基礎体温がガタガタでも、あわてなくていい理由

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基礎体温のグラフを見て、
「こんなにバラバラで大丈夫なのかな」
「高温期と低温期がきれいに分かれていない」
と、不安になったことはありませんか。

妊活をしていると、基礎体温はとても気になる存在になりやすいものです。
グラフが少し乱れるだけで、
「排卵していないのかもしれない」
「何か悪いことが起きているのでは」
と、心が大きく揺れてしまう方も少なくありません。

でも、まず最初にお伝えしたいことがあります。
基礎体温がガタガタでも、それだけですぐに異常とは限りません。
そしてもうひとつ大切なのは、基礎体温は妊活の参考にはなっても、グラフだけで排卵や妊娠しやすさを正確に判断できるものではないということです。

目次

基礎体温は、そもそも何を見ているのでしょうか

基礎体温とは、朝起きてすぐ、身体を動かす前の安静時の体温のことです。
排卵のあとには、黄体ホルモンの影響で体温が少し上がることがあり、その変化を見ていくのが基礎体温表です。
専門病院では、排卵で基礎体温がわずかに上がることがあり、上昇は通常0.3℃未満の小さな変化だと説明しています。

そのため、きれいな二相に見える方もいれば、そう見えにくい方もいます。
ASRM(米国生殖医学会)は、排卵している周期では一般に二相性のグラフになる一方で、排卵している女性でも、はっきり二相に見えないことがあるとしています。
つまり、グラフが少し乱れていることだけで、すぐに「排卵していない」と決めつける必要はありません。

基礎体温がガタガタになりやすいのは、珍しいことではありません

基礎体温は、とても繊細です。
専門病院では、基礎体温に影響する要因として、発熱や体調不良、ストレス、シフト勤務、睡眠の中断や寝すぎ、アルコール、旅行や時差、婦人科疾患、一部の薬などを挙げています。
さらに、正確に測るには、毎朝起き上がる前に、同じ方法で、同じくらいの時間に測り、少なくとも3時間ほど続けて眠れていることが望ましいとしています。

つまり、基礎体温が少し乱れているからといって、すぐに身体の異常と結びつける必要はありません。
妊活中は、測ること自体がプレッシャーになって、眠りが浅くなったり、少しの上下に振り回されたりすることもあります。
だからこそ、基礎体温は「絶対の答え」ではなく、あくまで体調を見るためのひとつの手がかりとして受け止めることが大切です。

「高温期が短い」「二相にならない」とき、どう考えればいいのでしょうか

基礎体温のグラフを見ると、
高温期が短い気がする
高温期に入ったのか分かりにくい
毎月きれいな二相にならない
と悩む方は多いと思います。

ASRM(米国生殖医学会)は、毎日の基礎体温測定は手間がかかるうえ、正確性に限界があるため、現在ではすべての方に必ず勧められる方法ではないとされています。
特に、月経の様子が排卵していそうなパターンであれば、基礎体温だけで細かく判断しようとしなくてよいこともあります。

もちろん、毎月まったく月経が来ない、周期が極端に乱れる、不正出血がある、生理痛が強いといった場合は別です。
でも、グラフが教科書のようにきれいではないことと、妊活がうまくいかないことは、同じではありません。
ここは、とても大切にしてほしいポイントです。

規則的な生理があるなら、少し安心できることもあります

基礎体温がガタガタだと、どうしても
「排卵できていないのでは」
と心配になりやすいですが、ASRM(米国生殖医学会)は、21〜35日程度の規則的な月経がある場合、追加の排卵確認は原則不要としています。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)も、21〜35日で規則的に来る生理は、排卵している可能性が高いと案内しています。

つまり、基礎体温表が少し見づらくても、
生理周期が大きく乱れていない
月経がある程度規則的
という方では、必要以上に悲観しなくてよい場合があります。

反対に、
・周期が毎月大きく乱れる
・何か月も生理が来ない
・月経が極端に短い、または長い
・不正出血がある
・多毛や強いにきびなど男性ホルモン過剰を疑う症状がある
という場合は、基礎体温よりも先に、病院で確認したほうがよいことがあります。

基礎体温だけでは、妊活の全体像は分かりません

妊活では、基礎体温ばかりが気になってしまうことがあります。
でも本来、妊娠に関わるのは排卵だけではありません。

ASRM(米国生殖医学会)は、不妊の評価では、
排卵の状態
卵管の通り道
子宮の状態
男性側の精液検査
を含めて確認することが大切だとしています。

ですから、
基礎体温が少し乱れている
という理由だけで自分を責め続けるより、
必要な時には、今の状態を全体として整理してもらうことのほうが大切です。

こんな時は、病院へ相談して大丈夫です

基礎体温がきれいでないことだけで、すぐに受診が必要とは限りません。
ただし、次のような場合は、婦人科や生殖医療の医療機関で相談して大丈夫です。

・生理周期が21日未満、または35日を超えることが続く
・何か月も生理が来ない
・不正出血がある
・生理痛が強い
・高温期かどうか以前に、周期の予測がつかない
・35歳以上で半年ほど妊活している
・40歳前後で妊活を考えている
・すでに子宮内膜症や卵巣の病気を指摘されたことがある

