妊活中の便秘が気になる方へ

妊活や婦人科ケアに役立つ食養生とセルフケアを伝えるブログ画像

妊活中に便秘が続くと、ただお腹が苦しいだけでは済まないことがあります。
下腹部が張ると、子宮や卵巣のあたりまで重く感じる。
「この便秘も、妊娠しにくさに関係しているのかな」と不安になる。

そんなふうに、体の小さな不調が、心の奥まで入り込んでくることがあります。

まず最初にお伝えしたいことがあります。

便秘があるから妊娠できない、というわけではありません。
ただし、便秘が続く背景には、食事の偏り、水分不足、運動不足、睡眠の乱れ、ストレス、冷え、黄体ホルモンの影響、鉄剤や一部の薬の影響などが隠れていることがあります。

つまり、便秘だけを悪者にするのではなく、
妊活中の身体全体のサインとして見直すこと
が大切です。

目次

便秘とは、どんな状態でしょうか

便秘というと、
「何日も出ないこと」
と思われがちですが、それだけではありません。

一般的には、

  • 排便回数が少ない
  • 便が硬い
  • 強くいきまないと出ない
  • 出てもすっきりしない
  • お腹が張る
  • 便が残っている感じがある

といった状態も便秘に含まれます。

毎日排便があっても、強くいきまないと出ない、硬くて痛む、すっきりしないという場合は、便秘傾向といえます。

反対に、毎日出ていなくても、苦痛がなく自然に出ていて、体調もよい方もいます。
大切なのは、回数だけでなく、自分にとってつらい状態かどうかです。

妊活中に便秘が気になりやすい理由

妊活中は、便秘が気になりやすい条件がいくつも重なります。

たとえば、

  • 黄体期にお腹が張りやすい
  • 妊娠の可能性がある時期に腸の動きがゆっくりになる
  • 通院や結果待ちのストレスで自律神経が乱れやすい
  • 鉄剤やサプリメントで便が硬くなることがある
  • 食事を気にしすぎて、かえって食物繊維や油分が不足する
  • 運動量が減る
  • 冷えやむくみが重なる

などです。

特に黄体期や妊娠初期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)(P4)の影響で腸の動きがゆっくりになり、便秘やお腹の張りを感じやすくなることがあります。

また、妊活中に鉄サプリや鉄剤を使っている方では、便が硬くなったり、黒っぽくなったり、胃腸の不快感を感じたりすることがあります。
不安な場合は自己判断で中止せず、クリニックや病院など、専門の医療機関で相談してください。

便秘と妊活の関係を、怖がりすぎないでください

便秘が続くと、
「腸が悪いから妊娠できないのかな」
「老廃物がたまっているからだめなのかな」
と心配になる方がおられます。

でも、ここは少し冷静に見て大丈夫です。

近年、腸内細菌と女性の生殖健康に関する研究は増えています。
腸内細菌は、免疫、炎症、ホルモン代謝、代謝機能などを通して、女性の身体と関係する可能性が報告されています。
ただし、現時点では、
便秘を治せば妊娠率が上がる
と断定できる段階ではありません。

だからこそ、便秘を「妊娠できない原因」として怖がるより、
妊活中の体調を整えるために見直したいサイン
として受け止めるのが現実的です。

腸が整うと、
お腹の張りが軽くなる。
眠りやすくなる。
食欲が安定する。
気分の重さが少し減る。

そうした日常の心地よさが、妊活中の身体づくりを支えてくれます。

便秘がある時に、まず見直したい3つ

便秘が気になる時、まず見直したいのは、食物繊維、水分、身体を動かすことです。

イギリス国民保健サービス(NHS)やアメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所では、便秘への基本的な対策として、食物繊維を増やすこと、水分を十分にとること、身体を動かすことが挙げられています。

