍼灸は、妊活中に重なりやすい

  • 冷え
  • むくみ
  • 胃腸の弱り
  • 睡眠の浅さ
  • 首肩のこわばり
  • 自律神経の乱れを感じる状態
  • 月経前後の不調
  • 気持ちの張りつめ

などを、東洋医学の視点から整える支えにはなり得ます。

アメリカ国立補完統合衛生センターでは、リラクゼーション技法は、ゆっくりした呼吸、心拍数や血圧の低下などを特徴とするリラクゼーション反応をもたらすと説明しています。
鍼灸やセルフケアも、体を「緊張モード」から「休息モード」へ戻すきっかけとして、日々の養生と合わせて考えることが大切です。

当院では、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、妊活中の心と身体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。

当院の考え方

当院では、梅雨時期の自律神経の乱れを「よくある季節の不調」として軽く見ません。
とくに妊活中の方にとって、体が重い、眠れない、頭が痛い、気持ちが不安定になることは、それだけで大きな不安につながるからです。

でも同時に、梅雨の不調を怖がりすぎる必要もありません。
体は、湿気や気圧、寒暖差に合わせようとして一生懸命に働いています。

当院では、病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

梅雨時期にしんどくなるあなたは、弱いわけではありません。
季節の変化を、体がちゃんと感じ取っているだけです。

まずは今夜、冷たいものを少し控えて、足首を温めて、寝る前の検索を少し減らしてみてください。
それだけでも、自律神経にとってはやさしい一歩です。

この記事を書いた人

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

院長プロフィールを見る

ご自身に合ったセルフケアを知りたい方、妊活中の身体づくりを見直したい方は、当院にご相談ください。
病院での検査や不妊治療を大切にしながら、お身体の状態や生活習慣に合わせて、無理のない形でサポートいたします。

【参考・出典】

厚生労働省「こころの耳」自律神経失調症、ストレス反応、良質な睡眠に関する情報。
厚生労働省・環境省「熱中症予防」「暑さ指数(WBGT)」に関する情報。
イギリス国民保健サービス(NHS)ストレス対処と呼吸法に関する情報。
アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)リラクゼーション技法に関する情報。
『Current Pain and Headache Reports』2024年レビュー「気象要素と片頭痛」、『Scientific Reports』2025年「気圧変化と交感神経活動」に関する研究。

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