ASRM(米国生殖医学会)とACOG(米国産婦人科学会)は、35歳以上では6か月、40歳以上ではより早めに評価を考えるよう勧めています。
また、既往歴や月経異常がある場合は、年齢や期間にかかわらず早めに相談してよいとされています。

東洋医学では、「グラフの乱れ」より「身体の整いにくさ」に目を向けます

東洋医学では、基礎体温表そのものを細かく読むというより、
その背景にある
冷え
睡眠の浅さ
気持ちの張りつめ
胃腸の弱り
月経前後の不調
に目を向けます。

たとえば、
・夜に眠りに入りにくい
・ため息が多い
・首肩がこる
・手足は冷えるのに頭は休まらない
・生理前にイライラしやすい
・お腹が張りやすい
といった方では、東洋医学でいう**肝鬱気滞(かんうつきたい)**のように、気持ちの張りつめから巡りが滞っている状態が考えられます。

また、
・疲れやすい
・胃腸が弱い
・食欲が安定しない
・朝がつらい
・温めても冷えやすい
という方では、脾気虚気血両虚のように、身体を支える力が少し弱っている見方をすることもあります。

つまり、基礎体温が乱れて見える時でも、
「グラフが悪い」のではなく、
身体が整いにくいサインを出している
という見方もできるのです。

鍼灸は、基礎体温を“きれいにするため”だけのものではありません

ここは大切なので、はっきりお伝えします。
鍼灸は、排卵の有無を診断したり、卵管を通したり、ホルモン検査の代わりをしたりするものではありません。
基礎体温表だけを整えるためのものでもありません。

一方で、妊活中に重なりやすい
・冷え
・自律神経の乱れを感じる状態
・首肩の緊張
・眠りの浅さ
・気持ちの張りつめ
・月経前後の不調
などを、東洋医学の視点から整える支えにはなれます。

英国の法定機関であるHFEA(胚研究認可庁)は、鍼灸について、妊娠率改善の明確な根拠は十分ではない一方、ストレス軽減やウェルビーイングの向上のために用いられることがあると案内しています。
当院でも、鍼灸を「結果を約束する方法」としてではなく、妊活中の心と身体の土台を整える補助的な支えとして位置づけています。

今日からできる3つのこと

1.基礎体温を“採点表”にしない

基礎体温をつけていると、
グラフがきれいなら安心
乱れていたら不安
というふうに、毎朝の気持ちが左右されやすくなります。

でも、基礎体温は採点表ではありません。
少し乱れたからといって、自分を責める必要はありません。
まずは、今の体調を見るための記録として使ってみてください。

2.測るなら、条件をそろえすぎて苦しまない

総合病院では、測定は
起き上がる前
毎朝なるべく同じ時間
同じ方法
少なくとも3時間ほど続けて眠れた状態
が望ましいとしています。

ただ、そこにこだわりすぎて眠れなくなってしまっては本末転倒です。
完璧を目指すより、続けられる範囲で使うことが大切です。

3.気になる時は、グラフより月経全体を見てみる

基礎体温だけでなく、
・生理周期
・生理痛
・経血量
・不正出血の有無
・おりものの変化
・気分や睡眠の状態
も一緒に見てみてください。

妊活では、ひとつの数字やグラフだけではなく、身体全体の流れを見ることが大切です。
そのほうが、不安も少し整理しやすくなります。

自分でやさしく触れやすいツボ

基礎体温の乱れそのものではなく、
その背景にある緊張や冷えが気になる時に使いやすいツボがあります。

太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前。
ため息が多い時、気持ちが張りつめている時、巡りを整えたい時に使いやすいツボです。

三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところから、人差し指から小指までの指幅4本分ほど上。
冷えや婦人科系のお悩み、下半身の巡りを整えたい時によく使われます。

どちらも強く押す必要はありません。
息を吐きながら、少し気持ちいいくらいでやさしく触れてみてください。
妊娠の可能性がある時や体調に不安がある時は、無理をせずご相談ください。

当院の考え方

当院では、基礎体温を軽く見ません。
でも、基礎体温表だけで妊活の良し悪しを決めることもしません。

グラフがきれいかどうかより、
今の身体がどう整いにくいのか。
冷えが強いのか、眠りが浅いのか、気持ちが張りつめているのか。
必要な検査は受けられているのか。

そうした全体を見ていくことが大切だと考えています。

病院での検査や治療が必要なことは、きちんと医療機関で確認する。
そのうえで鍼灸では、妊活中の心と身体の負担を整える支えになる。
当院は、その立ち位置をとても大切にしています。

グラフが乱れていても、あなたまで乱れているわけではありません

基礎体温がガタガタだと、
自分の身体までうまくいっていないように感じてしまうことがあります。
でも、どうか忘れないでください。

グラフが乱れていることと、あなたの価値や可能性が乱れていることは、まったく別です。

睡眠が浅い日もある。
気持ちが揺れる日もある。
疲れが抜けない月もある。
妊活中には、そういう揺らぎがあって当然です。

だからこそ、
少し見づらいグラフを前にした朝ほど、
自分を責めるより先に、
「今の身体はどうかな」
と、やさしく見てあげてください。

ひとりで不安を抱え続けなくて大丈夫です。
必要な時には、基礎体温表そのものではなく、
その背景にある心と身体の状態を、一緒に整理していきましょう。

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