ただし、いきなり食物繊維だけを増やしすぎると、お腹の張りやガスが増えることがあります。
便秘の方ほど、「よし、野菜をたくさん食べよう」と急に頑張りすぎて、かえって苦しくなることがあります。

大切なのは、
少しずつ増やすこと
です。

食物繊維は、急に増やしすぎないことが大切です

厚生労働省の情報では、食物繊維は小腸で消化されず大腸まで届く食品成分で、便秘を防ぐ整腸効果が期待できるとされています。
また、日本人成人の食物繊維摂取量の平均は、目標量より少ない傾向があり、積極的に摂ることが望まれます。

食物繊維には、大きく分けて2つあります。

不溶性食物繊維

便のかさを増やし、腸の動きを助けます。
野菜、きのこ、豆類、玄米、いも類などに多く含まれます。

水溶性食物繊維

便をやわらかくしたり、腸内環境を整えたりする助けになります。
海藻、もち麦、オートミール、果物、里芋、長芋、納豆などに含まれます。

便秘の方は、不溶性ばかりを急に増やすと、お腹が張ることがあります。
お腹が張りやすい方は、海藻、もち麦、オートミール、納豆、里芋など、水溶性食物繊維も一緒に意識するとよいでしょう。

妊活中におすすめしやすい便秘対策の食養生

妊活中の便秘対策では、腸だけでなく、冷えや胃腸の弱りも一緒に考えたいところです。
6月初旬は、梅雨入り前で湿気が増え、東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」の影響を受けやすい時期と考えます。

湿邪とは、体に余分な湿気や水分が停滞して、重だるさ、むくみ、胃腸の重さとして出る状態です。
便秘の方でも、胃腸が重く、むくみやすい場合は、ただ食物繊維を足すだけではしんどくなることがあります。

おすすめは、温かく、消化にやさしく、腸が動きやすい食事です。

たとえば、

  • 味噌汁
  • 野菜スープ
  • 根菜の煮物
  • もち麦入りごはん
  • 納豆
  • 海藻
  • きのこ
  • 里芋
  • 長芋
  • オートミール
  • りんご
  • プルーン
  • そら豆
  • アスパラガス

などです。

反対に、便秘がある時に控えめにしたいのは、

  • 冷たい飲み物のとりすぎ
  • 甘いものの食べすぎ
  • 脂っこいものの重ね食べ
  • 夜遅い食事
  • カフェインのとりすぎ
  • 水分を極端に減らすこと

です。

「腸によい」と言われるものを何でも足すより、まずは冷えと胃腸の重さを減らすことが大切です。

水分は、ただ多く飲めばよいわけではありません

便秘があると、
「水をたくさん飲まないと」
と思う方が多いです。

たしかに水分は大切です。
ただし、冷たい水を一気に飲むと、胃腸が冷えてつらくなる方もいます。
特に梅雨入り前から梅雨時期は、湿気と冷えが重なりやすく、胃腸が重くなりやすい季節です。

おすすめは、

  • 朝起きたら常温の水や白湯を少し飲む
  • 日中にこまめに水分をとる
  • 冷たい飲み物だけに偏らない
  • 汗をかく日は水分と塩分も意識する
  • 食事に汁物を足す

という形です。

便秘対策は、無理に大量の水を飲むことではなく、腸が動きやすい水分の入り方を作ることです。

妊活中の便秘薬は、自己判断で増やしすぎないでください

便秘がつらい時、便秘薬を使いたくなることがあります。
我慢しすぎる必要はありません。
ただし、妊活中や妊娠の可能性がある時期は、自己判断で便秘薬を増やしすぎないことが大切です。

妊娠中の便秘について、アメリカ産科婦人科学会(ACOG)は、まず食物繊維、水分、運動をすすめています。
それでも改善しない場合、医療者が便軟化剤や下剤をすすめることがあります。

また、妊娠中に使われる便秘薬には、便をやわらかくするもの、便のかさを増やすもの、腸に水分を引き込むものなどがあります。
一方で、刺激性の強いものを自己判断で長く使うと、お腹の痛みや下痢、脱水などにつながることがあります。

妊活中、移植周期、妊娠の可能性がある時期、妊娠中、授乳中の方は、薬局で買える薬であっても、医師、薬剤師、登録販売者に確認してから使うほうが安心です。

受診したほうがよい便秘のサイン

便秘はよくある不調ですが、次のような場合は、セルフケアだけで様子を見ないでください。

  • 血便がある
  • 肛門から出血がある
  • 強い腹痛が続く
  • お腹が強く張ってガスも出ない
  • 吐き気や嘔吐がある
  • 発熱がある
  • 原因が分からない体重減少がある
  • 急に便秘がひどくなった
  • 便が細くなった状態が続く
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 家族に大腸がんや直腸がんの方がいる
  • セルフケアをしても便秘が続く

このような場合は、消化器内科などで相談してください。
妊活中でも、必要な検査や治療は大切です。
「妊活中だから後回しにしよう」と抱え込まず、身体のサインを優先してください。

東洋医学では、便秘をどうみるのでしょうか

東洋医学や中医学では、便秘を単に「便が出ない」だけで見ません。
便秘にもいくつかのタイプがあると考えます。

気滞タイプ

ストレスや緊張で、腸の動きが滞るタイプです。

  • お腹が張る
  • ガスがたまりやすい
  • ため息が多い
  • 生理前に便秘しやすい
  • 肩や首がこる
  • 結果待ちで便秘が悪化する

この場合は、肝鬱気滞(かんうつきたい)としてみることがあります。
呼吸、軽い散歩、寝る前のスマホ時間を減らすことが大切です。

冷えタイプ

お腹や足腰が冷えて、腸の動きが弱くなるタイプです。

  • お腹を触ると冷たい
  • 温めると楽
  • 冷たい飲み物で悪化する
  • 生理痛も冷えでつらい
  • 足先が冷える
  • 湯船に入ると出やすい

この場合は、寒邪や腎陽虚、脾陽虚のような見立てをすることがあります。
冷たいものを控え、腹巻きや湯船でお腹と足元を温めることが大切です。

血虚・陰虚タイプ

体のうるおいや血が不足し、便が乾きやすいタイプです。

  • 便が硬くコロコロしている
  • 乾燥肌
  • 眠りが浅い
  • 目が疲れやすい
  • 生理量が少ない
  • 疲れやすい

この場合は、ただ刺激して出すより、うるおいを補う食事や睡眠が大切です。
黒ごま、くるみ、豆類、海藻、山芋、温かい汁物などを取り入れやすい形で使います。

湿邪タイプ

梅雨時期に多く、胃腸が重く、水分代謝が滞るタイプです。

  • 体が重い
  • むくみやすい
  • 胃がもたれる
  • 便がすっきりしない
  • 頭が重い
  • 甘いものが欲しくなる

この場合は、脾の働きを助け、湿気をため込まない養生が大切です。
冷たい飲み物、甘いもの、脂っこいものを控えめにし、温かい食事を意識しましょう。

便秘に使いやすいツボ

天枢(てんすう)

おへその左右、指3本分ほど外側にあります。
お腹の張り、便秘、腸の動きを整えたい時に使われることがあります。

妊娠の可能性がある時期や妊娠中は、お腹を強く押さないでください。
手のひらをそっと当てて、温める程度にしましょう。

足三里(あしさんり)

膝のお皿の外側の下から、指4本分ほど下にあります。
胃腸の働きを整えたい時、疲れやすい時、梅雨時期に体が重い時に使いやすいツボです。

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上の骨の際にあります。
冷え、むくみ、婦人科系のお悩み、下半身の巡りを整えたい時に使いやすいツボです。

妊娠の可能性がある時期や妊娠中は、強く押しすぎず、やさしく触れる程度にしてください。

太衝(たいしょう)

足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前にあります。
ストレス、ため息、胸のつかえ、生理前の便秘がある時に使いやすいツボです。

どのツボも、強く押し込まなくて大丈夫です。
息を吐きながら、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。

今日からできる3つ

1.朝、白湯か常温の水を少し飲む

朝は腸が動き出しやすい時間です。
起きてすぐ、白湯か常温の水を少し飲んでみてください。
そのあと、慌てて家を出るのではなく、トイレに行く時間を少しだけ作ることも大切です。

2.食物繊維は「少しずつ」増やす

便秘が気になるからといって、急に野菜や玄米だけを増やすと、お腹が張ることがあります。
もち麦、海藻、納豆、きのこ、根菜、果物などを、少しずつ足していきましょう。

3.お腹と足首を冷やさない

梅雨入り前は、蒸し暑いのに冷えやすい季節です。
冷房で足元やお腹が冷えないように、腹巻き、レッグウォーマー、湯船を上手に使いましょう。

便秘が冷えで悪化しやすい方は、まず温めるだけでも、お腹の張りがやわらぎやすくなります。

不妊・妊活における鍼灸の役割

ここも、誠実にお伝えしたいところです。
鍼灸は、便秘の原因となる病気を診断するものではありません。
また、妊活に必要な検査や治療の代わりになるものでもありません。

排卵の確認、卵管の通り道、精液所見、子宮や卵巣の状態、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)の適応については、クリニックや病院など、専門の医療機関で確認することが大切です。

そのうえで鍼灸は、妊活中に重なりやすい

  • 冷え
  • 便秘
  • 胃腸の弱り
  • 睡眠の浅さ
  • 首肩のこわばり
  • 自律神経の乱れを感じる状態
  • 月経前後の不調
  • 気持ちの張りつめ

などを、東洋医学の視点から整える支えにはなり得ます。

当院では、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、妊活中の心と身体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。

当院の考え方

当院では、妊活中の便秘を「よくあること」として流しません。
便秘そのものがすべての原因ではありませんが、便秘が続くと、お腹の張り、冷え、睡眠の乱れ、気持ちの重さにつながることがあります。

妊活中は、身体の小さな不調にも不安が重なります。
だからこそ当院では、病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

便秘がある日も、あなたの身体は怠けているわけではありません。
季節、緊張、ホルモン、食事、冷え。
いろいろなものを受け止めながら、今日も一生懸命に働いています。

まずは、温かいものを一口飲む。
朝にトイレへ行く時間をつくる。
お腹を責めずに、やさしく手を当てる。

そんな小さな一歩からで大丈夫です。

この記事を書いた人

ロータスリーフ 蓮心はり灸堂
院長 菅原 裕万
はり師・きゅう師・医薬品登録販売者

奈良・上牧町で、妊活中の方や女性のお身体のお悩みに向き合い、マタニティケア・産後ケアまで、ライフステージに合わせた鍼灸施術を行っています。
病院での検査や治療を大切にしながら、東洋医学の視点も取り入れ、冷え・睡眠・自律神経・体質・生活習慣などを丁寧に確認し、その方に合った身体づくりを一緒に考えることを大切にしています。

院長プロフィールを見る

ご自身に合ったセルフケアを知りたい方、妊活中の身体づくりを見直したい方は、当院にご相談ください。
病院での検査や不妊治療を大切にしながら、お身体の状態や生活習慣に合わせて、無理のない形でサポートいたします。

【参考・出典】

アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)「便秘の症状・原因・受診目安」。
イギリス国民保健サービス(NHS)「便秘の食事・水分・運動・下剤に関する一般情報」。
アメリカ産科婦人科学会(ACOG)「妊娠中の便秘に対する食物繊維・水分・運動の考え方」。
厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」。
『npj Women’s Health』2025年レビュー「腸内細菌と女性の婦人科・生殖健康の関係」。

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